The current AV for woman
特集「女性向けAVの現在形」
彼女たちが観て感じたこと/26歳ウェブ関連会社勤務 瑞希さんの場合特集「女性向けAVの現在形」、満を持して製作された女性向けAVを“アダルト業界の住人ではない一般の女性”が観たなら……。女性に喜んでもらえるよう、様々な工夫が練られていることはこれまでの記事を読んで頂いた通りですが、肝心なのは女性ユーザーの生な反応。というわけで3人の女性に女性向けAVを観た率直な感想を伺いました。3人目は26歳でウェブ制作関連の会社にお勤めの瑞希さん。お話を聞いていただいたのは、ライターの早川舞さんです。
――今までに男性向けのAVを観たことはありますか? あるとしたらどんな状況で?
「彼氏とホテルに行ったときに流れていたものを観たほか、彼氏がPCに入れているものをこっそり観たりしています。彼氏の趣味で洋モノばかりですけど……。でもそれは性欲解消のためというよりは、面白がって観るという感じですね」
――性欲解消のために自分から探したり、あるいは買ったりして観ることはないのでしょうか?
「ネットに落ちている風俗の体験動画やAVのサンプルムービーを観ることはあります。でもそれもわざわざ探すというよりも、たまたまよさそうなものを見つけたら観るという程度ですが」
――そういう映像を観ながらオナニーすることはありますか?
「ありますが、回数は少ないです。最近はオナニー自体ほとんどしないですし。1〜2カ月に一度するぐらい」
――それはオナニーには興味がなくなったからでしょうか?
「というよりも、今は仕事が忙しくてなかなかそういう気分にならなくて。オナニーって疲れるじゃないですか。家に帰るとたいていぐったりしてしまうので、ダブルでぐったりするのはイヤだなぁと。それと彼氏が一緒に住んでいるのも大きいです。バレないようにすることもできますけど、何となく、気分的にイヤ」
――オナニーするときのメインのオカズは何ですか?
「昔はエロマンガを読んでいたんですけど、最近は空想が多いですね。映像の場合はまんまエロ映像よりも、ちょいエロめのドラマや映画が多いです。観ながらではなく、お気に入りのシーンを後でゆっくり思い出して……。特に『ストロベリーショートケイクス』という映画はよく使いますね。何度も観たので鮮明に思い描けます」
■SILK LABO 『東京恋愛模様』を観て
――では、今回ご覧いただいた二作品『東京恋愛模様』と『オナ×MEN』についてはいかがでしたか? 観ながらは無理だったとしても、後で空想しながらオナニーはできそうですか?
「4話目の(注※『東京恋愛模様』はオムニバス形式4話収録)、彼女の誕生日を彼氏がホテルでお祝いしてあげて、そのままセックスという流れの話だけはできそうでした。観ながらというのは難しかったですけど」
――具体的にはどんなところがよかったですか?
「前戯が始まって、男性が興奮していると伝わってくる攻めの描写がよかったです。男優さんが好みの顔だったからというのもたぶんありますが……。あ、でも大映しのシーンは少しひいちゃいましたけどね(笑)。あとは女優さんの体が好き。
でも、これは4話に限らずですけど、全体的にセックスシーンが長くて、飽きかけた部分がなきにしもあらず、です。最初に言ったように、私、エロ映像はサンプルムービーみたいな短いものを観ることが多いので、長いセックスシーンに慣れていないんです。
長く思えたのは音楽のせいもあるかも。ずっとヒーリングミュージックみたいなゆったりしたBGMが流れていたんですが、興奮するというよりは癒されてしまった(笑)。ときどき眠くなりかけましたし、場面自体はエロいのに何だかもったいないなぁと。あとはスタジオの問題でしょうけど、ところどころ外の車の音が入っているんですよね。イヤホンで視聴していたから、それがやけに気になって、今イチ集中できませんでした」
――ほかの3話についてはどうですか?
「1話目と2話目は前置きが長くて…… “そのシーンはいらないだろ”というおしゃれシーンが多いし、台詞も何となくわざとらしいし。これは韓国ドラマに近いものがありますね。
視聴者に感情移入させるためというのはわかるんですが、私の場合はこのテの映像を観るときは、当たり前ですけど興奮したいんです。その場でオナニーするかどうかはさておき、心の準備万端でモニターの前に座っているのに、いつまで経っても始まらない。始まったら始まったで長いし。こういうところは男性向けのほうがいいなと思いました。面倒な起承転結を飛ばしてすぐに興奮させてくれますから。1話目、2話目はそういう意味では、ちょっとツラかったです」
――それに対して、3話目はよかったと?
「オナニーできるほどではないけど、4話目の次によかったです。新婚さんの話なんですけど、女優さんの反応がいちばん男性向けAVに近かったんじゃないかな。ほかのものは女優さんのアエギ声が小さめで物足りなかったんですが、これはそれなりに出ていました。男性向けAVほどのやりすぎ感はないですが、物足りなくもない“ちょうどいい”感じだったんです。あとは前置きが長すぎないのもよかった」
――4話目と3話目の評価の差は何ですか?
「男優さんが興奮しているのがわかりやすかったかどうか、かな。あとは単純に4話目の男優さんの顔や体がタイプだったというのもあります。顔や体がはっきり出てくるので、やっぱり容姿の比重は大きくなりますね」
――では、全体を通しての感想は?
「興奮できる話もあったけど、全体を通しては興奮しづらかったかな。カメラが引き気味で、全体を撮るようなカメラワークが多いせいか、妙に客観的になってしまったんですよね。結合部大映しがいいわけではないですが、自分が主体となってセックスをするというよりは、まるでお隣さんのセックスを覗き見ているみたいな気持ちになるんです。
あとは時間を短くしてほしいですね。いっぺんに全部観る人は少ないかもしれませんが、それでももう少しカットしてほしいです」
――特典映像のハウツーはいかがでしたか?
「一人で観るよりも男性と一緒に観たいですね。何もないところでは話が広がらないけど、これを観ながら“本当にこういうことがいいの?”みたいにお互い理解を深めていければいいなぁと。
AVと同じことをやったら女性が喜ぶと考えている男性が多いですけど、そうじゃないんだよと教えてあげる意味でも一緒に観るのがいいんじゃないかな。男性のほうは気がひけるかもしれませんけどね」
■JUICY DINER『オナ×MEN feat.ムーミン〜近所に住む“カワイイ男子生徒”を… 』を観て
――では『オナ×MEN feat.ムーミン〜近所に住む“カワイイ男子生徒”を… 』のほうはいかがでしたか?
「うーん、私はダメでしたね。これは男性向けに近くないですか? M性感が好きな男性向け。最初と最後のインタビューもいらなかったです。“僕は27歳です”という年齢発言も、高校生の制服を着る男優さんには言ってほしくなかった。単純に男優さんをあまり好きになれなかったというのもあるんですが……」
――男性のオナニーを見たいと思ったことはあります?
「……ないですね。私は、“オナニーは一人でやるものです、各自で勝手にやって下さい”というタイプなので。かわいい男の子とはいってもオナニーを見て、どこで興奮したらいいのかわからない。キャッ、ヤダー!っていうのもないし」
――パッケージではムーミンさんの巨根が推されていますが、そこについては?
「うーん、それほど興味がないというか……セックスするとしたらイヤだなぁと自分目線で考えてしまいますね。大きいのが好きな女性がいないわけではないんでしょうけど、私の場合は“入れるのが大変そうだなぁ”と一歩ひいた目で見てしまいます」
――プレイしている内容はどうでしたか?
「女優さんの立場がちょっと中途半端ですよね。どちらかというと地味で、感情移入もしづらい。それでも、これでもし合体シーンがあれば女優さんが感じている姿に自分を重ね合わせて楽しめたと思うんです。最後は“これだけやっておいて本番ないんだ!”って、拍子抜けしました。女優さんが痴女に徹したら面白かったんでしょうけど、男優さんにオナニーさせるだけっていうのは……」
――やっぱり女優さんが感じているシーンは見たい?
「見たいです! せめて下着とか、Tバック姿だとかが見られたら評価が変わったかもしれませんが、ずっと服を着ているし、痴女でもないし……。男優さんもいつまで経っても全部脱がないですしね。私、スレちゃってるのかなぁ」
――このAVはどんな女性であれば楽しめるでしょうか?
「男性を攻めるのが好きな女子であれば楽しいんでしょうけど……。あとは滅多にAVを観たことがないという女性、男性経験の少ない女性には刺激になるんじゃないかな。男のオナニーって何!?みたいな、性に興味津々な時期の人ですね。もしくはネタで、“こんなの見つけたー!”ってみんなで観ても楽しいかもしれません」
――では最後に、今後こういった女性向けAVの新作を自分で買ってみたいと思いますか?
「DVDでは買いたくないですが、ダウンロード販売のものであればほしいです。たとえ女性向けにしても、店頭で買う勇気はまだありません」
――値段は、いくらまでなら出しますか?
「1000円だと高いかな……800円ぐらいでしょうか。今回観せていただいたSILK LABOさんのほうは4000円以上ですけど、これは確実に高いですね。
でも、路線がこのままだったら、値段が安くても買うのは考えちゃいます。たとえば『東京恋愛模様』の尺が短くなったり、アップのシーンが増えたり、女優さんの反応がもう少し大きくなれば、ほしいなと思います」
オナニーをする習慣があまりないということで、エロ全般に対して興味が薄いのかと思いきや、“まだるっこしい前置きはいらない、セックスシーンを早く見たい”といきどおるなど肉食ぶりを見せてくれた瑞希さん。彼氏と同棲しているせいも大きいだろうが、女性の性欲やエロへの好奇心は必ずしも直接オナニーに結びつかないのだと改めて感じた。
今回二人にインタビューをして少々驚いたのは、彼女たちの求めるセックスは、男性向けAVと同レベルとまではいかないものの、意外に男性的な目線のものであるということだ。その反面そこに至るまでは、設定や男優の容姿による少女趣味ともいえる「胸キュン」も少なからず必要で、この二つを統合させられるかどうか、そして今回インタビューした瑞希さんのように性欲とオナニーの結びつきが弱い女性に何を打ち出していけるかが、女性向けアダルトメディアの今後の隆盛の鍵を握ると思う。
文=早川舞
『東京恋愛模様 (SILK LABO)』
『オナ×MEN feat.ムーミン〜近所に住む“カワイイ男子生徒”を…(JUICY DINER)』
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