The ABLIFE April 2011
実践派マニア・Mみどりが描きだす倒錯エクスタシーの極致
実の母親に人体改造を施され、生ける人形として極限まで「感覚」を削られていく女子高生の壮絶な体験。数十年に亘って自らを責め苛む工夫に情熱を注いできた実践派マゾヒストである著者が、イマジネーションの果てに辿り着いた自虐妄想のリミットとは。「私もこうされてみたい――」という激烈な思いで描かれた、他に類を見ないマニアック嗜虐フィクション! ■香奈との出会い
「ところで、香奈ちゃんは?」
「香奈? もうじき帰ってくるはずだけど」
「うちの麻紀を見たら、どんな反応を示すのかしらねぇ」
「麻紀ちゃんと気が付かないかもねぇー」
「麻紀の鼻輪だけでも外しておこうかしら、香奈ちゃんにショックを与えると悪いから」
そんな会話をしているときに香奈が帰ってきた。
「香奈ちゃん、お友達の麻紀ちゃんよ、久しぶりでしょう」
香奈はあっけに取られた表情をしていた。顔に黒いシミ、というよりペイントしたような模様が描かれ、猿轡を嵌められ、閉じられない口からはよだれが流れだし、首に巻いたよだれ掛けの上に点々と染みを作り、スカートの下から金具に挟まれた足首を覗かせている少女が麻紀だとは思えなかった。
「ええっ、うそでしょうー」
「麻紀ちゃん、自殺の心配があるから口が閉じられないように器具を嵌めてあるのよ」
「……」
麻紀には、目の前に誰がいて、どんな状況になっているのか知る由もなかった。香奈は麻紀に近づき上から下まで視線をゆっくりと落としていったが、麻紀からは何の反応も返ってこなかった。
「生きているのよねぇー」
静江が香奈に気付かれないように、発信機の右側のスイッチを押すと、突然麻紀の体が右に90度動いた。
「わあっー」
香奈は数歩飛び下がった。
「生きているでしょう。私たち30分程出掛けてくるから、香奈ちゃん、うちの麻紀を見ていてもらえるかしら」
「かまわないけど……」
「なにもしなくていいから。このままにしておいてくれればいいから」
静江は、麻紀のスカートの中に手を入れ、膝の輪止めを下げ、発信機をポケットに入れたまま、香奈の母親と出掛けた。
誰もいなくなると、香奈は麻紀に話し掛けた。
「麻紀ちゃん、香奈だけどわかる?」
麻紀は立ったまま、何の反応も示さなかった。
「麻紀ちゃん、喋れないの?」
香奈は自分の言葉が麻紀に聞こえていないことに気付かなかった。その間も、麻紀の口元からは、止め処もなくよだれが流れ出て、よだれ掛けの上に落ちていった。
「麻紀ちゃん、よだれが……」
香奈はハンカチを取り出して、何度も拭いたがたちまちハンカチがよだれでベトベトになってしまった。そして10分が過ぎた頃、香奈はアンモニアの匂いが麻紀の周囲から漂ってくるのに気が付いた。麻紀は何の反応も示さなかったが、オムツの中にお漏らしをしていた。
「麻紀ちゃん、お漏らししたの?」
香奈はためらいながらも、麻紀のスカートをめくった。そこには、装具によって自由を奪われ、閉じることさえ出来ない麻紀の足が見え、さらにその奥にブルーのオムツカバーが見えた。よくみると、オムツカバーが膨らみ、紙オムツの色が変わっているのが判った。
あわてて香奈は麻紀の母親の携帯に電話をした。
「おばさま、麻紀ちゃんがお漏らししていますけど」
「そう、すぐに戻るから、そのままにしておいてね」
二人の母親は近くの児童公園にいた。そこは高速道路の脇にあり騒音が激しかったが、会話を聞かれたくない二人の母親にとっては、最良の場所だった。
「何かあったの?」
「麻紀がお漏らししたみたい」
「そうなの。香奈も自分の1カ月後の姿だなんて思ってもいないでしょうね」
「そりゃそうよ、麻紀だってお人形さんになるなんて思ってもいなかったはずだから。ゴメンね、臭くしちゃって」
「いいわよ、素敵なものを見せてもらったし、貴重な話を聞かせていただけたんだもの」
「これから夫にも見せないといけないし……1日だけの外出なので、帰らなくちゃ」
「そう、じゃ車で送って行くわ」
二人の母親が家に戻ると、アンモニアの匂いが室内に充満していて、何が起こったのかは誰にでも分かった。
「香奈ちゃん、ごめんね、臭くして……」
静江は、麻紀を連れてきたときと同じような姿にしてから、香奈の母親と共に出て行った。
■歩行器の中の麻紀
看護師のユカのところに、院長の木村から電話が掛かってきた。
「はい、わかりました。お連れいたします」
ユカは、そう返事をすると準備をはじめた。電話の内容は、麻紀を電車に乗せて連れてくるように、というものだった。車のほうが安全で早いし、便利ではあったが、院長命令なので、外出の為の指示をアレコレ出した。夕方の4時までに、麻紀を院長の所まで連れてゆかなければならなかった。
麻紀を乗せたワゴン車が、国道から十数メートル入った私鉄の人通りの少ない駅前に着いたのは、午後3時前だった。車には運転手のユミの他に、スーツ姿の看護師、ユカとアヤカ、そして麻紀が乗っていた。
「ユカ先輩、着きました。アヤカ、頑張ってね」
後部ハッチが開き、リフトが降りてきた。そこには、高さが80センチの円筒状の歩行器に収まった麻紀がいた。
歩行器の上部は麻紀のウエストと同じ高さで、麻紀のウエストを締めた革ベルトには4カ所ほど金具が付いていて、円筒状の歩行器とは、その金具で繋がっていた。麻紀が動けば歩行器の車輪も同じように動いた。
バランスの取りにくい麻紀にとっては必需品ではあったが、歩行器を見慣れていない一般の人には奇異に映り、何人もの通行人が一瞥して通り過ぎて行った。
歩行器の下部、地上15センチの位置にも円形のパイプがあり、上部の円形パイプとは3カ所で繋がっていて、麻紀が歩くのに邪魔にならない程度の空間が確保されていた。
そして下部のパイプを補強する目的で太いパイプが前後に通っていて、その中央には30センチ程のパイプが垂直に立っていた。麻紀の膝枷はそのパイプの先端に、短いロープで繋がれていた。それによって、極端な体重移動が出来なくなり、歩行器がより安定するようになっていた。
さらに左右の足首にも革枷が嵌められ、それぞれ20センチの長さの鎖で垂直に立ったパイプの根元に繋がれていた。つまり、腰、膝、足首と三重に歩行器と繋がっていた。そして黒のロングスカートが、それらすべての拘束を隠していた。
地上に降ろされると直ちにユカが歩行器の後ろに80センチ程のパイプを立てた。そのパイプの先端部分と先端から20センチほど下がった部分の2カ所に接続用の金具が付いていて、麻紀の頭部を包んでいるヘッドギアの頭頂部と首枷の後部に、その金具は取り付けられた。
つまり、麻紀の上半身も歩行器に固定されてしまい、体を前後はもちろん、左右にも動かすことは、ほとんど不可能となっていた。まっすぐ正面を向き、顔を心持ち上方に向けた姿勢しかとれなくなり、うつむいて他人の視線を避けようとすることさえ不可能となった。麻紀の醜い顔は、衆人に晒されるしかなかった。
口の中には特製の板状の猿轡が押し込まれ、左右の口元から延びたベルトが後頭部でしっかりと留められていた。外見からは、マウスピースを入れているようにしか見えなかった。
声帯を切除され、しかも奥歯に細工がされて舌を噛むことさえ出来ない麻紀には不要とさえ思われたが、舌の動きを封じ口の中一杯に広がった猿轡には、よだれを止め処もなく垂れ流させるという別の役割があった。
左の耳にはイヤホンが差し込まれ、ヘッドギアが額の刺青もイヤホンも隠していた。
たとえ麻紀の目が見えたとしても、頭が動かせない以上、自分の姿を確認することは出来なかった。首枷を隠すかのようによだれ掛けが巻かれ、首の後ろで留められた。そのよだれ掛けの裏側には、何カ所も安全ピンが付いていて、麻紀の洋服にしっかりと留めることが出来た。長さはバストが隠れるほどあり、風でよだれ掛けが舞い上がるようなことはなかった。麻紀を降ろした車が視界から消え去る頃には、はやくも麻紀の口元からよだれが落ち始めていた。
「ユカ先輩、麻紀ちゃんのよだれの出る量、多くないですか?」
「あら、気が付いた?」
ユカは、そういうとアヤカに麻紀の鼻空内を覗かせた。
鼻空内の奥が詰め物で塞がれ、口からしか呼吸は出来ないようになっていた。
「醜態をたっぷり見てもらおうと思って……いいアイデアでしょう」
「先輩って、悪魔の親戚ですよね。こんなによだれが流れ出ては、みんなが振り返って、麻紀ちゃんのこと見ますよ。それでなくても目立つのですから」
「この醜いお顔は、変えようがないし……みんなに見てもらうしかないでしょう」
調教のたまもの、と言ってしまえばそれまでなのだが、麻紀の体はユカが手にしている発信機から流れる、「右」「左」「止まれ」「進め」という音声通り動けるようになっていた。目が見えず、バランスが取りにくいので、初めは歩くことさえおっかなびっくりだったが、何時間もその状態で歩かされていると、だんだん恐怖心がなくなり、指示通り歩けるようになっていた。麻紀はマスクもサングラスも与えられず、素顔のまま電車に乗ることになった。
(続く)
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