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咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫  第1回「牧瀬茜」【5】
写真・文・インタビュー=インベカヲリ★ モデル=牧瀬茜

ストリップ劇場でのストリップショー。黄金時代は過ぎたといえ、根強いファンはいまも劇場に通っています。そして踊り子たちもまた踊り続けているのです。そんな彼女たちの姿を追う「舞姫爛漫」、いよいよ牧瀬茜さんの最終回!
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たぶんどこかで自分は生きていていいのだろうか?って
考えているからなんだと思います
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ダンスのレッスン

デビューしてから6年が経ったころ、牧瀬茜は小さなスランプに直面していた。踊り子はダンスが上手である必要はない。レッスンを誰かに強制されることもないし、たとえミスをしたとしても誰に怒られるわけでもない。しかし自分のイメージ通りに踊れるようになりたいと思った牧瀬茜は、ダンス教室に通うようになった。

「今、私が習っている先生は、精神面をとても重視する方です。カラダの軸とか中心について教えてくれるんですけれど、それはヨガとか気功に似ている部分があるんです。心に抱えてる問題とダイレクトに繋がっていて。例えば私は、自分を隠して生きてきた時期が長かったから、育てなきゃいけないことが育っていなかった。つまり心に核がないんですね。だから物事を決めるときにも自分の中に正しさがない。基準がないんです。だから踊りにも芯がないのかなって」

コンプレックスを一つ一つ克服してきた牧瀬茜だったが、避けて通ってきたものは、カラダの動きに全て表れていた。心の奥底では未だ解消されていない問題が潜んでいたということだ。そして、それに直面できたことは、新たな一歩でもあった。

「思い通りに動かせないものが多すぎることがわかったんです。例えばバレエの基本姿勢で腕を水平に伸ばしたとき、先生が“手首の力を抜いて”と言います。え、手首だけ力を抜くってどうすればいいんだろう?って。そのとき私、手首がどこにあるかすら意識できないんです。指一本一本までピンと張りつめていて、固まってしまっている。そんなこと簡単に出来ちゃう人もいるんですけど、私は生き方が固すぎるんでしょうか(笑)。力がほどよく抜ければ、逆に生き方も変わるし、そこを意識して踊ることができれば、心にも芯ができるのかな。踊るということは、自分の内面と向き合うことでもあると思うようになったんです」

ひとつひとつ目の前にあることと真剣に向かい合う。そんなある意味不器用な牧瀬茜は、今も人生を模索している。

「今日も私は一つ後悔してることがあって、ダンスのレッスンに行って、一人の女の子が『牧瀬さんすごい足綺麗だねー』って言ってくれたんです。そこで私は『うん、ありがとう』って素直に言えない。なんか自分の欠点を指摘しなきゃ気がすまないんです。で、私は、『でも私の足シミだらけなの』とか言っちゃって、言ったあと、『あ、またやってしまった』と思って後悔する。相手が褒めてくれたのに、でもねってことを言っちゃうんですよね。これもやっぱり自分でコントロール出来てないカラダの部分と同じなんです。心の問題なんですね。そういう心が踊りにも表れているような気がするんです。例えば踊りが小さくなってしまうとか」

自分を細かく分析している牧瀬茜には、無駄な経験など一つもないこうした些細なことでさえも今後の役に立てようとしているのだ。

「もしも自分が、全て開放されて、そういうノウハウが習得できたら、誰かに伝えていかなきゃいけないことなんだなって思います。今の自分にはとうてい無理なんで、かなり時間がかかることだとは思うんですけどね」

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そんな牧瀬茜の口からは、「癒し」「生きがい」「夢を与える」というような言葉が頻繁に出てくる。人のために何かしたいという願望が、言葉の端々に溢れていた。

「それはすごく自覚していて、たぶんどこかで自分は生きていていいのだろうか?って考えているからなんだと思います。教員を目指していたときも、そこに生きがいを求めていたと思うんですよ。でもそれもダメで、自分は極潰しだなって。今は、踊り子をやっていて、喜んでくれる人がいるからそれが生きがいなんですけど。それと同時に、牧瀬茜ではない、本当の自分は必要とされているのだろうか、という想いもあって。本当の自分とステージでの自分をリンクさせていかないと、この先、仕事を辞めた時に、生きる自信を失いかねないですしね(笑)」

一見、暗い話のように感じるが、牧瀬茜からは自信が伺えた。自分に厳しくて、絶対に妥協を許さない。負の面を直視できる人間は、そういない。目をつぶって生きることは簡単だが、それを選ばなかった牧瀬茜は、今だって充分に、人に癒しと夢を与えている。

「70〜80歳の方からファンレターを頂くことがあるんです。月一回ストリップを見に来てくれて『僕の生活の支えになってます』とか言われたりすると、ジ〜ンときちゃう。ああ、本当にこの仕事は悪くないなあって。人に喜んでもらえることで、自分も癒されているんです」

初めてストリップを見たときの衝撃、「開放感に溢れている」と感じたその第一印象は、今になって心と身体で感じている。最初の直感は、真実を物語っていたのだ。

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Makise Akane x Inbe Kawori★

牧瀬茜
1998年7月1日デビュー。若松劇場所属。愛称は“ガマグチ茜”。9年間というキャリアは踊り子のなかで中堅クラスにあたる。同人誌『ZOWV』誌上にて散文的な詩やエッセイとイラストを、また隔月刊誌『裏ネタJACK(ダイアプレス)』に四コマコミック「性活だより」を連載中。劇場・郡山ミュージックの館内には自身が撮影した作品を常時展示中など、ステージ以外にも活動の場を広げている。
撮影=インベカヲリ★
モデル=牧瀬茜

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牧瀬茜
インベカヲリ★

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インベカヲリ★ インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。

インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/

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07.12.01更新 | WEBスナイパー  >  インタビュー