『くりいむレモン Part.2』
1999年10月25日発行/ハピネット・ピクチャーズ
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ロリコンにおける青山正明(4)
1984年のロリコン・トピックといえば、前年夏の『処女の泉』に引き続き、『チェリー・キラー』『ロリータ・雅代』『(しのぶ・中学三年生)』と日本製のロリータ裏ビデオが立て続けにリリースされたことや、全米で上映禁止となった13才少女の本番映画『ザ・ロリータ 痛姦』の日本版ビデオ発売と無修正裏版流通、『くりいむレモン』シリーズをはじめとするロリータ・ポルノ・アニメの台頭など、映像方面での話題が多い。雑誌も相変わらず刊行されてはいるが、動く少女のインパクトには敵わないということだろうか。そうは言っても所詮メディア上の話ではあるが、と書きたいところだが、『Hey!Buddy』誌では海外での少女売春のレポート記事が写真付で頻繁に掲載されており、既に実践への道も着実に築かれつつあった。
同誌での青山正明は国内外の裏ビデオのレビューを頻繁に行なっており、1月号掲載のレポート記事「少女のオシッコ、いーかげん大研究!!」や「テレビ美少女コレクション」解説を除けば、2月号「海外ロリータポルノビデオ紹介」を皮切りに毎号紹介記事を担当している。前年までの同誌ではロリータ裏本紹介が多かったのを考えれば、裏モノ業界での静止画から動画へという流れは83年から84年にかけてといえそうだ。
『Hey!Buddy』誌以外の媒体での活動は次回以降に譲るとして、これらの紹介記事からいくつか重要そうな文章を抜き出してみたい。原稿用紙11枚分の文字数を埋めるために、ビデオそのものとはほとんど関係ない思いつきだけのテキトウな文章がよく混ざっているのだが、それが下らなすぎて、実はここにこそ青山の本質があるのではないかと思うからだ。他にも素で書いていると思われる露悪的な文章が冴え渡っている。
唐突ですが、私、最近やっとビデオを購入しました。ソニーのHF77です。でもって、グロ〜イソフトを集めております。ホラー、ポルノ、医学物等々、素晴らしいソフトを持ってる読者諸兄! 私の手持ちのソフトと交換(ダビングOK)しましょう。じゃ〜ね。ヘイ!バディー、「読者と筆者の親睦コーナー」でした。(1984年3月号)
洋服着た少女のグラビアで百〜二百回はオナニー出来たんですから、本番ファック・ビデオなんつったら、あなた、チンポがいくつあっても足りません。腰の回りや腹にもチンポがくっ付いていて、全部で50本のチンポが生えてたとしたら、1本30分オナニーしたとしても、50本全部しごき終わるのに25時間かかる勘定になる。という事は、最後の一本をしごく頃には、最初の一本目はもう回復している筈。ああっ!チンポが50本欲しい!金玉が100個欲しい!(1984年5月号)
僕なんかオナニー出来る五体満足な体に自分を生んでくれた両親に感謝の情がジワ〜と湧き出て来たりして実に感動的なオナニー体験だった(私青山、原稿書きをサボらなければ今年の夏頃、オナニーの単行本を出版する予定です。面白いから出たら買ってネ)。(1984年6月号)
こんにちわ。一ヶ月の御無沙汰、青山正明、ブルー・マウンテン・ライト・ブライトです(下らんなあ)。(1984年7月号)
一本目は「ラスティ・ロリータ」と題し、10歳くらいの少年と少女がソファー上でチンポとマンコをいじくり合います。この少年が非常にアホ面で、神智学的に見ても、ようやく畜生から人間に転生したといった霊性の低さを感じさせます。(1984年8月号)
「ロッキーのテーマ」をBGMにトランクス一枚で汗びっしょりになって、生卵飲んで、片手腕立て伏せしながらカク!「スカボロ・フェアー」をBGMに男二人並んでほのぼのとカク!「ニューヨーク・ニューヨーク」をBGMに歌って踊りながらカク!「ロミオとジュリエット愛のテーマ」をBGMにベランダの下でカク!「トゥモロー」をBGMに明日の分迄カク!さあ、もう書く方も読む方も辛くなってきたぞぉ。(1984年10月号)
河水に釣糸を垂らしている一人の男。その男の後方から、いま一人の男が釣竿を手にして近付き、「釣れますかい?」と声を掛ける。そうして、二人並んで釣糸を垂れる。このようにして、数十人が次々と「釣れますかい?」と声を掛け河縁に並んで行く。さあ、人数も揃った所で、「連れマス会」の始まりだ。数十人の男が一斉に陰茎をしごき、河中に精液をぶちまける。そういやあ、超能力者数千人が生中継の歌謡番組見ながら、一斉にブラウン管から念を送って、歌謡中の河合奈保子を失禁させるなんて事も言ってたなあ。(1984年11月号)
蜜柑見ながら千摺りばかり掻いていると、蜜柑を見ただけで勃起し、射精してしまう。これを、女性に届かぬ、むなしい射精……未刊の射精と言う(詳しくはFP見てね)。また、杏を見つつ千摺りばかり掻いていると、条件反射が形成され、杏を見ただけで、考えることもなく射精してしまうようになる。これを\x87\x80案ずの射精\x87≠ニ言う。はたまた、ラーメンばかり見ながら千摺り掻いてると……条件反射で、ラーメン見るとすぐ勃起する……と思うでしょう? まだまだ読みが浅いねえ。ラーメンをネタに千摺りばかり掻いてると、美女を見ないと千摺りが掻けなくなっちゃうんですよ、実は。\x87\x80面食いの射精\x87≠ネんちゃってね。(1984年12月号)
いかがだろう、『危ない1号』しか知らない読者にとっても違和感のない、青山らしさを感じさせるテキストではないだろうか。つまり既にスタイルが完成しているということだ。なお青山がビデオデッキを買ったのが1984年初頭であること、オナニーに関する書籍の予定があったこと(実現しなかったが)などは、連載「Flesh Paper」でも特に触れられてはおらず、「FP」は重要なライフワーク的連載であることに変わりはないが、それだけではこぼれ落ちてしまうものもある。
『ヘイ!バディー』1984年5月号
白夜書房
『ヘイ!バディー』1984年7月号
白夜書房
『ヘイ!バディー』1984年10月号
白夜書房
『ヘイ!バディー』1984年12月号
白夜書房
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新宿アンダーグラウンドの残影 〜モダンアートのある60年代〜
【プロローグ】 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【本文註釈・参考文献】
1999年10月25日発行/ハピネット・ピクチャーズ
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ロリコンにおける青山正明(4)
1984年のロリコン・トピックといえば、前年夏の『処女の泉』に引き続き、『チェリー・キラー』『ロリータ・雅代』『(しのぶ・中学三年生)』と日本製のロリータ裏ビデオが立て続けにリリースされたことや、全米で上映禁止となった13才少女の本番映画『ザ・ロリータ 痛姦』の日本版ビデオ発売と無修正裏版流通、『くりいむレモン』シリーズをはじめとするロリータ・ポルノ・アニメの台頭など、映像方面での話題が多い。雑誌も相変わらず刊行されてはいるが、動く少女のインパクトには敵わないということだろうか。そうは言っても所詮メディア上の話ではあるが、と書きたいところだが、『Hey!Buddy』誌では海外での少女売春のレポート記事が写真付で頻繁に掲載されており、既に実践への道も着実に築かれつつあった。
同誌での青山正明は国内外の裏ビデオのレビューを頻繁に行なっており、1月号掲載のレポート記事「少女のオシッコ、いーかげん大研究!!」や「テレビ美少女コレクション」解説を除けば、2月号「海外ロリータポルノビデオ紹介」を皮切りに毎号紹介記事を担当している。前年までの同誌ではロリータ裏本紹介が多かったのを考えれば、裏モノ業界での静止画から動画へという流れは83年から84年にかけてといえそうだ。
『Hey!Buddy』誌以外の媒体での活動は次回以降に譲るとして、これらの紹介記事からいくつか重要そうな文章を抜き出してみたい。原稿用紙11枚分の文字数を埋めるために、ビデオそのものとはほとんど関係ない思いつきだけのテキトウな文章がよく混ざっているのだが、それが下らなすぎて、実はここにこそ青山の本質があるのではないかと思うからだ。他にも素で書いていると思われる露悪的な文章が冴え渡っている。
唐突ですが、私、最近やっとビデオを購入しました。ソニーのHF77です。でもって、グロ〜イソフトを集めております。ホラー、ポルノ、医学物等々、素晴らしいソフトを持ってる読者諸兄! 私の手持ちのソフトと交換(ダビングOK)しましょう。じゃ〜ね。ヘイ!バディー、「読者と筆者の親睦コーナー」でした。(1984年3月号)
洋服着た少女のグラビアで百〜二百回はオナニー出来たんですから、本番ファック・ビデオなんつったら、あなた、チンポがいくつあっても足りません。腰の回りや腹にもチンポがくっ付いていて、全部で50本のチンポが生えてたとしたら、1本30分オナニーしたとしても、50本全部しごき終わるのに25時間かかる勘定になる。という事は、最後の一本をしごく頃には、最初の一本目はもう回復している筈。ああっ!チンポが50本欲しい!金玉が100個欲しい!(1984年5月号)
僕なんかオナニー出来る五体満足な体に自分を生んでくれた両親に感謝の情がジワ〜と湧き出て来たりして実に感動的なオナニー体験だった(私青山、原稿書きをサボらなければ今年の夏頃、オナニーの単行本を出版する予定です。面白いから出たら買ってネ)。(1984年6月号)
こんにちわ。一ヶ月の御無沙汰、青山正明、ブルー・マウンテン・ライト・ブライトです(下らんなあ)。(1984年7月号)
一本目は「ラスティ・ロリータ」と題し、10歳くらいの少年と少女がソファー上でチンポとマンコをいじくり合います。この少年が非常にアホ面で、神智学的に見ても、ようやく畜生から人間に転生したといった霊性の低さを感じさせます。(1984年8月号)
「ロッキーのテーマ」をBGMにトランクス一枚で汗びっしょりになって、生卵飲んで、片手腕立て伏せしながらカク!「スカボロ・フェアー」をBGMに男二人並んでほのぼのとカク!「ニューヨーク・ニューヨーク」をBGMに歌って踊りながらカク!「ロミオとジュリエット愛のテーマ」をBGMにベランダの下でカク!「トゥモロー」をBGMに明日の分迄カク!さあ、もう書く方も読む方も辛くなってきたぞぉ。(1984年10月号)
河水に釣糸を垂らしている一人の男。その男の後方から、いま一人の男が釣竿を手にして近付き、「釣れますかい?」と声を掛ける。そうして、二人並んで釣糸を垂れる。このようにして、数十人が次々と「釣れますかい?」と声を掛け河縁に並んで行く。さあ、人数も揃った所で、「連れマス会」の始まりだ。数十人の男が一斉に陰茎をしごき、河中に精液をぶちまける。そういやあ、超能力者数千人が生中継の歌謡番組見ながら、一斉にブラウン管から念を送って、歌謡中の河合奈保子を失禁させるなんて事も言ってたなあ。(1984年11月号)
蜜柑見ながら千摺りばかり掻いていると、蜜柑を見ただけで勃起し、射精してしまう。これを、女性に届かぬ、むなしい射精……未刊の射精と言う(詳しくはFP見てね)。また、杏を見つつ千摺りばかり掻いていると、条件反射が形成され、杏を見ただけで、考えることもなく射精してしまうようになる。これを\x87\x80案ずの射精\x87≠ニ言う。はたまた、ラーメンばかり見ながら千摺り掻いてると……条件反射で、ラーメン見るとすぐ勃起する……と思うでしょう? まだまだ読みが浅いねえ。ラーメンをネタに千摺りばかり掻いてると、美女を見ないと千摺りが掻けなくなっちゃうんですよ、実は。\x87\x80面食いの射精\x87≠ネんちゃってね。(1984年12月号)
いかがだろう、『危ない1号』しか知らない読者にとっても違和感のない、青山らしさを感じさせるテキストではないだろうか。つまり既にスタイルが完成しているということだ。なお青山がビデオデッキを買ったのが1984年初頭であること、オナニーに関する書籍の予定があったこと(実現しなかったが)などは、連載「Flesh Paper」でも特に触れられてはおらず、「FP」は重要なライフワーク的連載であることに変わりはないが、それだけではこぼれ落ちてしまうものもある。
(続く)
『ヘイ!バディー』1984年5月号
白夜書房
『ヘイ!バディー』1984年7月号
白夜書房
『ヘイ!バディー』1984年10月号
白夜書房
『ヘイ!バディー』1984年12月号
白夜書房
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ばるぼら ネットワーカー。周辺文化研究家&古雑誌収集家。著書に『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』『ウェブアニメーション大百科』など。なんともいえないミニコミを制作中。
「www.jarchive.org」 http://www.jarchive.org/ |
08.11.09更新 |
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天災編集者! 青山正明の世界