2010.11.23
Tue.at Nakano broad way.
11月23日(火・祝)
東京・中野ブロードウェイにて開催
資料性博覧会とは「小規模とはいえ今のところ日本で唯一の、
ショッピングモール内で行われる同人誌即売会。資料系同人誌の定義は、創作ではない資料性に特化した同人誌のこと。その中でも、漫画・アニメ・特撮・TOYに関する、広く認知される作品ではあっても深過ぎるもしくは偏った視点もしくは、商業出版では出ることのなさそうな作品の資料本、解説、評論、批評本などを大歓迎しております」(「資料性同人誌即売会03 パンフレット」より)。順調に回を重ね3度目の開催となった今回の収穫物とそのポイントを四日市さんに紹介してもらいます!!資料性博覧会はデータ、収集、調査、評論、紹介、エトセトラ……資料系同人誌と呼ばれる同人誌の即売会で、今回が第3回目。サークル数、参加者数ともに増えている印象があり、入場整理券が配布された。ちなみに筆者の整理券番号は60番で「最後尾じゃねえかよ!」と思いきや開場が迫るにつれ列はズラズラと伸びていった。大盛況ですよ、これは。
■書名= 資料性博覧会03 パンフレット
■製作=資料性博覧会準備会
カタログではなくパンフレット。第3回にして初のオフセットとなる今回のパンフレットはアニメスタイルのアニメ様こと小黒祐一郎氏のインタビューおよび膨大なアニメーター本(アニメの作画マニアや、アニメーター自身による同人誌)のカタログ。物欲を刺激し修羅の道へ誘いこもうとする、パンフレットとして大変に正しいお仕事ができている。欲しい……。
■書名=決定版コミックボンボン大図鑑 単行本編
■サークル名=堀江ゼネラルカンパニー コミックボンボンの単行本を表紙イラスト付きで網羅せんとする偉大な試み。「プラモ狂四郎」からはじまる膨大な表紙群を眺めているだけでも楽しいが、合間合間に挟まるボンボン豆知識を入れてくるあたり、本として絶妙。
■書名=立原あゆみ雑誌掲載作品データ 1970〜1979
■サークル名=id:soorce
弱虫と書いてチンピラと読ませるタイトルに感動した読者も多いであろう、立原あゆみのデータ本。立原あゆみはヤクザ、任侠ものの作家だと思っている人も多いだろうし、この本を読むまで完全にそう思っていたよ! 今回限定(?)付録のペーパーによると、掲載雑誌は56種に及び、少女漫画から青年誌へシフトしていく様子が窺える。その時々で揺らぐ(揺らがせている?)作者象も楽しい。
■書名=劇伴倶楽部 Vol.7 渡辺宙明 Early Days' Works 初期劇場映画の世界
■サークル名=劇伴倶楽部 マジンガーZ、秘密戦隊ゴレンジャー、宇宙刑事ギャバンなどの音楽を担当し、現代にまで至る「戦隊ものっぽい音楽」の基礎を創り上げた立役者・渡辺宙明のインタビュー本第5弾。1950-80年代に手がけた映画音楽を中心にまとめられている。当時の劇伴がどのように作られていたか、普段聞き流してしまう「いかにもヒーロー」な音楽がどこから影響を受けているのか。ぜんぶ集めたいシリーズ。
■書名=THE MUSIC OF IDEON 伝説巨神イデオンの音楽世界
■サークル名=劇伴倶楽部 タイトルのとおり、伝説巨神イデオンの音楽を独自取材と膨大なアーカイブで綴る一冊。ライターの氷川竜介による元キングレコードの藤田純二インタビューや、入手しづらい資料の再録など。レコーディング参加メンバーの参加音源など掘り下げるための手引きとなってとても嬉しい。
■書名= 流用ライブラリ音楽のすばらしき世界
■サークル名=ルノホート
予算の都合などなどでオリジナルの音楽が作れなかった時に使われる流用前提の業務用音楽、それがライブラリ音楽。そんなライブラリ音楽専門のレーベル「MP2000」の紹介本。肩が赤い曲の真実も載ってるよ!
■書名=ORBITAL 1
■サークル名=幻視球 作画オタとはこういうことを言うのだ。エヴァンゲリヲン新劇場版を中心に、アニメの作画演出について論じた凝縮本。熱量過剰になりがちな作画評論に対して冷静にテクニックに注視するテキストは好感が持てる。誌面のデザインが凝られている本は買いたくなりますね。
■書名=アニメの作り方を解説した本の解説
■サークル名=Motion Curve 湖川友謙のアニメーション作画法などが有名だが、ストレートなタイトル通り、アニメの作り方を解説した本について解説している。実用目線だけでなく一般読者的な視点も入っていておもしろい。これはペーパーだがのちのち完全版が出るようだ。
いつものように筆者の趣味嗜好に偏った買い物紹介だったが、もちろんこの他にも特撮や玩具、趣味性の強い本が無限にあった。
「同人誌と言えばエロい本!」というイメージはだいぶ払拭されてきた印象もあるが「同人誌と言えば漫画」はまだ強い。別にそれらのイメージを改めたい意思はなく、っていうかエロ同人誌だいすきだし、しかし幅広い個人によるメディア、個人によるパブリッシングは媒体の形には限定されない。同人誌だから漫画、ミニコミだから情報なんて観点は単なる呪縛に過ぎず、あなたがうけたインプットを、あなたというシステムがどう加工してアウトプットするのか。それが編集であり、創作であり、素晴らしき個人出版の世界への入り口である。
文・取材=四日市
関連リンク
「資料性博覧会」公式サイト
関連記事
2009年11月22日(日)開催 「資料性博覧会01」!!
2010年5月5日開催「資料性博覧会02」レポート!!
2010年8月29日(日)開催「COMITIA93」!!
2010年5月4日(祝)開催「COMITIA92」!!
東京大学院特別講義「コンテンツ・サービス論」を受講する!!
コミックマーケット76 頒布作品紹介
私たちの夏コミ、おすそわけします!
“本”と私たちの新しい関係を巡って
同人誌にとらわれない自主制作文化の可能性へ向かってオンラインショップ「Lilmag」野中モモインタビュー
2010年2月14日(日)開催「COMITIA91」!!
10.12.05更新 |
WEBスナイパー
>
イベントレポート
|
|