イラストレーション・シリーズ「レイヤー百景2.0」第1話/山田高菜 ～その青春～

二次元と三次元とコスプレとレイヤーの境界を行きつ戻りつしながら筆を動かす多元的イラストレーション・シリーズ。絵師・inumotoさんが描き、綴る、物語の中でコスプレを考察していくユニークな連作です。
第1話 山田高菜 ～その青春～
　
おにぎり屋の朝は早い。3.3升炊きの業務用炊飯器で炊き上げられた熱々のご飯に様々な具材を詰め込み専用の型にはめ込んでいく。こうしてその日に販売される大量のおにぎりが作られるわけだがそれはともかくこのおにぎり屋のアルバイト、

山田高菜 22歳。

彼女は幼少より魔法少女アニメに親しみ学生時代に「コスプレ」の魔力に魅せられて以来、毎週末何らかのコスプレイベントに赴いては大好きな魔法少女の衣装に身を包んだその姿を披露している。有名コスプレイヤーには程遠いが、それなりの注目を集めており、そうしている間だけ彼女は本当の自分になれた気がした。ちなみにおにぎり屋はオフィス街に出店しているため土日は定休日となっている。
そんな彼女にも悩みがあった。物怖じしない社交的な性格ではあるものの持ち前の天然さと空気の読めなさによって本当に気の合うコスプレ仲間に巡り合うことが出来ずにいたのだ。
「誰かいい子はいないかなぁ。出来れば小柄でおとなしくてメガネで巨乳で口では嫌がりながらもあたしの言うことを聞いてくれるような......」
そんな身勝手な願望を独り言ちている彼女であったが、程なく運命の出会いを果たすこととなる。フルタイムで勤務していた主婦の田中さん（40）が一身上の都合により退職するため、新しくバイトを募集することになったのだ。パートのおばちゃんたちの噂話ではもっぱら田中さんの旦那の浮気による離婚説が有力だったがそれはともかくとして新しく雇われたアルバイトの女の子の姿をひと目見た瞬間、山田高菜は呟いた。

「キタコレ」

---

関連記事

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

• 1

---

Copyright (c) 2012 Taiyohtosho Co.,Ltd.All rights reserved.