Goldman presents The Rock'n Roll Ero-Manga
鬼才AV監督・ゴールドマンがお勧めのエロ漫画を熱く語る!
淫語インストラクターにして官能小説家、そしてベテランAV監督であるゴールドマン氏が「ズリネタ」として唯一活用しているモノ、それは「エロ漫画」だった! プロのエロ事師は何故、「エロ漫画」でなければヌケないのか、「エロ漫画」にしかない魅力とは、一体何なのか。ゴールドマン氏が実際にズリネタとして使用している大好物な作品たちについて、編集部がインタビューを敢行。好評につき続投です!!編 ロックンロールエロ漫画、好評につき第五回となりました。今回お持ちいただいたのは......。
ゴールドマン(以下「ゴ」) 「アクション ピザッツスペシャル」(双葉社)で連載中の、れゐぢさん。たぶん知らない人のほうが多いと思います。おそらくまだ単行本も出てないと思うので、新人さんだと思います。最初に発見したのは......去年の11月くらいにたまたま買った「ピザッツスペシャル」で、凄い面白いなと。18ページくらいの短編読みきりでした。
編 ご覧になった「ピザッツスッペシャル」の少し前、昨年の9月号から掲載が始まった作家さんのようですね。
ゴ この「ピザッツスペシャル」は、コンビニでも置いてるところは置いているくらいのエロ漫画雑誌です。そんなにハードじゃなく、そこそこ可愛くて綺麗で巨乳の子がエッチをしてますという。僕、普段はエゲツない、性器が丸出しで、ザーメンドピュドピューで、こんなの書いちゃっていいの!?っていう漫画ばかり読んでるけど、これはそういう意味でかなりライトな、一般人がオナニーするレベルの漫画ですね。
編 ちなみにゴールドマンさんがこの「ピザッツスペシャル」を手に取られた理由はあるんですか?
ゴ たぶん夜中にコンビニへ行って、何か新しいエロ漫画を読まなきゃという......実際問題ですね......私......エロ漫画依存症でして......。
編 (笑)。
ゴ エロ漫画はやっぱり、三日に一回は買わないと、もうダメ。どうしようもないというか......。
編 それは、古いものを読むのではなく、常に新しいものを求めているわけですか?
ゴ 新しい獲物を探して街を彷徨ってますから。
編 なんと......。
ゴ 家には厳選されたすばらしい作家さんの作品がありますが、センズリ人生35年を超えてますので、やっぱりそういう古き良き時代もあるけど、惰性に陥っちゃいけないという思いが常にあるんですね。あと、死ぬまでにこれから何回ヌケるか、という問題があるじゃないですか、もう50ですから。そういう意味では前進あるのみ、ということで新しいズリネタを探す旅を続けています。
編 しかもそれはエロ漫画であるというわけですね。
ゴ そうですね(笑)。普通の人は、ナンパしたり、風俗行ったり。
編 AV観たり。
ゴ AVもたまには観ますけど、僕は原点が漫画なので、漫画で決着をつけるのがですね......まあ、かっこいい言い方だけど(笑)、好きなんです。
■コンビニに置かれているエロ漫画誌
編 前回までで紹介していただいた作品は、内容はハードではないにしても、かなりマニアックな、趣味趣向がはっきり分かれるものだったのですが、今回の「ピザッツスペシャル」は、本当にライトなエロマンガ雑誌なんですね。
ゴ いわゆる可愛くて、軽めの感じのエッチ。エロというよりもエッチ系のノリです。
編 コンビ二で売ってるエロ漫画というと「快楽天」(ワニマガジン)とか。
ゴ 「失楽天」、「快楽天」が有名ですね。ワニマガジンのエロ漫画は昔からかなり読んではいるんです。でもこういう系って、いつもハードな世界とかマニアックすぎる世界を追求してるので、たまに読んで箸休め的な、癒しのあるオナニーをしようかなという時に読む。
編 それは......周期があるんでしょうか。箸休めの時期的な。
ゴ 食べ物と一緒。中華ばっかり食べてると卵かけご飯食べたいなぁみたいな。やっぱり食欲と性欲は近いところがあるんじゃないかな。もちろん、フラっとコンビ二や本屋に入って目についたものじゃないと買わないので。「ピザッツスペシャル」なんて今まで買ったことなかったけど、ホント他に何にもない状態だったんでしょうね。もしくは前日に凄い、飛野俊之とかああいう濃いやつで抜いて、そのストレスでもしかしたら買ったのかもしれない。
編 ......購入当時の心理状態は分からないにせよ、なんにせよ、ちょっとライトな気分だったと。
ゴ そう。気軽に抜ける......まあ抜き目的じゃなく、ちょっとエロ漫画を読みたいなっていう気持ちで買ったんだと思います。
編 抜き目的じゃなくてエロ漫画を読むことのほうが、むしろ多いくらいなんですか。
ゴ 常にヌケる、マニアックな作品を探してはいるけど、そうそうあるもんじゃない。年間でいうと、本当にコレだっていう作品は2、3冊じゃないかな。10年単位でさらに絞りこんでいくと3冊くらいになっちゃうのかなと思うんですよね。
編 なるほど......。
ゴ でも、だからといってその間何もしないわけにはいかないし。やはりエロ漫画依存症であり、研究もしてるから。今の世の中のエロ漫画シーンがどうなってるのかは、垣間見ておかないと遅れちゃう。何に遅れるのか分からないけど(笑)。
編 そうした今のエロ漫画シーンを肌で感じつつ、今回選んでいただいたのがれゐぢさんということですね。
ゴ はい。「ピザッツスペシャル」の作品はほとんどのラインナップが巨乳で綺麗な優しい奥さんとか、そういう人がいいエッチをする作品ですが、その中でこの方はエキセントリックな世界を展開しているんです。変化球というか、なんでこれ入ってんのって感じの漫画(笑)。最初に読んだのは『さくらだくん』というので、面白いし、女の子がカワイイ。今年のテーマはカワイイ女の子でもイケるようにしようというのがあるので(笑)。
編 (笑)。それは、今までのハードコアエロマンガの、ちょっとディフォルメが厳しい女性の顔ではなく。
ゴ そうなんです。よく女子が言う「カワイイ」ってあるじゃないですか。ああいうものを体で理解できる大人を目指そうと思って。
編 なるほど。もう直感で感じられるように、ですね。そうすると、このれゐぢさんが描かれる女性の顔は、かわいらしいはかわいらしいんですが、どういった特徴があるんでしょう。
ゴ どちらかというと、美形というよりもちょいブスな。これなんか、ねえ。クラスでもトップクラスのモテ方をする人じゃなくて、もう少しB級というか、Bダッシュみたいな可愛らしさ。
編 非常に目は大きく描かれてますが、目と目の間が離れていて、目と鼻、口が縦に短い、少し動物っぽくて、年齢が幼く見える顔つきに見えます。
ゴ 僕、aikoが好きだから、こういうブスカワの人が理想なのかもしれない。前髪パッツンな感じとか。基本的にチンチクリンな感じの人が好きなので。
編 今ふうな絵のタッチの中でも、かなりゴールドマンさん好みの、今ふうの絵。
ゴ そうですね(笑)。僕の好みの今ふうの絵ということです。
■ポルノにおける予定調和と不条理エロマンガの魅力
編 このれゐぢさんの、たまたま読んで引っかかったということですが、物語はいかがでしたか。
ゴ これは18ページくらいの短編ですが、話がとにかく面白い。ギャグ漫画ですけどね。
編 ちょっと説明が必要かも。エロ漫画を全く読まない人にはわからないと思うんですが、エロ漫画って、結構ギャグの要素が多いですよね。
ゴ だいたいがあり得ないお話ですから。やわらかさを出すために、ちょっとふざけた感じがありますね。
編 飛野俊之さんのような劇画タッチの作品じゃない限り、基本的に軽いユーモアみたいな描写は、どのエロ漫画も含んでるものですよね。
ゴ それでだいたい女の子も巨乳でぽよ~んとした感じだし、シリアスな要素は排除してますね。やっぱりエロ漫画に読者が求めるものの多くは癒しなんでしょうね。
編 そういうエロ漫画の中で、れゐぢさんの作品は、かなりギャグの要素が多めにあります。
ゴ そう。おもろい系ですね。
編 突飛な部分というか、「ピザッツスペシャル」を遡って集めてしまうほど、この作家の引っかかった部分とはどういうところだったんですか。
ゴ 突飛な部分というと、僕今ね、アニメの『日常』にハマってまして(笑)。
編 あらゐけいいちさん原作の。
ゴ 本当に好きで、ここ二カ月くらい、全巻を借りて観直してるんですが、可愛くて、面白い不条理というのが、本当に僕は好きな人なんですよ。
編 不条理というのは、読者の隙をつくというか、想像もしないものがやってくるということですか。
ゴ そうですね。そんなわけねーだろーってツッこめる感じのユーモア。エロ漫画やエロ小説も予定調和になってるじゃないですか。例えば犯されてても、女がやっぱり感じてて、欲求不満でやりたかった、ということでセックスが盛り上がっていく。あと逆に、お姉さんが童貞少年をイタズラして、セックスしてよかったねみたいな。たぶんポルノって、そういう調和していく方向にいくことが多いと思うんです。
編 なるほど。そういう作品が世の中に蔓延することで、ある意味、男の理想のテンプレート化がなされてるようにも感じますね。
ゴ AVも、本当にそういう意味ではレールを敷いていて。Iさんも前に言ってたけど、イカせ4時間とかって、もうイクことを前提に撮影してて、それって演技でしかあり得ないわけじゃないですか。4時間もずっとイッてるなんてないわけだから。そこら辺のつまらなさというか、ずっとたまっていたものがあって。このれゐぢさんの、ちょっと不条理だし、女にフェラチオさせて勝手にドピュッと口内発射して「えっ」っていう、そういう予定していない不調和加減が、凄く面白い。
編 これもそうですよね。まず1ページ目、すごい可愛いメイドの子がいて、2ページ目を開くといきなり凄いセリフが。
ゴ 客の悪口ですね。「きしょい」、「キモい」、「早く帰って欲しい」みたいな。
編 いきなりドンッと落差がありますよね。
ゴ だからやっぱりこれがリアリティというか、現実ってこんなもんじゃないですか、所詮(笑)。男と女のすれ違いで全てが成り立ってる。
編 11月号にもそういう描写がありますよ。最初に従兄弟のお兄さんと彼女の話かと思ったら、背がちっちゃい主人公の話で、頁をめくっていくといきなり5ページくらいに、ズドーンと......。
ゴ デカい女がね。主人公が150センチなのに、相手の女性......浦島太郎状態でいじめられてた彼女を助けてあげて、その彼女が183センチのドデカイ女。
編 すごいですよね。やっぱりここで僕、この一枚絵でおお!って、ちょっとびっくりしました。ゴールドマンさんの言うところの予定調和ではないもの。
ゴ それも、この女が現われたところに「ズドーン」って描いてありますからね(笑)。
編 描いてますよね(笑)。デカいんだけど、ちょっと幼い感じで可愛らしいんですよね。
ゴ 性格がみんないい子だし、可愛らしい子なんですよ。そのデカい女とチビ男が処女と童貞で、そして尚且つチビ男なのにもの凄い巨根。それで彼女の中に入れて「ズゴンッ」って。「ズゴンッ」って音、しないですから。
編 でも性器描写も、断面図のようなものが当然のように入ってます。
ゴ そうなんです。これだけギャグ漫画ふうで、幼いというか、描き込みもあまりないけど、性器はかなりリアル。モザイクが入ってるけど単行本はどうなるんだろう。
編 かなりギリギリまでとってしまうのではと思いますね。
ゴ とっちゃうのかな。だとしたら、そのギャップ感ももの凄い気がする。そこら辺のバランスが、今までのエロ漫画シーンでは見たことがない感じだなと思いました。
編 ライト層向けというか、ライトな作品だからこそ見せられるギャップということですか。
ゴ それこそ飛野俊之さんやみきかず先生みたいな、ああいう地下で(笑)活躍されてる方、そういうレベルからすると......なんて言うんですかね......そういうギャップ感は絶対生まれないじゃないですか。SMクラブで何をやったとしてもびっくりしない。浣腸しようが蝋燭を垂らそうがびっくりしないけど、それをたとえばヘルスでいきなり浣腸したら、大変な事件になるじゃないですか(笑)。ベースになる、主戦場のコンビニにも置ける「ピザッツスペシャル」というエロ漫画誌でやっちゃうところが、素敵なのかなと思います。
編 「さくらだくん」の時も、一体何回射精してるんだっていうくらいにさくらだくんが出すシーンがありますよね。
ゴ オタクでキモい主人公さくらだくんがメイド喫茶で出入り禁止になってしまった腹いせに、デリヘルを呼んで......腹いせで呼ばれちゃったほうも可哀相なんですが、話によると2年くらいオナニーしてなかったという理由でね、このデリヘル嬢が即尺しようとした瞬間にいきなり顔射をくらわすという。
編 そして顔射オプションを支払いつつ、まだやってないからという理由で、精液まみれのチンコを即尺させるんですが、こういうプレイも、このライトなタッチの絵柄からは想像できないんですよね......。
ゴ そう。この手の漫画でこんなヒドいことはしたりしない。だいたい顔射も、こういう本だとあんまりないと思う。
編 中出しはいっぱいありますけどね。
ゴ そう。この精液だらけのチンコを即尺って、咥えたらすぐ口内発射。ゴックンのオプション料金払うから飲んでと無理やり飲ませて。で、いい加減、何回も何回もすぐ発射するので女の子もほとほと疲れ果てて、自分から本番してくださいってなるんですね。
編 ひとりで腰を振ってもらうほうが楽だからと。
ゴ それで本番ができちゃう。
編 そしたらここでも抜かず3発どころじゃないんですよね......。
ゴ 一応ゴムはしてるのでゴムの中に射精してるけど、コンドームがいっぱいになっちゃうくらいに精子を出しまくって。
編 そしてこのタプンタプンのザーメンがたまったコンドームを、顔射オプション払ってるからということで......。
ゴ 顔にドボドボぶっかけてしまうという。
編 エグいですよね。
ゴ この発想、かなりサディスティックじゃないですか。でも全体のムードとしては、ほんわかのほほん調なので、そのギャップ感にやられちゃいますよね。
■現在進行形で追いかけている、イチオシの作家!
編 持ってきていただいている最新の作品は2013年2月号なんですが、ずいぶん物語も読みやすくなってます。シリーズが新しくなるんですよね。
ゴ 流されて関西というか、東京の本社から左遷された課長の柳村さんが、地元の関西の城之崎あかりちゃんという癒し系の処女OLさんを、いいようにおもちゃにしていくという話。
編 この少ない頁数の中で、しっかり物語を組み立ててオチまでつけてある。
ゴ 起承転結はもちろん、、その中でもちゃんとエロ描写で抜ける要素があって。これは凄く珍しいと思うんです。相当フェラや口内発射とか描き込んでるので、やっぱり風俗マニアの方なのかな、このれゐぢさん、とは思うんですけど(笑)。口内発射してゴックンさせるじゃないですか。それも女の子が断われなくて飲んじゃうみたいな。そういうのって普通描かないから。
編 なるほど。さっき話題に上がったテンプレ的な、予定調和な物語だと女の子が喜んでゴックンする展開ですよね。
ゴ そうなんですよ。そこがやっぱりマニアックというか、現実的なエロですよね。本当は飲みたくないんだけど、飲まなきゃならないからゴックンしちゃいましたという。いいですね。男心をくすぐりますね。
編 もの凄くいい話で最新作は終わります。
ゴ OLのあかりちゃんが新人研修の時に、左遷されてきたこの課長に声を掛けられて恋心を抱いてた、という伏線があったり。
編 そしてその出来事を主人公が覚えているという、いい話なんですね。
ゴ そこは不条理さがなくなっているので、いい話すぎかな今回は。ただやはり実力がある漫画家さんだなと思うので、ド新人の人だとしたら、これが単行本になるかどうか分からないけど、2年後3年後、かなり期待できるんじゃないかな。しっかりした構成と画力ですよね、この段階で。短いところにストーリーとエロスをちゃんと詰め込んでいる。この人がどうなっていくのか予想できないところがまた楽しみなんですが、個人的には不条理な、女にとって都合の悪い顔射や口内発射、そういうのをバンバン明るいところでやっていってもらったら面白いのかなって思いますね。
編 というわけで今回取り上げたれゐぢさん、まさに今、現在進行形で毎月追いかけている作家さんということですね。
ゴ そうです。単行本が出たら、保存用と読む用と、2冊買おうかな(笑)。今、一番オススメのエロ漫画家さんです。
(続く)
『アクションピザッツスペシャル 2012年12月号』(双葉社)
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