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新連載 異端のAV監督・ゴールドマンが放つ衝撃の告白小説 毎週日曜日更新!
Autobiographical novel by Goldman [SEX・MOVIE・BLUES]
数々の伝説に彩られた異端のAV監督・ゴールドマンが書き下ろした衝撃の自伝的小説。セックス、ハメ撮り、結婚、逃避、勃起不全……余りにも赤裸々に語られ尽くす、ゴールドマン史における事実、裏話、そして苦悩は、読む者を人生の迷宮に拉致監禁せずにはおかない文学的事件だ。
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セックスという名の快楽には、男も女も、多かれ少なかれ、なにか憧れにも似たような感情を、抱いているはずだ。
しかし、それを、職業として生きていくと、やがて、鉛のリュックを背負ったまま、ぬかるみの海に沈んでいくような、苦悩を味わうことになる。

9 オナニーからの旅立ち

ハメ撮りなんて大キライ
だってオレを 苦しめるもの
ハメ撮りなんて 大キライ
ぐんにゃりな夜は もうたくさん
ボッキ、ボッキ、ボッキッキ!
涙するほど悲しくはないけど
ボッキ、ボッキ、ボッキッキ!
切ない夜を いくつもこえた
明日になれば やわらかくても
笑っていれるといいよね

俺は、ベンチに腰をかけて、空を見上げながら、ポエムをよんだ。

昨年末の元・ホステスとの悲惨なハメ撮りから、もう二カ月以上も経っているのに、俺の心のキズは、いまだに癒えていない。
上野公園の不忍池にうかぶカモに話しかけるかのように、俺は、自分の心と語った。
すみわたる青空、流れる白い雲、ゆっくりとした時間が、俺の上を通り過ぎてゆく。
冷たいソフトクリームをなめながら、俺は思った。

「ああ、ハメ撮りをしていない日は、なんてすがすがしいんだろう。心が軽く、このまま天まで昇ってしまいそうな気分だ。いっそ、このまま死んでしまったら……」

ここ数年は特に、肉体的にも精神的にも、ハメ撮りの限界に追い込まれていた俺は、撮影のない日には、妙に安堵感を覚えるのであった。

だいたい、なんで俺がこんなにもボッキのことで悩まなければならないんだ。
いい歳した大人が、ボッキするとかしないとかって、もっと考えるべき大切なことは、世の中にいくらでもあるはずだ。
そもそも、他人をオナニーさせるために、無理矢理ボッキさせるというのもオカシナ話だ。ボッキしてしまったがゆえに、ハメるというのは当然だが、ボッキしえない女に挑むというのは、生物学的にみても異常だ。

雲の流れるこの空の、はるかむこうの彼方にある、大宇宙から見おろせば、この地球という惑星の上で、俺の肉体の一部が、ボッキするかしないかなんて、どうでもいいことだ。
ちっぽけな豆粒みたいなものだ。
豆粒以下の微生物だ。
いいやっ、それ以下の素粒子だ。

俺のボッキは、そんなちっぽけなもんだ。

原始時代の人類の祖先は、ボッキについて悩んだことはあるのか?
俺の悩みは、人類の最先端か?
人類は、いつの時代からオナニーするようになったのだ?
いつの時代から、オナニーの手助けを必要としたのか?
俺の妄想は、無限に広がった。

目の前を、老夫婦が通り過ぎてゆく。
しあわせそうに、仲良く、手をつないでいる。
俺と同じように、池のカモをながめている。
この人たちは、セックスしてるんだろうか?
いや、それは過去の話だ。
今はもう、性欲も枯れているだろう。
愛しあってはいるだろうけど……。

そういえば、俺の両親だって、確実にセックスはしたはずだ。あのまじめな両親が。
もしも、俺の生まれる10カ月前に、父親がセックスじゃなく、オナニーしてしまっていたら、今の俺は、この世に出現してなかったかもしれない。
そういう意味では、父親と母親がセックスして、中出ししたことに、感謝しなければならない。

逆に考えると、オナニーというのは殺人的な行為でもあり、人類滅亡の危機にも通じる可能性がある。
その手助けのためのボッキで悩む。

う〜〜〜ん。

結論としては、よくわからないが、あまりオナニーを追求することよりは、なにか愛のようなものを求めたほうが、よく思える。
だいたい、こんなことを、あーでもない、こーでもないと考えてしまっていること自体、孤独だという証だ。

いつまで経っても、思考のオナニーだ。

俺はもしかしたら、中学生の頃から30年以上もの長き間、オナニーをやりすぎてしまったために、身も心も、オナニー人間になってしまっていたのかもしれない。

妄想の世界は、それなりに楽しくはあるが、現実にボッキしないのは、心が痛い。
俺は、これからの人生は、オナニー産業の中で無理なボッキを追い求めるのではなく、自然にものすごくボッキしてしまうか、もしくはボッキしなかったとしてもやさしく愛してくれる女性を求めて、旅に出よう。

まあ、金がないからバイトでもしなきゃ、旅にも出れないけどね。
でも、どうせバイトするならホームセンターで働くよりは、AVのハメ撮りのほうがマシかも? ボッキの悩みはつづく……。


10 みにくいアヒルの子

その日は春のような暖かな一日だった。

2010年2月24日、めずらしく俺は、早起きをしてしまって、TVのニュースをパンをかじりながら、ボーっとながめていた。

午前8時を過ぎた頃、ふと、ひらめいて、俺は、エロ小説を書くことにした。

理由はよくわからないが、とにかくエロ小説を書きたい衝動が、こみ上げてきた。
理由がもしあるとすれば、前の日に、ガールフレンドの人妻とセックスはしたものの、射精をしないまま終わりにしてしまったムラムラが、残っていたためかもしれない。

とにかく、俺の五体は、猛烈にエロ小説を書きたいと主張しはじめたのだった。

俺は、机の上に原稿用紙をひろげ、ペンを持った。エロい文章は、15年前くらいに、雑誌でハメ撮り日記を書いてたくらい。
でも、肉体的な衰えで、ボッキが不自由になったせいか、俺の脳ミソからは、無限にイヤらしいイメージが、湧いてきた。

現役の美人大学院生が、教育実習で行った先の男子校の変態教頭に、超セクハラな研修を受け、悶絶しまくるというストーリー。

結局、夜の9時近くまで、途中、牛丼を食べに行っただけで、まる一日、書きつづけた。
驚いたことに、エロ小説を書いている間中、俺は、ほとんどの時間、ボッキしていた。
あれほど、撮影現場では、俺を苦しめたボッキが、生き生きと蘇ったのだ。

俺は、ひどくエキサイティングな気分だった。中学生の頃、ワクワクしながら、エロマンガを立ち読みした時のボッキ。はじめて女とラブホテルに入って、カラダを重ねて、挿入する直前のはち切れんばかりのボッキ。
そして、一番最初にハメ撮りした時の異常なテンションのボッキ。
その、どれもこれもが、みずみずしいものだった。弾けるような感動があった。

俺は、思った。

イマジネーションは、無限だ。

俺は、なんてちっぽけな現実と格闘してきたのだろうか。

そもそも、俺がのめり込んだオナニーの世界は、ありえない非日常的なエロスの空間だったはず……。
俺が職業としてきたAVの世界は、逆に、より現実的な肉体のエロスを、追求する世界。
俺は、はじめて気づいた。

俺は、みにくいアヒルの子だったのだ。
ハメ撮りすることが、天職ででもあるかのように、思い込んでいた俺がいた。

まったくの錯覚だった。
まったくの誤解だった。
まったくの過ちだった。

俺は、これからの人生は、無限のエロスのイマジネーションを発揮して、かつての自分のような少年から、もはやセックスする能力を失った老人までも、ビンビンにボッキさせうるスバラしいエロ小説を、死ぬまで書きつづけていこうと、固く心に誓った。

その夜、俺は、自分で書き上げたエロ小説で、オナニーした。
もの凄い満足感を抱きしめて、俺は、一人、眠りについた。

(続く)

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異端のAV監督・ゴールドマンが来る!!
ゴールドマン 87年にアートビデオより「電撃バイブマン」で監督デビュー。その後、実験的な作品をリリースするなどAV業界に対して常に挑戦的な姿勢を持ち続ける。中でも89年に発表された60分ワンカットの8ミリビデオ作品「なま」は伝説級。近年はハメ撮りでの言わせ系淫語で独自の世界を展開。20年間で約1500人の女とハメ撮りし、300本以上のハメ撮り作品を制作してきたAV業界の巨頭。
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10.08.29更新 | WEBスナイパー  >  セックス・ムーヴィー・ブルース
文=ゴールドマン |