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1983年春に慶応大学を卒業後、『ヘイ!バディ』誌での連載「フレッシュ・ペーパー」は継続させつつ、青山は音楽誌『Fool's Mate』で一ヶ月だけバイトをしている。待遇は最悪で、すぐに辞めてしまったようだ。どれくらい最悪だったのかは当時の青山が『Fool's Mate』誌の電話番号をこうやって覚えていた事実から覗える。「フールズの電話番号は(374)6117であり、僕は、\x87\x80みんな寄ってたかって無能の仲間\x87≠ニ覚えていた(1は、カタカナの\x87\x80ノ\x87≠ノ似ているから\x87\x80の\x87≠ニ読む。記憶術の基礎である)」。
『Fool's Mate』を辞めてからは、自然食品メーカー「さわき」、ソフト会社「エイティ」でプログラマーとして働くなど転々とするが、1984年11月にはフリーライターとして独立。主な活動媒体はやはりロリコン雑誌で、『ヘイ!バディ』はもちろんのこと、『ぺぴ』『VIDEOロリータ』『ロリータスナイパー』『にんふらばあ』『ロリータスクランブル』『なおこちゃん』等に原稿を書き散らし、ビデオ『テレ美少女コレクション』(いちご通信社)をプロデュースしたり、変態雑誌『Billy』で外人ヌードやショック写真の記事を執筆するなど、エロ本ライターとしては順風満帆に見えた。
しかし85年10月、ロリコン・ライターとして大打撃を受ける事件に遭遇する。ロリコン雑誌の金字塔の『ヘイ!バディ』誌が、85年11月号で廃刊することが決定したのだ。原因は増刊の『ロリコンランド8』に載った少女のスリット(割れ目)写真が違法と判断され、回収処分になったこと。これにより少女写真にはすべて修正が入るようになった為である。『ヘイ!バディ』編集長の高桑常寿は、終刊号の座談会で「これ以上続けても、ワレメは出せないと。そうなるといいものは出せないし、具体的に部数に響いてくるんで、まあ、休刊になります」と語った。
連載「フレッシュ・ペーパー」は同じ白夜書房の『クラッシュ』と、大亜出版の『BACHELOR』に移動して続行となったが、これ以降に青山正明がロリコン原稿を書いたのは『ロリータ大鑑』や『にんふらばあ』などに単発で寄稿した程度である。ライターとして活動するには、ロリコン以外の、別のテーマを中心にしていかなくてはならなかった。『ヘイ!バディ』終刊号には、青山正明がこれまでの『ヘイ!バディ』の歩みを辿りつつ、自身のこれまでの活動をまとめた記事が掲載されている。そこにはこんな一節がある。
「これからは編集に全力を注いで、ライターとしては、書きたい作品だけに数を絞り、原稿の質を向上させて行く。具体的には、「ホラー・フィルムズ」(来春刊行)、「フィリアック」(求龍社)、「サバト」(三和出版)の編集執筆、ギャグの単行本を年3冊のペースで共同執筆して行こうと考えている」
つまりここに書かれた3冊が、85年11月以降の青山正明の方向性だった。
『ヘイ!バディ』終刊号 P61
1980年6月4日(7月号)創刊/白夜書房。ロリータ情報総合誌として代表的な雑誌。ただし初期の号ははまったくロリコンではなく、外国人やや多めの普通のポルノ誌として、正直特筆したいところがない地味なエロ本だった。青山が参加しなければそのうち廃刊になっていたであろうと予想される。定期的に載っていたプロレス話は編集部員の趣味で、そのため全く人気はなかったがなくならなかったのだとか。最終号の座談会は痛快。「僕としては読者に参加して欲しくない、と言う(笑)、バカにしてたというか(笑)」「最後だから言える(笑)、なんだ、このロリコンどもめ!」「そういう態度で作ってた(笑)」。
『にんふらばあ』第5号P112/麻布書店
1985年6月25日創刊/麻布書店。隔月で出ていたロリータポルノ専門誌で、全5号。専門店など限られた書店に直販で置かれていたので、相当マニアでないと存在に気づかなかったかもしれない。70年代後半に出ていた海外の過激ロリータポルノ誌『NYMPH LOVER』誌を模しており、創刊号は「ニンフラバー・ジャパン」名義のA5判サイズ、2号以降は「にんふらばあ」としてB5判サイズになった。青山氏がどんな記事を担当したのかは判っていないが(おそらく4号の「最新地下ビデオ情報2本」か?)、最終号を見る限り、連載「フレッシュ・ペーパー」が『にんふらばあ』誌でも行なわれていたようだ。
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ばるぼら ネットワーカー。周辺文化研究家&古雑誌収集家。著書に『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』『ウェブアニメーション大百科』など。なんともいえないミニコミを制作中。
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08.06.01更新 |
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