Special issue for Golden Week in 2010.
2010ゴールデンウィーク特別企画/WEBスナイパー総力特集!
東方二次創作のための主要キャラ紹介 幻想郷の懲りない人たち【前編】
「東方Project」に登場する多彩なキャラクターたち。あまりに数が多いため全てを把握することは難しく、また二次創作の作品群による世界観の拡大で、初見の人には何が何やらわからない、そんな感慨をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。特集記事第3弾では、そんな東方世界のキャラたちを、あくまで二次創作の作品群を楽しむためのガイドラインとして、前後編にて紹介いたします。
「東方Project」は同人サークル「上海アリス幻樂団」様の作品です。
同人サークル「上海アリス幻樂団」によって制作される「東方Project」シリーズには数多くの二次創作が存在している。「東方Project」の構築した世界は無数のファン活動によって拡張され、原作にはない特異な設定を追加され、あるいは原作とは真逆の性格を付加され、今日にあってはその広大な幻想郷を把握するにはたゆまぬ訓練と神社への参拝、なんか薄い本とニコニコ動画とPixivの往来に会社とか通ってる暇がなくなり、日本経済の破綻は免れない。
しかし、私は思う。幻想郷から生まれた作品群を一部のニュータイプの手にのみ独占しておくにはあまりにも勿体ない。
ここではあなたに「とりあえず『東方Project』の二次創作を楽しむことができる程度の能力」を身につけてもらえるよう幻想郷の懲りない人たちを、同人誌では自明のものとして描かれる周辺設定、描かれがちな二次設定、キャラ崩壊と呼ばれる歪められた彼女らの待遇などと共に紹介したい。性格付けについては個々の同人誌によって拡張、強化されることが同人誌の最も楽しい部分なので、おおざっぱな立ち居地や役割についてのみ説明する。当然ながら、原作に基づいた詳細な説明は省くし、ネタバレはするし、歪曲が含まれているし、異論は認める。あなたがもし、理想的な手順でもって幻想郷を訪れたいと願うのならそっとページを閉じていただきたい。これは手っ取り早く同人誌に手を出すための外法である。ゴンさんがウイングさんから「洗礼」を受けた時のことを思い出してほしい。私をウイングさんと見るかヒソカと見るか、それはあなたの手に委ねられている。繰り返す。これは外法である。
おk?
■オマエラが恋した幻想郷
「東方Project」の舞台である「幻想郷」は「博麗大結界」と呼ばれる結界によって現代社会とは隔絶された、人間と妖怪の共存する世界である。
明治時代頃の文化・科学レベルを想定されるが、家電製品が用いられたりM-1グランプリが開催されたりラーメン二郎が好んで食されたりしており、細かいことを気にする必要はない。幻想郷では常識にとらわれてはいけない。現実世界で忘れ去られたものが幻想郷へ呼び込まれることになっているが割となんでも輸入されてしまう。またその現象を「幻想入り」と呼んだりする(用例:「あの3DO Realがついに幻想入り!」)。
人間や妖怪は「スペルカードルール」に基づいた「弾幕ごっこ」と呼ばれる本気の遊びを行なう。「スペルカードルール」は、ものすごく大雑把に言うと反則みたいな強さの博麗霊夢が妖怪をフルボッコしすぎて、妖怪が元気をなくしてしまったために公平に戦えるよう導入されたルールだ。その背景には妖怪が人間を襲い、強い人間が妖怪を退治する共存関係、妖怪は畏れられ、神は信仰されなければ、その存在を維持することができないという物語がある。
ほとんど全てのキャラクターが空を飛び弾を撃つ危険な世界だが「弾幕ごっこ」なのであまり死なない。打ち所が悪ければ死ぬ。そんな仲良し幻想郷。なお、弾幕ごっこで被弾することを本編の効果音から「ピチュる」と呼ぶ。これは若い人に覚えてもらいたいことだ。
「ピチュる」のような原作ゲームに基づいた用語は同人誌にも多い。ゲーム中の最高難易度にちなんだ「ルナティック」を最上級の修飾詞として用いたり(用例:「キモイ! ルナティックキモイ!」)、ロード中に表示される「少女祈祷中」という文字列から「少女○○中」という用例は非常に多い。少女という単語のアクロバティックな用例は枚挙に暇がない。
また「6ボス」「Exボス」という言葉もたびたび目にすると思うが、これは原作で何面のボスだったかを表わしている。当然、数字が大きいほど強い。「6ボス」はラスボスを指し、その強さに応じたカリスマ性を求められる向きも強い。また「Exボス」とはエンディングの先にある「Extraステージ」のボスであり、ものすごく強い。このことから「Ex」もまた「すごさ」をあらわす修飾詞に用いられる。
幻想郷の説明に戻ろう。基本的に幻想郷は閉じた輪だが、ときおり原因不明の騒動が発生する。その騒動を「異変」と呼び、原作ゲームでは「異変」が発生し、博麗霊夢や霧雨魔理沙が原因をつきとめ、首謀者を懲らしめるのが基本的な様式になっている。
「東方紅魔郷」で発生した「紅霧異変」、「東方妖々夢」で発生した「春雪異変」、「東方永夜抄」で発生した「永夜異変」、「東方花映塚」で発生した「大結界異変」などがある。異変が起こるたびに新たな場所が増え、東方世界が広がっていくのだ。
では、以下に場所ごとにグルーピングしたキャラクターの紹介を行なう。
■博麗神社とその周辺
幻想郷の広さや、場所の位置関係には謎が多い。みんな空を飛べるため距離感もあいまいだが、博麗神社は東の果てに位置しているとされる。人里はなれた場所にあり、幻想郷を一望できるようなロケーションにあるようだ。博麗神社はちょうど外の世界との境界にあり、外の世界の物や人間が流れ込んでくることも稀にあるようだ。
楽園の素敵な巫女、博麗 霊夢(はくれい れいむ)
幻想郷を維持する博麗神社の巫女。妖怪退治と異変の解決がお仕事。ものすごく強いけど怠けている。素体が既に強い系。能力は「空を飛ぶ程度の能力」。なお、この「○○程度の能力」という言い回しは基本的な東方用語なので日常的に用いてほしい。
普段やっていることは神社の掃除とお茶を飲むことで、異変が起きないと暇な様子。原作者のZUN氏同様の酒好き、というか幻想郷の面々はことあるごとに博麗神社に集まって飲酒しているように見える。弾幕はお札。衣装の色から「紅白」などとおめでたい呼び方をされたりもする。
他者に無関心気味で、人間も妖怪も平等に接する空飛ぶ巫女さん。他者に無関心という設定から二次創作では割とサバけた性格設定にされることが多い。反面、主人公という性格上さまざまな事件に首をつっこむ面白いこと好き・おせっかい焼きのお姉さん的に描写される。人間も妖怪も差別しないためやたら妖怪や人間離れした人間に好かれ、博麗神社で催される宴会は魑魅魍魎の宴になる。キャラ崩壊では「神社の参拝客が少ない」という設定から派生した貧乏キャラが板についており、いつでもハラペコでお賽銭を要求する。四季を通して腋を露出していることから「腋巫女」と呼ばれ愛されている。よくカップリングされる人物は、八雲紫、霧雨魔理沙、レミリア・スカーレット、アリス・マーガトロイドなど多種多様。
飲んだくれ幼女、伊吹 萃香(いぶき すいか)
妖怪の中でも最強の力を持つと言われ、かつて幻想郷を去った「鬼」の血族。能力は「密度を操る程度の能力」で、自分の体を拡散することができる。もしかしたら密度を高めて重くなることもできるのかもしれない。あと、増えたり大きくなったりする。
妖怪の山の四天王だったらしく、山に住んでる妖怪は幼女に頭があがらない。主な活動拠点は妖怪の山らしいが東方萃夢想のエンディングで博麗神社でのんびり過ごしていることから博麗神社に住み着いて霊夢の経済状況を圧迫しているような扱いも受ける。持ってるひょうたんは酒が限りなく湧いて出る。お酒が好きで力持ちという属性からあっけらかんとした明るいお馬鹿さんな性格付けが多いが、なんだかんだ最強の種族で神様みたいに優しく包み込んでくれたり酔って暴れてたり。「東方萃夢想」でアリスに割とひどいことを言っていたことから腹黒にされることもある。キャラ崩壊ではだいたいアル中。地味に腋キャラ。
■魔法の森
幻想郷で森といえばここ、魔法の森。まがまがしい妖気と瘴気に人間どころか妖怪もあまり近づかない森だが、そんな場所に霧雨魔理沙やアリス・マーガトロイドは住んでいる。二次創作では「妖怪もあまり近づかない」という設定は忘却され、チルノやルーミアの遊び場になっていることも多々。
弾幕はパワーだぜ! 霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)
魔法の森に住む魔女っ娘。キノコを魔法の材料にするキノコ大好きっ娘。能力は「魔法を使う程度の能力」で、星をモチーフにした魔法を使う。必殺技は「八卦炉」と呼ばれる六角形の物体から発射されるハイメガ粒子法「マスタースパーク」。実は盗んだ技である。
霊夢のライバルキャラだが「弱い」「普通の人間」と断言されている。泥棒で、よく紅魔館の大図書館から本を強奪するが、本人いわく「死ぬまで借りてる」だけ。魔法も盗む。
蒐集癖があり、家は大変なことになっているらしい。和食派。幻想郷(元)最速。家出娘で実家から勘当されている。身長は低め。大切なことです。
「だぜ」に象徴される男口調からか少年的な性格を与えられることが多く、そのせいかありとあらゆるキャラクターとカップリングされる幻想郷一のジゴロ。最速のフラグゲッター。無垢な子供から外道までをこなす二次創作の中興の祖。でも「ひねくれもの」で「努力家」で「弱い」なんておいしすぎる性格設定ですね。男口調だけど一人称はあくまで「私」。「俺」を使うのは「俺魔理沙」と呼ばれ偽者扱いされるので注意。たまに「うふふ」と笑うのは「旧作」と呼ばれる「東方紅魔郷」以降のシリーズとは繋がりはないとされる作品群に登場した際の魔理沙の台詞。現在の性格とはあまりにかけ離れた笑い方のため黒歴史として扱われる。よくカップリングされる人物はアリス・マーガトロイドとパチュリー・ノーレッジ、博麗霊夢が最右翼。次点で河城にとり、十六夜咲夜など。ありとあらゆる人物とカップリングされる。
自称都会派のインドアガール、悩みなんてないわ! アリス・マーガトロイド
魔法の森に住む魔女っ娘。霧雨魔理沙が「種族が人間」で「職業が魔法使い」であるのに対して、アリスは種族がすでに魔法使い。捨食という寝なくても食べなくてもよくなる魔法と、捨虫という不老長寿の魔法を会得することで種族が魔法使いになるらしいが、アリスが捨虫を会得しているかどうかは不明。捨食は会得しているようだが、普通に食べて寝る。魔理沙よりも早寝。身長は高め。大切なことです。
人形使いで手先が器用。人形を自作していることから、二次創作ではお裁縫やお菓子作りをしていたりと優雅な森の一人暮らし。描かれる時はだいたい「上海」という人形がオプションでくっついている。これらの人形は武器をもって襲いかかってきたり自爆したりとおっかねえ。基本的にアリスが操っているようだが、二次創作では自分の意志で動いたり、「シャンハーイ」などカタカナで簡単な言葉を喋ったりする。わら人形に五寸釘を打つアリスは二次創作が元だがいつの間にか公式でもわら人形を打っていた。将来的には完全な自立人形を作るのが目標らしい。
過去の経緯については謎が多い。元々は人間だった説と、魔界からやってきた魔界人という説。後者の設定を採用した場合は魔界の全ての創造主・神綺が母親という立場になったりする。
人形の名前が「上海」で、本人の名前が「アリス」といわれれば「上海アリス」を連想してしまうが、やはり作者にとっても特別なキャラらしい。しかしどう特別なのかは明かされていない。
二次創作では極端なキャラ崩壊が多く、魔理沙に対するツンデレから、好きすぎてヤンデレになったり、性的な妄想が暴走する変態キャラが定着している。「アリスはいつも通り」というキーワードを発見したら注意しよう。その「いつも」はきっと、常軌を逸した「いつも」だから……。
友達がいない、家で人形に話しかけながら誰かが遊びにきてくれるのを待っている、距離感の掴めないKYキャラ、アリスを縛りたい十字軍などなどアリスいじめは枚挙に暇がない。反面、「アリス総受けは世界平和」とも呼ばれとにかく扱いが極端である。だが、すべて愛ゆえにである。喧嘩はやめて!
「苗字が覚えにくい」は定番ネタ。マーガロイド、マガトロ、メガトロン、ゼディルガスなど。ザクやガンダムのプラモデルを作っているアリスはとある同人作家の影響力。
よくカップリングされる人物は霧雨魔理沙が断トツ。博麗霊夢、風見幽香、十六夜咲夜、パチュリー・ノーレッジ、総受けによる核兵器廃絶実現など。
■紅魔館
幻想郷の妖怪が集う「妖怪の山」のふもと、巨大な湖に浮かぶ島に、その洋館はある。吸血鬼の治める紅い館。入り口を守るのはなぜか中華風の少女だが……。
紅魔館の頼りたい門番、紅 美鈴(ほん めいりん)
紅魔館の門番を務める妖怪。あまり妖怪らしくなく、許可なく紅魔館に出入りするもの以外は襲わないし、温和で社交的。朝は太極拳、昼は昼寝と割とのんきな門番生活のようだ。
能力は「気を使う程度の能力」で、見た目どおりの中国拳法。弾幕派の多い幻想郷の面々の中でも突出した肉体性能を持っている。
見た目から「中国」と呼ばれ親しまれている。二次創作では名前を覚えてもらえない、あまり印象に残らないためか紅魔館の面々からハブられる、居眠りばかりしていて咲夜さんにドツかれるなどのネタが見受けられる。美鈴自身が温和なキャラ付けなのでいじられキャラにされやすいのだろうが、ステージ曲の「明治十七年の上海アリス」「上海紅茶館 ~ Chinese Tea」は非常に人気が高いのだから名前くらい覚えろやダラズ!!
知識と日陰とムキューの少女、パチュリー・ノーレッジ
紅魔館の大図書館に住んでいる。霧雨魔理沙が人間、アリスが元人間(?)であるのに対して、パチュリーは生まれながらの魔女である。もちろん能力は「魔法を使う程度の能力」で、「月」「火」「水」「目」「金」「土」「日」の七属性を持つ魔法を使いこなす。
病弱で喘息持ちのため呪文の詠唱もままならないほど。紅魔館の大図書館に引きこもりがち。魔法使いとしてかなりのものらしく、アリスを未熟者扱いするセリフもあった。こう見えても100年以上生きている。
キャラ崩壊では引きこもりがちで病弱という設定から「紫もやし」呼ばわり。引きこもりな上に服装が寝巻きっぽいことからだらしがないに違いない(身体的な意味で)という非常に失礼な扱いもうける。魔理沙、アリス、パチュリーを三魔女としてお茶を飲みながら読書会をしているモチーフはよく用いられ、三角関係にされたりもする。セリフネタでは「東方萃夢想」の負け台詞「ムキュー」が口癖にされがち。その際の口は某うさぎのように「×」の字になっていることが多い。盛り上がっているところに「そこまでよ!」というセリフと共に介入してくるネタも定着しているが「そこまでよ!」は原作ではアリスのセリフ。よくカップリングされる人物はレミリア・スカーレット、霧雨魔理沙、アリス・マーガトロイドなど。
完全で瀟洒なメイド長 十六夜 咲夜(いざよい さくや)
レミリアに仕えるメイド長。紅魔館のメイドのトップに君臨する人間。能力は「時間を操る程度の能力」で、時を止めることができる。銀製のナイフを巧みに操る。
「十六夜咲夜」という名前はレミリアから授けられたものであり、本人の経歴は不明。幻想郷の人間ではないらしく、元は吸血鬼ハンターだったのではないか、とも推測されている。
レミリアを「お嬢様」と呼び忠誠を誓っていることからキャラ崩壊ではカリスマ崩壊したレミリアに鼻血を垂らして興奮する親馬鹿な描写が見受けられる。また「時を止める能力」からジョジョの奇妙な冒険ネタが頻繁に用いられるためロードローラーをぶつけてきても慌ててはいけない。よく言われる「PAD長」とはもともとのキャラ・グラフィックではつるぺったん気味だった胸が「東方萃夢想」では豊かになっていたため「パッドを入れているのではないか?」という疑惑が持ち上がり定着した。PAD発言→ズッギュウウウウン→ナイフがサクサク……はもはやお約束である。よくカップリングされる人物はレミリア・スカーレット、霧雨魔理沙、紅美鈴など。
崩れ落ちるカリスマ、レミリア・スカーレット
紅魔館の主にして、500年以上の時を生きる吸血鬼。「運命を操る程度の能力」を持つらしいが、具体的に何ができるかは不明。「東方紅魔郷」の紅霧異変を起こした張本人。
吸血鬼という種族は妖怪の間で大変なカリスマ性を持っている、という設定や6ボスという立場、「東方紅魔郷」でのかっこいい台詞回しからレミリアお嬢様にも大変なカリスマ性を期待されたが「東方緋想天」で「ぎゃおー」「たーべちゃうぞー」などと子供っぽいセリフを連発したことから「カリスマ崩壊」と呼ばれる。小食で、人間の血を吸いきれずにこぼして服を真っ赤にしてしまうことから「スカーレットデビル」と呼ばれる、という少し間の抜けた設定や、見た目の幼女っぷりもカリスマ崩壊を加速させた。
二次創作ではカリスマ派とカリスマ崩壊派の二極に分かれるように見えるが、カリスマを維持していても行動原理は子供っぽい。敬意をこめて「おぜうさま」と呼ばれる。
パチュリーとは古くからの友人関係にあるらしくお互いを「パチェ」「レミィ」とあだ名で呼び合う。もちろんカップリングもされる。霊夢大好きなご様子も見受けられます。
ぅゎょぅ ι゛ょっょぃ、フランドール・スカーレット
レミリア・スカーレットの妹君。「東方紅魔郷」のExボス。気が触れているため紅魔館の地下に幽閉されていた。Exボスのため大変に強く、能力は「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」。「きゅっとしてドカーン」と本人の言うとおり、フランが自分の手を握りしめると相手は死ぬ。
二次創作ではレミリアを凌ぐ強力な力で暴れまわったり、本当に無邪気なただのお子様扱いだったり。あまりにも陰のある来歴や冗談抜きの強さと能力に今や姉よりカリスマ性に溢れているかもしれない。とにかく姉泣かせな妹さまである。あまりキャラ崩壊はしない。
■冥界、白玉楼
幻想郷の遥か上空、冥界。転生や成仏を命じられた霊魂たちの待合所。結界により現世と隔てられていたはずだが「春雪異変」の後は普通に行き来できるようになってしまったようだ。冥界には白玉楼という日本屋敷があり、その広大な庭は春になると桜が咲き乱れ、妖怪や幽霊や人間離れした人間で賑わっているらしい。
みょんな半人半霊、魂魄 妖夢(こんぱく ようむ)
白玉楼で雇われている剣術指南兼庭師。幻想郷の面々においては珍しい武器持ち。能力は「剣術を扱う程度の能力」。人間と幽霊のハーフであり、半人半霊。オプションのでっかい人魂も含めて魂魄妖夢である。
原作におけるセリフのテンションが安定しないためキャラが掴みづらいのだが、二次創作では幽々子に振り回される少し間の抜けた半人前といういじられ役な立ち位置。「妖怪が鍛えたこの楼観剣に斬れぬものなど、あんまり無い!」など実際のセリフもやや間が抜けている。半人だけに半人前とかうまいこと言った気になるなよ?
愛称として使われる「みょん」は「東方妖々夢」のおまけテキストに由来する。「妙な」を「みょんな」といい間違えてしまったことから、からかい半分でそう呼ぶ。
幽雅に咲かせ、食欲の春、西行寺 幽々子(さいぎょうじ ゆゆこ)
白玉楼の主、「東方妖々夢」における「春雪異変」の原因でありラスボスであり、1000年以上生きてる、というか存在している亡霊である。足はある。
彼女の能力は「死を操る程度の能力」。生前からの能力だったらしく幽々子はその能力を呪い自害しているが、現在の彼女に生前の記憶はない。現在の彼女は冥界に住み、幽霊を管理する簡単なお仕事に従事している。
「東方妖々夢」では白玉楼の咲かない桜「西行妖」が、桜の根元に埋まっている何者かの死体を封印するために咲かないのだと知った幽々子が幻想郷の「春」を集め、桜を咲かせて封印を解こうとしたことに起因する。
その試みは失敗し、幽々子自身は最後まで知らないままだったが桜の根元の死体は幽々子自身のものである。幽々子が亡霊として冥界に留まれるのもその封印のためだ。
このような重いバックボーンを持っている上に、幻想郷の最重要人物のひとり八雲紫と生前からの親友であることから幻想郷の中では割と偉い人の扱いだが、本人の性格はのんきなもの。飄々と妖夢をからかわれるお姿にも大変なカリスマが宿っておられます。
ところで二次創作では食いしん坊キャラとして定着している。原作で雀の妖怪ミスティアを食料扱いしたことに起因していると思われるが、定着しすぎて公式にまで侵食している。ただ食うだけならともかく、妖怪まで食べてしまう食の追及っぷり、「白玉楼」が「しらたま」に見えてなんとなくおいしそうなせいかもね。
さらにキャラ崩壊、というよりも二次創作上の残酷なる所業としてババア扱いがある。「東方Project」の妖怪連中は平気で何百年と生き続ける上に見た目は幼かったりするため年齢をいじるのは難しいのだが、八雲紫、西行寺幽々子、八意永琳、八坂神奈子の四人を指して「ババルテット」と証する不届きな一団がある。四人のデザインが華麗なるお姉さんであること、おっぱいボルテージの高いこと、全員が全員ラスボス格であり幻想郷にとっても重要な地位を占めていることから、そのカリスマ性を嫉んだ愚か者の反抗と思われるが、彼女らがババア扱いされている現実は記憶のスキマにでも置いておこう。(トントン)おや?こんな時間に誰だろう……。
――著者がスキマ送りにされたため、以降、後編へ。
文=四日市
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