WEB SNIPER special Interview with Denjin Kobsyashi
禁断ハード・ブリーディング・ノベル『赤い首輪』完成記念、著者インタビュー!!
先頃、3年間に及ぶ長い期間の連載を終えた長編官能小説『赤い首輪』。その執筆にはどんな舞台裏があったのでしょう。著者である小林電人氏に編集部がインタビューを敢行、創作の秘密から次回作のイメージまで、全編を振り返りつつたっぷりお話ししていただきました!!編集部(以下・「編」) 『赤い首輪』が無事に完結しましたね。ありがとうございました。
小林電人(以下・「電」) また長くなっちゃいました。前回の『羞恥の教室』より長いんですよね。正直、結構辛かったです。話が広がりすぎて、もう収拾つかないというか、こんなに長くやる予定ではありませんでしたしね。
編 架空歴史官能小説というジャンルがあるのかどうか分かりませんが、素晴らしい出来になっていると思います。
電 ヘンなことになってますよね。本当はもっとポルノ寄りな連作という形にしたかったんです。設定はあくまで裏設定で、あまり表には出てこないようにして。
編 第3章「アイドル・さやか」くらいまでは元々の狙いのままの流れなんですよね。
電 そう、一話ごとに完結してっていう。元々この小説はAVと連動させる予定だったので。
編 第1章「教え子・まる」ではその写真が使われています。
電 ところが実際には二つしか撮れなくて。撮ろうと思ってたんですけどね。
編 それは設定が深くなりすぎて映像での再現が難しくなったということですか?
電 というよりも撮りたいものとテーマのバランスとか、いろいろ考えてしまって。
編 編集部の意向もあって、『赤い首輪』はとても大きな世界観を持つ小説になりましたが、伏線の回収や整合性の見事さは『羞恥の教室』と比べ物にならないほど圧倒的になっていると思います。
電 いや、結構行き当たりばったりだったんですよ(笑)。伏線はほぼ回収してるかな。でも後から伏線を拾ってるんで「しまった!」っていうことが何度もあって。なんでこんなこと書いちゃってるんだろうとか(笑)。
編 具体的にはどのあたりでしょうか?
電 最終章「奴隷の王」がまさにそう。麻由里が北尾の元を離れて敵対する国に送られていきますが、最初に麻由里を出した時はそんなこと考えてなかったんですよ。でもここで麻由里を送り出しておけば北尾の性格を形成するための要素になるかなと。焦ってるうちにパッとピースが嵌まることが時々あるんです。
編 改めて読むと、共和国側で権勢を誇っている鈴木太郎に何人も女を送ってるという設定が前もってあるんですよね。
電 そうなんですよ。先に書いたことを読み返しながら、綱渡り的に考えていました。
編 第11章「学級奴隷・真弓」の時も......。
電 ああ「真弓」っていう名前ですね。第5章ですでに別の「真弓」を出していて。しまった、なんで一緒の名前にしちゃったのかなって(笑) 。
編 でもそのフックが後で利いて、名前を同じにしたことが最終回の井浦所長の所業にまで響いてくるという、驚きの展開を遂げることになりました。
電 あれは大きいですね。井浦は元々あんな役の予定じゃありませんでしたから。名前が同じなことを伏線に変えた結果として、結末がああなったんです。北尾を殺すということは考えていましたが、誰が殺すかというと本当は......。
編 スピアですか。
電 そう、スピアが殺すのかなと思っていましたけど、殺さないなあと(笑)。それに予定ではスピアと真紀が脱走するところで終わるはずだったんですよ。ただ書いていくうちに、この人たちは脱走しないなあってことにもなって(笑)。
編 それでエピローグで全然違う男女を逃がしたんですね。
電 はい。第13章「女上司・麻奈美」の時に首輪が外れるっていうことを書いておいたので。あれも本当は、首輪がどんどん外れていって体制がちょっと揺らぐという話を入れるつもりだったんだけど、すっかり忘れてたんで最後にちょこっと入れたんです。
■百花繚乱のヒロインたち
編 他に苦労されたのはどんなところですか。
電 ヒロインのバリエーションをつけないと、というのが難しかったですね。僕の好きな女のタイプって狭いんで(笑)。好きじゃないタイプを書いてもつまらないし......。
編 その意味で面白かったのは、第8章「体育教師・けい子」の話。あれは異色のレズものでした。
電 レズは書いてみたかったんですよね。
編 あの話は後に安藤玲子のエピソードにも繋がりますね。また第10章「特殊奴隷・晶」は本当に特殊なヒロインでした。。
電 もともと男の娘ものっていうのを描けないかなと思っていて。でも難しかったですよ、やっぱり。
編 晶は後にエリカと組んで第12章「指導者・レイヤ」ではPTWの指導者と関わっていくことにもなります。
電 そうそう。女の指導者を落とす話も入れとかなきゃいけないと思って、それじゃあ晶を使おうと。当初の想定はレズでいいと思ったんですが、レズだと思ったら男だったとひと捻り入れることにして。
編 あの特殊奴隷には敵対している共和国日本の観光客船が事故に遭って、漂流してきたという、とても政治的な設定が込みこまれていて、他の場面でも使えそうな伏線にも思えました。
電 そうそう。でもちょっと活かせなかったですね。活かすつもりはあったんだけど。
編 奴隷を再調教する施設が島にあるという設定が非常に活きたエピソードだと思います。そしてPTWのレイヤの時には、リアルビジョンというUSTREAM的なメディアも登場しましたね。
電 いやあ、すっかり忘れてますね、そういうのを使ったというのも(笑)。整合性を持たせるために書いたものは何度も読み返したんですけどね。
編 その整合性が全体を強固に補足していって、もの凄く濃い、しかもしっかりとした世界観が構築された作品になったと思います。
電 不思議な作品になりました。狂ってますよね、なんかね。変な小説ですよ(笑)。
■広がる世界観、バラエティ豊かなプレイ
編 この小説の世界観を支えているともいえるサガラ財団の理念なんですが、あれだけ女性に酷いことをしているにも拘わらず、実は戦争抑止で世界平和を求めているんですよね。
電 大の平和のために小の犠牲はしょうがないという発想があるじゃないですか。それを突き詰めたものだということと、あとは要するに、男は一発抜いちゃうと......。
編 賢者タイムですね(笑)。
電 って言うと身も蓋もないんだけど(笑)。ストレスを他で発散すればすっきりしちゃうんじゃないかって。
編 賢者タイムが世界を救うという話だったんですね(笑)。
電 そうですね(笑)。女をあてがっておけばいいんじゃないかみたいな。ただし基本的に男は皆サドであるという前提になっていて、マゾ男性のことをまったく考えてないんですよね。
編 世界平和をサガラ財団の目的にしようと決めたのは最初からですか?
電 それは最初からです。日本が分断されて緊張感が高まってるという時に、ガス抜きのために奴隷をっていう。ああいう奴隷がもらえる立場にある人は反抗しないんじゃないかなと思って。第14章「収容所長の密かな愉しみ」の少年院みたいな収容所のシーンでも、院生のガス抜きのために公務奴隷が使われるという同じ構造を描きました。酷い思想なんだけど、基本にはその考え方がずっとあるんです。
編 賢者タイムのメタファーが実はいろんなところに散りばめられていたんですね(笑)。
電 それは実は、ポルノの有用性をディフォルメした形で示してるんです(※現実のポルノも男性の粗暴性を抑制していると思う)。要するに、ポルノに反対する人たちは従事してる女の人たちが可哀想だってことを言いますが、それと構造が一緒なんですよね。まあ奴隷になる人は可哀想ですが、ドールは洗脳されて世界平和のためになってるんだから、という物語にしてるのと少し近いですよね。
編 通常2年の奉仕期間が終わった後に選ばれた優秀な奴隷だけが島に送られて外交奴隷となるわけですが、その詳細が明かされた回が第7章「肛虐奴隷・穂奈美」ですね。彼女が洗脳されていく様子が描かれるという回でした。こうした世界観もそうですし、プレイ的にもかなり広がりのあるシリーズになったと思います。その点で今回とても大きかったのは、最終的には愛だよ、愛みたいな、電人さんらしからぬテーマが表に立っていたことだと思います。
電 愛というか、ノーマルなセックスでいいんじゃない?みたいな。
編 最終章「奴隷の王」では、"真紀と宮本が今まで散々な経験をしてきた二人だが、ノーマルなセックスが一番気持ちいい"みたいなことが書いてあって(笑)。
電 そうそう。あの人たち、あんまりノーマルなセックスはしてなかったっていうね。その辺も本当はもうちょっと書きたかったですね。
編 小林電人さんと言えば前作『羞恥の教室』から「いやあ僕はノーマルなセックス描きたくないんですよ」と(笑)。むしろ連載を始めるときに「ノーマルなセックスを書かなくても大丈夫ですか」って言われたにも拘わらずだったので、非常に驚きました。
電 本当は描きたくないんですが、『赤い首輪』だとセックスを描かないわけにはいきませんでした。あんまり描写はしていませんが、話としてセックスしないわけないじゃんというのがあるので、そこは整合性として書かなければと。
編 それでも電人さんらしいなと思ったのは、非常に特異なシリーズになっている第3章「アイドル・さやか」。彼らにまともなセックスをさせないために、すでに処女が奪われているからお尻を責めるという、極めて電人さんらしい設定があって(笑)。
電 あれはAVにしたかったですね。
編 そしてなんだかんだで宮本、スピアもなぜかお尻が好きになっている(笑)。
電 お尻好きばっかりなんですよね。そこはやっぱり、僕の趣味で(笑)。どうしてみんなそんなにお尻が好きなのかってちょっと考えたかったんだけど、思いつかなくて書けませんでしたね。
編 北尾の場合はちょっと違いましたね。麻由里のお尻を調教してましたが、あれは職務として与えられていただけですからね。
電 そうそう。そんなに好きじゃないということを前のほうで書いちゃったから(笑)。あとあんまり調教が上手くない感じで描いてあったので、またしても「しまった!」と。あそこでサガラを引き継がせてもいいと思っていたんだけど、そう言えばこいつは上手くないんだと思い出して。
編 それで政治的な手腕を発揮する方向に。
電 そうです。結構数学的に、これはこうだからこっちだなっていう感じですね。
編 井浦所長の性癖もなかなか......。一見ステレオタイプに見えますが......。
電 フェチですよね。ロリコンのフェチ。
編 官能小説は女性を貶めるプロットになりがちな中、井浦所長のようなフェティッシュなキャラは珍しかったです。
電 マゾを描いてないんですよね、結局。僕自身がマゾ男性を描くの苦手なんで。でもちょっとそういう感じのものも入れたいなあと。
編 では井浦所長は一応マゾ担当みたいな。
電 まあフェチですけどね。マゾ担当に近いところですね。
編 「特殊奴隷・晶」は催眠によって3人の人格が入れ変わるんですが、マゾ女性のままではなく、サディスティックになるのも描ききれないからだったりして(笑)。
電 そうですね(笑)。あれも描いてくうちにそうせざるを得なくなって、結果として出来上がったものなんです。
■タイトな官能描写に遊びを添えて
編 今回の『赤い首輪』は、文章的試みが行なわれていた作品でもあったと思います。たとえばアイドル編や、宮本が最初に登場する時は男の一人称でしたし、「学級奴隷・真弓」の時には、女の一人称でも日記的なですます調であったり。かと思えば三人称が通常にあったりして。それに子供がリアルビジョンを見ているという一回きりの番外編「愛子の公開羞恥刑」、鈴木太郎と戦った愛子さんという闘士を貶める話もありましたが、その辺りの、小説家としての技術的な試みについてもお話し頂ければ。
電 それは単純に、小説の技術がないからテクニカルな方向に走ったということですね。ただ描写は意図的に言葉を削ぎ落として、シンプルにしていきました。『羞恥の教室』の頃のほうが回りくどい文章だったと思います。ラノベじゃないけど、たとえば2ちゃんにある小説のスレとか『やる夫』とか、会話だけしかなかったりするんですよ。これでも物語になるんだ、というものを見ていると、ゴテゴテと文章を書かなくていいのかなと。だから描写はあっさりしていたと思います。
編 『羞恥の教室』の時は官能描写に入ると一話分が丸々官能描写だったりしました。でも『赤い首輪』は物語の展開あり、伏線もあり、そしてしっかり勃起させる官能描写もありで、一回一回が濃かったですね。
電 官能描写というか、シチュエーションの描写ほうが萌えるのかなみたいなところもあって。あとは官能描写そのものは結局似たのになりがちだから。これって前にも書いたなみたいな(笑)。それプラス僕の場合、そんなに小説を書きたいという意識もないので、いろいろ遊びを入れてという思いがあったんです。
編 なるほど。本来ならもっと続けていただきたかったですし、それが可能な世界観を持った作品でしたが、今回は電人さんのほうでそろそろと......(笑)。
電 ずいぶん前から言ってましたよ。もうやめたいって(笑)。本当にしんどかったんですよ。繰り返しになりますが整合性とかもあるので、自由に書きたいものを書くというわけにもいきませんし。オムニバス形式にすればできるかなと思ったんですが、世界観のほうがどんどん勝っていっちゃうと難しいですよね。
■次回作と最新AV・さらに広がる電人ワールド
編 ということも踏まえて、次回作のことを。
電 次回はライトなスケベなものにしたいなと思っています。
編 『赤い首輪』が非常に面白かったので、この重厚な世界観を求める読者もいると思いますが。
電 とりあえず2作くらいは普通の羞恥なエロものを書いて、それからがいいですね。ちょっとコミカルな感じのものとかも。
編 ぜひお願いします。今まで世界観の縛りがあって書けなかったものも。宇宙人が出てくるようなものとか!
電 一応、つぎに書こうと思ってるのは、町内会温泉旅行っていう(笑)。
編 (笑)。『赤い首輪』の第2章「若妻・麻美」に商店街組合の肉屋が出てくる話がありましたね。
電 商店会が好きなんですよ(笑)
編 電人さんが電気屋さんだけに、生々しさが違いますか。
電 そうですね、男同士の付き合いとか、いいもんだなあと。まあそれはそんなに長くないやつで。あとは学校ものがいいですね。やっばり原点というか。
編 空前の熟女ブームとも言われていますが。
電 熟女は苦手なので『赤い首輪』でもあんまり書いてないんですよね。
編 そう言われればそうですね。一番年上は......。
電 第2章の奥さんも、まだ30歳にいってないですからね。真紀が最終的には30歳超えてるはずなんですけど。熟女はほとんど登場しませんね。
編 老人は出てきますけどね。
電 でもお婆さんは出てこない(笑)。老人はチンコが立たないところがいいんですよ。
編 (笑)北尾も不能設定でしたね。
電 不能のサディストっていいなというのがあって。歴史上の人物でもそういう話があるじゃないですか。やっぱり面白いのかなあと思うし、そうするとセックスしなくて済むなと。
編 では最後に、最近のAV活動についても教えて下さい。
電 撮ったまま編集してなかったものが結構あって、それを今度立て続けに出す予定です。
編 小説も一息ついたというところで。
電 そうですね、小林電人レーベルみたいな形でやってたのを、今度マリオンという、二村さんとか豊田薫さんがやっているレーベルで出すことになって。もともと流通をやってもらっていましたが、たまにしか出さないと棚が取れないらしいんですね。それだったらマリオンの中で出したほうが置いてもらえると聞いて。
編 先日の遠藤さんと安田さんのラジオでも話が出たんですが、笠木忍さんを撮られたそうですね。念願だったということですが。
電 『羞恥の教師』では「忍」という名前を彼女からいただいたくらいですから、それはもう。その作品は笠木さんが実は僕の奴隷だったという設定で、ちょうど先日、発売されたばかりですね。タイトルは『プライベート調教 アナル舐め奴隷 笠木忍』です。
編 奴隷というのは『赤い首輪』的奴隷ということですか?
電 いえ、もうちょっとプライベートな。アナル舐めばっかりさせてるんです(笑)。その次には町内会で買われる少女という、町内会ものの作品が一つ出ます。さらにその次には僕の本当の奴隷とのプライベートビデオを出します。
編 設定ではなくて、本物の。お蔵出しですね。
電 そうです。ちょっと撮り足した部分もありますけど、プライベートビデオを編集したものが出ます。加えてもう一つ、アタッカーズで脚本を監修した作品がもう出ています。杏樹紗奈っていう一部で話題を呼んだ女の子が出演していて。その時はよく知らなかったんですけど、ちょうど当てはまっちゃったんですよ。タイトルが 『ネットで生き恥を晒した少女』という(笑)。
編 まさに『羞恥の教室』の世界ですね。
電 そうそう。あまりにもタイムリーなことになっちゃって、2ちゃんとかで変なふうに広がっちゃったんだけど。内容はネットでハメ撮り写真が流出しちゃった女の子の話で、確かに『羞恥の教室』の最後のほうに近いですね。監督は僕じゃないですが、凄く電人っぽい感じにはなっていると思います。
編 小説もひと段落したところで、さらなる電人ワールドを皆さんに楽しんでもらえるということですね。今後ともよろしくお願いいたします。
電 こちらこそよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
構成=編集部
『プライベート調教 アナル舐め奴隷 笠木忍(MARRION)』
『首輪少女さゆり 肛門専門奴隷として調教される少女』
『首輪少女 中○三年生 まる』
『ネットで生き恥を晒した少女(アタッカーズ)』
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電人公式サイト
「羞恥専門小林電人公式サイト」
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「理想のSMビデオを作りたい!」
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12.06.04更新 |
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