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話題沸騰! 女装美少年専門誌が創刊!
『オトコノコ倶楽部』編集長インタビュー【前編】

取材・文=編集部
取材協力= 三和出版
5月12日に発売された『オトコノコ倶楽部』(三和出版)。ニューハーフの専門誌ではなく、また女装子だけをターゲットにしたわけでもなく、あくまで女装美少年の専門誌として創刊されます。女装を嗜む全ての人に、また女装美少年に興味を持つ初心者の方まで、諸手を挙げて歓迎される新しい媒体の誕生です。WEBスナイパー総力特集「オンナノコになりたいオトコノコたちの最新事情!」、『オトコノコ倶楽部』編集長である三和出版の井戸さんインタビュー、前編は新雑誌創刊の背景について伺ってきました!
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僕は昔からニューハーフが好きで
最初は漫画なんです。しのざき嶺さんの『ブルーヘブン』という作品
影響受けてる人は多いんですが、僕はもうまともに影響を受けて
『オトコノコ倶楽部』編集長の井戸さんは、何と驚くなかれ、三和出版入社2年目。入社前は映画の自主制作などを行なっていて、入社後は『マニア倶楽部』附録DVD製作のスタッフとして『マニア倶楽部』編集部に配属されたそうです。

井:最初は映像専門でしたが、色々まかせてくれる編集部だったんですよね。それで最初に手がけたムックが『聖水黄金女王様』です。

『M男調教講座(8)
聖水黄金女王様3』
2008年12月発行/三和出版
『ブルーヘブン(1)』
著=しのざき嶺
1997年1月発行/三和出版
人気ムックシリーズの三作目。映像スタッフでもある井戸さんは附録DVDの製作もこなしたとか。そして無事に初雑誌の製作が終わると、当然のように次の企画を求められるのが編集者というもの。そこで提出した企画が『オトコノコ倶楽部』へと繋がるのですが、そもそも何故井戸さんはこうした女装雑誌を手がけようと思われたのでしょうか。

井:僕は昔からニューハーフが好きで。最初は漫画なんです。両性具有だったんですけどね。衝撃的な出会いをしたのは『エヴァンゲリオン』が流行った後で、しのざき嶺さんというエロマンガ家の人の『ブルーヘブン』という作品。エヴァのストーリーっていうか、アダルトチルドレンの話を女装モノに、壊れていく主人公が少年のために女装して、身体改造までしていくっていう話。これ、結構影響受けてる人は多いんですが、僕はもうまともに影響を受けて。

――それを読まれたのは、何歳のときだったんでしょう。

井:あれは中3か高1か。中1がエヴァだったので。あれが決定的な変化といえば変化だったかもしれないです。ああ、こんなこと考えてる人がいるんだ、自分の性癖って特殊なものではないんだっていう。今だったらそんなことは思わないんですけど、当時は田舎だから情報が入ってこないんですよ。当然ネットとかまだやってなかったし。ちょっと悩んでもいたんです。でもなんとなく曖昧で、今みたいに言語化はできずもやもやしてて。でもそれを見たときの衝撃があって、それからこういうジャンルがあるんだって探すようになりました。後から知ったんですけど、当時90年代は割とふたなりもの、シーメールものがエロマンガ界ではブームだった。だから田舎でも古本屋とかにあったりしたんですね。


中学生のころに自分の性癖で悩んでいて……というのはマニア嗜好の方には共感するところもあるかと思います。自分の性癖は特殊なものではない、そんな悩みから解放された井戸さんは順調に多感な少年時代を過ごしていくのでした。

井:高校生のときに、有害図書指定の一覧本みたいなものがあって。エロマンガ誌とか、色々なエロマンガがメインだったと思うんですけど。それぞれの本の紹介と有害指数が書いてある。その中の『フラミンゴ』という雑誌が、一番有害指数が高かったんです。その紹介の挿絵を見たら、まさに僕が影響を受けたしのざき嶺さんのふたなりモノの挿絵が使われていて。作品が連載されてた雑誌だったんですよね。なんだこの雑誌!?と思って、古本屋で探して手に取った。鬼畜モノ、人体改造モノとかスカトロモノ、そんな漫画ばっかり集まった、本当にアングラ系の変態雑誌です。三和出版に入ったら、その『フラミンゴ』を作っていたのが三和だったんだって後から気付いた。入るまでは何を作ってる会社かもよく知らなくて。もちろん『マニア倶楽部』も知らなかった。むしろ『スナイパー』はたまに読んでたんですけどね(笑)。

幸運な偶然が重なって、影響を受けた雑誌『フラミンゴ』を生んだ出版社へ入社した井戸さんは、ライターさんを経由してしのざき嶺さんの作品を『オトコノコ倶楽部』で掲載することに。そして9月頃に発売予定の次号『オトコノコ倶楽部 Vol.2』では、新作の掲載も決まっているんだとか。ともあれ、田舎での高校生活を終えて上京した井戸さんを待っていたのは、都会の新たな刺激の数々でした。

井:上京してきてからは実際にニューハーフと付き合ったりもしたんですよ。好奇心が高じて、ネットの出会い系で探したり、店にも行ったり、そういうとこに出入りして。漫画に限らずAVも、それこそ二村さんのふたなりものも観てたし、ニューハーフものも観てました。最初こそ抵抗はあったんですけど、だけど観ていくうちに、ちょうどニューハーフ自体も綺麗になっていく時代で。整形とかももちろんですけど、中性的な人がでてくるようになったんですね。そういう人が女性化するから、元々男々した人が……っていうキワモノじゃなくなってきていて。ニューハーフ雑誌も当時3誌ぐらいあって、全部読んでましたよ。僕が中学生ぐらいのときはボディコンでチンコの形だけを強調してる、すごい買いづらい表紙だったけど、それからだんだんアイドルっぽくなって買いやすくなっていきましたね。ニューハーフはずっと好きだったんです。

そんな井戸さんが出版社に入社して企画を求められ、ニューハーフの企画を立ち上げるのは必然。しかし提出した企画はあくまでニューハーフモノ。まだ現在の『オトコノコ倶楽部』とは違う形の雑誌でした。

↑附録DVDに収録されている映像コンテンツ、ニューハーフしのぶ「奴隷M調教映像」。 ↑こちらもDVD収録の映像コンテンツ「女声ボイストレーニング」。モノクロページにも詳細な記事がありますが、訓練された女声、実際に聞くと驚くことウケアイです。 ↑二村ヒトシ監督の「女装オナニズム」。サンプル映像をこの記事の最後で掲載中、是非ご覧ください。
井:ニューハーフ雑誌が乱立して、潰れて、現在は定期刊行誌が1誌なんですよ、総合誌っぽいエロ系のは。こんなにビデオは溢れているのに、雑誌は盛り下がって中身もスカスカ、DVDもスカスカなんです。それはおかしい、絶対俺が作ったらそんなものよりいいのができるっていう確信があった。だからやりたいっていう話をして。

企画が無事に通ると、早速グラビア撮影のキャスティングに取り掛かる井戸さん。しかしここでひとつの問題が浮かび上がります。それはニューハーフモデルたちのギャラの高さ。

井:女の子の場合、すごくかわいい子は高いですよね、単体女優。でも企画女優っていうか普通に可愛いレベルでエロ系ができるコって無数にいるじゃないですか。でもニューハーフのすごい綺麗な人ってごく一部で、なおかつプロダクションに入ってる人はもっと一部で。そうなると名前は売れてるし、ビデオにももちろん出てるし、もう単体と一緒ですよ。だから単体女優と比べれば安いけど、企画女優と比べれば高い。単体じゃなかったとしても店に所属してるコしかいなくて。その人たちは直接交渉ですけど、だいたいビデオに出てるんです。だからギャラの相場もビデオの基準。これじゃスタジオを借りて1人豪華に撮ったら、予算の都合上あとは本当にしょぼい内容しかできないって、わかってしまったんです。

マニア層向けのムックは発行部数がそれほど多くはありません。すると製作にあてられる予算も当然ながら限られます。エロ本の要とも言えるグラビア撮影ができない……困った井戸さんは次の手を考えます。

井:僕が『マニア倶楽部』に関わっていることもあって、投稿とか、生々しいものですよね、そういうムック本なら受けるんじゃないかなと思って。幸いにも、やっぱり僕がニューハーフ好きだから、色々と出入りしてたり素人の人にも知り合いがいたり、出会い系とかで探せるんじゃないかって。そういう人を素人として撮ろうと。それなら予算が抑えられるし、『マニア倶楽部』みたいな生々しい、新しい雑誌ができるんじゃないかなって。

――『マニア倶楽部』の場合、素人のM女性を紹介するということで、どういう面を打ち出していけば、みたいなノウハウがあると思うんですけど、それがニューハーフ、シーメールになった場合はどのあたりを全面に出そうと考えてたんですか?

井:『マニア倶楽部』なら、素人M女の純粋そうで、内面にトラウマがあって……みたいなね。ニューハーフの場合、それがわからない部分もあった。でも僕はニュ−ハーフが好きだし、その面ではマニアだから。割とどういうものがいいかっていうのはわかる。自分がいいと思うものをつくろう、自分の趣味に近づけていいんじゃないかっていう確信がありました。それから2人ぐらい撮った。たまたまよかったんですよ、SMっぽい、マニクラっぽいのが撮れて。でもニューハーフの人って、個性がすごい強い場合が多いんですよ。独りで生きてきて、明るく見えても不安な面とかあったり。ニューハーフであることって波乱万丈でもあるしね。ある時こっちが制御不可能な、意図通りには撮れないなっていうモデルさんがいて。キャラが立ちすぎてて、コレは大変だなと。交渉も難しくて、揺らぎ始めちゃったんです。そんなときに知り合いを通じて、女装イベントとか、女装サロンのハッテン場とかが盛り上がってきてるって聞いて、そういうところに出入りをし始めたんですよ。随分と遠ざかってたんですけどね。実際に行ってみると以前のイメージと違って若い子がすごい増えてて。

きっかけは一迅社発行の「オンナノコになりたい!」という女装指南ムック。WEBスナイパーでもレビュー記事で紹介しました。性的嗜好を表に謳わず、アキバ系文化であるコスプレから女装という、カジュアルな女装を楽しむ若者たちの登場です。

『オンナノコになりたい!(一迅社)

著者:三葉
編集:ポストメディア編集部
価格:1,500円(税込)
ISBN:9784758010849
出版日:2007年08月24日
発行:一迅社

出版社サイトで作品の詳細を確認・購入する>>>こちら

井:若い子が増えてきたんですけど、その人たちは男が好きではない場合が多いし、エロ系でもないからウチの雑誌とは直接接点がない。でも彼らの影響を受けてエロ系の人たちも若返ってきてたんです。それをイベントとかに出入りしてて感じた。そこでマニクラでページをもらって、ニューハーフのページを作りました。ハッテン場とか、ビデオのこととかを自分で調べながら紹介して、そこで見つけた可愛いなと思った人を取材したり、今度撮らせてよとか声をかけて。するとその人たちの多くは女装だったんですよね。今までニューハーフにこだわっていたんですが、綺麗だったら女装でいいんじゃないかなっていう気分にだんだんなってきて。若かったら中性的だし、ニューハーフみたいに整形してたり、女性ホルモンをずっと入れてたりしなくても、可愛い子も魅力的な人もいるし。むしろエロじゃなくてもマニアなんじゃないかなって。そうしたらニューハーフとかも全部融合させた、女装の専門誌にしようみたいな意識がでてきたんです。二次元の世界では“男の娘”と書いてオトコノコっていう言葉も流行ってた。オトコノコっていう新しいジャンルですよね。それを二次元ではないアダルトの世界で応用したら面白いんじゃないかって。僕はきっかけになったしのざきさんの漫画とかもそうでオタクだったし、二次元からこういうアダルトへっていうのが繋がるんだっていう思いがあったので。両方の橋渡し的なものを作りたいなって思ったんです。

長い紆余曲折を経て、日本初の女装美少年専門誌という『オトコノコ倶楽部』のコンセプトが決定したのでした。先日発売となった実際の内容はグラビアはもちろん、辞書のような女装用語集、漫画における女装キャラの歴史、そして女装モノの同人誌を縮小して紹介といったアキバ系やサブカル的な要素もふんだんに盛り込まれ、モノクロページだけで100ページを超えるボリュームに。もちろんカラーページやDVDなどの構成は、附録のDVDに二村ヒトシ監督の撮り下ろし「女装オナニズム」、ネットでウワサの大人気女装子しょうこちゃんのハメ撮り映像他、カワイイ女装美少年の痴態も盛りだくさんの内容となっているのです。

次回は自らがマニアである井戸さんに、女装してる人、そして女装行為の魅力についてお話を伺います!

(続く)


女装チカ × AV監督二村ヒトシ
「女装オナニズム」サンプルムービー!



『オトコノコ倶楽部 VOL.01(三和出版)

版型/頁数:A5/196頁
価格:3000円(税込)
ISBN:978-4-7769-0429-8
発行:2009/05/12
出版社:三和出版


出版社サイトにて詳細を確認する>>


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