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■セックスと撮影

ゴールドマン(以下・ゴ) 松尾さんにとってAV女優は巨大なオナホール、生きたオナホール的な。

カンパニー松尾(以下・松) 極端に言ってしまえばそうかも知れないけど、そこまでは。

ゴ そんなこともない。

松 俺にとってAVの子たちは、そりゃあ、ある種自分のエロくヌける画のためのひとつのアレだけど、そうでもないよなあ。

ゴ たまに恋しちゃったり昔はしてたじゃないですか。

松 そうそう。

ゴ 最近はあんまりないですか。

松 今ではあんまり......。ビデオ上の可愛いなとか、いい子だなっていうのはもちろんあるけど......。恋したいし、恋を一瞬したりもしてるんだけど、どうも年食ってきてさ、若者たちにさ、なんか若者がそういう事件を起こしたりするのね、時たま。その時にさ、そういうことはダメだとか、電話番号聞いちゃダメだとかさ、言う立場になっちゃったわけ。

ゴ そうかそうか。

松 今までなかったじゃん。そういうこと。

ゴ (笑)。

松 それに業界もちょっとゆるくてさ、飲み会したり、いろいろ今でもあると思うんだけど、ちょっとつながりがあったり。フリーの頃のハマジムなんてさ、内緒だけど仲良くなった子が花火見に遊びに来たりね。でも今そういうことやったらエラい騒ぎになっちゃうから。

ゴ 特にビッグネームだからね。カンパニー松尾がそんなことしてる!みたいなことになる。

松 それで若い奴らがそんなことするようになった時にさ、電話番号聞いちゃダメとか言ってると、自分もしちゃいけないふうになっちゃうんだよね。

ゴ じゃあ、若手を辞めさせるしかない。

松 そうだね。

ゴ (笑)。

松 実際男と女だからさ、ダメだダメだと言っときながら、なんかこう......ってあるんだけど......なくなりましたね(笑)。

ゴ だいたい仕事でセックスしなきゃいけないしね。

松 いや、今でもね、この子いいなって思って、やってる時はそういう気持ちでやってるんだよ。だけど精子出しちゃうとね。

ゴ それはやっぱり職業病みたいなところもあるんじゃない? 僕もプライベートではなるべくセックスしても射精しないようにしてるんだけど、なんか出すとさ......。

松 出すと、愛情がね......。

ゴ そう。出すとすべて終わって、シャワーを浴びて家に帰りたくなる。

松 そうそうそう。それは俺も昔っからそうだった、ホントに。花岡じったさんも言ってましたね。男はだいたい精子出しちゃうともうね。後は性欲ではなくて人間愛の世界だから。普通の付き合いだったら別にいいんだけど、撮影の時には特に人間愛とか出せないから。あんまり出しちゃうとまた問題になっちゃう。たとえばいろいろ悩んでる子がいればさ、可愛い子もいて、これ絶対だまくら......っていうか素直な子だからさ、電話番号聞いちゃえばすぐ教えてくれるだろうなって思ってても、人間愛を出すわけにはいかないんですよね。そこは切ない感じ。

ゴ 仕事だからね。結局、ズリネタ製作者。

松 そう。だから、それ以上のことに踏み込んじゃうとあれなんで、そこは切ないよね。

ゴ この間松尾さんの現場に行ったら、やっぱりモデルと2人っきりだったのを見て凄いなって。ほら、ハマジムって若い衆がいるから、やっぱりADつけてるのかと思ってた。

松 いらないですね。というのは、そうするとどんどん現場みたいになっていっちゃうから。

ゴ 仕事っぽくなっちゃう。

松 そう。女にも逃げ道が出来てしまうんで、やっぱり2人。それに大した撮影じゃないので(笑)。自分でカメラ回せるし、自分で衣装も持っていけるし、車も運転できるし、何が必要かって、せめて駐車場への移動や買出しが足りなくなったら買ってきてもらうくらいのもので。

ゴ なるほどね。

松 撮影で約束事ってあるじゃないですか。画に映んない部分の約束事が実は凄く多い。普通の現場は朝メイクさんがいて買出しもあって、現場で台本が配られて今日のセックスの予定が書いてあって......っていうのが好きじゃないわけですよ。

ゴ はいはい。

松 だってそこにセックスは生まれないよね。

ゴ そうですね、どんどんイヤラしくない方向に。

松 そうそう。

ゴ そうなんですよ。昔はほら、全部単体でドラマみたいなものだったじゃないですか。それでスタッフがいて照明やカメラマン、音声さんがいて。それでだいたい照明のオヤジがさ。

松 またうるさいんですよね。

ゴ 映画畑から来てて。

松 こうするんだああするんだってね。

ゴ そのオヤジが存在すること自体が、もうイヤラしさをなくしてくので、どんどん削っていくしかないなと思った。

松 よっぽどほら、ド変態だったら別だけどさ、普通の女がそんなふうにチヤホヤされたらさ、女優にならざるを得ないよね。

ゴ そうだよね。

『私を女優にして下さい AGAIN 11 駒込・春日井・尾道 ヤセムチ純白極楽往生編』 監督=カンパニー松尾 発売=2011年4月23日 メーカー=ハマジム
松 そこで本気のセックスしろって言っても無理ですよ、よっぽどの変態じゃない限り。俺もそうやって普通の現場に行って感じたんだけど、安達かおるの現場行ってさ、面接だったら面白い子も、役を与えられてヨーイスタートって言われたら、まがりなりにも女優になっちゃってる。ホントはその前の段階のほうが喋ってて面白かったし、設定がない普通の女の子としてエロく感じたのに、ヨーイスタートでセリフ言ったら、なんだ普通の子じゃんみたいな。そこを取っ払って「私を女優にして下さい」をやり始めたのは、そういうことですよ。東京に呼んでしまってメイクをつけて、スタジオに入った段階で、そういうのが全部スポイルされてしまう。

ゴ お仕事的な人に。

松 そうですね。

ゴ 僕らでもたぶんそうですよね。現場に行って衣装着せられて、メイクされてね(笑)。

松 で、じゃあ素でセックスしろって言われても、なかなかね(笑)。

ゴ 僕らはメイクがつかないから、そういう気分にならないけど。

松 だから自分の現場の時には、なるべく......まあ最低限必要なことってあるけど、なるべく自分で出来ることは自分でやって、そうすると女も、最悪俺しかいないわけだから俺と喋るしかないし。マネージャーや他のスタッフがいたらそいつらとも喋るだろうし、それは気に喰わない。あと俺も最初はカメラマンや照明さんいたけど、自分の撮りたいエロを伝えるのが、凄く面倒くさくて恥ずかしいことなんだよね。

ゴ うん。

松 それってホントは別に人に言わなくたっていいじゃんって思うし。

ゴ そうだね。だいたい言ってもわかんないからね。

松 そうそう。だからそうすると、監督として座らされた時にさ、エロのほうにいかなくて、一生懸命芝居を撮っちゃって、そこで満足して「よかったね」なんて言う自分が凄く腹立たしいんだよね。

ゴ なるほど。

松 俺はセックスをしたいのに、なんかこう、凄い上手上手、よかったよなんていう、うわべだけの外面ってあるじゃない。映画やってりゃそれの積み重ねだから別にいいよ。脚本があってテーマがあってさ、ドラマ芝居してそれでいいと思うけど、AVって違うじゃないですか。

ゴ そうですね。やっぱり自分のエロはね、乳の揉み方にしろ、フェラチオにしても、どこから撮るか、微妙にアングルが違うだけで全然違うじゃないですか。

松 あとは、所詮女をヒイヒイっていうか、ぶっ挿したい。そこが肝心なんで、そこから逆算すれば、やっぱり2人っきりでね、全部やってっていうふうになると思うんですよ。

ゴ なるほど、チンコをいかにぶっ挿すか。

松 濡れ濡れのオマンコに、もったいぶった上で、スポーン!と。

ゴ やっぱりもったいぶらないと。

松 若干、もったいぶってね。あんまりすぐセックスするのもね。時にはありますけど。

ゴ ハメて〜って言わせて。

松 そうですね。

ゴ そして最終的には、俺のチンコが一番いいんだろみたいな。





松 そうそう。必ず聞きますね、ダメ元でも。女優さんに。

ゴ ダルビッシュも言ってましたね。

松 えっ!?

ゴ ナンバーワンって言われたいって。

松 ああ、そうですね、昨日の会見。よかったですよね、正直なこと言ってましたね。

ゴ お金もらってますからね。46億円(笑)。

松 モチベーションが......冗談でも「打てないよ」なんていわれるのはイヤだって。

ゴ 凄いよね。

松 そういう馴れ合いのね、あれじゃあ俺は満足しないんだと。真剣勝負だと。ヌルヌルのマンコに突っ込みたいってことですよ。

ゴ (笑)。カッサカサだったらどうするの?

松 ツバで濡らせばいいじゃない。

ゴ (笑)。それは安達かおる的な。

松 そうそう、ローションはダメですから。

ゴ 前進あるのみ。

松 そう、前進あるのみ。

ゴ 昔の人はね、ツバで濡らしてやりますね。

松 ローションはダメですよ。いまだに単体の撮影でもなるべくローションを目につかないところに。

ゴ そうかそうか。最初にローションを仕込みたがる人いますよね。あれ、ちゃんとした売春やったほうがいいよね。

松 プロスティテューションの世界ですね。AD君でもさ、ハマジムではどうだろう、KENSAKUの現場ではあるかもしれないけど、俺の前では出すなって言うんだけど、ADセットっていう水にストロー差して、濡れティッシュとローションってありますよね。

ゴ ありますね。

松 あれを作るのが優秀なADらしいんだけど、最悪なんだよね、あれ。コンドームも丸見えでさ。「松尾さん、松尾さんのこだわりのコンドームはありますか?」って朝イチでADが聞いてきやがって。「あのね、それは見えないところに置いといてください。女優にもね」って。最悪の場合に使うだけなんで、最初からローションそこに置いとくと頼っちゃうわけですよ。いけないですねぇ。

ゴ 甘えは許さんみたいな。

松 甘えっていうかそれはほら、プライベートでね、セックスしたいのにローションまみれに最初からしてやる人がいますかと。

ゴ なるほどね。

松 AV現場はね、今ファクトリーになっちゃってる。人間の感情というか、性欲とまったく反比例したことしてるから。それに対して少しは抗おうと思ってる。

ゴ AV界の良心ですね、それはね。

松 (笑)。

ゴ 良心じゃないか(笑)。

松 良心じゃないよ(笑)。

ゴ でもなるべく生身のセックスに近いものを撮りたい、体験したいというのが、ホントはあるんでしょう。

松 そうですね。

ゴ そうじゃない人がほとんどで、90パーセントの人は金もらってるからやってる。

松 ヨーイスタート!って声が聞こえるじゃないですか、どのAVも。「こんにちわぁ」みたいな。「きょおわあ、あなたのおなにぃを、サポートしちゃうぞ」みたいな。

ゴ (笑)。

松 お前にそんなこと言われたくない!みたいな。


■人生が変わる『どんぐり音楽会』

『監督失格』 監督=平野勝之 発売=2012年3月23日 販売元=東宝
『片腕マシンガール』 監督=井口昇 発売=2011年6月2日 販売元=Happinet(SB)(D)

ゴ 去年、平野勝之監督の『監督失格』があって、AVを撮ってた人が、やってることはそんなに遠くないんだけど、違うフィールドでね。あと井口昇が活躍して、グロテスクなものからちびっ子向けのものまでやって、新たに可能性があるのかなと思うんだけど、松尾さんなりハマジムなりの今後は。

松 全然考えてないです。

ゴ 松尾さんはやっぱり、濡れ濡れのオマンコに、ブッ挿したいだけなの?

松 そうそうそう。そんなわざわざ規制がありそうな劇場のものとか、AV以外のものでしょ? 映像で何かを表現してみんなに観てもらいたいなんてことは一切ないですよ。

ゴ 一切ない。

松 ないないない。たとえばさ、俗っぽい言い方をすると、それは映画になって公開されて、記者に受け答えしたり挨拶したりさ、レビューがいっぱい載ったりレッドカーペット歩いたり、そういう俗っぽいことはやってみたいと思うけど......濡れ濡れのオマンコにチンコ挿してムニュムニュムニュムニュやってるのが評価されてそうなれば、俺は堂々と行く。けど、どう考えてもさ、60分70分セックスしてるだけの映像がレッドカーペット歩くような場所にいかないだろ? だから、俺としてはジャンルが違うし興味がないですね。あくまで自分のやり方で、凄いスケベなお姉さんを撮ったものが評価されてカンヌ行くんだったらそこ目指すけど、俺が撮りたいのはスケベな姉ちゃんとのセックスだけだから。

ゴ 松尾さんって、やっぱりエッチな人なんですね。

松 そうですね(笑)。エッチな人って。

ゴ 映画とか観ない?

松 観ますよ。最近になって、40歳になってから。

ゴ 昔は観なかった?

松 一切観なかった。

ゴ うそ!

松 みんな映画ね、平野さんも大好きだし。

ゴ 映画学校の人とか多いじゃないですか。

松 俺も映像の専門学校行ったよ。

ゴ え、映画とか観ないくせに? そんなとこ何しに行ったの?

松 それはあの頃、MTVが出てきた頃でそっち系ですね。映画が好きで目指したわけじゃなくて、たまたまTVの公開収録が高2の時にあって。抽選で当たって行ったのね。松田聖子がゲストでさ。

ゴ 凄いじゃん。ナマ松田聖子。

松 そう、ナマ松田聖子。「どんぐり音楽会」っていう番組があってね(笑)。

ゴ 「どんぐり音楽会」(笑)。

松 渋いでしょ。中部地方でしかやってない。NHKののど自慢の地方版で、素人が歌うと、審査員がいて点数出すんだけど、その点数出すとこがどんぐりマークの切り抜きになっててドーンと点数が。

ゴ 平和だな。

松 その公開収録に抽選で当たって、松田聖子に会えたの。それまでテレビで「どんぐり音楽会」観てたんだけど、初めて舞台裏を見たわけ。そしたらセットがあって、セットはさ、裏はベニヤで立てかけてあるだけだったのね。

ゴ うん。

松 そこに衝撃を受けて、そこで働いてる人たちがサラリーマンじゃなくて。それまで親父がサラリーマンだったし、サラリーマンになりたくないって思ってたから何になればいいかわからなかったんだけど、美術さんが私服でトンカチ入れてて、あ、こういう仕事があるんだと思って。それまで調理師しか頭になかったから、サラリーマン以外の仕事って。

ゴ そんな田舎なの、家は。

松 普通の家ですよ。それまでは調理師になりたくて、中学生の時から高校は行かないって言ってた。調理師学校行きたいって言ってたんだけど親が反対して。

ゴ せめて高校くらい行きなさいと。

松 そうそう。だからそれまで調理師になるつもりだったけど、急にテレビの公開番組で裏見ちゃったから、こういう仕事があるんだと思って。すぐ専門学校調べたら、そういうとこあるんだってわかって。

ゴ 映像に進んだのは興味がないのにやってみるかって東京に就職?

松 東京の専門学校に行って。ちょうどMTVがその頃。

ゴ 80年代?

『NO.1!80S 』 発売=2009年7月22日 販売元=SMJ(SME)(D)
松 85年かな? TVKでPVがずっと流しっぱなしだったりさ。それからMTVが流行り出したじゃないですか。で、そっち行こうと。その頃ね、ストリート・スライダーズや尾崎豊のPV撮ってた佐藤輝さんっていうディレクターが好きで、結局そういうのを目指すようになっちゃった。

ゴ じゃあビデオ世代。

松 そうそう。ビデオ世代ですよ。映画なんて全然観てなかった。ハリウッド映画が嫌いだったの。

ゴ そうなの。

松 スピルバーグ映画も含めて。

ゴ 最近観るようになったのは?

松 韓国映画がきっかけです。

ゴ 韓国映画好きなの?

『息もできない』 監督=ヤン・イクチュン 発売=2010年12月3日 販売元=Happinet(SB)(D)
松 好き好き。ドギツイやつ。凄い面白いですよ。人間描写というか、人間がキツい。韓国映画に刺激を受けましたね。ただ自分には一切反映されてないですよ。あのオマンコヌレヌレとかには。

ゴ ヌレヌレのね(笑)。

松 だから映像野郎とか、映画大好きではないです。みんなが映画の話しててもちんぷんかんぷん。

ゴ 松尾さんは器用な人なんですね。

松 器用なのかなあ。

ゴ だって童貞だったのに現場でセックスしちゃって、撮影もそんなに興味ないのにカメラやって、編集も自分でやっちゃって、素晴らしいものができるっていう。普通はできないじゃない。

松 いやいや、V&Rはほらだって、機材もあったし編集も自分でやんなきゃいけなかったから、環境がよかったんじゃない。

ゴ それもあるかもしれない。先輩のね、一つ上の監督さんなんて、映画がもの凄く好きで、凄い研究して凄いキャリアもあるんだけど......ヘッポコな(笑)。そんなもんじゃないですか、世の中って。

松 あくまで好きだから。撮れるっていうのとは違う。

ゴ セックスも含めて、映像としてのクオリティが。

松 そうだね。セックスが好きでもハメ撮り上手いわけじゃないからね。

ゴ そうそう。ハメ撮りはセックスとまた違うじゃないですか。セックスしながら撮って、尚且つ編集もできて、衣装も買いにいけるみたいな。

松 トータルバランスがとれてないと。しがみついてセックスしてさ、気持ちよかったっていうハメ撮りはない。ヌケないもんね。

ゴ それで女優と結婚しちゃったから、僕はもうハメ撮りやりませんみたいな人もいっぱいいるじゃないですか。

松 うんうん。

ゴ そこら辺は才能というか。

松 そうなんですかね。

ゴ カンパニー松尾っていう名前も中学生の時?

松 高校生の時。

ゴ そのへん、詳しいこと知らないんで教えて欲しいんです。

松 高校生の時にほかほか弁当ができて、それを前日もしくは朝イチでもいいんだけど電話もらって、たとえぱかきあげ丼とかのり弁とか300円くらいかな。プラス3、40円多くして、注文受けたものを朝買って学校に持っていってあげる。それが商売として成り立ってて。

ゴ それは利益を?

松 そう、日銭をね。30円×5個で150円しかないけど、そういうのを小遣い稼ぎでやったり、昼休みに紅茶やコーヒーを勝手に給湯室で作って、1杯100円で売ってた。

ゴ へえ〜、それなんなんですか。商売しようという......子供ってあんまりそういうこと考えないじゃない。

松 考えないですね。利益とか。

ゴ 相手は友だちでしょう?

松 友だちですよ。

ゴ 友だちからあんまり金とれないじゃないですか。

松 いや、商売がしたかったんですよね。卒業文集で、私は将来社長になるって書いてるんですよ。実際ハマジムでも社長にはなってないけど、自分の中の会社名が松尾カンパニーで、自分の中に創り上げてて。名刺とかデザインも考えてて、ロゴも考えられてたんです。精神的にはもう、そこで発足してる。

ゴ そうなんだ。ひとり企業体みたいな人だったんだ。

松 そうそう。新聞配達を中学校からやってるんだけど、それは友だちで新聞配達をやってた貧乏なヤツがいて、いつもラジコンを二人でやってた。だけどそいつのラジコンがいいのになって負けちゃうんですよ俺が、ラジコンで。これは悔しいなと思って、お前なんだって聞いたら、俺は新聞配達やってるから金があるんだって話になって。それは俺もやろうって新聞配達をするんですよ。そうすると小遣いが自分で自由に使えるようになる。前は親から与えられたものを貯めて、ステレオとかラジカセとかね、2万3万したじゃない。それを一生懸命、月3000円を貯めてさ、1年間貯めて買ってたのに、いきなり1万5千円とか2万円の小遣いが手に入るわけですよ。だからお金を稼ぐことへの目覚めが早かったんです。

ゴ なるほどね、お金があればなんでもできる的な。

松 いや(笑)。いまだにそれはないんだけど、金の面で充実するのは早かったですね。

ゴ そうですね、中学だとバイトも僕らの頃はできなかったし。

松 ですよね。正月の年賀状配るくらいしかできないじゃない。で、実際にさ、中学の時見つかるんだよね。

ゴ はいはい。

松 中学校の近くまで配ってたからさ、体育の先生に見つかって。メチャクチャ怒られるんだけどさ、何故か新聞配達だけは認めてくれたんだよね。校長先生の前まで行って、許可を出してくれたんだよね。だからもう、そこからは堂々とできた。

ゴ 家が凄い貧乏とか?

松 全然ない。

ゴ やっぱり自立した経済を。

松 求めたんだよね、中学校の頃に。新聞配達やってる中学生って少ないじゃん。

ゴ そうですね、学校でひとりいるかいないかくらい。

松 そうでしょ、あいつ新聞配達やってんだみたいな。苦労してんじゃんみたいな感じでしょ。

ゴ うんうん。

松 でもそういう感覚は一切なくて、月に1万5千円入ると思えば、全然楽勝な訳ですよ。朝起きて、ちょこっとやるのは。

ゴ そういう面では大人だったんですね。

松 そうですね。

ゴ でも親はサラリーマンで、商売やってたわけじゃない。

松 そう。

ゴ 結局僕ら難民化してる人たちって、やっぱり監督だの何だのって言っても、小作人で、商売下手。お金よりもいい画が撮れればみたいな人、あとうまく会社と付き合えない人。だからやっぱり大人じゃない人が多い。

松 確かにそういうところは皆さんよりも上手いのかもしれないですね。たとえばさっき言った、浜田さんと組んだり、それはV&R時代にプロデューサーという立場でパッケージ作ることやってたわけ。

ゴ そうだよね。だからトータルで商品というところから入ってるから、それが自然にできる。

松 監督もプロデューサーもやってる人ってあんまりいないし、パッケージも作れるハメ撮りの人なんて一切いなかった。そういう意味では珍しい環境で最初からやってたので、ある種、別人格が必要な仕事なんですよね。

ゴ そうですよね。

松 だから俺も、多重人格じゃないけれど、プロデューサー的な見方もあるし、ただマンコにチンコをぶっ込みたいだけのとこもあるけど、商売にするためには確かに接点が必要なんですよ。接点って言わないまでも、自分はこういうふうにやらせてもらって、作らせてもらってるんですみたいなアプローチがないと。で、また実際に出来てないと。使う側が喜んで、松ちゃんだったらいいよって言わせるためにはね。

ゴ そうですね、説得力がきちんとないとね。そこはカンパニーというひとり企業体みたいな。本当は5人くらいでやるのをひとりでやってるようなところがある。

『NEW変態ワールド なま』(VHS) 監督=GOLDMAN 発売=1899年12月8日 メーカー=アートビデオ
『恥ずかしいカラダ 子犬物語 沙耶』 監督=カンパニー松尾 発売=2011年08月27日 メーカー=ハマジム
『麗しの家庭教師AGAIN3 ゆうか と ゆあ』 監督=カンパニー松尾 発売=2012年1月28日 メーカー=ハマジム
『麗しのキャンペーンガールAGAIN6 ひかる と れい』 監督=カンパニー松尾 発売=2011年9月24日 メーカー=ハマジム

松 そう。僕にはアーティスティックなところはかけらもないんですよ。だからたぶん、評価的には非常にふわっとしちゃってると思うんですよね。たとえば平野さんとかバクシーシ、もちろんゴールドマンは、強烈なものを残してるけど、僕はそういう感じでもない。気がついたらカンパニー松尾だけが走ってたみたいな。そういう感じだと思うんですよ。なんだあのおっさん、いまだにまだやってるぞみたいな。

ゴ エロだのなんだの言っても商売でしかないけど、商業的な成功を持続するのがさ。フェードアウトしてる人のほうが多かったりしてる中で。

松 俺もここ何年かで急に言われて、不思議だけど自覚してるのは、撮り方を変えたり、やっぱりそれはもちろんしちゃった。一回売れなくなってピンチ招いたから、次に撮る時はちゃんとオナニー向けに特化したのを撮ろうと。たとえば「恥ずかしいカラダ」とかさ、ああいうやつはカレーのシーンがちょっと出てくるけど、おまけ的に。でもそういう人間味をフィーチャーするんじゃなくて、よりオナニーに特化できるようなシンプルなものであったり。

ゴ そこらへんは大人的な判断で。

松 ようやく大人になりました。俺はバカだから、たとえば「家庭教師」とかああいうの、なかなか続けられないじゃん、20年も。この前撮ったのでようやく「家庭教師」飽きたけど。自分自身でやってて"もういいだろう!"って感じがして(笑)。「キャンペーンガール」でもいいんだけど、ああいうのっていくらなんでも何十年も続けられないじゃない。それを性懲りもなく、テレビ東京のさ、年末の歌番組で、それこそ10年前20年前のヒット曲をさ。

ゴ おばあさんみたいな人がね。

松 ロックっぽい考え方だと、昔のヒット曲を今更って感じかもしれないけど、演歌の人たちはあれで一生、一生とは言わないまでも、食っていくわけじゃないですか。いきなり、舟木一夫さんが高校三年生歌うじゃない。ああいう感覚が何故かちゃんとできてしまう。

ゴ 懐メロ的な。

松 そうそう。そういうことに対して自覚症状があるというか、普通はもっとロック的なアプローチをすると、そんなのダサいぜみたいなね。

ゴ はいはい。

松 もう、再結成なんてね(笑)。

ゴ 再結成だらけですよね。

松 俺は最初っから再結成してるようなもんだけど、常に。

ゴ ひとりだからね、死なない限りやめれないし。でもファンというか、ユーザーも一緒に高齢化してる。

松 そうでしょうね。

ゴ 若い人はそんなにね。

松 そう、ついてきてないから。だから再結成で、客が40代とか50代(笑)。

ゴ 女の子だけが変わっていく。僕なんか48だけど18歳くらいの子とセックスすると、親より年上だし、こっちも違う生物みたい。

松 自分の歳言えないでしょ、もう。

ゴ ちょっと恥ずかしい。ごまかしたりする。

松 親の歳も聞けないよね。下手すると。

ゴ 親の歳は聞かない。確認しない。

松 一番最後に俺聞くけどね(笑)。精子出してからは、ようやく「お父さんいくつ?」って。あちゃーみたいな。

ゴ 向こうもねえ。でも女子って凄いよね。親より年上とセックスして、普通にニコニコしてられるって。

松 そうだね。女はね、凄いよね。

『恥ずかしいカラダ 18歳 デビュー ゆず』 監督=カンパニー松尾 メーカー=ハマジム 発売=2011年10月29日
ゴ 去年も小倉ゆずで救われたみたいな話が書いてあったけど、18、9の娘に射精したい人が群がって、会社がそれで潤ってみたいなのは、凄い現象ですよね。

松 凄い下世話な、下品な話だよね。18歳でおっぱい大きいだけでもう、みんなね。

ゴ 群がって射精しまくってる。全国で何万人。何万人はいないと思うけど。

松 いや、何万人でしょう。

ゴ 凄いよね。

松 何万本は売れてないけど、小倉ゆずは18歳。

ゴ なんなんですかね。男が射精したいっていうのは。

松 日常ではなく、オナニーだからネタじゃないですか。そのサポートじゃないですか。サポートというか、その具現化みたいな。やっぱり理想、ファンタジーがあったほうがいいんじゃないかな。

ゴ 現実ではね、恋人できてもちょっと三段腹?みたいな人が多かったり。

松 現実にセックスフレンドができる確率は、一生のうちそんなにないよね。だから、じゃあ最高のオナニーをするためには、ひとつ、またもうひとつ自分の理想のファンタジーを手に入れたい。だからそのためにいろんなジャンルがあって、究極の理想へ近づけるためにメーカーもジャンルに特化して、ひとりひとりに合わせてやってるんだよね。あまりにもマニアックなネタだと本数は捌けないけど、継続して地道に。時と場合によってゆずちゃんみたいなマックスの公約数をやると、ボーンと爆発する。


■カンパニー松尾と愉快な仲間たち

ゴ ハマジムの展望とか、未来、ビジョンみたいなものはあんまりない?

松 ないですね。

ゴ 目の前にあるマンコにハメ続けるだけだ、みたいな。

松 うん(笑)。

ゴ じゃあ若手監督が今、3人くらい? 松尾さんが死んだ後にハマジムを支えていくわけだから、若手監督について、アピールポイントがあれば。

『美熟女ドキュメント 村上涼子のすべて』 監督=タートル今田  発売日=2011年7月23日 メーカー=ハマジム
松 今田さんは、ホントのリアル人妻が大好きで、罪な男なわけですよね。人妻じゃないとダメなんですよ。

ゴ ホントに?

松 ホントに。逆に言うと人妻だったらどんなブスでも手を出しちゃう。

ゴ やっぱり人のものが。

松 いい。その女が出てくることに、AVで股を開くことに欲情する。

ゴ 寝取り系。

松 そうですね。

ゴ 僕はだいたいズリネタが人妻が寝取られたり、義理の親父に犯されたりするのが一番ヌケますね。

松 そういう禁断であったり、世間的にタブーであったり。

ゴ なんか一線があると。

松 いいんでしょうね。彼はそういう監督で、不倫であったり、そういうものをテーマに。

ゴ それはドキュメンタリーとしてホントの人妻さんを。

松 ええ。そしてその内面、内情を出す。浮気ではないけど「AVにお出になるんですかぁ?」みたいな。そういうのが得意なハメ撮り野郎です。チンコは俺よりも強いです。

ゴ 幾つなんですか?

松 まだ30代中盤じゃないですか。ちょっと甘えた感じのね。

ゴ 可愛い感じ。

松 人妻キラーですよ。マドンナ忘年会では話題になってましたよ。「今田さん、凄かったわ」「えっ、あなた今田さんに撮ってもらったの?」って。

ゴ 溜池ちゃんに続く。

松 今、熟女界で今田チンコは話題になってます。

ゴ 今田君は、プライベートではあんまりやってない人?

松 どうなんですかね、でも性欲は強い男なんで、結構やんちゃなこともやってるんじゃないですかね。

ゴ ルックス良くて人妻ってのは、仕事で会わない限りなかなかできないですよね。

松 なので期待の。

ゴ 人妻路線は任せたと。

『PERFECT DOLL パイパン うた』 監督=KENSAKU 発売=2011年4月23日 メーカー=ハマジム
松 そうですね。で、KENSAKUは、稀に見るオタク気質なんで。

ゴ (笑)。

松 永遠の素人童貞。彼女いない歴、そのまんま人生ですね。

ゴ 彼女を作る気もない。

松 ないですね。典型的なオタク気質、ATフィールド全開な男です。精神的にはまだ中学生。ずーっとチャリを漕いでる。永遠の夏休みが終わってない。

ゴ (笑)。本人に聞いたら、松尾さんからハメ撮り禁止令が。

松 一時期、一緒にテレクラ行って、セックスさせたんですけど、もう、まったくイヤラしさがなく、タクアンとかきゅうりを切るような感じで、トントントントンってセックスやっちゃうから疲れるんですよ。もっとヌッチュヌッチュやんなきゃいけないじゃないですか。トントントンってやった後は、ちょっとこうヌッチュヌッチュ......チュッチュッチュッチュッ......ヌッチュヌッチュってするんだけど、とにかくトントントントンばっかだから、萎えちゃうんですよね。

ゴ だって、やったことなかったし。

松 まあそうですね、玄人としか。

ゴ ああ。

松 あとキスNGなんですよ、あの男。

ゴ (笑)。ああそうなんだ。不潔?

松 知らないけど。たぶん自分の容姿がコンプレックスで「僕みたいなキモメンとキスする女はいないだろう」って。

『PERFECT DOLL つぼみ』 監督=KENSAKU  発売=2010年5月29日 メーカー=ハマジム
ゴ 「つぼみちゃんのヨダレとかアップで撮ってないでキスすれば」って言ったんだけど、キスNG。

松 それほど自分の内面にコンプレックスがあるんですよね。だから、究極の......実は、ただの観る側の男だったんですけど。日ごろはインターネットの世界にいて、実のリアルっていうのはほとんどなくて、リアルは、コンビニとチャリンコさえあれば。

ゴ なるほどね。去年、初めてKENSAKU君と、松尾さんの出会いの話を聞いて、凄い感動したんですよ。

松 はいはい。つけてきたんですよ。

ゴ 彼が大阪をたまたま歩いてたら、カメラ持った松尾さんが歩いてて、カンパニー松尾だって思ってあとつけてったらラーメン屋に入って。

松 「かむくら」っていうラーメン屋(笑)。そこで並んでたのをわざわざ待って、俺の席の横で食べて、食べ終わってから声をかけてきたの。

ゴ ストーカーですね。

松 そうですね。その当時って90年代の、僕が「私を女優にしてください」をやってた頃の話。街で見てね、AV監督だって分かる時点で相当なAVマニアですよ。

ゴ そうですね。しかもつけてって......。

松 同じラーメン屋に入って、ラーメン食い終わって、声かけてきた。で、「何やってるの?」って聞いたらテレビの仕事してるって言う。「じゃあ今度何か会ったら連絡して」って電話番号渡したの。

ゴ そしたらホントに来ちゃった。

松 そう。その数年後に。結構経ってからですよ。

ゴ でも凄い話。嘘みたいなドラマチックな話。

『糞尿家族ロビンソン 3』 監督=安達かおる  発売=2004年6月17日 メーカー=V&Rプランニング
松 そうですね。けど、もともと俺のファンっていうか、あいつ、ちょっと変態だからさ、オシッコとか好きだから、どっちかっていうと安達かおるのものも観てるし、山ちゃんのも見てるし、もうV&Rマニア。だからあのまま何もなければ、もしかしたら飲尿息子2みたいな存在だったかも知れない。V&R来ちゃったら。

ゴ ああ、そうか。山ちゃんにね、ヘンな時に捕まったら(笑)。

松 そうそう、オシッコ男優。タイプ的にはそんな感じじゃないですか。

ゴ よかったなあ。バクシーシ山下を見かけてついてったら、ヒドイ目に遭ってたのを、松尾さんだったからよかったんだね。

松 時間も置いといたしね。山下だったら、明日お前現場に来いって言われて、オシッコ大量に飲まされて、もちろん苦い思いをして帰ったかもしれないですね。

ゴ ギャラも5000円くらいでね。

松 飲みっぷりが悪いとか言われて。

ゴ あんまり監督としてのアピールになってないけど(笑)。

松 いや、ゆえに......。

ゴ 童貞ならではの閉ざされた感じ。

松 中学生ならではの、そういう視点はいまだに持ってるので、そういうところを大事にしてもらいたいんですけど、あんまり自分ではそういうところ出したがらない。AV監督になろうとしてるんで。その辺をもう一つ。

ゴ そうですね。デカマラだしね。ちょっと頑張って。

松 そうそう。

ゴ チンコにオッシコかけてもらってしごくみたいなのとか。

松 いろいろ技はありそうですよね。最後に必ずワンコーナーね、オシッコ飲むコーナー、無駄なコーナーをさ、隠しコマンドでつけておいてもいいのに、あんまりやりたがんないですよね。自分はブサイクだからって。

ゴ あっ、そういう理由なの?

松 そうなんですよね。すごくコンプレックス持ってるから、そんなの関係なしに、どんどん出てってさ、ガブガブ飲んじゃえばそれはそれで面白いのに。

ゴ 誰も、カッコいいとは思ってないと思う(笑)。

松 ね。

ゴ 僕はね、本当はキモい男たちに女が犯されてるっていうのが一番ヌケる人なんですよ。

松 そういう意味では彼はさ。

『面接ドキュメント 通りすがりのAV女優 H大好き巨乳小娘編』  監督=梁井一  発売=2011年3月26日 メーカー=ハマジム
ゴ もう、ホントKENSAKU先生頑張って下さい(笑)。あと、梁井。

松 梁井はね、わりかしバランスのとれた男なんだけど、あれも実はただのスケベ男なんで。タイプとしてはちょっと俺みたいな感じになるか、それとも......あんまりこだわりがない男なんで、どっちつかずな感じはしてるんですよね。だからもうちょっと仕事していくと、プチカンパニー松尾みたいな。

ゴ プチカンパニー松尾っていいですね。かわいい(笑)。自分がいなくなった後は、梁井監督が二代目?

松 いやいや、二代目とかはないですよ。そういう人はいないし。特攻服を渡したりね、そういうのはない。僕は僕で、他の人は絶対違いますから。だって同じ機材使ってるのにみんな違いますよね。

ゴ そうですね。やっぱり趣味。趣味ですよね、これは。

松 そう、それが違いますからね。


■カンパニー松尾8時間

『メーカー横断ベスト!!! カンパニー松尾8時間』 発売=2012年2月13日 企画・制作:オールアダルトジャパン 販売:株式会社ティーアイエス 配信:株式会社DMM.com 
ゴ 最後にベスト版のPR。もう20年間くらいの?

松 そうです。

ゴ もう、昔のから新しいのまで入ってるの?

松 最新で2009年までにしときましたけどね。

ゴ でもかなりの幅があって。

松 そう、20年間。

ゴ レーべルもいろんなレーベル。

松 外注でやったフリーの分もV&Rの時のも。

ゴ 全部入ってる。

松 いろんな女の子がバランスよく。

ゴ 特にここを観て欲しいとか。

松 ......。

ゴ 一応商売なんで(笑)。俺が儲かるわけじゃないけど。でも、ほらたぶんね、ほかに出ないと思いますよ。監督のベスト版って。

松 いや、そういうわけにはいかないですよね。ホントはTOHJIROとか豊田薫とかね、マニアックなところで言えば平野勝之とかいろいろいるんですよ。

ゴ いや、売れないよだけど(笑)。

松 だから、ホントは文化事業部的なもので、売れる売れないじゃないんですよね。

ゴ まあね。ホントはそういう保存としてね。

松 アーカイブ的なね。

ゴ 自分で観返してみて、編集してみてどう?

松 昔から案外変わってなかったなって。さっきも言ったけど、ハメ撮りのパターンが全然変わってなかったのと、20年くらい前に自分の気持ちを書いたテロップを、今回のエンディングに再使用したんだけど、まったく今の自分と変わってない。余りの自分の成長のなさにびっくりした。そういうところはありましたね。だけど年令を重ねてる分、人が、たとえば林由美香が亡くなったり、映像的にクオリティが若干よくなったり、あと老獪になってく部分はあるんだけど、気持ち的な童貞マインドは初期のほうがやっぱり凄く引きずってる。そういう意味じゃ、一人のAV監督の20年間の流れはずっと収録されてるね。


 
↑『メーカー横断ベスト!!! カンパニー松尾8時間』より「私を女優にして下さい【ワールド】サンパウロ・北京・川崎E・B・Dカップカップボーダレス編」(1994年)で使用されたテロップ。


ゴ 逆に変わらない......ほら結婚もしたり、会社も変わったりして、やっぱりおじさんっぽくなっていくけど......。

松 見かけも含めてホントはおじさんに凄くなってるし、確かに人間味がね、女に対して冷たくなったりしてるんだけど......そういうなんか、ひとりのハメ撮りおじさんのね、生き様みたいなのが、チラチラと。AVに対する気持ちもチラチラと入ってね、これでひとつまとめて楽しんでいただきたいなと。

ゴ (笑)。

松 いや、ヌキのことも考えて、ヌケる子も。

ゴ 入ってるよと。

松 もちろんもちろん、そうです。センチメンタルだけじゃないです。

ゴ ぶっちゃけ、個人的に本当にこの子はよかったっていう子は入ってます?

松 入ってます入ってます。

ゴ それ誰ですか?

『男の妄想爆発劇場 女教師もナマなんです...』(VHS) 監督=カンパニー松尾 発売=2001年2月25日 メーカー=h.m.p  
松 藤沢成海っていうね、ホントにオッパイの大きい、アニメ声のね、女の子がいたの。その人辞めちゃったんだけどね、生涯で12本くらいしか出てないうちの、4本くらい撮ってるんですよ。

ゴ ふうん。

松 その人の1本。幻のAV。希少価値の高い。

ゴ それ何年くらいの話ですか。

松 2001年ですね。

ゴ じゃあその子が今来て、「奥さんと別れて私と一緒になって下さい」って言ってきたら?

松 それはないね。

ゴ ハメるだけ?

松 撮影がしたい。プライベートでのセックスはいいですよ。ハメ撮りはしたいけど。冷静冷酷な男なんで(笑)。

ゴ チンポヤクザとして。

松 そう。チンポヤクザとしては、それはない。撮影でやりたいです。

ゴ あんまり感情入ってるとね、ズリネタになりにくいしね。

松 けど感情というか、ストレートな、人間的な好き嫌いじゃなくて、ハメてる時に盛り上がってる気持ちは常に持ってる。それは相手が好きだっていうのは、イヤラしいことが好きだっていうこと。お前もだろ、俺のことが好きだろじゃなくて、俺のチンポ好きだろっていう。

ゴ なるほど。セックス好き。

松 そう。チンコ好き、マンコ好きとしての会話。

ゴ 深いですねぇ。

松 別に深くないよ(笑)。

『村西とおる作品集 VOLUME.03 [不屈] 』  発売=2007年3月8日 メーカー=タカラ映像
ゴ 大人でこういうこと言う人あんまりいない。村西とおるは言うかもしれないけど。

松 村西さんはブログ凄い面白いですよね。社会現象に絡めてチンコマンコ言えるのはあの人しかいないんじゃないですか。日本で有数のコラムニストっていう気がしますけどね。

ゴ 最終的には下ネタに。

松 上手く転がせるからね。村西さんこそが真のコラムニストですよね。

ゴ 僕の印象だと松尾さんって、昔から知ってるけど、そんなにイヤラしくない人というか、好感度のある人じゃないですか。もっとドロドロした人や、すぐやっちゃう人とかいろいろいたけど、松尾さんは飄々としてるし、ちゃんと会社員もやってるし。もっとイヤラしくない人だと思ったら、何でイヤラしい人になっちゃってるのかな?

松 それはハメ撮りの時だけです。普段は全然。

ゴ 全然。

松 別に切り替えてるわけじゃなく、自然に出来てしまうのは特殊な環境からセックスを始めてるから。

ゴ そこがブレないんでしょうね。割り切ってるわけじゃないけど、チャンネルがあって、仕事ん時はエロの人。

松 そうそう。

ゴ あとは大人しく、普通にテレビ観たりご飯食べたり、バイク乗ったり。

松 案外、普段は何もないですね。その代わり人よりも何故かハメ撮りに対する何かがあるので、買出しに行ったり、編集するの大好きだからだいたい会社にいるんです。家では何もする気にならない。

ゴ やっぱり仕事人間。

松 そうそう。朝早く起きて、家の人が全員寝てるのに土日はちゃんと会社に来て。7時くらいに起きて会社行って、編集するのが楽しい。

ゴ 仕事好きな人なんだね。

松 そう。俺は絶対そうだと思う。みんなより仕事量はあると思いますよ、たぶん。それは自慢できる。自慢にならないんだけど、要するにワーカホリックなんだけど、今の会社の中で一番俺が会社の中にいると思う。別にしたいからしてるだけで、偉いとか凄いぞってことじゃなくて。最近、年寄りになっちゃったから早く起きちゃうしさ。家はなるべく短めにさっと出て、会社に来てそこでパソコン開いて、ちょっとだけネットをピッピッピッて。

ゴ 他のAVを観たりもするの?

松 最近、あんまり観なくなっちゃったね。

ゴ でも女チェックしたりそういうことは?

松 女チェックもね、案外先入観持ってくとダメなんだよね。だからあんまり観ないようにしてますね。

ゴ 知らないほうがいいことも。

松 うん。

ゴ なるほどね。では最後にあなたにとってAVとは(笑)。

松 もう(笑)。......最高の趣味じゃないですか。

ゴ 趣味。そうですね。結局エロは趣味じゃないと。

松 趣味じゃないとダメですよ。仕事ってしちゃったらつまんないじゃん。

ゴ そうなんですよ。つまんなくちゃエロじゃない。

松 チンポ立たないもん。

ゴ わかりました。ありがとうございました。


■対談の終わりに

松 ゴールドマンの話が足りないから......こっから全部裏返して、こっから俺がプロフィールから聞く(笑)。すごいですよ、今日は真面目にプリント用意して。

ゴ 真面目でしょ。だから現役を引退したらインタビュアーか、作家活動を今してるんだけど、肉体労働は50肩になったから無理だなと思って。なるべく書き物とか。

松 体力をロスしない、ね。

ゴ カンパニー松尾はメタボになってないところが凄い尊敬してるんだけど。

松 これインドに行って痩せた。体が痩せて楽になったからまたハメ撮りに。

ゴ 普通、40過ぎて下り坂にならないほうがおかしいわけだから。やっぱりカレー食ってるからインド人ぽいのかな。

松 確かにカレーは食い続けてる。今日も昼間にね、カップカレーうどん。

ゴ カレーって週に何回くらい?

松 いやほぼ毎日。なにかしらカレー味。ほんとに食えない時は食わないけど。

ゴ ほんとに? やっぱり、前世がインド人?

松 なんなんでしょうね。

ゴ 40過ぎると刺激物は摂れなくなる人が多いし、和食食べてる人が多いじゃないですか。

松 みんなが魚とか言うじゃん。俺全然、魚とか昔から嫌いだし。

ゴ (笑)。

松 俺は内陸の人だからかもしれないけど、食卓に魚が出なかったんですよ。

ゴ ホント?

松 うん。いまだに焼き魚って、どこが美味いのかさっぱり......あんまり人前で言うと、軽蔑されるから言わないんだけど。さんまとか、はらわたみんな食うじゃない。俺ははらわたなんて触れもしない。

ゴ 気持ち悪い?

松 食う?

ゴ 全然食べるよ。

松 凄いね。

ゴ 凄いねって(笑)。普通は食べるんですよ。

松 いや、うちの会社は男8人いて、はらわた食わないのは俺と浜田の二人だけなんだけど......食べます?

編 食べます。

松 うそー。あれはないでしょう。苦いの。

ゴ そんなに食べたくはないけど、さんまを食べるのは、はらわたがあるから。

松 あれでしょ? 身の白いところと合わせて食べるんでしょ? 絶対ムリ!

ゴ ああそう。やっぱり食に何かあるような気がしますね。

松 そうなのかな。魚とか、そうですね、肉も大量には食わないけど肉のほうがいいし、カレーのほうがいい。あとなんかこう、細かい味が俺嫌いで。細かいっていうか、薄い味。豆腐とかあるじゃん。豆腐でも美味い不味いがあって、この豆腐は美味いとか不味いとか言ってるの見ると、ちゃんちゃらおかしくて(笑)。





ゴ (笑)。凄い昭和時代な感じがしますね。ちゃんちゃらって。

松 (笑)。ちゃんちゃらおかしくて、俺、豆腐は麻婆豆腐が一番美味い。

ゴ ホント?

松 うん。だから冷奴とか全然魅力感じない。

ゴ 濃い人なんだね。

松 そう、刺激物。

ゴ そこが性欲とリンクしてる。生命体としての強さを感じるね。

松 案外弱いんですよ。島に行ったら餓死する(笑)。

ゴ (笑)。

松 だって生魚をどうしていいかわかんないんだもん。加工食品の人だから。昭和40年生まれでしょ。もうハンバーグとかさ、加工食品系の人だから。魚なんか釣ってきても、ウワーッて。

ゴ そんなに魚ダメなんだね。それは意外。

松 海から上がってくるものに関して言うと、カニもエビも興味がない。

ゴ ホント?

松 だって気持ち悪いでしょう、全般的に。

ゴ いや俺はエビとか凄い好きだから。

松 エビなんてあれさ、食うのがめんどくさいでしょ、まず。

ゴ (笑)。剥けてるのあるでしょ。

松 剥けてるのは剥けてるので別にいいんだけどさ、あの、まず形が......あれだよ? なんて言ったらいいのかな。

ゴ 生物的にダメなの?

松 魚介類とか。

ゴ 気持ち悪い?

松 海から上がってくるものが。

ゴ ダメなの?

松 苦手ですね。

ゴ 海キライなの? 海水浴とか行けないじゃん。

松 いやいや、泳げるし。

ゴ (笑)。

松 海に入りたいとは思わないけどね。めんどくさいじゃん。

ゴ 上がったら砂がついちゃったり。

松 そうだよ。砂が入ったまま靴履いてジャリジャリするの大嫌いだしさ。

ゴ わがままだなぁ。

松 わがままじゃないんだよ。そういう自然とか大っ嫌いなの。

ゴ (笑)。そのわりに野外でセックスしたり。

松 野外セックスは気持ちよくていいんだけど、ネコも好きだけど、けどなんか、そういう、もっと俗っぽくいきたいというか、下品な感じ? なんかこう、ナチュラルっていうのがダメで。やっぱりちゃんとした工業製品とかコンクリート、そういうもののほうが好き。木のぬくもりとかまったく感じないからね。

ゴ ああ、そうなんだ。高度成長期が産み落とした......。

松 ハメ撮りモンスター(笑)。

ゴ (笑)。モンスターっていうと凄そうな。

松 凄くはないけど、自然も触りたくないし、土とかも。なるべくプラスチッキーな、工業製品に囲まれていたい。

ゴ テクノなんだね。

松 かと言って、フルデジタルではないんですよね。デジタルなものもそんなに得意でもないし。

ゴ 昭和ですからね。

松 だからカフェに行ってさ、無線LANで繋いだパソコン開いてるの見るとぶっ壊したくなる。何かっこつけてんだって。

ゴ (笑)。わがままおやじだなぁ。

松 家でやれよって思っちゃう。わざわざスタバとか、あんなとこでパソコン開いてる意味がわかんない。俺、昔からウォークマンすら嫌いだったからね。

ゴ へえ。

『硬式ペナス』(VHS) 監督=カンパニー松尾 発売=1989年10月11日 メーカー=V&Rプランニング
松 あれはさ、だって、せっかく海外とか行って他の土地歩いてるのに、ウォークマン持ってさ、耳栓でさ、音楽聴いてりゃ意味ないじゃん。林由美香とかさ、旅行行ったときずっとウォークマン聞いてんだよ。

ゴ 何聴いてたんですか。

松 ブラックミュージックだよ。

ゴ ブラックミュージック(笑)。

松 旅行に来てんのにさ、そういうもの聴くって......自分の好きなものに囲まれたいっていうような、ああいう小賢しいのが、俺は全く理解できない。

ゴ 小賢しい。

松 うん、小賢しい。

ゴ 昭和ですねぇ。

松 やっぱりその土地に行ったらその土地の音楽とか、雑音とかさ。

ゴ それも含めてね、体感したり。

松 そもそも暴漢に襲われたらどうするんだっていうさ。

ゴ (笑)。安全を考えてる。

松 日本が平和だからってさ。

ゴ そうだよ海外行ったらヤバい。

松 みんなさ、耳栓して歩いてるじゃん。車のキーッていう音が聞こえるのかってことですよ。危ないと思う。危機管理能力? かといって俺にあるわけじゃないけど。暴漢に襲われたらすぐあーって言っちゃう(笑)。

ゴ 松尾さん、今後そういうハメ撮リストになると。

松 どういう(笑)。

ゴ 凄いアグレッシブな説教とかしちゃう人。

松 ああ、昔よくしてた。最近嫌われるからしなくなったけど。

ゴ それはやっぱり安達かおるのDNA。

松 そう。説教する。

ゴ 昔はしてたときがあったんですか。女子に?

松 女子に。泥棒なくせに、お前の家の戸締りはなってないとか、そういう話ですよ。

ゴ ああ、AVのことは説教だめでしょう。

松 そうですね。だから最近は全肯定になった。

ゴ 説教は全部KENSAKUに。

松 (笑)。KENSAKUにも別に。

ゴ してない。

松 説教みたいなの、あんまり人にはしてないですよ。

ゴ でもKENSAKU、この前会った時に僕に自慢してて。KENSAKU、松尾さんの自慢を凄い僕にするんですよ。

松 (笑)。

ゴ 「松尾さんは最近チンチンが黒くなってきて、イヤラしいんですよ。外人みたいなんですよ」。なんで俺にそういう自慢をすんのかな。

松 (笑)。それはKENSAKUが勝手に、あいつのコンピューターの、あいつのKENSAKUワールドん中では、何かひとつの。

ゴ 素材なのかな。カンパニー松尾のチンチン。

松 そうそう。

ゴ データ化されてる。

松 情報の中の重要なひとつになってる。

ゴ やっぱり松尾さんって、話がね、上手いっていうか、面白いし当たりがいいので、やってこれたのかなって(笑)。

松 (笑)。

ゴ 結局、そういう仕事でしょ。

松 けど、どうだろう。人付き合いはそんなによくないよね。飲んだりとかしないからさ。

ゴ そういう人なのにやってこれるっていうのが凄いよね。二村ヒトシとかたぶん......。

松 あれは喋りすぎるんだよ。

ゴ 喋ってる自分が好きみたいな。

松 そうそう。

ゴ 何となく分かりましたね。カンパニー松尾の性欲の秘密。魚を食べずにカレーを食えと。

松 そう。あれなんだよ、たぶんみんな今、空気とかね、体にいいとかさ、言うじゃない。そういうのってね、ダメだと思う(笑)。やっぱりね、いかに自分がわがままに暮らせるかっていう環境をね、自分の力で作り上げないと。和ではないですね。快楽主義ですよ。

ゴ 快楽主義者として、グチョグチョのマンコにブチ込むだけだと。

松 最終的にはそこなんですよ。それをするためにパッケージを綺麗に撮ったり。

ゴ ありとあらゆることを。

松 そうそう、女の子と話したりするのもすべてそのためにある。すべてはグッチョリマンコのために。

ゴ グッチョリマンコにブチ込むためだけに。

松 そうです。日々。

ゴ これ、いいエンディングですね。

松 客観的に自分を見ると、俺個人はカンパニー松尾ってあんまり好きじゃないのかな。なんか、いつもわりかし上手で、いつもヒットチャートにいて、そこそこヒット曲を出してなんて、魅力ないじゃないですか、微妙に。

ゴ そうね、売れてるよりは。

松 ね、売れてないほうがさ、やっぱりこう、心にずっしり来るじゃないですか。......そう、俺が憧れてるものは違うし。だから俺自身は、ファンになる人は俺のタイプではないと思う。だからカンパニー松尾ウザいなみたいな。

ゴ (笑)。なるほどね、そのジレンマが。

松 いろんな意味でね。いや、これはジレンマでもなくて、もう俺がそういうふうになっちゃってるのは自分でコントロールできない。でも俺が好きなのは、俺ではない。もうちょっとマニアックなほうがいい。

ゴ なるほど。

『THE BEST MUSIC CLIPS OF SUGA SHIKAO 2004~2011』 出演=スガシカオ 発売=2011年8月10日 販売元= (株)アリオラジャパン
『豊田道倫 映像集II』 アーティスト=豊田道倫  監督=カンパニー松尾 発売=2005年12月2日 販売元=HMJM RECORDS 

松 スガシカオみたいで嫌じゃないですか。

ゴ (笑)。これスガシカオが読んでたらマズイ。読んでないか。

松 別に読んでてもいいけど。曲もそこそこ作れて、自分でもなんちゃらかんちゃらで歌えてさ。ルックスはそんなによくないけど色眼鏡かけてみたいなさ。なんかこう、そういう意味での、ちょっとね。

ゴ なるほど。

松 ホントは俺、ミュージシャンで言えば豊田道倫とか好きだし、バンドで言えばもっとマイナーなね、そういうのが好きだけど。だからゴールドマンに憧れるけどさ。

ゴ (笑)。

松 なんていうか、自分の気質がやっぱり、若干違うんだろうね。

ゴ そうね。たぶん松尾さんが好きなものってもっとマニアックなもの、昔でいうとちょっとアングラなものなんだろうけど、松尾さん自体がちょっとポップスなので。

松 そうなんだよ。何故か自分が何かを作ると、ポールマッカートニーみたいになっちゃう。ジョンレノンにはなれない。

ゴ 明るい感じになっちゃう。

松 ホントはね、ジョンレノンみたいに、心の本当のメッセージみたいのを描いてみたいのに、何故かちゃんとしたメロディがのっかっちゃって、ちょっと歌いやすい曲になっちゃったみたいな(笑)。

ゴ そういう矛盾がある。

松 そう。自分が好きなものと、自分がやってることは多少違う。自分でビデオを作ると、それなりのイメージシーンを撮っちゃったり。アバンギャルドなものはできなくて、しみったれた恋愛感みたいなね、そうなっちゃう。そこはなんなんでしょうね。

ゴ そうかそうか、無意識層の。

松 何故か。サービス精神なのかどうか。

ゴ そうだね、いい人なんだよね。

松 わかんないけど。

ゴ 僕ら、たとえば平野とかもそうだろうけど、反逆者的な、反権力みたいなのがあるじゃないですか。上の人の言うことは聞きたくないみたいな。そういう大人にはならないほうがいいと思うんだけど。だから松尾さんはバランス感覚がね、よかったのかなって。

松 そうなんですよね。自分で目指したわけじゃないけどね。別に嫌われたくないとかじゃないんだけど(笑)。

ゴ (笑)。言って欲しい。嫌われたくないとか言ってほしい。

松 そうか、嫌われたくないのかなぁ。好きになって欲しいのかもね、だから。

ゴ そうじゃないですか。だって僕らはほら、嫌われるようなことをするし。女にもね、チン毛舐めさせたりして、不快なことを入れないと気がすまない。

松 そうか。モテなかった頃の自分がいるから嫌われたくないのかな。

ゴ モテたい。

松 結局そうなのかもしれないですね。

ゴ (笑)。

松 結局は、マンコ濡らさしたいからダメなんですよ、闘っちゃったら。共に歩いてかないと。

ゴ (笑)。共に歩む......それは藤原紀香の結婚式だから。

松 共に歩んでいかないとね(笑)。


構成=編集部

『メーカー横断ベスト!!! カンパニー松尾8時間』
『メーカー横断ベスト!!! カンパニー松尾8時間』

品番:AAJ-008
出演:林由美香/若菜瀬奈/藤沢成海/大越はるか/夢咲こよい/日向ゆみ/大友唯愛/水城奈緒
発売:2012年2月13日
収録時間:8時間
定価:2,980 円(税込)
企画・制作:オールアダルトジャパン
販売:株式会社ティーアイエス
配信:株式会社DMM.com




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カンパニー松尾 1965年6月29日生まれ。ハメ撮りというジャンルを定着させた第一人者。またAVにMTV的な映像処理やポップな音楽を取り入れるなどして、AV界だけにとどまらない高い評価を受けている。語り継がれる作品に全国のテレクラを巡り素人を相手とした「私を女優にして下さい」シリーズ(V&R)など。現在は「HMJM(ハマジム)」を代表する監督として活躍中。趣味はオートバイ、好きな食べ物はカレー。
ゴールドマン 87年にアートビデオより「電撃バイブマン」で監督デビュー。その後、実験的な作品をリリースするなどAV業界に対して常に挑戦的な姿勢を持ち続ける。中でも89年に発表された60分ワンカットの8ミリビデオ作品「なま」は伝説級。近年はハメ撮りでの言わせ系淫語で独自の世界を展開。20年間で約1500人の女とハメ撮りし、300本以上のハメ撮り作品を制作してきたAV業界の巨頭。
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