Goldman presents The Rock'n Roll Ero-Manga
鬼才AV監督・ゴールドマンがお勧めのエロ漫画を熱く語る!
淫語インストラクターにして官能小説家、そしてベテランAV監督であるゴールドマン氏が「ズリネタ」として唯一活用しているモノ、それは「エロ漫画」だった! プロのエロ事師は何故、「エロ漫画」でなければヌケないのか、「エロ漫画」にしかない魅力とは、一体何なのか。ゴールドマン氏が実際にズリネタとして使用している大好物な作品たちについて、編集部がインタビューを敢行。全4回に分けてとっくりと語って頂きます!!
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■オカズといえばエロ漫画、オナニーひと筋30年!編 基本的にゴールドマンさんは、オカズというとエロ漫画だけであると伺いました。
ゴールドマン(以下「ゴ」) (笑)。そうですね、たまにAVとか観ないといけないので......いけないというか、観なきゃいけないので使いますが、ベースはやっぱり、8割はエロ漫画ですね。
編 それはいつ頃からですか?
ゴ もともとエロ漫画から始まってるので、中二くらいからですね。
編 中学生の頃に初めて読んだエロ漫画というのは何でしたか?
ゴ その頃は官能劇画ブームで、エロ漫画誌があるじゃないですか。タイトルはちょっと覚えてないけど。
編 絵柄としては『THE レイプマン』(1986年 リイド社)とかそういう感じですよね、池上遼一的な。
ゴ そうですね、官能劇画。
編 でも、今回お持ち頂いたエロ漫画には、劇画というより萌えの文脈に近いような作品もありますね。
ゴ その中でも、昭和のテイストが残っているのを好んでいるとは思うんです。
編 なるほど。今日持ってきていただいた作品の中では、板場広しさん、この方が一番萌えっぽいですね。
ゴ そうですね、板場さんのこの本『まりこさん人妻欲情視線』(2011年 クロエ出版)は、性器もえぐい感じで描いてるけど、この人は器用な人で、もっとソフトな、ライトなエロ漫画も描いていて。いろいろ描ける優秀な人なんです。
編 エロ漫画の中でもこういう作品が好きというのはあるんですか?
ゴ 性器の描写がしっかりしていて、汁気が多い。あと最近気がついたんですが、フェラチオに特化してるものじゃないと......どうしても今、挿入して中出しというのがほとんどで、中に出してないと買ってもらえないみたいですが、やっぱりテーマというか、フェラチオに特化してたり、イラマチオやヨダレ、ザーメンをしっかり描いてる作家じゃないと買わないですね。
編 単行本じゃなくて雑誌だといろんな人が描いてますよね。そういう中で、こういうのは俺ダメなんだよなあというのもありますか?
ゴ いわゆる可愛い萌え系で、妹とか。あと女子高生も苦手。ブルマとか、ああいうのでオナニーはしないです。
編 セーラー服はどうでしょう?
ゴ セーラー服でスカートだといいけど、どちらかというともう少し歳いってるほうがいいかな。
編 女教師やアナウンサー。
ゴ そうです、大人な感じ。働いてる人とか、若妻のほうがね。
編 それは単純に趣味ですか?。
ゴ そう、これはもうしょうがないですね。
編 でもAVだと、そういう趣味は熟女系と言われてしまいますよね。
ゴ たぶん、自分がオナニーをし始めたときに、やっぱり中学生だからだいたい年上じゃないですか。大人の人というか、お姉さん、隣の奥さんみたいな。それが染み付いてるんじゃないかな。
編 なんとなくの年上感。
ゴ そう、大人の人はエロいみたいなことで。じゃないとヌキにくい。
編 なるほど。以前にもエロ漫画については遍歴を書いて頂いたんですが、今回はいくつか絞って持ってきて頂いて、その一つ一つの作品の詳細を伺っていければと思っています。
■GOLDMAN'S RESPECT ARTIST!
ゴ はい、まずこれですね。僕が一番尊敬してる漫画家、みきかずさんです。
編 持ってきて下さったのは『親密―艶母たちの秘愛相姦』(2005年 オークス)という本ですね。
ゴ これがね、問題作で。前に紹介したのは『フェラマニアックス』(2005年 一水社)という作品だったんですが、それよりこれのほうが一冊としてはクオリティが高いと思うんです。
編 タイトル、なんて読むんですかね。
ゴ 「艶母」(えんぼ)なのかなあ、よくわかんないですよね、こういうのってね(笑)。
編 「秘愛相姦」という......。これは、夢雅COMICS、出版社はオークスですね。
ゴ かなりマイナーな作家で、たぶんそんなに人気ないと思うし、描ける媒体もほとんどないと思うんですよ。
編 2005年の1月に出版されてますが、初出は「月刊COMIC 夢雅」でしょうか。
ゴ いまあるのかなあ。
編 確かに、氏賀 Y太(うじがわいた)さんや、かなりマニアックな作家が描いてる雑誌ですね。このみきかず先生の魅力を聞かせてください。
ゴ まずはチンコがデカい。ペニスが立派な、昔で言うと歌麿みたいな、春画的な迫力があります。
編 やはり最初にチェックする箇所は絵柄ですか?
ゴ そうですね。
編 基本的には絵柄でご覧になってるということですね。
ゴ 一枚絵でヌケるかどうかだと思うんです。もちろんストーリーや、いろんなものは加味されるけど、やはり一枚の絵として、どこまでテンション上がるかということしかないような気がするんですよ。
編 今作はチンコがデカいということの他に、母親ものというジャンル的な特色がありますね。
ゴ そうです。これも二組の母と息子が交互に出てきて、近親相姦を繰り返してるんです。まず最初、息子が寝てるところで母親がしゃぷりたくて仕方ないみたいな感じ。凄い巨根のね、息子をフェラチオするところから始まって。
編 凄いですよね。
ゴ 普通の、今のエロ漫画でこんなにフェラチオシーンだけを描くことってまずないんです。
編 そうですよね。朝立ちをしている息子のチンコに手をかけるところから始まり、口をつけて、1、2、3、4、5、6ページ、顔射されるまで延々フェラチオの描写が続いてます。
ゴ こういうものはありえないし、たぷん編集部からしたら「勘弁してよ」みたいな(笑)、仕事があまり......こないというか、しない人なのかなと思うんですが。一応後半はね、もう全裸でセックスになってる。
編 このみきかずさんの、女性の描き方についてですが、やはりそこに作家の特徴があると思うんです。巨根の他に、みきかずさんの描かれる女体というのはいかがでしょう。
ゴ ちょっと肌が柔らかそうな、たるんとした熟女で、もちろん巨乳で乳輪も大きくてという、柔らかそうな女性。性格も昔の日本女性というか、奥ゆかしさのある女性なんですよね。だからヤラしいことも好きで、セックスも好きなんだけど、恥じらいみたいなものが凄くあったりする。やはりそういうキャラも凄く重要です。
編 人物造形も素晴らしいと。
ゴ ええ。最初のフェラチオなんて、着衣で女性が脱がずに延々フェラチオしてるじゃないですか。そういうのが非常に珍しいと思うんです。
編 確かにそうですね。
ゴ やはりある程度行為が始まると、おっぱいくらいは出すのが主流なんですが、そこらへんのこだわりがいいですね。
編 性器の描き方ですが、この人は内部が透けて見えるような作画ではないですね。
ゴ この段階ではあまりないですね。ただ汁気が多い。でもフェラチオのようなこだわりではない感じがします。
編 みきかず先生に関してはフェラチオなんですね。
ゴ そうですね。この人はやはりペニスと女の顔、それと発射がまたなんか......。たとえば口内発射して、鼻からザーメンが溢れたり(笑)、そういうのがあるんですね。涙流して、鼻からザーメンも溢れてみたいなことって、あまりないじゃないですか。ないというか、そういうのを求めてる人もあまりいないと思うけど。こういう感じですかね。
編 凄いですねぇ(笑)。
ゴ ブクブクブクッて、口内発射したザーメンが泡になって鼻から出て、涙も流して。こういうのって見たことがない。もちろん70年代80年代のエロ漫画ではこういう描写は絶対なかった。2000年以降じゃないかな。またみきかずさんは特にそこらへんをしっかり描いてる。
■ポルノの醍醐味
編 みきかずさんのこの『親密―艶母たちの秘愛相姦』は、二組の母息子が登場して物語が進んでいきますが、ゴールドマンさんのエロ漫画の楽しみ方として、物語はどこまで必要なんですか?
ゴ 物語がまったくなくて、ただハメ続けてるというんじゃつまらないけど、常識的でないというのがエロ漫画の魅力だと思います。この作品だと、たとえば母親が積極的に息子をいきなりフェラチオしだすなんて現実にはあり得ないじゃないですか。漫画なのであるとは思うけど、そういう親子が、また違う息子の友達の母親に嫉妬したり、ヘンな人間関係なんです。
編 そういう物語の重要性は、さっき伺ったようなフェラチオへのこだわりのこもった絵と比べると、どれくらい必要なものなんですか。
ゴ 全体的なムードとして、ないとダメだと思うんです。たとえばホラー映画で、凄い残酷なものってあるじゃないですか。スプラッターみたいな。でもオープニングはカントリーみたいな曲で、楽しそうな、変な愉快な感じから始まって、最後は血みどろみたいな。もう始まった時から全体に妙な、普通のテレビドラマでは味わえないようなエキセントリックさがあるというのが、ポルノの醍醐味のひとつなのかなと思います。
編 先日の特集「セックス表現の現在形」で挙げていただいた『フェラマニアックス』、これは巨根とフェラとザーメンにこだわりまくった作品で、おそらく今作より物語は練られていないですよね。
ゴ そうです。そちらは一話完結。でもこの作家は、この時期近親相姦ばかり書いていて。最近はシーメールものを描かれているので、個人的にはあまり興味がないんですが......。家族でこんなことをしてるというのが......親子もそうだけどお姉さんと弟とか。また必ず凄い巨根なんですよ、男の子が。普通は気持ち悪いと思うんですよね、常識的には。
編 常識的には気持ち悪いと思いますよ(笑)。でもそこに抗い難い魅力を感じるという。
ゴ 芸術で言うとピカソとかダリとか、ああいう感じなのかな。ちょっと理解できない範疇ってあるじゃないですか。そういった印象が、自分の少年期から大人の世界、ポルノの世界を垣間見てる気分なのかな。
編 なるほど。少年期から見た、別の世界という感じ。
ゴ そうそう。大人のオモチャ屋ってあるじゃないですか。今はわりとアダルトグッズということで、普通に女の子も入ったりしてるけど、昔は街道沿いに黒い掘っ立て小屋みたいなのがあって「大人のオモチャ」って書いてあるけど、何だか分からなくて怖い感じだったじゃないですか。
編 ありましたね(笑)。
ゴ そういう感じだと思うんですよね。ちょっと怖い感じ。理解しえないというのが、やはり一番の魅力かなと。だから、あまり好きじゃないのかもしれないですね(笑)。
編 みきかずさんを(笑)。
ゴ 到達できないものへの憧れみたいなもので、この作家が素晴らしいし、現代美術的な、そういう憧れがありますね。
(続く)
『親密―艶母たちの秘愛相姦』(オークス)
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12.11.21更新 |
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