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気鋭の情報学者が語るデジタル時代の言語論
子供の誕生と共に自覚した必ず来る自分の死。それを「予祝」と感じた気鋭の情報学者が、異なる言語世界を翻訳してつなぎ、子育てで得た様々なエピソードを介しながら"我々が「共に在る」未来"へのヒントを提示する――。
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本書は、あえて「わかりやすく」言えば、デジタル時代の言語論である。しかし、そこにふくまれている射程は限りなく広い。著者は、日本語、英語、フランス語の多言語話者である。日本育ちの台湾(祖母はベトナム人)と日本のダブルで、フランス国籍を持ち、日本・在日フランス人学校・アメリカの大学で教育を受けた。このような多様なバックグラウンドを持つ、著者の深く広い思索がやすやすと理解できるはずはない(する必要もない)。しかし、この本の執筆のきっかけとなった長女の誕生とそれに伴う自分の死の「予祝」、子育てで得たさまざまな気づきのエピソードによって、読者にも共感が得られるようになっている。そこに込められた「祈り」や温かさが深い思索に強度と"共度"を与えているといってもよいだろう。

このユニークな言語論をどのように説明したらいいのだろうか? まず、著者は多言語話者であるが、それは「自然言語」だけに留まらない。メディアアート・情報工学を修め、ソフトウェアの開発者でもある著者のボキャブラリーには、「プログラミング言語」も含まれている。日本語であれ英語であれ、わたしたち人間同士が話したり書いたりする言葉は、「自然言語」という。いっぽう、BASICやC、JAVAといったコンピューターに対する命令体系の言語は、プログラミング言語という。このような新しいタイプの多言語話者は、21世紀になって本格的に誕生したのではないだろうか。

著者は、言語による世界認識の違いを、生物によって知覚が異なり、固有の世界があるというユクスクキュル(生物学者)の「環世界」という概念を手掛かりに、ドゥルーズ(哲学者)、サピア&ウォーフ(言語学者)、グレゴリー・ベイトソン(人類学者)、ノーバート・ウィーナー(数学者)などの思索に触れながら解き明かしていく。サピア=ウォーフ仮説と言われる、言語的相対論では、言語によって世界への認識は変わるとされており、我々がうすうす「直観」していることを突いて多方面に影響を与えた。それに対して人類は言語を生得しているというチョムスキーらの生成文法派が対峙してきたが、その答えは今なお出ていない。両方異なる角度で真実を述べていると思える(色彩学では、バーリン&ケイが、世界の言語を調査し、11の基本の色彩語に段階的に進化していくと唱えた)。

著者は多言語話者として生きるなかで、異言語の異なる認識の世界を、並行的に行き来することで、さまざまな「領土」を獲得してきた。そのような"環言語世界"の違いをモノリンガルが体験することは難しいが、テレビゲームをすることで異なる世界の「住人」になる体験などを例示しながら、環世界の移動で得られる新しい認知の獲得をうまく説明する。また、西洋的な「正反合」の弁証法と日本的な言語化しない、彼我を分けない「守破離」の身体技法との違いについても述べられている。この違いは戦前に来日して、弓道を修め「守破離」について身をもって知る、ドイツの哲学者ヘリゲルの『弓と禅』などで示唆されていることだ。ヘリゲルの体験記は西欧でも注目を集め、写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンなどにも影響を与えるが、近年言及されることは少なかった。著者は、幼少期に剣道を、現在は能を習っているため、ヘリゲルの体験を、「日本の神秘」の状態から脱出させることができる数少ない書き手でもあるだろう。

いっぽう、著者は軽度の吃音を持っており、脳と身体の"バグ"から起きる「言いよどみ」に、身体性や無意識が宿っていること明かしていく。そして、タイピング(文字入力)では誰でもが吃音者であると指摘する。修正や書き直しをしないで、タイピングできるものなどいないからだ。その着想をもとに『タイプトレース』という、タイピングを記録・再生するソフトウェアの開発を行ない、かつては筆跡に残っていた書き手の思考の遍歴や身体性を、時間の経過を見せて復活させることに成功している。さらに『タイプトレース』を用いて、娘への遺書を残すことを試みる。それは自分の「死」の内面化であるともに、自分が感知できない環世界、受け継がれる「生」への転移の儀式でもある。

グレゴリー・ベイトソンは、後に自身も人類学者になる娘、メアリー・キャサリンとの対話をヒントに、「メタローグ」という仮想的な会話形式の手法を編み出した。娘、メアリー・キャサリンとの共著を執筆中にベイトソンは亡くなるが、彼女もまたベイトソンとの「メタローグ」を行なって完成させている。ベイトソンと娘、メアリー・キャサリンとの驚くべき言葉のリレーを著者は意識している。それだけに読者は、著者の没後、著者の娘が同じようなメタローグを試みるのではないかという未来を幻視してしまう。いっぽうで、能の演目『定家』などの例を出しながら、話の途中で相手が「継ぎ足し」しながら会話が進む「共話」のあり方の可能性にも目を配る。共話とは、言葉の「共有」「分有」であり、理解や記憶を重ねる技法でもあるだろう。

かつて人類は、エスペラント語のような共通言語を目指した。しかし、それでは世界の多様性は失われてしまう。実際、英語がデファクトスタンダードになり、グローバリズムに覆われている現在、凄まじい速度で世界の言語は失われている。言語ごとの固有の世界の認識・手触りが世界そのものであるなら、言語の喪失は世界の喪失でもある。言語を統一してしまえば価値観や思考を画一的にしてしまいかねない。人々が「分かる」ことのみを目指していれば、いつかそのような道に陥ってしまうだろう。残念ながら「言語は翻訳不可能な部分がある」「人間同士は分かり合えない部分がある」、そのような当然の事実は、SNSという閉鎖空間では、共感と、その裏返しの対立の増幅によって当たり前でなくなってきている。

だからこそ、本書では、異なる言語世界、あるいは未言語の身体知の世界を行き来し、つなぐことの素晴らしさを、さまざまな角度と個人的な体験から記しているのだ。著者は自伝的な書き方にとまどいがあったと述べているが、自らの参与観察のような方法しかとりようがなかったのではないかと思える。そもそも環世界を外側から記述するのは不可能に近い。ユニークな多言語話者の内側が、ここまで日本語の記述が堪能な書き手によって描写されたことは日本語を母語とするものにとって幸運以外のなにものでもないだろう。

「表現の不自由展・その後」展の一連の騒動によって、SNSにおける分断が先鋭化した「あいちトリエンナーレ2019」に、著者もアーティストグループとして参加していた。そこでは『タイプトレース』で入力された膨大な遺書を、会場に設置された多数のモニターで再生することを試みた。変換や修正、削除などを繰り返しながら打ち込まれていく遺書には、たしかにそこに人がいたという存在、「息遣い」を感じることができた。それは対立的ではないが「情の時代」というトリエンナーレのテーマに沿う「感情的なデジタル情報」でもあった。多くのアーティストが改変したり、ボイコットしたりする中、著者は人をつなぐために作られた展示を取りやめることはしなかった。そこには分断ではなく繋がり、遺書を通した「生」の継承への強い意思があったのだ。

インターネットでは、分断を煽るフェイクニュースや、怒りと嘆きの投稿があふれるが、人間が地球上に共在し、共に生きることの奇跡的な瞬間を肯定することはもっと行なわれていいのではないだろうか(あるいは対立が誘導されている設計をもっと疑っていいのではないだろうか)。分からないまま共に在る、ことこそが豊かな環世界の証明だろう。本書には、著者の人生を「ライフトレース」することで、AIを含めた新しく誕生している「デジタル環世界」を旅する技法や、未来につなぐさまざまな言葉が織り込まれている。それは我々が共に生きるヒント、あるいは未来を作る無数の「ぬか床」になるだろう。同時に、共に生き、共に成長・進化するための「場の設計」を行なっている著者の実践にも注目したい。

文=三木学

『未来をつくる言葉―わかりあえなさをつなぐために―』(新潮社)
著者:ドミニク・チェン
価格:1,980円(税込)
ISBN:978-4103531111
発売:2020年1月22日
出版社:新潮社

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三木学(みき・まなぶ)
文筆家、編集者、色彩研究者、ソフトウェアプランナー他。独自のイメージ研究を基に、現代アート・建築・写真・色彩・音楽などのジャンル、書籍・空間・ソフトウェアなどメディアを横断した著述・編集を行っている。
編著に『フランスの色景』、『大大阪モダン建築』、『新・大阪モダン建築 -戦後復興からEXPO`70の都市へ-』、ヤノベケンジ『ULTRA』(すべて青幻舎)、など。寄稿に『小豆島にみる日本の未来のつくり方』(誠文堂新光社)、『ジャパノラマ』(ポンピドゥーセンター・メッス)、空間編集に「NAMURA ART MEETING '04-'34アーカイブルーム」(設計:ドットアーキテクツ)、「あいちトリエンナーレ2016」コラムプロジェクト『アーティストの虹-色景』、「ニュー・ファンタスマゴリア」(京都芸術センター)など。ソフトウェアに、画像色解析システム『Feelimage Analyzer』(ビバコンピュータ、ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー2009受賞)、音楽自動生成スライドショーシステム『PhotoMusic』、画像音楽生成アプリ『mupic』(ディーバ)など。
http://mupic.jp/
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20.03.14更新 | レビュー  > 
三木学 |