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『エキセントリック6号』 1990年8月1日発行
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ある編集者の遺した仕事とその光跡

天災編集者!
青山正明の世界 第7回


吉永嘉明氏インタビュー part2

取材・構成・文=ばるぼら

21世紀を迎えてはや幾年、はたして僕たちは旧世紀よりも未来への準備が整っているだろうか。乱脈と積み上げられる情報の波を乗り切るために、かつてないほどの敬愛をもって著者が書き下ろす21世紀の青山正明アーカイヴス、吉永嘉明氏のインタビュー第2回を掲載いたします。
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『エキセントリック』以前


──『自殺されちゃった僕』でも吉永さんの経歴には少し触れられていましたが、改めてお聞かせ下さい。素直に考えれば『危ない1号』に辿り着く道というのは、ある種特別な人間でないといけないと思うのですが(笑)、青山さんは大学時代に『突然変異』というミニコミ誌に関わっていましたが、吉永さんはそういったキャンパス・マガジン・ブームは通っているんですか?

吉永:キャンパス・マガジンは盛んでしたよね。『中大パンチ』とか。でも僕は通ってないです。学生の頃は映画青年で、映画ばっかり撮ってたんで。あ、でも映画撮ってて、そこの機関紙を僕が編集していて、そこに原稿書いたりはそういえばしてました。だから原稿書きや編集みたいなことは我流でやってましたけど、何かミニコミで書いたということはないです。

──昔からサブカルチャー的な志向というはあったんですか?

吉永:志向はしてないんですけど、メインは無理なんで必然的にサブになるだけなんですよ。別に僕はそういった志向を支持したりも、コンプレックスに感じたりもしていないものの、ものすごく精神的にマイノリティであるという自覚はすごくあって、まあしょうがないんですね。あと趣味趣向が東京生まれで東京育ちだから都市型なんですね。だから僕が編集した本は渋谷のタワーブックス、パルコブックセンター、青山ブックセンター、そういうところではよく売れるんですが、地方の小さな本屋では売れない。はっきりしてるんです。都市型の本になっちゃうんですね、意識しなくても。だから渋谷のタワーブックスが全国にあったら儲けられるんですけどね(笑)。

──大学卒業後、1984年に最初の出版社に入ったそうですね。

吉永:一年だけです。名前は近しい人にも教えてないんですけど、だいぶ大手です。「そこにいました」ってだけですぐ仕事くれるような、そういう出版社。

──そこではどんな仕事をしていたんですか?

吉永:雑誌の編集ですね。まったく興味のない雑誌でした。それで一年でやめて、でもフリーライターとして商業誌でブイブイ食っていけるかというと無理なわけですよ。だからまあ売り込みをしながらも、生活費を稼がなきゃいけないということで、業界紙を狙っていったんですね最初。本屋で売ってる本じゃなくて、美容業界誌だったら美容室で買う、そういう本ですよね。そういうところは軒並み「じゃあ仕事やってみてください」って仕事をくれて、そういうものの取材原稿で毎月をしのいでました。そのうちだんだん書店売りの方にシフトしていこうとしていた時期に、『エキセントリック』の話がきた。

──伝説の海外旅行雑誌ですね。これはどういった経緯で?

吉永:僕が何かの雑誌で秋田昌美さんの連載を担当していたんです。その秋田さんからの紹介でした。これは他業種で儲けすぎた会社が税金対策で出版を始めた雑誌で、一億くらいは捨てるつもりでいるから好きにやってくれって。作りたいものを作っていいって言うから、じゃあやりますって。


青山正明との出会いと『エキセントリック』


──そこで初めて青山さんと出会うわけですね。『自殺されちゃった僕』では青山正明という人間のダメな部分が率直に書いてあって、メディア上の青山さんしか知らない側としては衝撃でした。青山さんの第一印象はどういうものだったんですか?

吉永:すごいカルチャー的に気が合うし、音楽にしろ本にしろ、全方位的に気が合いましたね。お互いマニアックにこだわりがあって、非常にマイノリティであると。ただ頭のいい人だなあと思う反面、なんて愚かな人だろうと尊敬しきれないところがあって。だから先輩ではあるけど師匠ではなかったですね。能力は突出してたし、そこは認めてますけど、人間的にそうリスペクトしてないというか。好きな人ですけど愚かな部分が一杯あるんですよ。

──創刊号〈ニューヨークの興亡〉の奥付には吉永さん達の名前がないですね?

吉永:1号は青山さんも僕も参加してない。2号以降です。そもそもなんで秋田さんに話が来たかというと、この全英出版っていう出版社の社長が、若い頃『フールズ・メイト』の編集部にいて、秋田さんと懇意にしてた人なんですよ。『フールズ・メイト』がまだプログレ〜ニューウェイヴ雑誌だった頃ですね。で、青山さんも大学卒業して少し『フールズ・メイト』にいたんで、そういう絡みがあってってことですね。

──2号〈楽園伝説・バリ〉と3号〈深く奥まで・香港〉は見たことが無いんですが、どんな内容だったか覚えていますか。

吉永:どうでしょうね、特集は1号ずつ1人だけで作ってますから、かなり無理があるんですよ。最初の頃はスケジュールがタイトだったし、タイアップをかけるところから全部自分でやらなきゃいけないし。編集以外の雑務が多くて、だから号数が若ければ若いほどちょっと雑なんじゃないですかね。

──号によって誰が担当するか決まっていたんですか。

吉永:1号と2号が先に話した社長、3号が僕、4号〈カリフォルニア・ドリーミン〉が五庵(保則)さん、5号〈ネオ・エピタフinロンドン〉が門脇(秀臣)さんで、6号〈バンコクびっくりショー!〉が青山さん。それぞれ担当が編集長なんで、決まった編集長がいないんですよ。もちろん原稿はみんなで書くんですけど、担当者っていうのは一人しかいないんですね。

──5号から出版社が「全英出版」から「中央法科研究所」に替わっています。

吉永:名前を変えただけで体制はまったく変わってないんです。納税上の問題かな。会社の都合でしょうね。

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man.gif ばるぼら ネットワーカー。周辺文化研究家&古雑誌収集家。著書に『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』『ウェブアニメーション大百科』など。なんともいえないミニコミを制作中。

「www.jarchive.org」 http://www.jarchive.org/

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08.05.04更新 | WEBスナイパー  >  天災編集者! 青山正明の世界