WEB SNIPER Special Cinema Review!!
真魚八重子とターHELL穴トミヤの映画の話にかこつけて【5】
『映画秘宝』や朝日新聞映画欄などで活躍されている映画評論家・真魚八重子さんと、WEBスナイパーの映画レビューでお馴染み・ターHELL穴トミヤさんが、お互いに話したいテーマを持ち寄って映画談義に花を咲かせたら......!? 時には脱線もありでお届けする規格外の対談連載、第5回は「女性から見た、男性が共感してそうな映画」をテーマに、ジャド・アパトー監督『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』、デヴィット・ウェイン監督『ぼくたちの奉仕活動』を取り上げます! 今回が後編です。編 真魚さんが選ばれた2本目は『ぼくたちの奉仕活動』です。
真魚八重子(以下「真」) これはポール・ラッドが主演で、彼は「ドラッグの代わりにエナジードリンクを飲もう」というキャンペーンで学校を回って、生徒の前で飲んで見せる外回りの仕事をしている。それに対し、恋人は弁護士なんです。付き合って7年になるのに彼は仕事も冴えないし、結婚のタイミングも逃してる。で、突然「人生を変えるには結婚しかない!」と思いつめて。でも結婚を申し込むと案の定フラれて、ヤケを起こし営業先の学校の銅像に車で突っ込んで、奉仕活動150時間を言い渡される。その奉仕活動をするのがポール・ラッドと相棒のショーン・ウィリアム・スコット。それぞれ凄い問題児をあてがわれて、でも何となく子供を理解して楽しくなっていくけれど......みたいな話です。
ターHELL穴トミヤ(以下「タ」) 男っぽい映画を選んだと言われて、映画が始まったら早速、車がバッファローなんでウケました。
真 ミノタウロスね。
タ ミノタウロスでした(笑)。でエナジードリンク、まさに男!というか男子入ってますね。
真 そうそう(笑)。ちょっとどん詰まり感がある。サラリーマンって考えると、35歳で外回りでミノタウロスをデコッた車を運転という。
タ 毎日、子供相手にエナジードリンクを飲んで、ションベンまで緑色になってるという。
真 凄い体に悪そう(笑)。
タ ポール・ラッドは「俺、35にもなって何やってんだろ」みたいな感じで、相棒のショーン・ウィリアム・スコットは「これこそ夢の仕事だ」みたいな。
真 呑気。
タ しかもミノタウロスの着ぐるみを着てて。
真 本人は幸せそうだけど。ポール・ラッドは自分のそういう仕事に凹んでいて、彼女は弁護士だから収入差もあって。そういうカップル、日本でも増えてる気がする。
タ 絶対増えるでしょうね。そこで、男の甲斐性みたいな問題が持ち上がってくる、気にするかしないか。ポール・ラッドは気にしていて、面白かったのがそういう不満を抱えながらいつも不機嫌で、彼女と一緒にカフェに行くじゃないですか。するとなんかそこで注文の仕方がこまっしゃくれてて、「S、M、Lサイズ」とかじゃなくて「なんちゃら、うんちゃら、ヴェンティ」みたいな、イタリア語になってて。でもポール・ラッドは絶対「Lサイズ」以外言いたくなくて、店員に「ヴェンティですか?」とか聞き返されても、絶対その注文の仕方を口にしたくないっていう、あれがすごい親近感湧いて。アメリカ人も同じ気持ちだったのか!みたいな。日本でもスタバとか「グランデ」とかいうじゃないですか。僕も絶対そこに付き合いたくないから、SとかMとか言うんですけど、言い直されたりして。けど彼女はそんなポール・ラッドに「めんどくさいこと言ってんなよ」みたいな反応なんですよね。それもまた、収入差ってそういうところにも現われるよな~とか思ったんですけど。やっぱ社会に適応できてるからできてないか、っていう。でも、あの「ヴェンティ」以外受け付けない店員は凄い嫌なヤツだと思いますよ!
真 店員は若い女の子だったから、慣れてないんじゃない? こういう......。
タ ひねて、鬱屈した感じの(笑)。
真 小うるさいヤツ(笑)。
タ ポール・ラッドと一緒ってことは、むしろお前が危ないっていう、そっちを気にしたほうが良かった(笑)。ストーリーとしては、そうやって鬱屈が溜まりに溜まっていった挙句、ミノタウロスカーで暴走して刑務所に入りそうになっちゃうんだけど。
真 彼女が上手く取り引きしてくれて、禁固30日のところを150時間の奉仕活動にしてくれた。彼女が弁護士だったから刑務所へ入らなくて済んだ。
タ その奉仕活動が、家庭環境に問題があったり、学校に馴染めなかったりしてる問題児をケアするっていう。要はNGOみたいなところでクソガキの相手をさせられる。巻き込まれる同僚のショーン・ウィリアム・スコットは、ある意味バカ男キャラでずっと来た人ですよね。
真 顔がバカっぽいよね。
タ 見た瞬間にもう、「バカなんだな」とわかる顔をしている。
真 (笑)。
タ 『アメリカン・パイ』にも出てるし、『Mr.ウッドコック -史上最悪の体育教師-』は観てないけど絶対面白そう(笑)。『アダルト♂スクール』にも出てるし、『ゾルタン★星人』もバカで最高だった。
真 それ観てないなー。
タ セクシーエイリアンのゾルタン星人が地球にやって来て、対する人類はバカだったみたいな。彼は頭の中がセックスしかない男をいつも演じていて、今回もそのパターンですよね。しかもミノタウロスの着ぐるみを着てる。
真 それで「楽しい、毎日が」と(笑)。
タ 「こんなにいい仕事はないぞ」ってナンパしまくり。イイ奴だけど、毎日一緒にいたらやっぱりウンザリしてきそうな(笑)。この2人が送り込まれた先に待っているのがジェーン・リンチで......。
真 最高!『glee/グリー』で有名ですね。『glee/グリー』でずっとジャージを着てた先生。
タ NGOの主催者で、女性なんだけど最悪にマッチョというか。
真 この人が『ぼくたちの奉仕活動』では「昔はコカイン三昧で、アル中だったけど、今は子供を救うことが一番の命」って。
タ 「私の朝ごはん分かるか? コカイン。じゃあランチは?」
真 「コカイン」(笑)。
タ 「じゃあなんで今コカインじゃないか分かる? 子供のために生きてるからよ」みたいな。
真 怖い。
タ 私をなめるなよみたいなことを、凄い言ってくる。『フルメタル・ジャケット』の軍曹とかそんな感じ。
真 凄いタッパがあって、女性だけど威圧感があってね。
タ 『宇宙人ポール』だったらシガニー・ウィーバーとか、男勝り系の人が1人は出てくる、みたいな位置づけですよね。『ゴーストバスターズ』でも教授のボスで、あの人は......。
真 シガニー・ウィーバー。
タ あれもそうか(笑)。なんかシガニー・ウィーバーとキャラが被るのかな。
真 基本最近、コメディのラストに出てくる黒幕はシガニー・ウィーバーだから。
タ 謎のコンセンサスがある(笑)。ジェーン・リンチが繰り返すギャグがあって。ホットドッグのソーセージを押し出して「これ、何に見える?」ってどの男にも必ず聞くという(笑)。
真 完全にセクハラだよね(笑)。
タ しかも、めちゃくちゃしつこい。4回か5回くらいやってて、あれは面白かったですね。
真 そして特にオチも言わずに去って行くという(笑)。
タ 何なの?感がすごい。だんだんクセになってきて、後半とかジェーン・リンチが出てくると嬉しい。
真 学校の説明として自分で演じた再現映像を最初に流して。
タ バイカーかなんかやっていて、「あたしは......男を渡り歩き......」。
真 「コカイン中毒......そのために娼婦になった......」(笑)。
タ この彼女のキャラは何なのか。ボンクラでもないし......。
真 奇矯な人。
タ (笑)。
真 ポール・ラッドがちょっとダウナー気味だけど正常な価値観を持っていて、一番正気。それが変な世界に投げ込まれちゃうという、その一部だよね。で、ポール・ラッドが面倒を見るクリストファー・ミンツ=プラッセは、現実にこういうゲームがあるんだけど、架空の歴史格闘技みたいなことをしに、森に集まっている。
タ ファンタジー世界のコスプレをして、王国に分かれて闘ってるみたいな。そういうカルチャーがあるのかな、サバゲーの中世版みたいな。
真 そう、各軍に分かれて中世の闘いをする。
タ みんなコスプレしてるんですか?
真 そう、実際にある。
タ とりあえずイタそうな趣味だなというのは伝わってきますよね。見た目でね。
真 プラッセは周りから見ればいつもマントを羽織ってる危ないヤツだけど、その戦の場に行けばみんながそういう恰好をしているから、彼的にはそこが自分の居場所。逆に日常のほうが借り住まいみたいな。
タ ミンツ=プラッセは『To DO List』でもキモいオタク役として出てましたよね。ホントは童貞なんだけど、童貞じゃないふりをしてドライハンプに漕ぎつけるっていう。今回はグイグイ系のオタクじゃなくて、親からも疎まれてて、たぶん友達も一人もおらずっていうキャラクターで。主人公からもなんだよコイツ、付き合いきれねぇなみたいに思われてるんだけど、映画が進むうちに和解していく。そのきっかけは家庭訪問なんですよね。ミンツ=プラッセの親父が出てきて。
真 お母さんのボーイフレンド。
タ あ、そうでした。それでそいつが、『私にだってなれる~』で主人公のライバル役のいやな奴をやってた人ですけど、今回も最悪で。「あいつはナヨナヨしたキモ息子だ。俺があいつ位の頃には、5股してヤリまくってたぜ」みたいに、ずっと侮辱してる。母親も母親で「息子には、もうちょっと普通になってもらいたいわ」みたいな感じで。なんか家の中でも立つ瀬がないミンツ=プラッセを見てるうちに、ポール・ラッドの義憤がメラメラ来るという。ポール・ラッドもショーン・ウィリアムも、最初は問題児と冷めた関係なんだけど、ある時点で相手の中に自分と同じものを見つけて、仲良くなっていくというのがアツい。これもやっぱり「俺たちは『ヴェンティ』なんて言わねえぞ!」精神だと思うんですよ(笑)。ただそのあとも、分かりあったと思ったら、また傷つけてしまったりとかあるんですよね。
真 奉仕活動をあと10時間くらいすれば終わりというときに、 クリストファー・ミンツ=プラッセが歴史格闘ゲームに参加できないようなトラブルを起こしてしまったり、ショーン・ウィリアム・スコットはホームパーティに行って女の子とヤッてる間に、面倒見てた黒人の男の子を一人にしてしまって。男の子は自分の世話人が見当たらないから徒歩で家に帰って、スコットは親から責任放棄だと怒られる。
タ どうしたら許してもらえるかってところで、そこからは奉仕活動とかを超えて、人としての真価が問われていくという。ショーン・ウィリアム・スコットと黒人の少年が、最初仲良くなるのはエロネタなんですよね。ショーンはKISSファンで、世話をしてる子供に「お前、こんな偉大なバンドを知らないのか、KISSの歌は全部セックスの歌なんだぞ!?」とか言って。「この歌詞はチンコが銃なんだ、そのチンコを撃ちまくるんだ!」「ヤバい、クール」みたいな。
真 (笑)。
タ 『デンジャラス・バディ』でも、武器がジャラッと出てきた時に武器トークで2人がいきなり友達になるシーンがあったじゃないですか。そういうエロとか武器とか、共通項で距離が縮まる演出ってすごい良いですよね。キャンプに行った時、ショーン・ウィリアム・スコットが少年に、「お前のオッパイの見方はまだ甘い」ってレクチャーを始めて。「オッパイは気づかれないように見ないとダメなんだ」「右45度のあのオッパイのBカップに気づいたか」とか、オッパイ道みたいのが誕生してて。「あの隣のテントのCカップに気づいたか!」オッパイ、バーン!
真 「スゲー!」みたいな(笑)。
タ 「あの山に気づいたか!」って山を見ると山もオッパイっぽくて、あれは爆笑でした。アホすぎて根源的なところにたどり着き始めてるみたいな。ショーン・ウィリアム・スコットなりの、オッパイを極めたからこそ分かる、世の中の真理があって。「世の中の男と女の数は一緒だ。しかしオッパイは1人につき2つある、つまり俺たちは諦めるしかないのさ......」。
真 ぜんぜん意味分かんない(笑)。
タ ええー、僕は分かったけど(笑)。圧倒的な物量を前にした諦観みたいな、これはもう宗教心といってもいい。『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』でも、セス・ローゲンの親父が息子になぞのドラッグ講義をしてて、オッパイ道に通じるものを感じたんですけど。なんか、それどうなの?という客観的な視点がまったく入ってこないまま夢中になって、しかも同じような奴を見つけると伝授し始める性があるんじゃないかと。これこそが文化の本質だと僕は言いたいんですけど。
■真魚さん、爆笑っ!とか思ってたんだけど、全然違うところに男を見ていた(笑)。ポール・ラッドじゃなくて、ショーン・ウィリアム・スコットに寄りすぎてしまったのかもしれない。 (ターHEL)
真 ポール・ラッドのキャラが結構リアルに、男の人がイラついたりする状況なんじゃないかと思って。
タ それは仕事に対する不満とか、女の人より稼ぎが少ないとかですか?
真 35歳なのに結婚もできない。
タ そこはですね、ミンツ=プラッセとかの痛さは思春期の終わった自分として楽しめるんですけど、「35歳にもなって結婚できないなんて」とか主人公に言われたらもう、うわーっ!って。そこだけショーン・ウィリアム・スコットサイドに身を置いて、「そんなこと悩む必要ないよ、ポール!」って心にミノタウロスの被り物をしながら観てました。アメリカにも「何歳だったらどうこう」とか、世間体みたいな概念はやっぱりあるんですかね。
真 会社員だとあるかも。
タ 結婚とか、収入、社会的な地位とか......。
真 仕事の内容がくだらなくて、真面目だからそれでストレスが爆発しやすい。風俗行くとか、そういう捌け口を持たない人だから、仕事の不満がどんどん溜まっていく。息抜きがない人というか。
タ やっぱり世間体は無視するのが一番ですね、すべての男たちに「心に被り物を」と呼びかけたい(笑)。この映画、仕事面での成長はうやむやになっていくというか、ポール・ラッドは会社はクビになってないんでしたっけ。2人とも奉仕活動しながら仕事は続けてるのかな。
真 でも最後に会社に戻る描写がない。最後は歴史格闘ゲーム。『無ケーカクの命中男~』にも産婦人科医役で出ていたケン・チョンが、一番強い王様役で。
タ ケン・チョンはよかったですね。これまたいやなヤツ。彼はゲームでクリストファー・ミンツ=プラッセに殺されたのに殺されてないと言いはって、実際どっちか分からないですが、一歩も譲らない。
真 誰も見てないのをいいことに、たぶん殺されたんだけど「俺が若造を殺した」と。みんなが王様の味方をするからクリストファー・ミンツ=プラッセが泣き出しちゃう。
タ (笑)。ケン・チョンは『無ケーカクの命中男~』とか『ハングオーバー!』とか、いつも性格が破綻した役ですよね。今回、ゲームの中では超いやなヤツなんだけど、外の世界ではウェイターに丁寧だったりとか、未熟な大人ってだけでもないという。けっこう、ケン・チョンの精神の成長はどうなるんだろうと思って観てたんですけど。
真 意思が計りずらい人。
タ ケン・チョンもまた、男の一つのモデルケースというか、それこそ若い頃やっぱり学校では最もイケてなかったけど、やっと自分の居場所を見つけて、そこで暴君としてふるまっているというキャラなんじゃないかという。だからミンツ=プラッセの将来の姿かもしれない。あと、実社会でいうと秒速で億を稼いだ彼とかを思い出しました、ちょっと古いですけど。
真 (笑)。
タ 秒速の彼もたぶんイケてない青春を過ごしたあと、情報商材の世界に居場所を見つけたんじゃないか......。ケン・チョンよかったですね。あと思い出したのが、ミンツ=プラッセは親から自分が好きなものを認められていない哀しみを抱えてるじゃないですか。でもそれが後半、大団円に向かって行く流れに『ローラーガールズ・ダイアリー』を思い出して。あれもやっぱり主人公のエレン・ペイジが自分の見つけた居場所を親から認められなくて、でも......みたいな。受け入れられる幸福感みたいのが、すごくいいなーと。あと、もう一つ思い出したのが、家族で車に乗って旅行する、なんだっけな。
真 『リトル・ミス・サンシャイン』。
タ そうそう!あれは、一番恥ずかしいときに、一緒に恥をかいてこそ仲間だぜ、みたいな映画ですよね。こっちは受け入れる幸福感というか。ふたつの良さがあった。
真 この作品でも、クリストファー・ミンツ=プラッセが歴史ゲームに参加できなくなってしまうけど、新たなグルーブを組めば参加できる、4人いればできるということで、ポールとショーンと、黒人のクソガキの4人でKISSの恰好をして参加する。見た目はカッコ悪いけど......。
タ メチャクチャダサい。けど、仲間だぜっていう。
真 仲間のためにひと肌脱ぐぞと。
タ 結集するみたいな感じになって。
真 ポール・ラッドの彼女も見に来ていて。
タ もうウォー!みたいな、燃えざるをえない。それでこそ男だよな......って言うと問題になりそう(笑)。
真 (笑)。
タ 女同士でも最後に仲間が集まってくるみたいな映画あったかな。それこそ『ブライズメイズ』とか。
真 カッコ悪い恰好でというのはあまりなさそうな気がするけど。『ピッチ・パーフェクト』とかはちょっとそういう感じかな。
タ チームものでしたっけ。
真 混合チームみたいな。黒人もいてアジア人もいてデブもいるみたいな。
タ 合唱で闘うんですよね。
真 うん。仲間意識がある。
タ 今回の2本のなかでは、やっぱミノタウロスカーとKISSコスプレ効果で、『ぼくたちの奉仕活動』のほうが男濃度が高いなと思いました。
真 そうか、アイテムなんだ(笑)。
タ そういわれてみれば......。あと、どっちも「おっぱいハンター」が出てくる映画でもありますよね。
真 両方ともオッパイ。そこにまだこだわるかあ(笑)。
タ (笑)。
真 伝授するくらいこだわりがあるんだなと改めて知りました。女の人の場合、男の人の身体に誰もが執着するとかないから。そこを出せばとりあえずみたいな部位はない。でもよりによってオッパイというのは、両作品ともそんなに大事なんだなと。
編 今回のテーマはいかがでしたか。実際に選んで、ご覧になって。
タ 実はすごい深いテーマだったんだなと。
真 私も、挙げていただいた女の子映画が2本とも凄く面白かった。
タ 僕もこの2本、面白かったです。『ぼくたちの奉仕活動』のほうは初めて観て、最高ですね。こんないい映画ないでしょう。
真 (笑)。
タ あと、これはバカカーが出てくる映画でもあるんだなって思いました。バカカームービーというジャンルも実はあるのかなって。最近観て最高だった『お!バカんす家族』にもバカカーが出てきたし。この映画も、ミノタウロスカーが出てくる時、凄いスローモーションで「あっ、ミノタウロスカー来たー!」ってなるじゃないですか。周りのやつもバカだから、「ヤベーのが来た!」ってなって。凄いダサかったミノタウロスカーが、最強のマシンとして再登場してくる瞬間は、マジックがある。『となりのトトロ』の「夢だけど、夢じゃなかった!」と同じで、バカだけど、バカじゃなかった!っていう、相反する状態が成り立つマジックというか。
編 お互いにこういう感じだろうと想像して選んだところがあると思うんですが、それはどちらも外していない感じでしたか。
タ 僕は自分で「女性っぽい」って選んだ映画のキャラクターより、真魚さんが選んだ「男性っぽい」映画の中の女性キャラクターのほうに、より異性を感じた気がします。
真 私も想像と違ってた。やっぱりバカカーとか、そういうところに惹かれるもんなんだと思って(笑)。
タ えっ(笑)。
真 ポール・ラッドの鬱屈ぶりが分かるんじゃないかと思ったけど。
タ 表層的すぎた......、やっぱバカカーかなと思ったんですけど。
真 やっぱりバカカーなんだ(笑)。
タ あそこでスローモーションで出てきた時にもうウォーッって(笑)。
真 そうかぁ。
タ 絶対ここで選んだんだなと思いましたけど(笑)。
真 違う(笑)。想像以上に手前のところで琴線に触れてたんですね。
タ 開始1分くらい。真魚さん、爆笑っ!とか思ってたんだけど、全然違うところに男を見ていた(笑)。ポール・ラッドじゃなくて、ショーン・ウィリアム・スコットに寄りすぎてしまったのかもしれない......。
編 いいオチがついたところで、今回もありがとうございました。
(続く)
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17.06.17更新 |
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