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【1】悪縁奇縁

「おい、お前、顔色が悪いな。大丈夫か」

連れの一人に声を掛けられて、茨田重方(まむだのしげかた)は思わず頬に手を当てた。むろん、触れたところで顔色など量れるものではないのだが、何となくそうせずにはいられなかった。

「自分ではよくわからんのだがなぁ」
「あぁ? 何と?」

重方は言ったが、彼は聞き取れなかったらしく、声を張り上げて尋ね返してきた。

二月初午祭(※1)の日、伏見稲荷詣で帰りの、老若男女がごった返す参道のど真ん中である。前後左右、人、人、人の人ごみの中では、すぐ近くにいてさえ言葉が届かない。重方は少々いらつきながら、これも声を張り上げた。

「自分ではわからない、と言ったのだ」
「ははは、色ごとにかまけすぎたのだろう。ゆうべ、たっぷり精気を絞り取られてきたんじゃないのか」

すかさず品がいいとはいえない冗談が飛んでくる。前を行く虫の垂衣の女がぎょっとして振り向いたが、彼らに恥じる様子はない。それどころか、垂衣の下を覗き込もうとあからさまに好色な目をする者さえいた。

女が驚いたのも無理はない。重方たちが近衛府の舎人(とねり)とわからずとも、その装束が卑しからぬことは一目で見てとれた。ましてやそれとわかる者には驚愕は当然のことで、近衛府の舎人といえば、官人としては下級ではあるが、一応は宮中に伺候する存在(※2)だ。いかに酒気に赤い顔があちこち窺える参道とはいえ、そんな男たちまでもが日も高いうちから艶笑に浮かれるとは、女でなくとも眉をしかめたくなる光景ではあった。

が、それはあくまでも人々の勝手な希望に過ぎない。ここに集った舎人たちは皆、いずれも劣らぬ色好みばかりだった。特に今は禁中の緊張を離れた憂さ晴らしといわんばかりに、酒にも背中を押され、妙に勢いづいた心持ちになっていた。

中でも重方は、折り紙をつけられるほどの好色漢だった。年は二十九になるが、日々の「営み」のせいか年よりも幾ぶんか若く見える。顔だちも眉がきりりと左右に伸び、目もとは涼しく、口もとは頭の回転の速さを表わすかように引き締まった、美男子といえる造りだった。

「冗談ではない。ここのところ、妻の機嫌が悪くてなぁ、外にもろくろく出してもらえんような状況だったのだ」

重方は笑い飛ばしたが、口調ほどに心のうちは明るくなかった。実際、顔色が悪いのも、心当たりのある話だった。

彼は数日前から、夢見の悪さに悩まされていた。細かなことは起きると忘れてしまうのだが、どろりとした真っ黒な液体に窒息させられるような感覚を、眠るたびに覚えていた。何か大きな獣に追われた断片が、頭の片隅にちらと残っていることもある。うなされるのが恐ろしくて、自然、眠りも浅くなっていた。

「なるほど、では先ほどずいぶん長く祈っていたのは、奥の機嫌のことだったのか」

違うわい、と返そうとしたが、重方は口をつぐんだ。ずいぶん長く祈っていたのは事実だが、その内容は「どうぞこの悪夢を我から遠ざけ給え」という、今の彼にしてみれば切羽詰った、しかし多少子どもじみたものだった。

重方には人並み以上に信心深いところがある。幼い頃から母に、「なかなか子ができなかったところを、毎日、深草の稲荷さま(※3)に祈って、やっと授かったのがお前なのよ」と繰り返し聞かされて育ったせいだ。彼はこのような大きな縁日以外にも、毎月どこかの午の日には、自身や家族の息災を祈るべく洛中の家から深草まで足を伸ばしている。

「お前は本当に信心深いよなぁ。その信心深さを奥に掛けてやれば、機嫌なんてすぐになおるだろうに」

またべつの連れの言に、皆が声を合わせて笑う。色好みと信心深さがひとりの人間の内に同居することは彼らにとっては可笑しなことらしい。重方自身も滑稽だという自覚はないでもないが、こればかりは両方とも止められなかった。稲荷詣での帰りに美女を探して大路小路をうろついたこともある。

「なんの、あの嫉妬深いばかりの女には、どんな信心も通用せんよ」

重方は溜息とともに言い返した。

妻は三年前、京の夜のそぞろ歩きの最中に見出した女だった。簡素な家から灯りが漏れているのに好奇心を刺激された重方が、垣根の隙間からそっと中を窺うと、濃紫のうちぎに萌黄や紅梅を重ねた女が縁に立って、放心したように月を眺めていた。

最初は女童かと勘違いした。それほどまでに小柄で、ほっそりした体つきをしていた。が、童にしては着ているものが大人びているし、体つきに丸みがある。さらによく目を凝らしてみると、やはりれっきとした成人の女とわかった。年は二十ほどだろうか。目が猫や犬といった動物の仔のようで、大きすぎることが全体の調和を乱していたが、それでも美しい顔だちだった。愛嬌がある、といったほうが的確かもしれない。

翌日、重方は女の家に文を投げ入れた。女はしばらく迷っていたようだったが、日々文を届けに来る熱心さに負けたのか、ほどなくして家の門を開いた。

女は千珠と名乗った。通ううちに重方は、家が日々寂れていき、また人の気配がないのを疑問に感じ始めた。それとなく尋ねてみると、千珠は、つい最近身寄りを立て続けに病で失いたった一人残されてしまった、これからどうしたらいいのかわからないと涙ながらに明かした。

同情が愛情を焚きつけた部分もないではなかったが、そんな身の上ながら重方の前では無理をしてでも笑顔を保とうとするいじらしさに、重方はさらに惹かれるようになった。やがて彼は千珠を自分の家に呼び入れて、結婚の態とした。

だが、千珠は一年も経たないうちにすっかり変わってしまった。明るくなった、生気に溢れてきたといえるのかもしれないが、重方は「図々しくなった」と思っている。

重方は結婚してもいいと思ったほど千珠を愛したが、それで自分の多情が治まるとはまったく考えていなかった。己の浮気性に関しては、ずいぶん前から一生なおらないものとあきらめている。また、それなりに世話ができるのであれば、妻を複数持つことを特に咎められなかった時代のことでもあり、数いる女の中で千珠にもっとも愛着を持っただけで、彼女一人に情を注ごうとは露ほども思わなかった。それどころか、「窮地を救ってやったのだ。多少の道楽は大目に見るに違いない」ともくろむ狡さも、千珠への愛情には含まれていた。

最初、千珠は、夫の朝帰りや、衣に移った女人の香、艶書に挿された萩の花といったものに、ぽつり、ぽつりと恨みがましさを漏らすだけだった。その程度であれば重方も予想していたことで、しばらくは気に留めずにいたが、ぽつり、ぽつりはやがて本降りとなり、さらには強風を伴う大雨となり、ついには雷までも落ちるようになった。今では、「あぁもう、情けないやら悔しいやら。貴方にはほとほと愛想が尽きました。いっそ帰ってこないで、ずっとその女のところにいたらどうなの!? 私はここのお父様、お母様と末永く仲良く暮らしますから、貴方はどうぞご勝手に!」などと、威勢よく啖呵を切ることも珍しくはなくなった。

「愛想が尽きたのはこっちだ! お前のような嫉妬深い女は離縁してやる!」

と、重方も一応は返すが、どうしても尻すぼみになる。そんなことは絶対できないとわかっているからだ。千珠は重方も知らないうちに家中のことを何かとてきぱき取り仕切るようになっており、素直な性格で重方の父母にも実の娘のように可愛がられ、使用人からも慕われていた。離縁となれば、家じゅうの者が黙っていないだろう。

「おい、見ろよ」

連れの一人があげた声に、重方は、妻のことを考えているうちに自然下がってしまった顔を上げた。

「あの女」

指差す先に視線を投げると、人ごみの中、紅梅の上着に包まれた肩の線が何ともなまめかしい女が、供も連れず一人でしずしずと歩いていた。笠に隠されて顔はわからなかったが、たおやかな足の運びようや匂うようにあでやかな衣から、笠の下は容易に想像できるように思われた。女は道の真ん中にものものしい男たちがたむろしているのに気がつくと、かたわらの大樹に寄って道を空けようとしたが、舎人たちがそれを許さなかった。

「よう、お一人ですかい?」
「供もなしでは、心細いでしょうに」

それぞれ戯れを口にして、女を囲いこむように近づいていく。怯えているのか、係わり合いになりたくないと見下げられているのか、女は少しずつ後ずさっていったが、男たちはお構いなしだ。

重方は皆に先んじて前に出た。笑われた分を取り返し、他の連中を羨ましがらせてやりたかったし、短い時間ながらも千珠のもとを離れ、気の置けない仲間と共にいる解放感もあった。彼は眉から沈鬱をふるい落として、捨て鉢なほどに陽気な声を掛けた。

「お方さま、そう怪しまずに私めの話をお聞き下さい。私めは成人してこれより、月々の稲荷詣でを欠かしたことがないのですが……あぁ、今日のこの出逢いこそ、 長年この社に願を掛けていた験(しるし)というもの。稲荷の神のお情けであなたのようなお方を賜ったのかと思えば、これほどなことはありません」

淀みない口調で神さえ軽々と引き合いに出す様に、後ろに下がってしまった連れたちは失笑したが、当の重方は気にも掛けない。それどころか、たじろいでいる女を今にも抱き寄せそうな手つきにさえなっている。





「お方さまはどちらにお住まいで? 独り身であらせられるか」
「今はまだ、これと定まった夫もおりませんが……」

重方の迫力に気おされるように女はおずおずと答えた。が、何か思ったことがあったのか、ふいに顔を逸らすと、

「でも、貴方さまにはきっと奥方さまがおいでなのでしょう。そのような浮気心を真に受けてしまったら、私、奥方さまに申し訳ありませんわ」

と、重方の脇をすり抜けて、すげなく去ろうとした。

「まぁ、まぁ」

重方は慌ててその手を取ると、

「正直に申し上げればたしかに形ばかりの者はおりますが……じつは、離縁を心に決めております」
「離縁?」
「さようでございます。いや、あれのあつかましいこと、むさくるしいことといったら、とても口では言い表わせません。まったく、お方さまのようにしとやかな女性の、足元にも及ばないような女なのです。親などの手前もありますればこそ耐えておりましたが、性根も顔も世に二人とないほど醜いものですし、いずれ、これぞという女性が見つかったら離縁してやろうとずっと思っていたのです」

重方はぬけぬけと言ったが、まったくの虚言というつもりもなかった。心に沈殿していた澱が、この機を得て噴き出したような心境である。

「まぁ」 

女は重方の手を振り払おうとしていた手を止めて、逆に握り返した。

「それはまことでございますか?」
「誓ってもよい。まことでございます」

重方が胸を張ったときである。鯉が勢いよく跳ねて、その体を水面に打ちつけたときのような音が、あたりに爽快に響き渡った。

ひと呼吸遅れて痛みがやってきた。女に頬を張られたのだとわかったのは、髻(もとどり)をむんずと掴まれてからだった。前につんのめりつつ見上げると、女は笠をわずかに持ち上げた。

「せ、千珠! 何でお前がここに……!」
「何でもへったくれもないわよ! 私だって稲荷詣でぐらいします! あぁもう、貴方という人がここまで阿呆だとは思わなかった! 声を聞いてさえわからないなんて……ど阿呆といってもまだ足りない! 馬鹿! 大馬鹿! 脳味噌のかわりにもずくでも詰まってるんじゃないの!?」

千珠は重方の髻を掴んだまま、頬の肉をぐいぐい引っ張った。重方は子どものように手足をばたつかせて逃げようとしたが、髻を押さえつけられて上体にうまく力が入らない。このままでは続いて蹴りの一発でも入ってきそうだ。こうなったら、ふくらはぎがあらわになることを躊躇うような女ではない。

「お前ら、ちょっと退け!」

重方は一瞬の隙を見つけると、呆気にとられていた仲間たちを押し分けて逃げ出した。

「あーっ、待ちなさい!」

千珠もまた、後ろに残っていた男たちを恐れもせずに押しのけると、参道を逆走し、稲荷山に逃げ戻っていった夫を追った。



――あの女はどこまで俺の邪魔をするのだ。だいたい夢見が悪くなったのも、元はといえばあいつのせいだ。……たぶん。

人混みを縫って山道をひた走りながら、重方は胸のうちでひとりごちた。べつに邪魔をしたわけでも何でもないのだが、そんなことはもう考えられなくなっている。

夢見の悪い眠りが始まったのはいつからか、重方ははっきり覚えていた。

ひと月ほど前のその日その夕、重方は訪ねていった播磨の国の縁者のもとから、京に戻ってきたところだった。途中、悪天候にやり込められたり、うっかり道に迷ったりして、帰宅を予定していた日から三日も過ぎていた。少しでも早く我が家に帰って家の者を安心させてやりたかった反面、気も嫉妬心も人一倍強い千珠は、きっとまたあらぬ疑いを抱くだろうと思うと、足が重くなった。

――そうだ、どうせ疑われるのなら、いっそ真実にしてしまえ。

洛中に入ってしばらくした頃、重方は「発想の転換」をした。どこぞに見目の麗しい女を見つけて、妻が考えるであろうとおり、一夜を共にしてやろう。どうせ疑われ、小言を浴びせられても、それが真実ならば受けて立つ甲斐もあるというものだ。そう心を決めると重方の体は俄然、軽くなった。

重方がそんな行為に走ろうとしたのは、もうひとつ理由があった。播磨の、印南野(いなみの)という土地を通ったときに、彼はふしぎな婚礼行列を見た。遠くから眺めただけだったから、何者が何者のもとに嫁ぐものかはわからなかったが、遠目にも列の長さと人の多さ、女輿や櫃などの立派さは窺えたから、おそらくは土地の豪族か武家のものだったのであろう。

ふしぎな、というのはその時間である。真夜中だったのだ。

ただ広い野原で日暮れを迎えてしまった重方は、偶然見つけた小屋で朝を待つことにした。そこはあたりの百姓が寝泊りに使う小屋のようだったが、中に入ってみると人っ子ひとりどころか、獣の仔一匹もいなかった。茫漠とした野の中の閑散とした小屋の中は一人で時を過ごすには寂しく、重方は床に横になると、衣をひっかぶって早々に眠ってしまった。

夜半過ぎ、雄々しい掛け声や清らかな鈴の音が聞こえてきて、重方は目を覚ました。

――誰かいるのか。ずいぶんと賑やかな……。

戸をわずかに開けて表を覗いた重方は、あっと小さく叫んだ。長い行列が、あかあかと燃える数えきれないほどのたいまつに彩られて、遠くを横切っていた。

(続く)

※1  二月初午は稲荷神が地上に現われた日として稲荷信仰の縁日となっている。そこから毎月午の日も縁日とされる。

※2  おもに宮中の警護や御幸の供奉をした。

※3  伏見稲荷のこと。伏見稲荷は深草にある。

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上諏訪純 フェティシズムと日本史と妖怪・人外と幻想文学をこよなく愛しすぎて、 全部足さずにはいられなくなった水瓶座・A型。 好きな歴史上の人物は世阿弥。
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常春 2010年より少しずつ活動開始した新米絵描きです。1988年生まれ。和モノ怪奇モノ大好物です、座右の銘は【いやらしければなんでもいいわ!】です、宜しくお願いいたします。
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11.08.21更新 | WEBスナイパー  >  稲荷山デイドリーム
文=上諏訪純 | 絵=常春 |