読者投稿不定期連載 北陸在住マニア画家の美少女羞恥緊縛図絵
Specially selected abnormal maniac exhibitionl
北陸在住のマニア絵師が描く背徳的な鉛筆画と掌篇バックストーリー。責められる肉感美女たちの恥じらいと諦観は、どこまでもあいまいで広大深淵なファンタジーを紡ぎだす――
毎年、夏の盛りが近づいてくると思い出す匂いがある。陽に焼けた畳の匂いと、和蝋燭がジリジリと音を立てて燃える匂い。腹違いの姉が山科のジジイに責められている部屋の匂いだ。
山科のジジイというのは俺と姉が暮らす家に時々酔っ払ってやってくる母の従兄弟にあたる男で、親戚筋でも鼻摘み者扱いされている酒乱だった。酔うと何をしでかすか分からないと生前の母もよくこぼしていたやっかい者だ。事実、山科のジジイには前科があった。子供だった俺らには誰も詳しく教えてくれなかったが、母方の親戚に沙代さんという海女をしている女性がいて、山科のジジイはその人に何か酷いことをしでかしたらしかった。そして警察のお世話になって出所したのが還暦の頃。
孤独を紛らわそうにも親戚筋には誰からも相手にされなくなっていた山科のジジイが目をつけたのが、俺と姉だけで暮らす岡部の家だった。市の中心地から岡部までは車でも1時間はかかる。市内に別の女性と暮らす父の仕送りだけで暮らしている俺らが不憫だという理由をつけて、山科のジジイは時々様子を見に来ては、姉に料理を作らせて家の中で酒を飲むようになった。山科のジジイが来るたびに俺が家から追い出されるようになったのは、それからすぐのことだ。そしてある夕立の日、俺は家の窓から部屋の中を覗き見た。
そこにはまだ中学生だった姉の無残に剥かれた姿があった。真昼間だ。雨とは言えカーテンの隙間から差し込んだ光は姉の素肌を容赦なく照らしていた。俺もまだ見たことのなかった秘密の部分の陰りまで。山科のジジイがそんな姉の姿を嬉しそうに眺めながら酒の杯をあおっていた。
山科のジジイが事故に遭ってあっけなく死ぬまでのひと夏、姉はジジイに嬲られ続けた。俺はそのことを誰にも言うことができなかった。いきなり玄関の戸が開いて「来たぞ」と低い声で言う山科のジジイが現われると、俺は黙って家を出て、裏手に回ると風を通すためにいつも少し開けてある窓にぴったりと張り付いた。やがて和蝋燭が燃えるジリジリいう音と姉のすすり泣きが聞こえてくる。
毎年、夏が本番に差し掛かると、あの頃に嗅いだ窓際の匂いがフッと記憶の底から蘇ってくる。それはやたらに複雑で、艶めかしくて、痛いような、切ないような、独特の匂いだ。
作=魚清
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