Goldman presents The Rock'n Roll Ero-Manga
鬼才AV監督・ゴールドマンがお勧めのエロ漫画を熱く語る!
淫語インストラクターにして官能小説家、そしてベテランAV監督であるゴールドマン氏が「ズリネタ」として唯一活用しているモノ、それは「エロ漫画」だった! プロのエロ事師は何故、「エロ漫画」でなければヌケないのか、「エロ漫画」にしかない魅力とは、一体何なのか。ゴールドマン氏が実際にズリネタとして使用している大好物な作品たちについて、編集部がインタビューを敢行。好評につき続投中です!!編 ゴールドマンのロックンロールエロ漫画、第11回ですね。
ゴールドマン(以下「ゴ」) 今回は、ジョン・K・ペー太先生の『もんぜつ系』(コアマガジン)という作品です。この人も凄い大ベテラン。
編 2003年から桃園書房で出版、いまは主にコアマガジンですね。
ゴ 「悶絶」というのがキーワード。ほとんどの単行本に「悶絶」という言葉がついてるんです。
編 今回お持ちいただいたの2011年、最近の発行ですね。その中からゴールドマンさんオススメの作品を読ませて頂いたんですけど......とんでもないですね(笑)。
ゴ 言葉を失うというか(笑)、一言で言うとヘンテコリンな漫画で、誰も読んだことがない世界が展開されている。はたしてエロ漫画という範疇に入るのかという問題もありますが、エロ漫画以外のところには入れてもらえない。
編 (笑)。
ゴ とにかくヒドイ(笑)。ヒドイ内容というか......。
編 凄い(笑)。
ゴ はい。僕もね、この人をぜんぜん知らなかったんだけど、この『ロックンロールエロ漫画』を始めてから、ネットで新作を探してるんです。二宮亮三さんという、やっぱりちょっと変わった作家がいて、その人を紹介しようと思ってサイトを探していたら、断面図と言えばこの作家ということでジョン・K・ペー太先生が紹介されていた。書店で「悶絶」シリーズが何冊か並んでるのを見たことはあったけど、中身を読んだことはなかったんですよ。コミカルな絵だし、実用性低いと思ってためらってたんですが、まあ一冊買ってみようと思って読んだんです。するとなんとも形容しがたい、独特な世界でね......。
編 ちなみに、最初の一冊が、この『もんぜつ系』なんですか?
ゴ そうですね。
編 他の作品も読んでるんですか?
ゴ 実はもう5冊くらい買ってるんです(笑)。読み比べてみて、とにかくヘンテコなんだけど、いろんなバリエーションがあって、同じような作品はないんですよね。
編 なるほど。
ゴ 手をかえ品をかえ、ヘンテコリンな作品をたくさん描いていて凄いです。トーンが明るいのに、表現されているものがとてつもなく、封印しとかなきゃいけないような世界なんですよ。
編 この『もんぜつ系』も、非常に明るいタッチですね。
ゴ 高校生の日常、部活動で、楽しい愉快な男女が出てくるけど、このエキセントリックさは、日常生活では体験できないものですよ。
編 「バキバキゆるゆるハイスクールライフ」というキャッチが帯に載ってるんですけど、他に書いとかなきゃいけないことがあるのではと(笑)。
ゴ これがエロなのかというと、一応セックスしたり男が勃起してたり、女がちょっと濡れてたりするんだけど、官能的ではないよね。
編 では具体的に見ていきたいと思います。
■エロ漫画ということでは処理できない、歴史に残る一コマ
ゴ やっぱり絵柄を見ていただかないと。
編 そうですね。まずは「ハイパーコントーション」。
ゴ タイトルがだいたいロックな感じなんです。
編 物語は部費の足りないバレエ部員のお話です。
ゴ 部費を工面するために、美術部の部長が大金持ちの息子だから、美術部のデッサンモデルをやったら結構なお金がもらえるよってことで、バレエ同好会の先輩が、勇気を出してモデルを志願すると。
編 そうして美術部を訪れるというお話なんですが、まずこの......カットにびっくりですよね。
ゴ そうですね(笑)。勇気を持ってヌードモデルを、ということで、レオタードを脱いで裸になる。
編 自分から裸体を美術部の彼らの前に晒すシーンがあるんですが......。
ゴ 美術部から「ひ...ッ 貧相!!」「と...鳥ガラぁ!?」っていう反応が返ってくる。まあ彼女はバレエをやって、ダイエットもして、やっぱり細くないといけないからね。それにしても、エロ漫画では見たことのない、貧乏臭い裸だよね(笑)。
編 そうなんですよね。これがいきなり1ページ。それまでそれなりにコマが割られていたんですが、このコマで1ページドーン!とくる展開は、ギャグ漫画を思わせます。
ゴ ギャグ漫画じゃないとは言えないんだけど、それにしてもエロ漫画でこういう裸が登場するのは画期的だよ。
編 ですよね。むしろこれ、萎えとかそういう方向では......。
ゴ そうなんです。もうちょっとおっぱいがあるふうに描くことはできると思うんだけど、やっぱりインパクト狙いなんでしょうね。
編 そしてこれで驚いていると、さらに凄い方向に話は進んでいきます。
ゴ バレエ同好会ということで、片脚を...何開脚っていうんですか。
編 Y字バランスを極端にしたような、180度上下に開脚するポーズ。バレエでは一般的なポーズなんでしょうか。
ゴ そして肛門とマンコが丸出しで、「おおーっ」という歓声が上がる。
編 これでデッサンを描くからじっとしてろと言われるんですね。
ゴ すると愛液がジュワッと出たり、陥没チクビがニュウゥッと盛り上がってきたりして、恥じらいつつもちょっと感じてる。
編 この辺りでちょっと、エロ漫画っぽくなってきました。
ゴ ここから凄い、エロいことになるのかなと思っていると......。
編 思っていると、見事に裏切られるんですよねぇ。
ゴ 片脚立ちで長時間ポーズをとるのはつらいということで。
編 じゃあ両足をついたポーズでアクロバッティックなポーズをしてくれよと。
ゴ 美術部のメンバーに足を押さえられ、ガムテープまで持ち出されて。
編 それでガリガリと固定されてしまって、ページをめくるとですね......
ゴ プシャァァァッっていう。これは、何と言えばいいのか......。
編 それこそ昭和の時代に『世界ビックリ大賞』みたいなTV番組で、インドのお爺ちゃんがしてそうな格好ですよ。
ゴ ブリッジをさらにネジ曲げて、股間の下に顔がある。
編 そのまま自分で太腿を抱え込んじゃう。
ゴ それをガムテで固定。SMでも窮屈な姿勢で固定されると、普通は観念するじゃないですか、辛いとか痛いとか。彼女の場合は気が強いというか、バレエ同好会のためもあるんだろうけど、オシッコをプシャァァッて撒き散らしながら「ふざけんなァァッ!! いくら私でも...こんな無茶な方向に体を曲げられたら...嫌でもオシッコ漏れるに決まってるでしょォォッ!!」っていうね、この強気加減。
編 とても気丈です。
ゴ そうですね。これ、歴史に残るひとコマだと思いますね、ホント。芸術に近い。単にエロ漫画ということでは処理できないですよ。これをTシャツにして配って歩きたいよね(笑)。このひとコマだけで人類の歴史を変えそうな勢いがあります。
編 宇宙から未知なる生命体が来て、このページだけ見たら、我々人類をこういうものだと思ってしまいそうな、それくらいの説得力を感じます。
ゴ ジョン・K・ぺー太さんの名前の由来が、ジョン・カーペンターっていう映画監督らしいんです。有名な『遊星からの物体X』という映画を撮っている人。あの最後のほうの、首がびよーんって伸びて、悪い造形になってるエイリアンとかね、ああいう感覚なんじゃないですか。奇妙な生物というか。
編 なるほど。
ゴ とにかくインパクトが凄い。
編 このページを見て、エロ漫画的な興奮とは縁のないものだなと感じたんですが、ゴールドマンさん的にはいかがですか。
ゴ これで勃起することはほぼ不可能ですね。
編 にもかかわらず、ゴールドマンさんはこの作家さんの本を5冊ほどお買い求めになられてますね?
ゴ これはね、逆なんですよ。たとえば飛野俊之さんとか、風船クラブさんとか、オナニーをさせてくれるオーラのある作家さんの作品は、吸い寄せられるような光......我々は街灯に吸い寄せられる虫のような存在で、僕らはオナニーさせてもらってるんです。でも、このジョン・K・ぺー太さんの場合はね、そういう歩みよりじゃなくて、もっと凄い、こっちが何とか努力してオナニーできないものかと......。
編 (笑)。
ゴ 葛藤しながら、できたらいいなという修行に近いオナニーになってくる。
編 なるほど。昔の軍隊では体を服に合わせろなんてことを耳にしますが、それに近いと。
ゴ そう。ペー太さんでヌケたら、オナニストとしても一流だというね。
編 なるほど(笑)。実際に5冊ほどお買い求めになられて、ペー太さん作品でのオナニーに成功されてるんですか?
ゴ まだムリです。まだまだ私のレベルでは......。
編 百戦錬磨のゴールドマンさんでもまだ難しいと。
ゴ そうですね。まだ成長の過程なので、あと5年以内にはなんとかヌケるようになりたいと思ってます。
編 ちなみに勃起まではいけるんですか。
ゴ いや、まだそういうところまでいってないです。もっと彼の、ペー太先生のことをよく知って、作品に馴染んで、このキャラのことを好きになる。そういう努力を、歩み寄りをしていかないと、永遠にヌクことはできないでしょうね。
■これは哲学性のあるエロマンガだ!
編 このポージングが凄いんですが、それだけじゃなくここから凌辱に向かいます。
ゴ 無理な体勢で固定しているにも拘わらず、美術部の野郎はもうすでにギンギンに勃起してしまっている。
編 これを見て勃起するところが凄いですよね。そして彼女は気丈にも、スケルトン絵でハメられながら、この表情があります。
ゴ 決して屈することなく「やめろバカァァッ!! こんなカッコのまま犯すヤツがあるかァッ!! や...ッ 犯るにしてもせめてほどいてから犯りなさいよォォッ!!」と。お腹がボコボコに突き出るまでチ○ポをハメられてるのに、強気なんです。
編 素晴らしいヒロインなんですが、ところが徐々に......。
ゴ (笑)。
編 アへ顔とまではいかずとも、これは悶絶顔ですよね。
ゴ そうですね。結局ムリな体勢でアナルとヴァギナ、口にも断面図があるけど、咽喉の奥まで挿入されてる。それで「ああん」とか「いやん」とかじゃなくて「ウゲェッ」「ボゲェッ」っていうね(笑)。アエぎ声というか、苦悶。
編 そうした擬音がページの中を飛び交ってます。
ゴ はたしてこれがセックスなのか。
編 そして最後の、キメの1ページ。あらゆるところに中出しされた彼女がですね......。
ゴ 精子を中出しされて、妊娠したら大変だってことで「だ、誰がこんな事で 孕むもんですかァ...ッ!!」と自分で膣を思いっきり拡げて、子宮を剥き出しにして、精子を噴出するんです、ドババババーッと。
編 固定されていたガムテープを、ビリッと自分で破いて、元に戻らずその格好のまま、おっぴろげる。
ゴ オシッコと、子宮からは精子、またアナルからもゴボオッと噴出した精子が、自分の髪の毛にかかってる。
編 かからざるをえないポーズですよ。そしてこの芸術的なポーズを前にして、美術部の連中がデッサンを始めるという。凄まじい(笑)。
ゴ なんだかよく分からないけど、見ちゃいけないものを見ちゃったなっていう喜びがありますね。
編 物語的にはこの後、一応お金もゲットして、オチもついています。
ゴ 普通のギャグ漫画的なオチ。
編 なんですが、もうそういうことがどうでもよくなりますよね......。
ゴ なんのためにこれを描いてるんだろう。謎です。
編 この作品を拝見して真っ先に感じたのは、ゴールドマンさんがエロ漫画中毒であるということですよ。
ゴ (笑)。
編 三日に一回はエロ漫画を買わずにはいられないんだということを以前仰ってましたけど、この作品はまさに、その中毒性を体現といいますか、よく表わしているのかなと......。
ゴ これ、同人誌だったら別にありだと思うんですが、商業的なレベルでちゃんと出てるじゃないですか。それも結構大量に、10冊以上もぺー太先生は出してる。ということは、支持層がいるということですよ。凄いなと思います。
編 そうですね。
ゴ これでオナニーしてたら凄いと思うし、オナニーできる可能性がないのに、このエロ漫画の世界である程度数字を出してるのは、凄い力だと思うんですよね。
編 ということは我々が思っている以上に、ぺー太先生の作品でオナニーをしてる人が多いということですか?
ゴ そういうことなんじゃないですか(笑)。オナニー目的の人は買わないと思うんですけど、出版社だって商売なので、ある程度数字が出ないと2、3冊で終わっちゃう。それなのにこれだけ出てるということは、オナニーに使ってる人も結構いると思うんですよね。
編 この作品には間違いなくエロ漫画でしかあり得ない世界があって、でも正直私はこれでヌケるとはまったく思えないわけですが、しかしこれもエロ漫画の一つの形として、間違いなく存在するものですよね。
ゴ そうですね。
編 そして先ほどゴールドマンさんもおっしゃったように、業界の中にちゃんと立ち位置というか、存在を許されているわけですよね。
ゴ アダルトビデオでも、ライターの安田理央さんがね、90年代はいろんなものが、ヘンテコなものがあって面白かったという話をよくしているけど、それなりに活性化していて、エネルギーが満ち溢れている状態だと、余分なものでも存在感を持って受け止められる時期があるんですよ。音楽でもプログレや、個人で言うとフランクザッパみたいなね、ポピュラーな音楽ではないものがヒットチャートに上ったりする時もあるんです、時代として。そういう意味では、今のエロ漫画業界は、ポルノ全体からしても、エロ漫画という世界がもっともエネルギッシュな時代に入ってるということなんじゃないかな。こういうものを出せる、描く人がいるし、受け止める人がいるということだから。それで会社に利益をもたらしていることは、偶然じゃないはずなので。
編 そうですね。
ゴ だいたいこんなもん描く必要ないじゃん、そういう意味では。さっき言ったライターの安田君がAV30周年で書いた記事で"昔は作家性があったけど今AVは単なるヌキのツールになってしまっている、作家性が失われてる"って書いてた文章があったけど、それからすると真逆だよ(笑)。ヌキの要素はほぼなくて、作家性だけ。
編 はい。
ゴ しかもポルノの範疇に入れるしかないというね。そういう意味では、凄く時代の真ん中にいる作家のような気がします。
編 そういう状況も含めて、エロ漫画というものの奥深さと言いますか、懐の深さといいますか......感じますね。それがゴールドマンさんのおっしゃるように、今という時代でエロ漫画が脂がのったメディアだからこそ、許されてることなのかもしれません。
ゴ ウィキペディアで「断面図の魔術師」「透視エロ画像のマエストロ」と言われているという話ですけど、これも僕がエロ漫画を読み始めた70年代とか80年代、まあ90年代だと、やっぱり性器の規制が凄くあったから、チンコにしろマンコにしろ描けなかったんです。それが2000年以降、規制がゆるくなって。断面図をどうやって規制するのか、また微妙な問題だと思うけど、これもやっぱり今の時代じゃなきゃ描けないものだし、将来また規制されていくとしたら、もう描けないわけだから。
編 そして、ヌケないけど面白いじゃないですか。そういうことも含めて、エロ漫画とは何だろうと、考えさせられる作品でした。
ゴ そうですね。そういう意味では哲学でしたね、エロ漫画とはなんぞやと。冷静に考えるとセックスとか、性器に性器を結合させたり、摩擦したり、そういうこと自体の意味とか、それは本当に必要なことなのか、とかね。色んな含蓄のある考え方にも向かっていくんじゃないかな、これを読んでいくと。
編 そうですね。イヤラしいとはどういうことなのかとか、そういういろんなことを考えさせる、素晴らしい作品でしたね。
ゴ 哲学性のある、エロ漫画。
編 ロックンロールエロ漫画もここまで来ました。
ゴ まあこれはでも、22世紀のエロ漫画なのかな。僕らは今までに擦り込まれてきた古い体質があるから、これから生まれてくる人類がね、もしたしたら「ヌケるよね~『もんぜつ系』」みたいな感じで、進化していくのかなと思いますけどね。
編 素晴らしいですね。というわけで、今回ご紹介いただいたのはジョン・K・ぺー太先生の『もんぜつ系』でした。
ゴ 悶絶しながら読んでください。
(続く)
『もんぜつ系!』(コアマガジン)
関連記事
ゴールドマンのロックンロール・エロ漫画
『親密―艶母たちの秘愛相姦』 著者=みきかず (オークス)
『まりこさん人妻欲情視線』 著者=板場広し (クロエ出版)
ゴールドマンのロックンロール・エロ漫画【3】『女子穴・志穂ー人妻キャスター肛辱痴獄』 著者=飛野俊之 (エンジェル出版)
『種付けストーキング』 著者=チョコぱへ (エンジェル出版)
「さくらだくん」(『アクションピザッツスペシャル 2012年12月号』/双葉社 所収)
『人妻を輪姦す8つの方法』 著者=葵ヒトリ (一水社)
『童貞鎮魂姦』 著者=にったじゅん (三和出版)
『フェラピュア』 著者=Fue (ティーアイネット)
『淫華-犯されママと拡張女教師-』 著者=風船クラブ (クロエ出版)
『はじめよっか』 著者=EB110SS (茜新社)
2012ゴールデンウィーク特別企画/特集:セックス表現の現在形2012
ディス・イズ・ポルノ?AV誕生30年をふり返って? 文=安田理央
セックスを映画で観てみよう! 文=ターHELL穴トミヤ
対談 ペヤンヌマキ・前田愛美/演劇はセックスをどのように扱ってきたのか?
孤高のセンズリランナー・36 年目のズリネタを求めて 文=ゴールドマン
ロリコン漫画の不在形 文=さやわか
激変するメディアとエロチック・ワンダー1946-2012 文=永山薫
13.10.03更新 |
WEBスナイパー
>
ロックンロール・エロ漫画
|
|