新連載 異端のAV監督・ゴールドマンが放つ衝撃の告白小説 毎週日曜日更新!
Autobiographical novel by Goldman [SEX・MOVIE・BLUES]
数々の伝説に彩られた異端のAV監督・ゴールドマンが書き下ろした衝撃の自伝的小説。セックス、ハメ撮り、結婚、逃避、勃起不全……余りにも赤裸々に語られ尽くす、ゴールドマン史における事実、裏話、そして苦悩は、読む者を人生の迷宮に拉致監禁せずにはおかない文学的事件だ。しかし、それを、職業として生きていくと、やがて、鉛のリュックを背負ったまま、ぬかるみの海に沈んでいくような、苦悩を味わうことになる。
12 めばえ
2010年3月5日、午前11時20分、新宿は歌舞伎町にあるラブホテルFに入る。
人妻系エロ雑誌の付録のDVDのための撮影だ。もちろん、一対一のハメ撮りだ。
ここ数年の俺は、ハメ撮り前夜になると、考えたくはないのだが、どうしてもナーバスになってしまっていた。
“明日は、どんな女とハメるんだろう?"
“その女は、エロいのか? エロくないのか?"
“俺のペニスは、ボッキできるのか?"
“そのボッキは、持続可能なものなのか?"
“射精するとき、しごきすぎて、次の日ペニスは痛くなっちゃわないのか?"
俺の頭の中は、考えなくていい不安材料で、いっぱいになっていた。
しかし、どうだろう?
今日の俺は、まったく別人だ。
嵐が過ぎ去った後にできる、青空の虹のようだ。
全くもって、生まれ変わった気分だ。
9日前に、衝動的にエロ小説を書いてから、なにか俺は、別の生き物にでもなったかのようだった。とにかく、肩の荷がおりたというよりは、自分の中身から、得体の知れないエネルギーが、ものすごい勢いで噴出してきている感じ。そして、それは、強烈に俺を、サポートしてくれていて、頼りになる奴だった。
決してタフで、マッチョで、ワイルドなハードポルノの登場人物、もしくは、永遠に射精をくり返しても、ペニスはギンギンにボッキしつづける都合のいいエロマンガの主人公にでも、なったわけではないけれど、とにかく俺のカラダの内側から、新しいエロスのマグマが、あふれ出していた。
ラブホテルの部屋に入ると、雑誌編集者とハメ撮りする女が、すでに待っていた。
15分ほど打ち合わせして、編集者は会社に戻り、俺は女と2人っきりになった。
初対面のこの女は31歳、2カ月前まで医療系の出版社のOLだったという。
名前は、キミカ。プライベートが退屈すぎたので、OLを辞めて、AVに出たらしい。
数日前にSM撮影も体験済みで、縄で縛られて、何回もオモチャでイカされまくって、最後に浣腸までされちゃったと、彼女はうれしそうに語ってくれた。
顔はちょいブス、手足は短い、素人くさくて、セックスしたくてしょうがない。
俺にとっては、完全にストライクゾーン。
俺は、まったくボッキの心配も忘れ、そのキミカというエロ女のカラダと、約2時間にわたって交わった。
なんの憂いもない、満足のいくハメ撮りだった。
女がシャワーを浴びているあいだに、編集者に電話して、チェックアウトに来てもらう。
撮影機材を片付けて、撮り終わったビデオテープを、編集者に渡してギャラをもらう。
別れ際に、自分で書いたエロ小説のコピーを“読んで感想を聞かせてほしい"と、彼に手渡した。
新宿駅までの帰り道、20年以上も前に、はじめてハメ撮りをしたあの日のことを、思い出した。
懐かしくもあり、さわやかな青春の風が吹いた。
さすがにセックスしながら撮影もして、おまけに大量の精液を女の顔面にぶちまけたので、カラダはそれなりに気だるい感じだったが、俺は、ひどく、すがすがしい気分だった。
スレ違う制服姿のOL、ファストフードのアルバイトの娘、デパートから出てきたブランド品を身にまとったセレブ熟女、俺は、つい先ほど射精したばかりなのに、こういった女たちすべてと、無限にセックスできそうなくらいに、自分の中だけで盛り上がっていた。
まあ、実際にそんなことになっても、俺のペニスはもうくたくたで、まるで使いものにはならないだろうし、そんなエロいシチュエーションにもつれ込む可能性は、0パーセントだ。
単なる俺の妄想だ。
調子にのった妄想だ。
だが、生まれ変わったこの俺の妄想は、極めて絶好調な妄想だった。
そう、それでいいんだろう。
俺は、自分自身へのご褒美として、新宿東口のアルタ裏にある回転寿司で、大好物のエビとサーモンを、たらふく食べた。
これこそ、真のエクスタシー。
俺という名の欲望は、最大級の満足を得た。
この日は、俺の人生に、春の訪れをつげる、特別で最高な一日となった。
生きることは、すばらしいと噛み締めた夕暮れ。
13 センズリ魂
ボッキは、男のプライドだ。
ボッキは、男を、真実の男にする。
完全にボッキすることによって、男という生き物は、自信を持って、心から、女を愛することができる。
俺のこれまでの人生における総射精数のうち、セックスにおける射精なんてものは、ほんのわずかなものだ。
オナニーという砂漠の中で、黄金の粒を、見つけだすようなものだ。
ということは、愛だの、女だの、ボッキだのいう前に、一番大切なものは、オナニーのオカズになるものだ。
白いゴハンだけを、毎日三食、食べつづけることは、不可能だ。絶対に、オカズが必要だ。
妄想だけでもオナニーは、できる。
でも、より妄想をふくらまし、美味しく、現実的に、料理したものを味わいたい。
自分がオナニーするだけでは、一人よがりかもしれないが、他人のオナニーの役に立つことは、すばらしいことだ。
だから、ボッキで悩むよりは、よりよいオナニーのオカズ作りで、悩みたい。
まだ、恋愛すらしたことのない少年時代の、妄想のエロスからはじまって、ボッキしにくい中年以降の人生に、再び、強烈なエロスの妄想が、よみがえる。
なくてもいいものかもしれないが、これが、俺の、元気の源なのだ。
もう、ボッキだの、セックスだの、関係ねえ! とにかく、俺の中のエロスの妄想力で、世界中の男のペニスを、ギンギンに興奮させて、夢のような射精に導いてやりたい!
それが、俺という人間を、これまで支えつづけてくれた、エロの世界への本当の感謝だ。
中学生から、唯一、つづけてきたのは、オナニーだけだったから……。
すべてのオナニーのオカズたちよ、ありがとう!
そして、俺は、無限の妄想エロスの旅に出る。父親のペニスの先から飛び出した、オタマジャクシだったあの頃のように……。
(了)
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ゴールドマン 87年にアートビデオより「電撃バイブマン」で監督デビュー。その後、実験的な作品をリリースするなどAV業界に対して常に挑戦的な姿勢を持ち続ける。中でも89年に発表された60分ワンカットの8ミリビデオ作品「なま」は伝説級。近年はハメ撮りでの言わせ系淫語で独自の世界を展開。20年間で約1500人の女とハメ撮りし、300本以上のハメ撮り作品を制作してきたAV業界の巨頭。
10.09.19更新 |
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