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ハメ撮りAV監督・カンパニー松尾 初のメーカー横断ベスト8時間!!
アダルトビデオ30周年を記念して生まれた、時代とメーカーを越えた奇跡のコンピレーションAVシリーズ「AV30」。その豪華ラインナップの中、現状ただ一人ベスト版を発表することになった監督・カンパニー松尾氏に、連載小説『セックス・マイナス・ラヴマシーン』でお馴染みの鬼才・ゴールドマン氏がロングインタビューを敢行! 同時代のAV監督同士だからこその切り口でデビュー以来約20年のカンパニー松尾氏を総ざらいします。前後編2回に分けてのお届けです!!ゴールドマン(以下・ゴ) 今回はですね、「AV30」でレーベルを超えてベスト版が出る唯一の監督ということで。
カンパニー松尾(以下・松) 何その言い方(笑)。
ゴ いやでも、実際そういうことで。僕らは業界だからいいんだけど、今一般のユーザーから見ると、カンパニー松尾ってやっぱり名前が出せる監督でさ。
松 急にね。ひどい話だよね。こんなことは5年10年前にはなかったことなんだけど、ここ2年くらいの話。セルには監督の時代があったじゃないですか。
ゴ 一時期ね。
松 甲斐正明もそうだし溜池ゴローもそうだし。そういう監督レーベルみたいな流れの中で、セルは一時期みんなトチ狂っちゃって、監督名で売れるみたいなことになった。その流れで光夜蝶ってメーカーがカンパニー松尾ってでっかくフィーチャーして出した。
ゴ そういうのを出したかった。
松 別に自分で出したかったわけじゃなくて。
ゴ (笑)。自分で出したい人はTOHJIROくらいでしょ。
松 甲斐さんとかね。エプロン作ったり看板出したり。
ゴ 甲斐さんってまだやってるの?
松 やってるんじゃない? 甲斐正明ってレーベルもないし、広告も出してないけど、AV監督はしてるんじゃないですか。
ゴ やっぱり監督名を出すと売れないってことなんでしょ? 逆に考えると。
松 出しても売れない。
ゴ 出しても売れないし、出さないほうがいいってことなのかな。
松 そういうわけじゃないと思うけどね。溜池ゴローってレーベルは残ってるし。
ゴ ああ。
松 だから、タイトルにも入れるようになったのは2年くらい前。S1とかが始めた時。
ゴ そうですね。だからやっぱり、それで売り上げが落ちない唯一の監督という。
松 恐ろしいですね。
ゴ 一般のユーザーもちょっといると思うんだけど、コアな松尾コレクターみたいなのが買うってことなのかな。
松 そうでしょうね。一般の人がわざわざ買わないよね。これなんだろうって感じでしょう。『女の子の名前×カンパニー松尾』って書いてあって、なんだかわからない。
ゴ でも逆に、だから観たいのかもしれない(笑)。
松 不思議な現象だよね。
ゴ 僕も不思議だなあと思ってて。それにほら、もう年取ってるじゃん。
松 そうそう。キャリア的には結構終盤に差し掛かってる感じ。
ゴ 僕らの世代、40代の後半で昔はハメ撮りもしてたけど今はしてないみたいな、脱落者? 落伍者か(笑)。
松 ハメ撮りマラソンの。
ゴ そうそうそう。
松 短距離は速かったかもしれないけど。
ゴ みんなリタイヤしてるのに、カンパニー松尾だけがハメ続けてるのは凄いって話を、今日は聞こうかと思ってるんです。
松 はい。
■カンパニー松尾の映像エンジン
ゴ まず、プロフィール的なことをちょっと。
松 (笑)。真面目なんだな。
ゴ 年数としては、AV業界は20何年?
松 正確に言ったら1987年に入ってるんですね。V&Rプランニングに。
ゴ 松尾さんは設立メンバーではない?
松 ないですね。僕が入る1年くらい前に出来てた。
ゴ ああ、でも1年なんだ。
松 うん。安達かおるさんがいて、当時は営業やってて後に監督になる芳賀栄太郎。
ゴ 芳賀栄太郎いたんだ。まだやってるね、マドンナでね。
松 そうそう、しぶとく。その芳賀さんがまだ営業にいて、あとは経理の人。で、女の子のADで女優さん兼ADみたいな、社長の半分愛人の学生がやめなきゃいけなかったの。で俺が4人目。狭いマンションの一室。そういう時。
ゴ それは前のミュージックビデオの会社の?
松 人づてで。
ゴ それでたまたま入っちゃったと。
松 そうですね。
ゴ 僕らの中学高校時代の頃はAVないから、AVを目指すことはなかったからね。
松 ない、全然ない(笑)。
ゴ だから今のハマジムの若手みたいな、前から松尾さんのやつ観てて来ましたみたいなのはあり得なかった。
松 あり得なかったですね。
ゴ 社会にあぶれた人たちが、どこからか寄り集まって。
松 そうそう。たとえば音楽関係の流れだったり、映画関係崩れ、TV関係の流れだったりでしたね、初期のAVは。
ゴ まさか自分がカメラの前でセックスする人になるとは。
松 思うわけない(笑)。
ゴ そういう人がいなかったからね、撮影しててセックスもする人が。
松 そもそも俺、セックスもしてなかったからね。
ゴ そうか。ビデオの中で初めて?
松 ビデオではないんだけど、プライベートで。撮影で知り合った女優さん。
ゴ 亜里沙さん。
松 そう、亜里沙さん。
ゴ 漫画で読んだ(笑)。
松 社長室で。
ゴ じゃあそれまで何? 女と付き合ったことは?
松 ないない。22歳でしたけどね。
ゴ 本当? 何やってたの。オナニー?
松 オナニーは中学生の頃から毎日1回ずつ。
ゴ でも今の人はもっと、1日3回とかやってるみたいですよ。
松 そうか、じゃあ可愛いもんか。まあ1日1回はやらないと眠れないみたいな。
ゴ 僕もそうでした。中2から、30歳くらいまでは毎日やってました。
松 そうですね、僕も30歳まではオナニー病にかかってた。
ゴ ズリネタはなんだったんですか?
松 基本的に俺は妄想でいける。好きなのが3パターンくらいあって。
ゴ 芸能人?
松 違う、学校の先生。
ゴ 実在した先生?
松 そう、実在した先生。
ゴ ああ......じゃあ、いい女教師。
松 ムチムチの先生がいて、実際そういう歩いてる姿を膨らませたり、図書室で、こう座ってる......図書室はテーブルみたいなところで、遠くから見るとパンチラが見えるんですよ。それを一生懸命見たりして。
ゴ ああ......。
松 もう映像エンジンを凄く膨らませて。
ゴ 実際にパンチラは見たわけ?
松 見た見た見た。
ゴ 見た!
松 そう。先生のパンチラを、ですよ。
ゴ まだ覚えてる?
松 そりゃ覚えてますよ。
ゴ まだ抜ける?
松 うーん......いや、たぶん映像エンジンがまだガンガン作れる。
ゴ 妄想派なんですね。
松 そうですね、もともとが。
ゴ 僕は官能劇画、エロ漫画を研究してたのでズリネタ派なんですよ。
松 俺は違いますね。エロ本を部屋に持ちこんだのは後々だよね。一人暮らしになってからじゃないかな。
ゴ エロ本は全然読まない人?
松 読んでたけど、それは友だちと一緒に読んだり、河原で読んだり。家にまで持って帰ってたかなぁ。中学校までは絶対にない。
ゴ 河原で読んでたのは落ちてたやつですか?
松 そうそう、橋の下に。
ゴ 落ちてましたね、昔はね。
松 あれはね、公共の図書館(笑)。
ゴ (笑)。
松 ヤングな人たち限定の。
ゴ はいはい。
松 時たま行くと毎回モノも変わってたり。
ゴ なるほど。カピカピになったやつを剥がしたり。
松 そうそう。
ゴ 今もあれじゃない? ハマジムのDVDを橋の下に置いとけば、中学生が(笑)。
松 そうだね。観たらまた捨てるとかね。そういう公共のフリーな。中古屋に流してもお金になんないから。
ゴ 今、好きな芸能人っているんですか?
松 ......芸能人?(笑)
ゴ 芸能人というか、アーティストなり、ハメ撮りしたい女優(笑)。
松 昔は叶姉妹だったんですけどね。
ゴ 叶姉妹好きなの(笑)。
松 今はあんまり好きじゃない。あれくらいカスタマイズされてると、なんていうかな、メカゴジラというか、そういう感じがしてちょっと惹かれちゃった。
ゴ それは完全な作り物でも?
松 プロとして。メカゴジラ対......こちらもね、メカなんとかみたいな。
ゴ メカ・カンパニー松尾。
松 そうそう。案外やってみるとたぶん、プロなんで俺には向かないから、どっちかっていうとそうだなあ......いや、芸能人で好きな女いないですよ(笑)。
ゴ テレビとか観ない?
松 観ますよ。けど好きな芸能人とかいない。巨乳タレントでいいなとか。
ゴ やっぱり巨乳好きなんだ(笑)。
松 うん。
ゴ 若いときのズリネタって、学校の先生以外には誰ですか?
松 あと「明星」とかアイドル誌のパンチラ。
ゴ 「明星」にパンチラないでしょう。
松 岩崎良美がテニスやってて、スコートがちょっと見えるとか、河合奈保子がピアノ弾いてるその胸の膨らみにね、これはもしかしてブラ線じゃないかとか、そういう細かい部分。
ゴ そうなんだ。河合奈保子は巨乳でしたね。
松 柏原芳恵さ、ムチムチしてるじゃないですか。ああいう太腿とか、そういう1枚の写真から画像エンジンがガンガン映像化してくれるんで。汗ばんだスコートで、俺の前に屈んだりして。
ゴ (笑)。いいですね、童貞な気持ちになります。昔テニスルックのAVあったけど、最近ないですね。
松 あんまりないですね(笑)。
ゴ テニスのかっこして。
松 白いスコートよかったですね。テニス部だったんで。
ゴ テニス部だったんですか。
松 ズリネタあったなぁ。凄いブスだけど、でっかいからスカートがちょっと小さくて、スコートが丸見えになっちゃうんだよ、常にね。スコートって白くてテカテカしてる生地じゃないですか。その下にもパンツ穿いてるんだけど、ちょっと汗ばんでる感じがして、それと岩崎良美が合体してる。
ゴ 岩崎良美なんだ(笑)。そのテニス部の時に、部活の女の子と付き合いそうになったりは?
松 全然。赤面症だったんですよね。
ゴ 女子は全然ダメ?
松 ダメでしたし、モテなかったんですよ。たぶん顔も含めてぶさいくだったんで、バレンタインデーとか、1度もチョコレートもらったことなかったんですよ、中高と。だからそんだけひねくれちゃう。
ゴ ふんふん。
松 1回、バレンタインデーに飴もらったことがあって。凄いがっかりしたことがある。そのテニス部のブスに。
ゴ (笑)。ブスのくせに飴。
松、そいつもバカだなと思って。
ゴ (笑)。
松 だから青春は充実してなかったですね。
■特殊部隊とチンポヤクザ
ゴ V&Rに入って、20数年経ちましたということで......V&Rは何年ぐらい?
松 8年くらいです。
ゴ そんなに長くはない。
松 長くはない。
ゴ ハマジムを作るまでの間はフリーでやってたんですか?
松 そうです。ハマジムを作るまでのまた8年間がフリー。8年、8年なんです。
ゴ ああ、そんなにフリー?
松 95年に辞めちゃって、それから2003年に作るんで。
ゴ そんなに開いてたんだ。なんかカレー屋になるみたいな噂が。
松 一瞬ね。V&R辞める時にはカレー屋をやりたいって言って辞めたんだよね。辞めてさ、ちょっとボーッとできるじゃん。
ゴ 辞めたんだ。会社が終わったわけじゃない?
松 そうそう、自分からね。29の時に辞めたんだけど、30になるまでに一人立ちをしておかなきゃいけないんじゃないかって強迫観念があって。
ゴ それって女子が30までに結婚したいみたいな?
松 そんな感じかもしれない(笑)。男だったら、30の誕生日に会社員でいるのはいやだって思って。男30で立つ。まさしく立つ(笑)。
ゴ 立つ、ね。
松 チンコじゃないですよ。気持ち的なことでね、立つ。それで辞めたいって社長に相談したら「何するんだ」って、その時は「カレー屋です」って言うんだけど。カレー屋の前に旅に出たくて車買ったりしてたら、後輩のバクシーシ山下が失恋をして倒れちゃうんですよね、精神的に。で、俺んちに来だして、会社休んじゃって。会社から、山ちゃんが倒れて穴が開いたから、松尾さん撮ってよって。いきなりその、会社辞めてこれからのんびりっていう時に、すぐ仕事を振られちゃったんですよ。
ゴ なるほどね。
松 それで、仕事してお金もらったりするのに請求書出したり、揃えろ揃えろって言われてカメラ買ったりしたら、全部実績が整っちゃったんですよ、フリーの。で、旅には実際に行くんだけど、その時30だったから今からカレー屋修行をやっちゃうと、5年か10年して店を持って、40からカレー屋って暇だなって思って。もうちょっと経ってから修行に行けばいいのかなあ、それじゃAVやろうかなって、3日で。
ゴ そういうのも含めて才能なのかな?
松 才能じゃないよ(笑)。
ゴ タイミング的にそうなったと。
松 そうですね。
ゴ カレー食べるのは好きなんだろうけど、作るのは?
松 作るのはハウスのカレーしか作らないですね。玉ねぎからとかインドカレーみたいなの、スパイス混ぜてやってみたけど、一度も美味しくなかった。本見ながらやったけど。だから俺はやっぱりセンスないのかもしれない。普通のルウを入れるのは大丈夫。
ゴ それは誰でも(笑)。食べる人なんですね。関係ないんで、カレーの話はカットされると思うけど(笑)。
松 ダメですよ。インタビュアーはもっと膨らませてね。
ゴ この歳になるとちょっとね、脱線すると結構元に戻んないんだよ。現場でもそういうの多いでしょ?
松 まあ......いや、戻そうとしますよ、それは。
ゴ (笑)。もう48、7?
松 いやいや46ですよ。今年の6月に47になっちゃう。
ゴ 40代後半ということで、僕はちょっと前にチンコが立たないハメ撮リストの苦悩をWEBスナイパーで連載してたんだけど、どうしても体力的なこと、そういう気持ちはあっても......みたいなことがあるじゃないですか。松尾さんがやっぱり凄いなと思うのは、セックスを1日2回とか3回。
松 いや、3回は無理。2回までですね。
ゴ でも2回、しっかりと。DVDになってから尺が長いじゃないですか。で、しっかり結合部分も撮らなきゃいけないのをやってて、それがみんな凄いと思ってる。だいたい仕事じゃなくてもできない人も多いと思うし。中途半端な感じで軟らかいまま発射しちゃいましたみたいな。
松 そういうのはないですね。
ゴ 性豪なんですか。
松 うーん、チンポヤクザっていう......。
ゴ (笑)。なにそれ、わかんない。チンポヤクザって言葉は新しい。
松 オチンチンの振る舞いは、ちょっと人より手厳しいというか、手荒いですね。
ゴ スゴマラですか。
松 いやいや、わかんない(笑)。性豪っていうほど性欲と女に対するアレはないんです。
ゴ プライベートで女侍らせてみたいなのはない?
松 全然プライベートで女口説かないし、酒も飲まないし飲み会も行かないし、風俗も行かないしまったく興味がないです、そういう意味では。どっちかっていったら自分だけのことを(笑)。小さい男ですよね。バイクが好きだから、そういうことをやってます。
ゴ 撮影以外は1人になりたい。それはみんなあると思う。
松 そうそう。だから性豪には当てはまんない。
ゴ そうかそうか、性欲というのとはちょっと違うと。
松 性欲は強いけど、それを撮影で発揮できるように最初からトレーニングされた人種なんですよ。
ゴ あ、なるほどね。
松 だって童貞を卒業したのがAV女優相手で、それからしばらくの間セックスは撮影でしかやってない。彼女もいないわけだから。だからセックスはカメラを持っての撮影で、童貞時代に培った妄想力を武器にやってた。それが生活だったので、すべての性欲は撮影に注がれてるわけですよ、ストレートに。プライベートでいい思いをしてないから。
ゴ そうか。そこで長きに渡ってハメ続けられるベースが出来たんですね。
松 そう。ちゃんとした恋愛とか、キスとか、初恋とか、そういうのを一切経験しないまま、いきなりハメ撮りに入っちゃった。
ゴ プロフェッショナルなセックスしかしてない。
松 そうなんです。だから特殊部隊に育てられた子供みたいな。
ゴ なるほど。
松 生まれて目を開けたらそこがもう特殊部隊だから、ジャングルに入って人を一撃で倒すことに関しては何の躊躇もなくやれちゃうわけですよね。でも一般常識の世界に行くと、ちょっとどうかなっていう。
ゴ 特に安達かおるの元でね、育ったのはやっぱり軍隊的なものが。
松 そうですね。ウンコ、オシッコ、レイプ、イジメ......。
ゴ それを観ながら、唯一の救いが自分がハメること。
松 そうそう(笑)。女の子が泣いたり、汚物まみれになったりする現場から逃げ出すための手段がハメ撮り。
ゴ なるほどね。それでカレー食べたりハメ撮りしたりちょっと遠くまで行ったりと。そこはやっぱりハメ撮りエリートだね。
松 そうなんですよ。ハメ撮りロッカー・ベイビーズ。コインロッカーで生まれたみたいなね。
ゴ (笑)。小説書けばいいですよ。
松 ハメ撮りの中とかAVの中で生まれて。童貞だったじゃないですか、セックスも覚えさせられて。最初自分がセックスする前に他人の、並木翔のセックスを見せられて。
ゴ 並木翔ってのがちょっと気持ち悪い(笑)。
松 ね。いつでもどこでも並木翔、あと30秒でイキますよみたいなね。
ゴ オールバックでね。
松 そういう人のセックスから見せられてたから。
ゴ 愛とか恋とかじゃない。
松 ないね。愛とか恋とかじゃないセックス。全然違う。
ゴ ヤギでもなんでも、ハメればOK。
松 外でもなんでも、いつでもどこでも並木翔、立ちますよって。
ゴ そうかそうか、やっぱり松尾さんの秘密って、そこら辺にありそうだな。
松 そうだね。通常の青春を体験してなくて、いきなり戦場に行っちゃったタイプなんで、逆に言えば、そういう戦場での闘いに関しては非常にストレートに入っていけるんですよ。愛とか恋とかはどうでもいい。
ゴ カンパニー松尾って当たりは優しくて女の子ウケしそうだけど、やっぱり凄い冷めてる。
松 チンポヤクザっていうのはそういうことです。
ゴ 感情がない感じ、すごいあるじゃないですか。
松 ありますね(笑)。
ゴ でも映像観るとそんなに感じない。愛してる感じがちょっとある。
松 そこが、童貞が入ってる。いわゆるその、本来プライベートでやっとかなきゃいけなかった恋愛とか、やらないままにこっちへ来ちゃってるから、一応セックスは仕事で覚えてるけど、感情的には消化してないもんだから、時たま女の子に勝手にだよ、勝手に恋してるのをそこの場で表現しちゃったりする。だってそんなことはビデオでやんなくたっていいわけじゃない、好きだとしても。ホントは裏でコソッと口説いてさ。
ゴ そうなんですよ。普通はね。
松 焼肉食ったりしてさ。
ゴ そうかそうか、そういうとこまでは入っていけないので、テロップ入れたりして、見つめちゃったりする時があるわけですね。
松 そうそう。それを自分の中でファンタジーにして。ホントは外でやっときゃいい話なのに、それを仕事で全部やっちゃってる。だからプロなのかどうかっていうと、言い方おかしいけどそこは素人というか、童貞マインドが支配してるんですよ。
■ハマジムを立ち上げて
ゴ やっぱり安達かおるの訓練、特殊部隊というのは普通じゃないですよ。今のAV製作者と全然違うじゃないですか。怖い。僕らあまり関係してなくても怖い感じがするから(笑)。
松 外で見聞きするより内にいたほうが怖くはないと思うけど。こだわりすぎちゃうから結果が面白いほうに行くという。
ゴ 力技でね。
松 全然ノリ気じゃない女を延々と責め続けて、最後にイラついて、何もできないから自分で蹴り出しちゃったとか(笑)。普通は監督として接するところをそういうふうにしないで、ある種の舞台みたいな形でやってしまうのが安達かおるですね。だから自分でやっておいて女が自分の思い通りにいかないと全然ダメで、それを無理矢理自分も入っていって、力づくでも修正しようとするところが変わってるよなあ。監督じゃないから。
ゴ はいはい。男って感じ。昭和の時代の代表(笑)。
松 面白かったですね。
ゴ 昔の人はみんな、ひと癖ふた癖あって、自分のことしか考えてない。
松 そういうところが凄いよね。あ、そうか。安達かおるという鬼軍曹的な理由のほかに、たまたま入ったのがV&Rというメーカーだったじゃない。監督がやりたいことを自由にやらせる会社だったんですよ。それはデカい。メーカーからの外注だと、ここはこう撮ってくれ、ここはちょっとまずいですねって、どうしてもイビツなものをまとめていく作業になる。商品だから、みたいなね。
ゴ どこか帳尻合わせというか。下請け業者だからね。
松 あと女の子のヘンな部分撮っちゃいけないとか、こういう内容なんだからそれ以上外れちゃいけないというのがちょっとある......いや、かなりあるじゃないですか。
ゴ 全然ありますね。僕は最初っからフリー、下請けでやってるけど、やっぱりカレーを食べてるだけのシーンを入れることはできない......でしょう。
松 そうかもしれない。
ゴ たまたまそれを喜ぶ人がいたとしても、やっぱり何かしらの問題が起きてくる。
松 極端な言い方をすると、カラミさえ入ってればいい。もしくは最悪、カラミ忘れても面白けりゃいいというのがV&Rだったから。
ゴ V&Rは特にね、特殊な。
松 だからそういう環境に最初にブチ込まれたのは大きいですよ。何もダメ出しされてないわけだから。
ゴ はいはい。
松 調子に乗るじゃないですか。
ゴ 調子に乗って、こんなになっちゃった。
松 そうそうそう。
ゴ なるほどね。ハマジムになってからはセールス的なものを押さえてやってるわけでしょ。
松 もちろん。だからハマジム作って最初に、ほら四角いヤツ作って一回大失敗してるから。
ゴ ああ、初期のね。UFO見に行く、あの(笑)。
松 そうそう、その話。
ゴ あれ凄いですね。売れる要素がまったくないものを作ってる。
松 あれで大失敗して、2、3年くらいDVD出してないですよ。
ゴ そうなの?
松 出してたけど、それはPORNOGRAPHというサイトで撮ったやつをDVD化しただけだから、オリジナルは出してなかった。2009年まで。だからつい最近なんだよ、ハマジムって復活したのは。
ゴ そうなの?
松 うん。オリジナルという意味では。『まり子』はサイト用に撮ったやつだから。グラフィスで撮ったやつをグラフィスと一緒に出してて、発売元もあれはグラフィス。『ALICE』も。
ゴ あ、そうなんだ。
松 だから、実はその、完全に俺がお金的にも自社で独立したのは2008年1月ですよ。
ゴ そんな最近の話なんだ。
松 最近ですよ、ハマジムなんて。リリースは2007年くらいからだんだんやり始めたけど、最初2004年にあれ作ってダメで、3年後くらいからグラフィスから出してるけど、それはグラフィスの金。折半なんで。だから変えたのは2004年に出した7枚のオリジナルで大失敗してから。
ゴ あれは......続くわけない。
松 そんなことないよ。俺の中では、あれはセル業界で大歓迎されて、こんなものを待ってたんだと言われて、大成功に続いていくもんだと......。
ゴ (笑)。そうなんだ。松尾さんってあれですよね。僕が思ってるよりユルイ(笑)。
松 そうなんですよ、アホなんだよね。
ゴ V&R見てたら、他のバクシーシ山下や平野勝之が勝手にやって、売り上げもろくに行かないのを、カンパニー松尾が何とか売り上げを保ってという人だから、もっとちゃんと考えてるのかなと思ってた。
松 いや、ちゃんと分かってたから。そりゃ俺が2004年にハマジムになった時に「キャンペーンガール」を最初に出してたらお金は儲かりますよ。でもそのために作ったわけじゃなかったから。
ゴ ああ、もっと自由に。
松 そうそう、やりたいことをやるために。僕自身もそうだけど、バクシーシ山下とか平野さんとかにいいものを撮らせたくて、それで始めたから。
ゴ 優しいね。
松 優しいというか、あの頃の流れ的に言うと、だんだん企業化してきた頃じゃないですか。エゲつない企画はまだあったし、激しいものもできたけど、でもド企画っていうのがちょっとやりにくくなってた。何かのぶっかけとか、何かの企画がないと。あと、どうしても会社がレンタル時代にあった中小ワンマンの適当な感じからさ、だんだん企業化してきて。フォーマットが出来て、何か言われ始めたときじゃないですか。だからそういうのに抗う上で、撮りたいものを撮るためにハマジムを作ろうと思ったわけです。
ゴ なるほどね。
松 そこで最初に営業的に日和って、普通のパッケージで「キャンペーンガール」はまったくイメージになかった。最初はもう思い切って、まずはやっちまおう、ダメだったらまた考えようって言ってて、ホントにダメだったの(笑)。
ゴ まあ、どう考えてもね(笑)。
松 最初から「家庭教師」と「キャンペーンガール」を普通に出していれば、同時にやることは可能かもしれなかったけど。
ゴ それはつまんないよね。
松 そう。だからやめたの。
ゴ 確かに今の状況はもうどうしようもないんだろうけど、センズリ専用のアイテムということでね。ポルノに関してはそれが正しいと僕は思うんだけど、でもそうでないものもあっていいのかなと。
松 許容する部分もあったのが、セルになっちゃって今はなくなっちゃった。レンタルの時には、3本4本一気に借りてたから、そんなのもいいかなって。
ゴ そういうことでしょうね。経済的な問題。やっぱり3000円くらい出して買うとちょっとね。
松 確かにね。CDもそうじゃないですか。今買うのって、よっぽど好きな人じゃなきゃ買わないもん。
ゴ 特にポルノに関しては無修正とか、無料でも観られるしDVDも300円くらいで売ってるし。そんなの小学生でも買えるじゃないですか。
松 そうそう。AV始まってもう20何年で、俺たちも20何年で凄い変わりましたよね、そういうの。
ゴ そうですね。だから素晴らしい時代というか、昔は裏ビデオって2万くらいしてて、尚且つどす黒いマンコのおばちゃんがチンピラみたいなヤツとセックスしててしょぼーい感じなだけだったけど、今は女子の質も高い。あとプレイに特化したもの......イラマチオとか。それだけって昔はなかったじゃないですか。だから今のユーザーはホント幸せ。でも逆に、カンパニー松尾的な人、それこそ豊田薫的なマンコに執着した、マンコの写真が撮りたくてどうしようもないみたいな人たちが生まれなくなってる。そういうのはちょっとつまんないって気がする。でもそんな人たちばかりでも、世の中困っちゃうと思うけど(笑)。
松 けど、ああいうその、豊田さんみたいなさ、ホントのマニアがAV監督としてもてはやされる環境は、本当は必要ですよ。
ゴ うんうん。
松 今はそういう人たちって扱いにくい人ってされてる。納期守ってさ、事故がない、そんなに執着しない人たちが企業の人たちにとって使い易い監督になっちゃったから、それはちょっとつまんなくなった。
ゴ 小作人的なね。
松 昔はどっちかって言ったら業界的には企業家じゃなかった。中小ワンマンの事務所もいい加減だったし、やってる人たちもちょっとね、アウトローというと違うけど、なんかだらしない人たちが多かったというか、そこが愛すべきところでさ。
ゴ そうね。はみだしちゃって、言うこと聞かないわけじゃないんだけど、ちゃんとできない人みたいな。
松 絶対に会社員になれない人たちがいっぱいいた。
ゴ そうそう。だからハマジムの若い監督、僕もたまに行くと真面目な......いい人たちだなあと思って(笑)。
松 俺が実は、会社では結構キチキチやってるから、みんなそうなっちゃうのかなあ。山ちゃんなんかはいまだに不真面目な(笑)。
ゴ (笑)。でも、まだ真面目になったほうなんじゃないの、あれで。
松 そうだね。グチグチ文句は言うけど、やることはちゃんとやるよね。
■数字が出ないのはメーカーの責任
ゴ 撮影に関してのこだわりの話を。キャスティングってあるじゃないですか。僕は監督をある時期からもうやりたくないというか、辞めてしまって。断わったり、できなかったりするんですけど、それってキャスティング権が下請けにはないのが一番の理由で。やっぱり撮りたくない女とか、今売れてるからこの子で「やっちゃってください」って言われても、やる気もないし大したもんできないじゃないですか。だからまず、カンパニー松尾の成功の一つは、メーカーとしてキャスティングしていける立場をとったことなのかなと。V&Rからやってるし、企業人として成功者だなと思うんだよね。
松 そこは確かに譲れない部分で、今言ったように「この子売れてるから撮ってください」っていうのは、性欲的な話で言うと全然湧かないですよね。やっぱりしたい女は自分で選びたいし、フィーリングってあるじゃない。どんないい女でも、自分がやりたいかどうか、ムラムラするかはちょっと違う。人から言われてよかった子も実際いたけど、そうじゃなくて常に自分で選びたい。商業ベースでプロデューサーの立場から言うと、それを商品にするのはひとつコツが......コツがあるのかラッキーなのか、俺はたまたま巨乳が好きだったんで商品化しやすい。
ゴ そうですね。
松 尚且つフリー時代に、俺には浜田さんというパートナーがいたわけですよ。彼がついてるんで、ある程度体がよければ彼がなんとかする。パッケージをうちでやりますよっていう時に、浜田の名前が業界的には非常に通ってる。企画もののカメラマンとしても単体のカメラマンとしてもね。なのでキャスティングも込みで全部俺にやらしてくれるから、3人使っても1人はパッケージで通用するような女を用意して浜田さんに撮ってもらえば、そんなに大崩れしないものが出来上がる。で、V&Rの時から浜田さんとやってて、フリーになってからもすぐに浜田さんと合流したから、そこは他のフリー監督とちょっと違ってて、パッケージを自分でできるんです。
ゴ なるほどね。結局、表1の写真いかんで数字はかなりね。
松 そうそう。数字で監督の評価を決めるけど、数字ってパッケージでしか取れないわけだから、それは酷な話ですよね。
ゴ でもそれは戦略として、生き残るためには本当はデザインや写真ができないと。それでみんな難民化してる。
松 そうなんですよね。難民化していくというか、どうしても数字が悪かったから続けられませんって言い訳をメーカーがする時に、それって実はメーカーの責任であって。俺は自分がメーカーの立場になったら数字の責任を監督に負わせることはしなかったけど。それはメーカーの責任でしょう。たとえばパッケージを上手く撮れなかったわけだから。だけどメーカーってそうじゃないじゃないですか。
ゴ プロデューサーって名前はついてるけど、単にAVの会社の社員だからね。何かを考えたりもっとこうしたらみたいなのは、ほとんどの人がないでしょう。
松 今はなくなっちゃいましたね。昔はあったんだけどね。俺が全部責任持つっていうことまでは言わないけど、やっていいから面白いもの作りなよ、どうせ会社の金だしみたいな、そういう気概のあるプロデューサーがちょいちょい残ってたんですよ、僕がフリーになったばかりの頃は。たとえば僕がお世話になったのは芳友舎の神野龍太郎さん。
ゴ 問題児。問題児てっいうか、オヤジ。
松 可哀想な人なんだよ。全然会ったこともない女の件で捕まっちゃったりね。その神野さんや小池さんとかさ、平沢君もそうだけど、会社の中の組織の一人なんだけど、それ以上に面白いの作ってよみたいな発注の仕方ができた。
ゴ それなりの思いがね。
松 うん。だからそれはわりかしやり易くって、じゃあ神野さんを喜ばせようとか小池さんを喜ばせようって思いながら作るのは楽なわけ。そういう時代があったんだけどね。
ゴ 今はデータで数字が出るかどうか。
松 減点主義らしいんですよね、今のプロデューサーは。
ゴ あ、なるほどね。
松 マイナスがなければないほどいいんですよ。たとえば自分が担当してる作品の納期が遅れたとか。売り上げ関係ないですよ。あとは必要な書類が揃ってないとか。
ゴ ああ。だからサラリーマンなんですよね、単なる。たまたまAVの会社に入ってしまって、俺はやりたくてやってるわけじゃねえよ的な(笑)。
松 (笑)。ていうかね、金儲けをしたい人が一時期プロデューサーになったんですよね。2000年以降、大企業系で雇われの年棒制の人たち。時代が右肩上がりで、やってると儲かったから。だから製作に対する熱い思いは1ミリもなくて。いい時代はボンボン行けたけど、坂を下ってる今の時代はどうやって生き残っていくかになっちゃって、余計にまた減点を食らわないようにしようという。
ゴ 実際だって、AV作ってる会社でオナホール作ってて、結局オナニーでお金取れれば何でもいい。
松 企業としてはね。どうやって取るかというだけですよ。
ゴ だから、AVじゃなくてもいいわけですよね。でも、そうでもない人がいるからやっていけるんだと思う。
■山小屋・宅録VS山頂・ドームクラス
ゴ キャスティングでのこだわりで、こういう女がいいとかありますか?
松 おっぱいはひとつ条件ですね。
ゴ 貧乳はダメですか。
松 ダメですね。
ゴ ダメ......絶対?
松 ほぼダメ(笑)。まあよっぽどなら......いやいやダメだな。
ゴ 恋愛とかしないからね。
松 そうだね。
ゴ やっぱりフォルムが。
松 そうそう、フォルム重視。オナニー青年だから、自分がヌケる対象を撮影で作ってるわけだから、全ては。オッパイがデカいのは必要な条件。谷間や胸の膨らみ、乳首とか見えなくてオーケーみたいな。衣装や下着、パンストやTバックとか、そういうフォルムを作るためにオッパイは必需品。顔はどっちでもいい。撮影のために買出しいかなきゃいけないじゃない。あれも毎回、いまだに俺行ってる。もう20年間オカダヤに行ってるとさ、オカダヤの、入った時は凄い可愛くて細かった店員が今はオバさんになっちゃってるのも見てるわけですよ。
ゴ ふぅん。
松 あとは喋ってて性格のいい子がいい。
ゴ 性格良し子ちゃん的な。
松 そうそう、性格良し子ちゃん。
ゴ 現場はみんなそうでしょう(笑)。
松 結局エロいエロくないは乗ってみなきゃわからないけど、性格がいいかくらいは喋ってみればなんとなく分かる。いいか悪いかってよりは、俺に対してあわせられるかってことですよね。
ゴ 嘘でもいいから、協調性ですよね。
松 そうそう。やっぱり普段からの素行が悪いと嫌になっちゃう。裸族だったり、AV現場慣れしちゃっててプカ〜って。煙草は別にいいんだけど、いかにも業界チックな。
ゴ 次は何やんですかぁ〜?みたいな。
松 そういうね。
ゴ (笑)。
松 股開いて、ああ、じゃあ、わかりましたぁ〜、パンパーンッみたいなのはもう、全然。
ゴ シャワーを浴びてから、衣装脱ぎ散らかして着てるやつ見るとね。
松 全然ダメですね。脱ぎ散らかすヤツ。
ゴ 説教できればいいんですけどね、説教するとね。
松 むくれちゃうからね。
ゴ そしてチンコも萎えがちになるし。でも松尾さんと言えば、昔テレクラですごいモンスタークラスの女とやってたじゃないですか。あれはビンビンだったんですか?
松 あれは何故かね、素人っていう二文字が。
ゴ 女優さんじゃない。
松 そう。本当のズブの素人をビデオに出すわけですよ。その撮影がオッケーになった時点で、俺の中で非常に貴重なんですよね。そのことによって、もう「素人」の二文字が頭ん中をマトリックスのように駆け回って。
ゴ (笑)。そんなに大げさですか。
松 そうそう。
ゴ あっ、最初にハメたのが女優で、その後もAV女優とばっかり。
松 プロとしかやってないから(笑)。
ゴ じゃあ、ドカベンみたいな貧乏くさい女でも?
松 素人だったら大丈夫。
ゴ かわいいねとか言いながら。
松 いや、闘う。俺の戦場に引き込むんだっていう意味では、鬼退治みたいな。
ゴ (笑)。
松 バズーカ砲を構えたくなっちゃう。
ゴ 鬼退治でやってたんだね。
松 そう、成敗してやるって。
ゴ 昔のテレクラとか、今考えると訓練期間っぽいね。
松 そうですね、いろんな意味で。
ゴ 悲惨な。
松 悲惨なこともあったけど性格いい女もいたじゃない。ゴールドマンも一緒に最後5Pとか。
ゴ いい子だったよねぇ。なんなんだろう。なんでいい子と悪い子っていうか、立つ子と立たない子っているんですかね。
松 長いことやってると、チンコとマンコを擦り合わせた時に「気持ちいい、入れて」っていうのは、人としての、人間そのものが持ってる理屈じゃないユルさというか、愛とか、慈しみ合うことじゃないような気がする。そういうのをすっとばして、接していられる女ですよね。
ゴ 去年ハマジムの仕事でも単体さんので呼ばれて行くと、そいつを見た瞬間からもう、チンコが立つ気がしないんですよね。
松 (笑)。
ゴ あれってなんなのかなあって思って。
松 うんうん。
ゴ 物体としては、そこら辺の別に素人じゃなくても、企画の子でもぜんぜんオッケーだし、そんなに変わらないと思うんだけど、あの独特の"立たせはしない"みたいなオーラ(笑)。
松 あの人たちは、いつも接してるのがプロ男優なんですよ。プロ男優というのは、女優さんの手を貸りなくても、ある種勝手に自動的にオチンコが発令して、違うベクトルでセックスができるでしょう。
ゴ うんうん。
松 ああいうところでやりつくしてる女は、確かに撮影現場においてこちら側に花弁を向けてくれることはないですよね。体は向いてても。
ゴ 今のいいセリフ。Jポップで歌にしたら?「花弁をこちらに向けることはない」。
松 そこからヨダレ垂らしてるみたいなさ。そうじゃなくてもやってるAVの現場は実際にあるわけで、それは超ハイレベルなプロの現場。何も性欲的には感じるところのない、寒そうなスタジオで、無理な体勢で。
ゴ 足場も悪くて。
松 そう。それこそ山頂でセックスするみたいな現場で鍛え上げられた人たちのオーラがさ。
ゴ そうですね。
松 僕らは素人的な、アマチュア的。
ゴ (笑)。あんた素人じゃないじゃないですか。
松 そうだけど(笑)。
ゴ でもハメ撮りしてる人って結局、精神的なモロさがね(笑)。
松 そうそう。山頂の、風が吹きすさぶ中でやるタイプではないですね。所詮は山小屋で、「ちょっと寒いね」って言いながらしかやれないような、結構ヤワな動物なんです。
ゴ なるほど。
松 ハメ撮り20年やってても、結局山小屋でしかできない(笑)。2人っきりにならないと、結局チンコ立たせらんない。
ゴ そういう理由ですよね。
松 そうですね。ステージで言えば、ドームクラスではまったく役立たず。
ゴ ライブハウス止まりですかね(笑)。
松 宅録の人じゃない? どっちかって言えばお客さんいないほうがね。
ゴ そう、結局一人よがり(笑)。
松 それで、宅録だからプウッておならしたりして、それが面白い。そういう、なんかクシャクシャッて楽譜めくってる音が入ってるからいい、そんな感じじゃないですか。
ゴ それも味で。
松 大ステージで5万人を前にして、何かこう「ライジング サーン♪」みたいなことはできない(笑)。
ゴ (笑)。誰もそこまでは求めてない。でもマッチョのね、常に勃起し続ける力のある人はさ。
松 そうそう。全方位的にね。360度見られたって勃起してる。そういうのはないじゃないですか、僕らは。
ゴ そうですね。そういう意味では......普通の人なのかな(笑)。
松 宅録ローファイで、ちょっとだけ宅録な分、咳とかね、そういうところでひとつ、ドームのバンドと違う音楽を。
ゴ そういうリアリティや生々しさみたいなもので。
松 勝負してる。......まあ所詮は小動物。情けない(笑)。か弱きハメ撮り師たちみたいな。
ゴ (笑)。それいいですね。か弱きハメ撮り師たちって。そのうち独りになる。ハメ撮り師たちがいなくなって、独りぼっちのハメ撮り師。それいいと思いますよ。
松 だから俺も、確かにS1さんとかドームクラスの闘いに挑むけどさ。
ゴ ドームクラス(笑)。
松 けど、ドームクラスの闘いをいつものドーム級で撮れっていう仕事はさ。
ゴ それはない(笑)。
松 結局その、宅録風なね(笑)。
■ハメ撮りの心がけ
ゴ ハメ撮りで、松尾さんが最も心がけていることってありますか。エロくさせるために。
松 ここで言うと興ざめかもしれないけど......なんか俺ね、昔は何も言わないで攻めてられたんだけど、それすると今日の女優さんには向かないこともあって。この人急に何するの?って。マジでセックスするわけですけど、企画の子には通用するんです。でも単体クラスでそれやると戸惑われたんで。
ゴ いきなりって、あんまり説明しないで触ったり。
松 そう。もう、何の説明もしないで。
ゴ それ単体だとマズいでしょ。この人なんなのって(笑)。
松 そうそう。そういうことが一時期あったんで、今は単体クラスには......あの......。
ゴ 説明をして。
松 そう。だからやっぱり、山頂の人たちは強いんで、このハメ撮りにはどういう意図があるのかってちょっと説明してそういう空気感を出したり。あとはカメラ見るなとか、セオリーがあるんで説明して、急に僕はセックスするんじゃなくて、サワサワしたりとか、君の綺麗な体を撮りたいんですとか、ちょっとプロセスを説明して、共犯者的な役割を担わせておいて、お互いで作りこむんだよみたいなことを、単体のハメ撮りではやります。けどハマジムの撮影では、そういう現場をあんまり知らないような、ホントのスケベっぽい女には何も言わないで突然襲いかかったりする。
ゴ 説明とかしない。
松 しないですね。質問に立ち返ると、心がけてるのはとにかく俺はマジでセックスするぞっていう意思を見せること。とにかくお前を見ているとチンコが立って立ってたまんねえぞっていう、ちょっと変態ドスケベ兄さんになるのをアピールする。
ゴ なるほど。
松 だから、褒めるというか自分からスケベになる感じですね。ちょっと股開いてスケベになってご覧っていうのはないじゃないですか。自分でこう、発して、興奮してるんだよってことを伝える作業をする。
ゴ 女の子もね、相手の人がエッチなほうが心を開きやすい。
松 ただハメ撮りってバランスが必要なんで、俺ばっかりがハーフーハーフー言ってると、画面的にはなんだろうって感じがするので、そういう指示を出しながら、今度はそれによって感じ出した女をちゃんと撮らなきゃいけない。いつも俺がハーフーハーフー言ってイッちゃったよっていうのもアレなんで。
ゴ あんまり早くイッちゃったりしてもねぇ。
松 そうそう。だからキメの画のバランスがあって。普通のハメ撮りを観てるとちょっと思うのは、画が流れちゃうんですよね。というのは技術的な解説になるんだけど、俺はフィックスがいいって思うんですよ。フィックス=決まり画。要するに、女の子を立たすか座らすかで、後ろから乳を揉む。あれって結構ちゃんと決まる。ヌケるポイントここですよみたいなアングルが、序盤戦に結構ある。引きと手持ちで交互に撮ってるんだけど、そこで決まり画を作っておく。
ゴ なるほど、ヌキどころね。
松 そこがね、この前「AV30」の編集をしてみて、やっぱり94年くらいの、ハメ撮り始めて2、3年くらいの頃からの画は、今のハメ撮りとまったく同じなんだよ。やり方もアングルも。
ゴ 変わってないんだ。
松 変わってないんですよね。
ゴ すごいですよね、それは。
松 逆に言うと進歩がない(笑)。テーブルの上にカメラを置いて向けといて、そこを自分は隠れるようにして後ろから乳揉んで。
ゴ その時にはもう確立されてたんだ。
松 それで四つん這いにして、お尻を撫で回してパンスト破いてっていう画とか、手持ちでお尻をホジホジしてる画とか、あんまり変わってないですね。
ゴ なるほどね。松尾さんのひとつの見方として撮影者、カメラマンとして他の人との違いがね。たとえばホテルの部屋で2人っきりで撮ると低予算だし、映像ってお金かけた分が出るじゃないですか。かけない分も出るし、どうしても貧乏臭い感じになる。だけど松尾さんのは映像美というか、キレのある画なんだよね。カメラマンとしての資質が何なのか。
松 いや、外光で撮れるところは外光で撮ったりするからじゃない?
ゴ AVやる前にカメラはやってなかった?
松 まったくやってないです。
ゴ 普通のハメ撮りしてる人の観るとどうしてもね。僕もそうなんだけど、貧乏臭さ? ビニール本や昔のエロ本みたいな(笑)。それはそれでさ。
松 それが卑猥なほうに転がることもある。
ゴ とか、迫力みたいなことになるのかもしれないけど、極端に言うと平野勝之みたいな、アングラな、自主映画的な雰囲気があるじゃないですか。
松 いろいろね、人によって同じ機材使っても違う。
ゴ うん。
松 平野さんのは全然エロくないもんね。
ゴ そうそう。やっぱりその人の特質が出る。松尾さんのは、衣装やいろんなものも含めてだけど、どっちかっていうと女性的なのかな。
松 確かに、たとえば他のメーカーでもおじさんのハメ撮り観ると貧乏臭いもんね。
ゴ そう。オヤジ臭いというか、モテない人が撮ってるみたいな。
松 そこはそこですごい興奮するんだけど。モテない人が、オヤジが撮ってるシリーズあるよね、むさいやつ。あれすごいよね、興奮する。
ゴ それはそれでいいんだけど、カンパニー松尾と他のブランドの違いは、僕はやっぱりカメラなのかなって。
ゴ 確かによりAVチックにはなってるよね。ハメ撮りなんだけど、今言ったおっさんのアングラ映像ではない感じになってる。それは、たとえば意図的に外光が入ってるところで撮ったり、あとはさっきも言ってたように衣装とか下着は、自前はあんまり好きじゃない。だって自分でカスタマイズして、少しでも上げる、俺のエロに近づけないと気がすまないので、大きいパンツ穿いてきたときは却下してTバック穿かせちゃう。
ゴ そこらへんは厳しい童貞。
松 そう。だけどリアリティって俺は追求しようと思わないわけ。ホントにリアリティを追求するなら自前の下着なんだろうけど、そこだけは絶対ダメ。テレクラで引っ掛けた女もTバック穿かせちゃう。
ゴ そうだよね。本物だと相当貧乏臭いし、パンツにウンコがついてたりもするんで。
松 そう。だからせめて水着に着替えさせるとか、そこは自分流の立つ方向性に持ってっちゃってるので、素人ものでもメチャクチャ汚くてリアルなところに案外落ち込まないのは、そういうことかもしれない。
ゴ そこら辺が商品としての成功なのかな。
松 確かにあんまりアングラっぽくはないですね。
ゴ バクシーシ山下の話だと熟女で肛門のそばにニラが付いてた女がいたって。
松 どうやってそこに付いたんだとかいろんな問題があるけど、山ちゃんは絶対衣装の下着使わないですよね。でも俺立たないもん。下着が汚かったり、エロくなかったらダメだってのは、たぶんリアリティじゃない部分も、案外勝手に自分の中でやっちゃってる。
ゴ なるほどね、だからリアリズムって言ってもファンタジーというか、いい部分の夢みたいなのがあるんですね。
松 そう。あるし、人に見せてどうだっていうより、自分が立つかが基準だから。そうしないとさ、自分がまずおっ立たないんですよね。だからデリヘルとか呼んで、じゃあって言っても、たぶんそんなに立たないだろうね。
ゴ 風俗は全然?
松 行かない。すべて1回ずつは一応行ってみたんです。ソープランドは2回か。ピンサロ1回、箱ヘル1回。デリヘルはない。
ゴ 1回なんだ(笑)。もう全然興味なし?
松 そうですね。海外の売春宿は若い子がいっぱいいたけど、そこではさすがに着替えさせなかった(笑)。
ゴ なるほど、やっぱりフォルムありきというか、映像なんですね。
松 オナニーのための資料作り。気の弱い動物のやることですよ(笑)。
ゴ ズリネタ作り。
松 そう。自分のためのズリネタ作り。
(続く)
『メーカー横断ベスト!!! カンパニー松尾8時間』
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