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フェティシストが愛する名匠を訪ねて 第3回 【3】

オリジナルフィギュア「T&M」
フィギュア造形師 TETSU氏



私たちの性の営みとその周辺に存在する様々なグッズやアイテム。そうしたモノとヒトにスポットをあて、普段顧みられることのない彼らの素顔と職人の技に迫る連載の第3回。今回お話を伺ったのはフィギュア造形師のTETSU氏。熟女の肉感的なボディを見事に再現した、リアルな造形美の秘密に迫る第3弾です!

インタビュー・文=安田理央

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1/6
スケール
レジン
キット


真田悦子


全高
/約25.7cm


そりゃ、作っていれば自分の好みは出ちゃうよね
キツイ顔は好きじゃないから、できるだけ優しい表情になるようにしてる

TETSU氏の作るフィギュアは、極めて肉感的で生々しい。現実離れしたプロポーションの無機質なラインを追求する他のアニメ的なフィギュアとは、全く逆だ。成熟した女性ならではの、ふくよかなラインをリアルに再現している。

T:「若い女の子はね、綺麗すぎちゃって面白くないんです。脚なんかすごく細くて。でも、そこに性的な欲求を感じるかなって思うんですよ。やっぱりムチムチっとしてた方がいいんじゃないかな、と。あたしが作る時に一番気をつけているのは肉付きですね。特にお尻。少し大きめで、ちょっと垂れるくらいにして。引き締まってるとミスなんとかみたいになっちゃう(笑)。あと、下腹の肉とか、振り向いた時の背中の皺とか、そういうのもキチンと作る。仰向けだったら、おっぱいも肉が流れて平たくなるとかね。そういうところに艶かしさがあると思うんですよ」

健康的な引き締まった若い肉体もいいかもしれないが、本当にいやらしいのは、成熟した肉体。確かにTETSU氏のフィギュアから放たれる何ともいえない色気は、完璧なプロポーションで造形される他のフィギュアからは感じられないものだ。

T:「特にモデルというのはいないんですよ。全部思いつきで、作りながら考えてたんです。途中で、まぁ、あんまりいい加減じゃまずいかなと思ってデッサン用の裸婦のポーズ写真集とか買ってきて参考にしましたけどね。ヌードグラビアだとダメなんです。グラビアって、一方向から見て絵になるポーズで撮るじゃないですか。それを立体にすると、他の角度から見るとよくなかったりするんです。デッサン用のポーズ集だと、色々な角度から写してますから参考になりますよ。あと、参考にしているのはケン月影さんのマンガとか。肉付きがいいんですよね。写真を見るよりも、マンガの方がイメージが沸いてくるんです。それから小妻容子さんの絵はいいですね。あの肉質感を再現してみたいです。3次元でやろうとすると難しいんだけど」

もちろん作品には、TETSU氏の理想も強く投影されている。

T:「そりゃ、作っていれば自分の好みは出ちゃうよね。キツイ顔は好きじゃないから、できるだけ優しい表情になるようにしてる」

TETSU氏のフィギュアの大きな魅力のひとつに、自然で繊細なポージングがある。ちょっと首をかしげていたり、太腿をすりあわせていたり、日本的な色気がにじみ出てくるような、その仕草がフィギュアを生々しいものにしている。

T:「子供の頃から日本舞踊をよく見てたんですよ。だからそうした動きが体に染みついているのかもしれないね。女性らしい動きとかね。何にしろ、大事なのは羞恥心ですよ。恥じらいが感じられないような裸じゃ、色気もありゃしない」

TETSU氏は、今の日本の男性は甲斐性がないと嘆く。

T:「みんなあまりにもオープンになりすぎてるよね。もともと男と女は違うんだから、忘れちゃいけないものもあるでしょう。こういうことを言うと怒られちゃうかもしれないけどさ、今は女性の働きやすい社会にしようとしてるじゃない? なるべく子供を預けて働こうって。でもそれって男に甲斐性がないからそんな話になってるんだよ。そりゃね、お母さんが働かないといけない家庭だってあるでしょう。でもお父さんが頑張って働いて、お母さんは内助の功というか、陰から家庭を支えてね。そしたら子供だって母親の愛情の中で育っていけると思うんですよ。父親だって安心して頑張れる。あたしが作ってるのは、エロフィギュアだけどさ、今の日本の家庭からなくなりかけているものが作品の中に込められてると思うんだ。なくなりそうなものを再現したいと言う点では、架空の理想のキャラクターを再現しようとしているオタク系のフィギュアと一緒かもしれないね」

かつてはキワモノ扱いされていた「熟女」というジャンルは、ここ10年でAVでも、エロ本でも、風俗でも、完全に市民権を得て定着した。現在では最も人気の高いジャンルのひとつとなっている。フィギュアにおいても、同じことが起きる可能性は高い。TETSU氏のフィギュアから放たれる妖艶なフェロモンを感じていると、それは確信へと変わるのだ。

(おわり)


フィギュアの制作工程、前回の続きです。

こちらは皆さんご存知彫刻刀です。

足の部分です。大まかな形を作っていくときには彫刻刀が使われます。

パーツを繋げていきましょう。接点の部分に粘土をつけて……。

胴体部分に付けて造形をチェック。まだ仮組みです。時には針金を使うこともあります。



仮組みの後は実際に合体。繋ぎ目を修正していきます。

実際に製作中の新作です。股間には蛸が。北斎から着想を得たのだとか。

こちらが原型。粘土を最終的にはここまで仕上げるわけです。



流し込み成型の工程も教えていただきました。まずはブロックで枠を作ります。中の白いのが原型と考えてください。この枠の中にシリコンを半分だけ流し込みます。

はいこの通り。シリコン型ができました。ここに空気穴などを細工して、もう半分も同じように作業。

そして原型を取るとシリコンの型ができるわけですね。この型に樹脂を流し込んで、商品が量産されるわけです。



両方の型を併せるとこのように。左の大きな穴から樹脂を流し込むわけです。小さいほうの穴は空気穴。

実際に流し込むのはこちら。ウレタン樹脂だとか。

以上がキャスティングと呼ばれる流し込み成型です。上記は製作中の新作。取材に伺ってからほぼ一カ月、随分ディティールが作りこまれてきました。


TETSU氏顔写真.jpg TETSU フィギュア造形師。家業の材木屋をはじめ、サラリーマンや運送屋、看板屋など様々な職を経験し、2005年に新聞広告を見てフィギュア原型師の通信教育を受講。2006年4月「T&M」のサイトを開設、第一号作品である「吉川涼子」の通信販売を開始する。その後「ワンダーフェスティバル」や「ワールドホビーフェスティバル」などフィギュアイベントへ積極的に参加、着実にファン層を獲得しつつある。年末の12月23日(祝)、「ワールドホビーフェスティバル有明17」にて新作発表の予定!

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取材協力=オリジナルフィギュア「T&M」

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07.09.30更新 | WEBスナイパー  >  フェティシストが愛する名匠を訪ねて