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特集「女性向けAVの現在形」
彼女たちが観て感じたこと/25歳接客業 恵子さんの場合

特集「女性向けAVの現在形」、満を持して製作された女性向けAVを“アダルト業界の住人ではない一般の女性”が観たなら……。女性に喜んでもらえるよう、様々な工夫が練られていることはこれまでの記事を読んで頂いた通りですが、肝心なのは女性ユーザーの生な反応。というわけで3人の女性に女性向けAVを観た率直な感想を伺いました。2人目は25歳レジャー施設で接客業をされている恵子さん。お話を聞いていただいたのは、ライターの早川舞さんです。
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女性向けAVで本当に女性はオナニーができるのか? 女性向けAVの存在意義を問うべく、シルバーウィーク特集のレビューでご紹介した作品を一般女性に見ていただき、率直な感想やオカズとして有用かどうかを尋ねてみた。
まずお話を伺ったのは恵子さん。レジャー施設で接客の仕事にたずさわる25歳だ。セミロングの黒髪と大きな目が印象的で、年上の男性にモテそうなタイプ。清楚に見えるが、見かけによらない部分もあるようで……。

――今までに男性向けのAVを見たことはありますか? あるとしたらどんな状況で?

「自分から積極的に、ということは少なかったですね。ホテルに行ったときに見ることが多いですが、自分から見るとしたらネットで落ちているものを適当に……という感じです。あとはホテルに行ってセックスしている最中! 相手の男性とのセックスがつまらないときは流れているAVを見て、そっちに感情移入するようにしています(笑)」

――それはなんかヒドイ……(笑)。男性向けのAVで、好きなシチュエーションなどはありますか?

「私はドMなので、女優さんが襲われているぐらいのものがいいですね。凌辱まではいきすぎですけど、そういう方向性のものが好きです」

――普段、オナニーはします?

「しますけど、オカズに映像はほとんど使わないです。活字がメインで、ネットの告白掲示板や官能小説を使うことが多いです。オナニーは10代からやっていますけど、その頃は文庫本の官能小説をこっそり買っていました。今はエロにはお金を使わなくなりましたね。たいていネットで済ませています。
頻度でいうと、1日1回は必ずやります。できれば3回はできたらいいなって(笑)。暇なときは10回以上やることもありますよ。今まではずっと外派だったんですが、最近は小さい電マを使って中でもチャレンジするようになりました。中ではまだイケないんです」

■SILK LABO『ファインダーの向こうに君がいた』を観て

――今回、女性向けAV『ファインダーの向こうに君がいた』と『オナ×MEN』を見ていただいたわけですが……正直なところ、オナニーできました? まずは『ファインダー〜』のほうから聞かせてください。

「論外というほどではなかったんですけど、できませんでした……。もともと映像を見ながらオナニーする癖がないせいもあったと思います。10代の、オナニー覚えたての頃に見ていたらきっとできていたと思うんですけど、いろんなことを知ってしまった今では”物足りないな”と思っちゃったんですよね。
男性向けのAVだと盛り上がりが早いしすぐにわかるけど、こっちはペースがゆっくりで、いつまでもわりと淡々としているんです。女性の反応も薄くて、男性向けだったらアンアン言っているようなところでもあまり声を出したり、大きなリアクションを返したりしない。だから感情移入しづらかったのかもしれません。
ただ、それって悪いことではないと思うんですよ。女性って……私がMだからそう思うのかもしれませんが、“求められている私”が大好きですよね。そこで自分から積極的に行ったら自分が求める側になってしまう。されるがままのきれいな女性を自分と重ね合わせて見たいという願望も確かにあると思うんです。この女優さんは自分からは絶対に自分の体に触れない。全部男優さんに誘導されて触るんですね。女性がすごくきれいなものとして描かれているんです。それもいいなぁと思う反面、でもやっぱり、もう少し女性が興奮しているところも見たかったなと……。最後のシーンだけはそれまでより多少積極的だったけど。
具体的にはもっと乳首を攻めてくれと思いましたね。胸自体を攻めるシーンはあるんですけど乳首攻めが少ない! 男優さんの一人が女優さんに自分でクリを触らせるんですけど、クリだけじゃなくて乳首ももっと!とお願いしたくなりました(笑)」

――オナニーはできなかったものの、女性目線での評価は決して低くはないと。

「低くないどころか、高く評価したいですよ。”ムラムラ”はなくても、”キュン”や”キッ”は本当にたくさんありました。まず設定がオイシイ。主人公が性的に満たされていないとはいえ彼氏がいながら、もう一人の男性に強引に求められて、性的に開花していくという流れのストーリーなんですけど、強引な男に女性は、っていうかMは弱いですよね。攫われたいんですよ、女子は。レイプまでいったらやりすぎですけど、強引さはほしい。そういう夢や願望を満たしてくれます。その部分がセックスシーンで今イチ興奮できない要素になってしまうというのは皮肉ですが……。
1日に10回もオナニーすることのある私が言うのも何ですが(笑)、自ら触るのではなく、強引なほうの彼が触るように誘導してくれるというのもよかったです。”なんて女性のM心をわかっているんだ”って、感動しましたね。イケメンに求められたい、いいなりになりたいという願望を、現実とはちょっと離れたところで実現できて、なおかつ最後は彼氏と愛情のあるセックスができるようになって……って、ホント、理想的な流れでした」

――セックスシーンでの『キュン』や『ドキッ』はありました?

「キスシーンが良かったですね。男性向けみたいにベロベロしていなくて、わりとキレイなんです。あとは舌が徐々に下半身のほうに這っていくところ。すごくエロい!というわけではないんですが、少女マンガで裸のシーンが出てきたときのような微妙なエロさがありました。イージーリスニング風の音楽がBGMだったのも良かったのかも。セックスシーンにもドラマ感覚で入っていけて、テンションが維持されたので。
良くも悪くもセックスシーンは時間的に長かったですね。淡々としているから余計にそう感じたのかもしれません。でもAVとして楽しむかどうかはともかく、実際にはこのぐらいのペースで男性に動いてほしいという女性は多いと思いますよ。特に前戯の部分は丁寧なので、男性にも見てもらって参考にしてほしいです」

■JUICY DINER『オナ×MEN feat.沢井亮〜スーツが似合うイケメンサラリーマンを… 』を観て

――JUICY DINERの『オナ×MEN feat.沢井亮〜スーツが似合うイケメンサラリーマンを… 』のほうはいかがでしたか?

「うーん……こっちはオナニーできる、できない以前の問題として、見ていてつらかったですね。というのも私は何度も言っていますけどMなんで(笑)、男性を攻めることに魅力を感じないんです。Sっ気のある女性だったら面白いんじゃないかなとは思うんですけど……。
そもそも男性のオナニーを見たいという願望自体がないんですよ。付き合っている人のだったら参考程度に見てもいいですけど、それでも1回で十分です。共有したいものではないですね。
でも最初のインタビューの時点では、ちょっと期待もあったんです」

――ほうほう、どんな期待を?

「女優さんのインタビューはあっても、男優さんのインタビューってほとんどないですよね。だから単純に面白かった、好奇心を満たせたというところもあるんですけど、ずっと聞いていたらプロ意識の高い好青年だったし、彼自身に対する好感度も上がったんです。ジャケット写真を見る限りでは展開が激しそうだったから、そんな彼がどんなことをされちゃうんだろうとドキドキしていたんですけど、蓋を開けてみたら特に激しい山もなくてがっかりしました。でもこれって、女優さんのせいも大きいと思います」

――どんなところが気になったのでしょう?

「最初は女優さんが攻める感じで始まったのに、途中で照れて、素に戻ってしまったように見えたんです。最後のほう、射精の前に“イヤだ”という台詞が出てきましたけど、結構本気でそう言っていたんじゃないかなぁ。何だか演技をしている男優さんがつらそうでした。これだともし女優さんに感情移入しようとしても、弾き飛ばされてしまうような気がします。インタビューで男優さんの評価が上がっていたこともあって、“彼はもっと輝けるはずなのに!”となんだかかわいそうになってしまいました。
あとは女優さんが脱がなかったことも物足りなかったですね。それでオナニーできるかどうかはわからないけど、少なくとも私は女性の側に感情移入をしてしまうので、もっと感じてくれたりだとか、フェラチオをしたりだとか、押せ押せで痴女っぽくやってくれたほうが楽しめたんじゃないかと思います。感じている男優さんを見て楽しんでくださいということなのかもしれないけど、私はかわいかったりきれいだったりする女優さんが攻めているところが見たかった。女性側にももう少し比重をかけてほしかったです」

――恵子さんから見て、このシリーズの魅力を語るとしたら、どんなところだと思いますか?

「こういうビデオもあるんだー、というノリで観るのはアリだと思うんですが……。それ以上にはなれないですね。かなり見る人を選びますよね、これ。”男の人がなよっとした態度をとっても平気”というハードルもありますし」

――最後に、今後こういった女性向けAVの新作を自分で買ってみたいと思いますか?

「ダウンロード販売されているものであれば買ってみたいなと思います。一人でこっそりPCで見ます(笑)。パッケージとして持っているのはリスキーですよね。女性はAVを観ないものだと思われているし、そのラインを越える勇気は私にはまだないです。あ、でももちろん自分の好みの作品に限りますが。今回の2作品に関しては難しいですね。もし買うとしたら普通の男性向けを買ってしまうと思います」

――では、どんな内容のものであれば買いたくなりますか?

「『ファインダーの向こうに〜』はかなりいいところまでいっていたんですが、ああいう感じでもう少し激しかったらいいなぁ。セックスのシーンをもう少しねちっこくして、”ヌキどころ”をはっきりさせてほしいです。女性が完全に感じているんだってわかるシーンがあれば生ツバゴクリですね。
でもあれはあれで引きのシーンが多くてハウツーっぽいので、たとえば休日の夜に男性と一緒にゆっくり見るというテもあるかも。そういう場合は男性に買ってほしいですけどね。Mは自分からそんなこと提案できないです(笑)」

――値段は、いくらぐらいまでなら出しますか?

「2000円ちょっとぐらいまでかな。3000円にまでなったら難しいですよね。何かほかのもので我慢します」

AVの感想について、わずかに照れながらも赤裸々に、具体的に語ってくれた恵子さん。おとなしそうな外見からは想像しづらかったが、オナニーの頻度や10代のころからしていたという歴戦ぶりからして、エロへの関心が高く、自分の性癖に正直なのだろう。”年上の男性にモテそう”な雰囲気は、そんなところからも醸し出されていたのかもしれない。
今回のAVは恵子さんにとっては少々物足りなかったようだが、何がないから物足りなかったのかはっきり説明していたことが、変な言い方だが頼もしく感じられた。そしてこういう女性は、発言できる環境がないからなかなか見当たらないだけで、意外といそうな気もするのである。

文=早川舞

『ファインダーの向こうに君がいた (SILK LABO)


監督:つのだまいこ
発売日:2009年8月6日
品番: SILK-002
収録時間: 120分
定価:4,179円(税抜)
レーベル:SILK LABO
販売元:ソフト・オン・デマンド

メーカーサイトで作品詳細を確認・購入する>>>こちら

『オナ×MEN feat.沢井亮〜スーツが似合うイケメンサラリーマンを… (JUICY DINER)


公開日付:2011年8月23日
品番:ptv2360
収録時間: 55分
PPV価格:980円(税込)
制作:JUICY DINER
提供:パラダイステレビ LIVE+VOD

メーカーサイトで作品詳細を確認・購入する>>>こちら

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早川舞
早川舞 世界、特にヨーロッパのフェティッシュ・カルチャー関係者との交流も深い、元SM女王様フリーライター。だが取材&執筆はエロはもとよりサブカルからお笑い、健康関係まで幅広く?こなす。SMの女王様で構成されたフェミ系女権ラウドロックバンド「SEXLESS」ではボーカルとパフォーマンスを担当。
早川舞ブログ=「早川舞ブログ」
「SEXLESS」ブログ=「we are SEXLESS!!」
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