読者投稿不定期連載 北陸在住マニア画家の美少女羞恥緊縛図絵
Specially selected abnormal maniac exhibitionl
北陸在住のマニア絵師が描く背徳的な鉛筆画と掌篇バックストーリー。責められる肉感美女たちの恥じらいと諦観は、どこまでもあいまいで広大深淵なファンタジーを紡ぎだす――
遠くから聞こえる祭囃子が私とは関係のないものとして空々しく響いているのが哀しくて仕方がなかった。友達のみんなはきっと片思いの男の子と話をしたり大人たちに隠れてお酒を飲んだりして遊んでいるに違いないのに、私だけが蔵の中に閉じ込められているなんて不公平だと思った。これが代々の家の決まりで、去年は姉が、ずっと前には母が同じ経験をしていたのだとしても。
施餓鬼(せがき)棚に人間をお供えするなんて聞いたことがない。お精霊さまを供養するだけではどうしていけないのだろうか。成仏できずに俗世をさまよう餓鬼をどうしても慰めようとするのなら精霊馬を供物にすればいいことだ。きっと、私の家はずっと昔にたくさんの餓鬼を産んでしまったことがあったに違いない。だからこそ他家には一切伝わっていないこんな儀式を代々大事に執り行なっているのだろう。
縛られた私の前には十数人の縁者の男衆が円形に座って私の知らない経を唱え続けていた。低い地鳴りのような経の響きが肌をザワザワと這い回ってきて気持ちが悪かった。そうするうちに去年から患っている病気でガリガリに痩せた叔父様が両の目をギョロリと剥いて真っ赤な口を開けたかと思うと、突然立ち上がるなり私に飛び掛ってこようとして取り押さえられた。
床へ押し付けられたその頭に向かって皆が経を浴びせるように唱えていく。それはお叔父様が獣のような声を上げて暴れるのをやめてぐったりするまで続けられた。
お盆にはこの儀式をしておかないと女衆の誰かが餓鬼を産むことになってしまうのだと聞いたのは縄を解かれた後だった。揺れる明かりに照らされた縁者たちの顔は驚くほどに似通って見えたけれども、それは気のせいだと自分に言い聞かせてやっと外へ出してもらえるまで、私は一度も口をきかなかった。
作=魚清
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