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『S&Mスナイパー』1981年8月号 読者投稿小説
「悦虐天使の初体験」
作= 可児一朗
実母の浮気現場を目撃してしまった少女が自覚した変態性癖。ショックの中で秘裂に指を這わせてしまう彼女が妄想し始めるアブノーマル快楽の世界、そして現実に迫り来る貞操の危機とは……。『S&Mスナイパー』1981年8月号に掲載された読者投稿小説を、再編集の上で全6回に分けてお届けしています。
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【2】トイレの中の秘密

公園は、何事もなかったかのごとく平和で、子供らが遊びに興じていた。

沙知子はフラフラとベンチに座った。混乱した頭は思うようには働いてくれそうになかった。

(お母さん……、どうしてあんないやらしいことを……。あの男の人は誰かしら?)

沙知子は考えた。そしてやっとのことであることに気づいた。

(浮気? お母さんが浮気している? お父さんとはあんなに仲がいいのに。何故、何故なの? ああ、夢よ。これは夢だわ。あたしは悪い夢を見ているんだわ)

しかし、沙知子の純情な願いは、自分自身の躯によって圧しつぶされてしまった。沙知子の股間ははっきりと変化していた。

(……!)

沙知子もすぐに気がついた。そして、夢ではなく現実であることも知った。そればかりではない。自分が目をそらすことなく母の痴態を喰い入るように見つめていたことをも思い出した。沙知子は谷底へ突き落とされる錯覚にとらわれた。

(な、なんてあたしは淫らなの?)

沙知子は顔を覆った。涙が溢れてきた。思わぬ自分を知って絶望さえした。その日から幾らかの月日が経った。父と母は以前と変わりなかった。近所でも評判の仲のいい夫婦だった。母の浮気は相変わらず続いている風ではあったが、父は全く気がついていなかった。近所の噂も立たなかった。

沙知子の家庭には何の変化も見られないかのようたった。

しかし、沙知子は目撃の日から己の性癖を知り始め、この頃はすっかりその虜になっていた。自慰の回数が増え、初めはいたずらされる様を想像するだけだったのが、様々な道具を使って快楽を求めるほどになった。

椅子に躯を縛りつけて指を這わせたり、股縄の刺激に酔い、幾重にも縄を重ねたり、さらには母と同じように乳首を洗濯バサミで責めたりした。また、入浴中にはタイルの床にたれ流した自分の尿を四つ這いになってなめまわすこともあった。

沙知子は純情な少女ではなかった。教室でも教師に弄ばれる自分を想像し、知らぬ間に股間に指が這っていたりした。

そんなある日の朝、沙知子はSM雑誌を手に入れた。

SM雑誌は通学路の隅に落ちていた。いつも比較的人通りが多いこの道も、この時は人の流れが途切れていた。

普段なら雑誌を拾う勇気はなかっただろうが、考えるよりも早く雑誌を拾うと鞄に突っ込んだ沙知子だった。

廻りに人影はなかった。人に見られた気配はなかった。沙知子は、その場から逃げ出すように歩きだした。鼓動は激しく、呼吸もかすかにだが乱れていた。

沙知子の瞳は落ち着きかなかった。心配そうに廻りをうかがってばかりいた。それに、すれ違う人から軽蔑されているかのような視線を感した。

沙知子は、やっとの思いで学校に到着した。そして、その足でトイレへ駆け込んだ。

始業まで余り時間はなかった。沙知子は急いで雑誌を小物を入れる袋に押し込むと、深い溜息をついた。授業は随分長いように思われた。時計の針はなかなか進んでくれなかった。

一時限、二時限と消化されていくにつれて、時計をのぞく回数か増えた。終いには時計とのにらめっこになってしまった。

沙知子は焦らされているようないらだちを感じながらも、机の奥にある小物入れを度々さわってはいらだちをおさえていた。それに、雑誌が消えてしまう不安もあった。だから、そのためにも自分のこの手で確めずにはいられなかった。

そのうちに沙知子はとうとう我慢出来なくなった。

「おい、山本、気分でも悪いのか? 顔色がよくないようだが……」

教師は沙知子の変化に気づいた。

「気分が悪いのなら、保健室へ行って休んでいなさい」

気分は別段悪くはなかった。ただイライラしているだけだった。

沙知子は教師の言われる通りにうなずいた。教室でじっと時の過ぎるのを待つよりも、保健室のベッドで待つほうが楽に思われた。教室では教師から注意されることも、保健室なら心配する必要がなかった。

小さな声で返事をした沙知子は、大切そうに小物入れを持って、ひとり教室を出た。保健室でそこにいた教師に事情を話し、薬をもらって飲むと、小物入れをしっかりと握ってベッドに横になった。

すると、二時限の終了を告げるベルが鳴った。

そして、沙知子は浅い眠りに落ちた。いくらかの時間が過ぎ、沙知子は、目を醒ました。同時に小物入れを手放していないこと確めた。中の雑誌もなくなってはいなかった。

「起きたの?」

気配を察した女教師は声をかけた。

「はい……」
「気分はどう? 楽になったかしら?」
「ええ……」
「そう。それじゃもうすぐ四時間目が終わるから、そろそろ教室に戻りなさい」

沙知子は、勧められた冷水を飲み干すと、保健室の扉を開けた。

廊下は静かだった。窓から見える生徒たちは、みんながみんな教師と黒板に注目していた。

自分の教室のある階まで上がった沙知子は、急に尿意を催した。先程飲んだ水のためだろうか。沙知子は最寄の女子トイレの扉を開けた。狭く仕切られた個室の中でスカートをたくし上げると、ゆっくり白い便器にしゃがみ込んだ。

間もなくして、便器を打つ水音が沙知子の耳に響いた。沙知子は、ふと母が無理矢理男の噴き出すものを飲まされていたことを思い出した。

(お母さんはオシッコを飲まされたんだわ)

沙知子の脳裏には目撃した出来事が鮮明に蘇ってきた。そして、いつしか沙知子はその妄想を詳細に描き出していた。

沙知子は小物入れから雑誌を取り出した。まだ授業中なのでトイレには沙知子だけが、下半身を晒したまま便器にしゃがんでいた。

沙知子は胸をときめかせ、手に持った雑誌のページを繰った。

(ああ、すごい)

そこには若い女が両肢を大きく開かされ、さらに最も大切な箇所に縄が深く喰い込んでいる写真があった。

沙知子の目は、その深く喰い込んだ箇所に注がれた。縄は自分のかける股縄とは較べものにならないほど喰い込んでいた。

沙知子は次のページを繰った。そのページには全裸にされた女が後手に縛り上げられた上に、尻を高く突き出した写真があった。

写真の女は苦悶の表情を浮かべていたが、沙知子には恍惚の表情に見えた。

(浣腸……!)

その写真の隅にはガラス製の浣腸器が、今にも菊花を凌辱しそうにオマルと共に写っていた。沙知子は忙しなくページを繰り、次々と現われる責めと女の表情に酔った。

ひととおり写真も見終わってしまった沙知子は、改めて一ページずつ見直しだした。

こうして写真に見入っていた時、沙知子は自分自身の姿を忘れていた。

「あたしもいじめられたい……」

沙知子の口元からこんな言葉が洩れた。そして、次第に手は下へと這っていき、濃くはない茂みにたどりついた。

(あ、ああ、いじめて。あたしを、いじめて……)

秘花は十分に濡れていた。白く細い指に茂みの一本一本がなまめかしく絡みついた。

(お願い、お願いだから、いじめて……)

沙知子は床に尻をついた。便器が冷んやりとした。

(オ、オシッコ……。飲みたいの……、オシッコが飲みたいの。ああ、ちょうだい、オシッコをちょうだい!)

沙知子は全く気づかなかったが、すでに四時限の終わるベルは鳴り、この時、女生徒たちがにぎやかに入って来た。

小部屋を仕切る板の向う側からは、まだ娘になりきれない少女たちの様々な会話が聞こえた。また、前や後ろからは水を流す音が幾重にも重なって聞こえた。

沙知子は、やっと昼休みになったことを知った。

しかし、官能の虜になっていた沙知子の指は止まりそうになかった。逆に妄想を助長する格好の出来事にますます昂揚感が激しくなった。

初めのうちこそ、声を出してはいけないと言い聞かせていた沙知子だったが、間もなくそんなことは忘れてしまった。そのうちに、自尉に悶える姿を見られたいと望むようになった。

(続く)

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