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1983年パンティプレゼント読者応募作品
「恭子ちゃんの淫らな散歩」
告白= 小泉博敏(仮名)

『S&Mスナイパー』誌に登場したグラビアモデルをヒロインにして描く「パンティプレゼント応募小説」。1983年に何度か行なわれたこの懸賞企画の当選作品とは……。本作はモデル・石田恭子嬢をイメージしてファンタジックなプレイ模様を展開させたポップで楽しいSM小説。1983年8月号に掲載された全編を再編集の上で全四回に分けて掲載していきます。
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【1】モデル失格

一応ひととおりの責めはしてみたのだが、どうもしっくりいかない。何故なんだろう? ボクは思わず腕組みをしてしまった。今、ボクの目の前には、一個の、緊縛された裸の女体が転がっている。
山本恭子、19歳。
すんなりと伸びた、きれいな体をしている。しかし、なんとも無表情である。顔ではない。体のの全体に感情がない。毛のない陰部が、余計に白々しさを掻き立てる。
本来、彼女をSMプレイのパートナーとした目的は、この、ツルツル、スベスベの魅力に取り憑かれたからに他ならない。それが白々しく感じられるとは、全く、どうしたことなんだろう。

要するに、途中から気が乗らなくなってしまったのだ。ボクもついにヤキがまわったのかな。
その原因として、一つ考えられるのは彼女があまりにも従順でありすぎることである。従順というよりは、全くの無抵抗であることだ。
彼女は、彼女なりに、ボクに協力してくれている努力はよく判る。でも、たとえば緊縛しようとした時に、ボクがする前に彼女のほうが先に両手を後ろへ廻してしてしまっては、縛る興味だとか強引に緊縛する征服感、というようなものは湧いてこなくなる。さあ、縛って下さい……と、先を行かれたのでは、縛りたくなくなってしまう。緊縛写真のモデルならばいざ知らず、こっちは写すことよりもプレイすることが目的なんだから。

でも、恭子は自分から積極的にSMの中に飛び込んで、それなりに快感を味わっているようである。半ば開いた唇からは、荒い息づかいに交じって、時々、甘い吐息が洩れるし、覆うもの何ひとつない陰部の割れ目に、一条の粘液が絡みついたりしている。彼女が気持ちよくなっている一方で、こっちが一向に乗れないでいるというわけだ。

もう一つ考えられることがある。それは、この、スベスベ、ツルツルである。
そこに毛があることは常識なんだから、あるべきものがなければ奇異に感じられる。たしかに恭子のそこは奇異な感じである。奇異というよりも、最初は美しさを感じた。すばらしいと思った。でも、飽きるほど、見たり触ったりしている中に、“美しさ"は“卑猥"に変化し、ついにはグロテスクに感じられるようになってしまったのである。

ボクはパイパンに憧れていたし、剃毛の趣味も充分もっている。しかし、恭子はパイパンではないのだ。元々の無毛ではなく本来あるものを剃り落としているだけにすぎない。だから、パイパンとは違うのである。その上、彼女は自分で剃っているから、ボクには剃毛の楽しみもないのである。

どうやら、理由はこの辺にあるらしい。
美しく縛られるように協力する、性毛が見えてはまずいから剃る……。これ、すべてフォトモデルとしての彼女の職業意識からきているのだ。

そうなんだ。恭子は、モデルとしてボクの前に居るんだ。彼女はモデルとして協力してくれている。しかし、ボクが求めているのはモデルの恭子ではなく、マゾ女としての恭子なのである。

「ごめんなさい。アタシ、慣れてないもんですから……うまくできなくて……」

ボクの浮かぬ顔を見て、恭子は申し訳なさそうに呟く。

「いや、そんなことはない。あなたが悪いんじゃない。ボクがいけないんだ」

ボクは優しく言ったつもりだったが、彼女には随分厳しく受け取れたらしく、目頭が光ったかと思うと、一条の涙が頬を伝わった。

「SMのお仕事って、むつかしいんですね。アタシ、プロのモデルなのに、先生の意欲をそいでしまって……モデル失格ですわね」

恭子は、詫びた後、淋しそうに微笑んだ。
ボクは、可哀想になり、さっき考えていたことをすべて恭子に話してしまった。
そして、最後に結んだ。

「恭子ちゃん。君は今、モデルじゃないんだよ。ボクと一緒にプレイをするマゾヒストであってくれればいいんだよ。モデルという意識はやめてくれ。そう、モデル失格でいいんだよ。それからね、うまくやろう……なんて考えなくていいの。協力してくれるのはいいけど、いやなものはいや、痛い時には痛いなりの表現を、口なり、体なりでしてくれればいいんだよ。感覚に正直であれば、うまくないほうがいいんだ」

恭子が理解できたかどうかは判らない。しかし、より以上に懸命になっている姿がいじらしい。

「ね、先生。アタシ、最初からやります。縛り直して下さい」

無駄なことなので、やり直す気はなかったが、いずれにしてもロープは解かなければならない。

恭子は、縛られる時だけではなく、解かれる時もボクの先へ先へと気を回して、ボクがやり易いようにしてくれる。
ははん。恭子は、なまじSMの知識を持っているからいけないんだ。それだから先回りができるんだ。彼女に先回りされるようなボクのSMテクニックじゃ、たいしたことはない。だが……まあ、それはさておいて、ボクは、そこで一つの閃きを感じた。
そうだ。今までは恭子が持っている概念の中でのSMプレイだったからいけないんだ。彼女が全く予期しないプレイ、経験は勿論、考えたことも、聞いたこともないプレイをすれば、彼女が先回りをすることはできまい。

ボクは、そう気が付くと、もう一度……というよりは、改めて恭子を苛めてみたくなった。

ボクは、まず、恭子にアヌスバンドを締めさせることにした。
恭子を椅子に掴まらせ、尻を上げさせ、アヌスにメンソレータムをたっぷり塗り込んで、まだ犯されたことのない固くすぼまった菊の門を揉みほぐし、アヌスバンドに装着してある長く太い突起物にもメンソレータムを塗りつけて、彼女の肛門に押し込んだ。

さしたる痛みはなかったようだが、尻をよじってそれを受け入れる恭子は、汗をびっしょりとかいている。
恐らく彼女は初めての経験であろう。驚き、彼女の感情も、体の動きも、すべてが固くなり、顔面も蒼白である。
やがて、メンソレータムのじんわりと滲み込んでくる熱い刺激が、彼女の心と体を柔らかく揉みほぐしたようである。顔に赤味が戻り、尻のうねりも微妙になってきた。

アヌスバンドをしっかりと締めつけて、次はヴァギナへ電動こけしを押し込んだ。ここは、メンソレータムをつける必要も、揉みほぐす必要もなかった。アヌスバンドを片寄せて、肉襞を左右に分け、ねじり込むだけでスムーズに挿入できた。そこは既に、口を弛めて、ねっとりとぬめっていたからである。

性毛がないというのは便利なものである。毛を掻き分けたり、一緒に入り込むのを防ぐことも要らないのだ。こけしを挿入した後、念の為に、スベスベツルツルにもメンソレータムをたっぷりと擦り込んだ。スベスベツルツルがなおさら滑らかになり、艶を増した。

アヌスバンドの陰部の箇所は、ちょうど膣口に当たる辺から四本の紐に分かれ、割れ目を拡げる役目と陰核を挟みつける役目もしているのだが、ボクは、この皮紐をうまく使って電動こけしの押さえにした。

こうして恭子は、前後の穴に性具を嵌め込まれ、バンドで押さえられてしまったのである。ボクは、パンストでない普通のストッキングを恭子に穿かせた。彼女は自分で穿こうとするのだが、腰を折っても前後の穴が刺激されるし、かと言って足を曲げても刺激されるし、大分、手こずっているようである。

ボクは、それを見てほくそ笑んだ。

――うん。この調子だと、うまく行くぞ。

次は、乳房の緊縛である。ロープを“綾"にかけて引き絞ると、形のいい乳房が固くしこって、きゅんと上を向いて、ぶるるん、と躍った。その突き出た乳房の先端を捉えようとしたが、ここはまだ隆起していない。揉んだり弾いたり擦ったりして、ようやく乳頭を大きくし、その乳首を、きゅっ、と水糸で括った。
水糸の両端は、乳房の上部を締めつけているロープとアヌスバンドに結えつけた。水糸はぴーんと張っているので、体を動かす度に乳首が引っ張られる訳である。

さあ、これですべて完了。
レインコートを恭子の肩にかけて、一カ所だけボタンを止める。
極端に踵の高いハイヒールを履かせると、ボクは恭子に言った。

「さあ、新宿へ食事に行こう」

(続く)

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