Hujio Hama presents Fantastic Prison Novel. あぶらいふ的『S&Mスナイパー』アーカイブ! 1993年9月号掲載 常識ある大人のための肉筆紙芝居 監禁シミュレーション・ノベル 「女囚くみ子」第五回 文・画=浜不二夫 Illustration & Text by Hujio Hama |
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屈辱の性器検診
死ぬ思いの身分帳作りがやっと終わって、ホッとするまもなく、さらに残酷な命令が私たちを打ちのめすのでした。
「では次の検査だ。称呼番号順に並べ! 861番! 862番! オイ865番! 早く並べ! ヨーシ、キヲツケッ! 駆け足! 前へーッ進めっ」
部屋の扉が開きます。マッパダカで首から番号札をブラ下げた、この惨めな格好で外来者も大勢通る廊下を走らされるのです。 看守さんの笛に追い立てられて、私たちは、白い家畜のように、丸出しのお尻をゆすって大勢の人の前を走らされ、哀れに恥を晒すのでした。
長い廊下の突きあたり、医務室と札がかかった部屋へ、私たちは追いこまれました。おもいっきり明るい照明に照らされた部屋の真ん中に置かれた、変な形のベッド。ベッドの端は、お尻の乗るあたりで丸くえぐれていて、その両側には、太いパイプの先に足を乗せる台が高々と……。
「検診台!」
乗せられた経験のない私にだって判ります。あそこで、私たちは、女にとって口に出すことさえできない、恥ずかしい場所を検査されるのです。しかも、こんな大勢の人の前で……。 女の看守さんが、私たちのほうをむいて怖い顔で言いました。
「禁制品や危険物を隠していないか、検査します。順番に検診台にあがって! 861号!」
初めてなのでしょうか、まだ若い861号囚は、シクシク泣きだしました。
「泣いたってダメよ。監獄法で決まっている検診なんだから。グズグズすると男の看守さんを呼ぶわよ。力ずくで台の上へひきずりあげられて、縛りつけられたほうがいいっていうの?」
逃げることも逆らうこともできないのです。861号は、泣きながら台にあがり、あおむけになるほかありません。
看護婦さんが、邪険に両足を足乗せ台に引きあげ、ベルトで固定します。ハンドルが操作されると、彼女の両脚は、どうすることもできず左右に大きく開いて、ノーパンのお尻を高々と宙に突き出したあられもない格好に……。女がそんな格好をさせられれば、当然のこと、女にとって死ぬよりつらい最後の秘密さえも、明るい照明の下で、思いっきりあさましくさらけ出してしまうのです。前のアソコはもちろん、それ以上に恥ずかしいお尻の穴までなにもかも……。
看護婦さんの合図で、医者が入ってきました。いやらしい感じの中年男でした。もうじき私、あんな格好をさせられて、あの男の医者に……と思うと、マッパダカの体がカッと熱くなり、目の前がマッ暗になりました。医者は、検診台の上の861号の姿勢を見て、満足そうにうなずさ、裸でふるえている私たちのほうを見てニヤリと笑いました。
「これから、お前たちの前うしろの穴を検査する。時々ヤク(薬)やタバコを隠して持ちこもうとする奴がいるからな。どんなに奥深く入れておいたって、こっちにはこういう器械がある。知っているか。通称アヒルという。このクチバシをこうやって、お前たちの下の口にくわえさせて、ここをこうやれば、お前たちがどんなに股ぐらに力を入れてたって、奥の底までパックリと口を開く」
本当でした。その、ヘンな形をした器具が、チチチとかすかな金属音をたてて操作されると、861号の恥ずかしいオンナの個所は、見るもあさましく口を広げられて奥の底まで……。私は見ていることができずに眼をそらしました。だれがこんな器具を考えたのでしょう。女の恥辱の個所の構造をとことん知りつくして作られた、残酷な器具でした。
順番に台の上に追いあげられて、とうとう私の番がきました。どんなに泣いて頼んでも、私だけ許されるはずがありません。私は、死ぬ思いで、下穿きさえはいていない足をあげて、検診台にのぼるほかありませんでした。あおむけにされ、乱暴に両脚を足乗せ台に引きあげられてベルトで固定され、看護婦さんの手がハンドルを動かすと、私の両脚は、恥ずかしさに悶える私の気持ちなどに何の関係もなくどんどん左右に開いてしまい、そのうえ高々と天井にむかって……ほかの女囚たちと何の変わりもなく、私も女の恥辱の個所をおもいっきりヒワイに天井へ向けて丸出しにした、あのカエルをひっくりかえしたような哀れな姿勢をとらされたのでした。
「次、お前か。何号だ、称呼番号と名前を言え!」
みんなやらされていることでしたが、こんな格好で自分の名前を言わされるのは、たまらない屈辱でした。虫が鳴くような声を出す私を医者がどなりつけました。
「聞こえないッ。声が小さいと、なんべんでも言わせるぞ!」
「ハ、 ハイッ。865号、丸、丸矢くみ子です」
震えあがった私は、かすれた声で、哀れに恥部を晒させている女の名前を、自分の口で叫ばされるのでした。
そして続いて、体の恥ずかしい中心を突き抜ける、冷たい器具の感触!
「アッ!」
私は、思わず叫んで身をくねらせましたが、腰とひざをガッチリと固定されている私のお尻は、ビクとも動きませんでした。死ぬほど恥ずかしい個所をおもいっきり広げられ、中までのぞきこまれる気配に、私は、しっかりと目をつぶり、必死にくちびるを噛んで声が出るのをこらえました。器具を動かされるたびに、言葉では言いあらわしようもない感覚が、女の個所から頭の芯へ突き抜け、どうしても声が出てしまいます。女の恥辱の個所の中まで、何か隠していないかと広げられ、覗かれているのだと思うと、火のように火照る頬を屈辱の涙がボロボロと伝いました。
乱暴に器具が抜きとられました。やっと終わったのかと思うと、
「ヨーシ、次は尻の穴だ。大きく口をあけていろ。力を入れていると痛いぞ」
ポカンと口を大きくあけたまま、恥ずかしい場所をなぶられるのを待っているのは、奇妙で惨めな屈辱でした。思考も停止してしまった私は、自分でさえ中まで触れたことなどない場所に突きささる器具の痛さに、我知らず、
「アウッ!」
と獣のように声をたてて、焼け火ばしをつきたてられたような感覚を味わわされていることを、あたりじゅうの人に教えてしまうのでした。
「ヨーシ、終わり。お前は未婚か。処女じゃないがまだ割合キレイだな」
聞こえないふりをしましたが、女の体の秘密をあますところなくあばかれ、女の生命の個所まであからさまに批評される屈辱に、大急ぎで検診台をおりる私の頬を涙が伝いました。
もちろんのことだれひとりとして例外は許されず、一人残らず前うしろの恥ずかしい個所をシッカリと検査された私たち女囚は、もう一度マッパダカのまま廊下を走らされて領置室へもどりました。動くたびに、前うしろから体の芯を突き抜ける痛みにも似た感覚。その感覚に、私たちは「女の恥部」の奥底まで、残酷な器具に貫かれなぶりまわされた屈辱を否応なしに思い知らされ、惨めに泣きながら、股を少し開いたガニ股でヨタヨタと走るのでした。
女の肌に屈辱の囚衣
領置室にもどって、あいかわらず素ッ裸のまま整列させられた私たちは、一人ずつ前へ呼びだされて、ようやく着る物が渡されるのでした。
「これは官給品だから大切に扱うこと。なくしたり、故意に破ったりしたら懲罰だからね。パンツ二枚、シャツ二枚、シュミーズ二枚、居房着一枚……」
上も下もスッポンポン、何一つ覆うもののない裸の下半身を人前に晒して立たされて、恥ずかしさに身悶えていた私は、一刻も早くせめて腰を覆おうと、大いそぎで、支給された下穿きを手にとりました。穿こうとして、私は、もう一度惨めさ、口惜しさに体が熱くなりました。女囚の下穿き、それはビックリするほど大きな白い木綿のズロースでした。厚い木綿地でダブダブに作ってあり、ふともものところをゴムでギュッと絞ったブカブカの特大ズロース。今どき田舎のおばあさんでも穿かないような、なんともいえない不格好な代物でした。不格好なだけならまだ我慢します。そのズロースは、だれとも知らない女囚の穿き古しなのです。ヨレヨレの洗い晒し、そしてズロースの股のところには、どう洗っても落ちない大きな黄色いシミが。こんな下着で女の一番敏感な部分を包まなければならないなんて。女囚の一人が震える声で言いました。
「こんな、人が穿いた下着なんて嫌です。自分のパンティを穿かせてください」
「お黙り!」
みなまでいわせず女看守がどなりました。
「自前の下着なんて二級囚以上でなければ許されないんだよ。お前たちは官給のズロースを穿くのがきまりなんだ。ちゃんと洗って消毒してあるよ。グズグズいうやつは一日中スッ裸でいさせてやろうか。明日になったらそのズロースを押し頂いて穿くようになる。だいいち、だれがもう着ていいといったんだい。まだだよ。官給品には全部白い布がはってあるだろう。それに自分の呼称番号を書くんだ。いっぱいに大きく! だれの物だかすぐわかるように全部書いたかい。ヨーシでは下着をつけてよし」
涙をこぼしながら、私は、その穿き古しのズロースに足をとおしました。裾はふとももの半ばまで、上は、おへその上まであげてもまだブカブ力の特大ズロース。股の中心に黄色い大きなシミがあたる気色悪さ。そして下腹の真正面にくろぐろと大きく私の囚人番号が。下着さえ女の体をやさしく包む衣類ではなく、女囚の心を屈辱のドン底につきおとす、苛酷な責め道具なのでした。
不格好なシュミーズをつけ、モンペのようなズボンをはき、ズロースと同じように囚人番号のついた、上っぱりとも半纏ともつかない灰色の上着を着た私たちの姿は、紛れもない懲役囚の格好でした。私たちは、おたがいの哀れな姿に思わず目をそらせてうなだれるのでした。
「整列! 右むけ右! 前へ進め!」
長い長い廊下を、これから入れられる房舎へと歩かされます。窓にはすべて鉄格子がはまっています。コンクリートがむき出しの薄暗い廊下に私たちのゴム草履の音がひびきました。途中、何個所も鉄格子のはまっている扉があって、看守が見張っています。その都度、書類の写真と私たちの顔とが見くらべられるのでした。
居住区と呼ばれる房舎へ入ると、両側に覗き窓のついた鉄の扉がならんでいます。
「○○号、お前はここだ」
私たちは、ひとりずつ房へ入れられてゆきました。
「865号! お前だ。ここへお入り!」
女看守は一つの扉を開けると、私を指さしました。畳三帖敷きの狭い独房、片隅に布団が積んであるだけで家具は何一つなく、一番奥の一帖分は板敷きで、洗面台とそして囲いも何もないムキ出しの水洗便器が白々と冷たく光っていました。ここで、覗き窓から見られれば丸見えの格好で、用を足さなければならないのです。まるで少し大き目のお便所に入れられているような感じの独房でした。看守に命令されて私は草履を脱いで部屋に入り、扉のほうを向いて正坐しました。
「ヨーシ、今日はこれで終わりだ。夕方までそこに座って、よーく自分の罪を反省していなさい。勝手に横になったりすると懲罰だよ。就寝は九時、朝は六時に起床の号令がかかる。すぐ起きて布団をキチンとたたんで、今の姿勢で正坐して点呼を侍っていなさい。点呼が終わってから洗面、食事、それからはそのあと命令します。静かにしているんだよ」
そう言うと看守は扉を閉めました。
「ガシャーン」
重々しく鉄の扉が閉まり、
「ピシーン」
鍵のおりる音がしました。試してみるまでもなく自分では絶対に開けられない、私を閉じこめるための扉なのです。こうして私の懲役囚としての刑務所生活がはじまったのです。「臭い飯」という言葉どおり変な匂いのする食事は、どうやってものどを通りませんでした。それが一週間もたつと、こんな食事が待ちどおしくなるのですから、人間ってどんなことにも慣れてしまえる動物なのですね。その夜は固い布団の中で、今日一日の屈辱の思い、明日からの不安に眠れぬ夜を明しました。
(続く)
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浜不二夫プロフィール 異端の作家。インテリジェンス+イマジネーション+ユーモアで描く羞美の世界は甘く、厳しく、エロティック。 「 悪者に捕らわれた女性は、白馬の騎士に助けてもらえますが、罪を償う女囚は誰にも助けてもらえません。刑罰として自由を奪われ、羞恥心が許されない女性の絶望と屈辱を描きたかったのです。死刑の代わりに奴隷刑を採用した社会も書いてみたいのですが」 |
09.06.19更新 |
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