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【最終回】百鬼女衒

「ずいぶんと立派なものを作れるようになったじゃないか」

にゃあの前は私に近づき、しきりに首を動かしてはいろんな角度から野分さまを眺めました。そのときの野分さまは手足が虎、胴体が狸、顔は猿、尾は蛇と「ふりだし」に戻られていました。にゃあの前の背後の黒い影も、彼女の動きに合わせて伸びたり縮んだり、右に左にせわしなく揺れたりしました。もしかしたらにゃあの前自身の影だったのかもしれません。

「これは、もう手を加える必要はない。このまま貰っていこう」

――貰っていく? どこへ?

ぞっとして、私は問い直しました。もはや舌がないので声にはなりませんでしたが、心のうちの言葉をにゃあの前は実際の音のように拾いました。私は声もないままに、にゃあの前と会話を交わしました。

「おや、蟇継から何も聞いておらぬのかえ?」

――蟇継どのから? 何を?

尋ねると、にゃあの前は呆れたような溜息をひとつ吐いて、

「あいつは医術以外のことはすぐに忘れてしまう。三歩歩けば忘れるとはあいつのためにあるような言葉じゃ。いちばん肝心なところだというに、やはりぴょこぴょこ跳ねるような奴は信用できん。頭を不必要に振ってはいかんのじゃ。こう、大地をしっかり踏みしめて歩くのではないと……」

――報酬、のことでございましょうか?

放っておいたら愚痴はいつまでも続きそうだったので、私は話を途中で打ち切って質問しました。にゃあの前がわざわざ訪れた理由は、それしか考えられませんでした。

「無論」と、にゃあの前は頷くと、

「お前を見込んでわしらのわざを教えたのはな、化物を量産させるためじゃ。動物と人だの、人と人だのを組み合わせて化物を作らせて、わしらの住むところに送りこませるためじゃ」

――貴方がたの住むところ?

「おうよ、まぁ一口に言うてしもうたが、いくつかの種類がある。今、お前が生きているこの世界と並行して存在する、闇の向こうに広がるところ……人の世では地獄だとか彼岸だとか竜宮だとか天狗界だとか補陀落(ふだらく)だとか呼ばれるところじゃ。わしらにとってみればここが異界じゃが、お前らにとっての異界じゃ、要するに」

私は反射的に野分さまに視線を走らせました。獣のお姿はたしかにここではなく、闇の向こうに広がるという、どことも知れない世界を駆け回られるのがお似合いではないかという気がいたしましたが、すぐに頭を振って、そんな馬鹿げた考えを打ち消しました。

「わしらの世界も最近は後継者不足でな、自然に生まれるのを待っていたら頭数が足りなくなってきた。そこで皆で相談して、ならば作ってしまえということになったのじゃ」

――つくる…………。

響きの連なりを意味としてすぐに認識することができず、私は阿呆のようにもう一度繰り返しました。今まで何度も用いてきた言葉ですのに、そのときは自分からはかけ離れた場所で、見も知らない人が呪文のように操る言葉のように感じました。

「ただ働けとは言わん。化物になった連中には、しばらくの間はその体を好きに使わせてもよい。人の体ではできないことを、化物の体で遂げたいという奴は少なくないじゃろ。お前はその相手から礼を受け取ってもよいし、我らからもそれなりのものは支払う。ただ必ず、そやつが思いを遂げたら、或いは遂げられずともそれなりの時間が経ったら、こちらの世界に送りこんでもらう。というか、こちらからしかるべき者を迎えに寄こすので、大人しく引き渡してほしい」

――…………もしも私がそれを拒んだ場合はどうなりましょう?

「それはお前、とても、とっても、とてつもなく悲しくてつらいことになろうな。お前や化物がどこに姿を晦ませたとしても、闇のない場所はこちらの世には存在せぬ、といえばわかってもらえるかの。我らは闇から闇を辿る。まぁそうでなくとも、化物の体になった以上はこちらでは生きてはいけまいて。永遠にわれらの世界で生きるほうが、余程幸いじゃ」

――永遠に……一度そちらに行ったら、もう戻っては来られないのですか?

「そりゃあ、たまにはこちらの世界にわざわざ姿を現わさなければいけないこともある。骨の折れることではあるが、ときどきはそうやって境を揺さぶらないと、どの世界も淀んで腐ってしまうからな。だが、それも滅多にあることではない。殊に、住んで百年かそこらの新入りに出番が回ってくることなど、ほとんどない」

にゃあの前は意味ありげに含み笑いました。といっても、顔も頭も動かず、声だけが白い骨にうつろに、かすかに反響したことから、私がそう思っただけですが。

「というわけで、この化物は記念すべきお前の試作品第一号として貰っていく。試作品にしてはいい出来じゃ。今後が期待できるの」

――ちょ、ちょっと待って下さい!

野分さまの虎の腕を持ち上げようとしたにゃあの前の、冷たく硬い白骨の肩に、私は慌てて縋りつきました。

――お願いです。そのお方は……そのお方だけは勘弁して下さいませんか。他の者であれば、ご入用なだけ何体でも用意致しましょう。そのお方だけは……。

「…………困ったの」

にゃあの前はいったんは私の腕を振り解こうとしたものの、私がただならぬ鬼気を纏っていることを察すると、手を止めました。

「われらのわざを使って作った化物を、このまま見過ごしていくことは、仲間たちの手前もできぬ。かと言って無理にでも連れていったら、お前はたとえ命を失っても、もう二度と化物は作るまいな。もう一人医師を育ててもいいが、われらのわざをあまり人には教えたくもなし、お前が支払うものが何かを正しく伝えなかった蟇継にも責任はあろうし……」

にゃあの前はしばらく、ぶつぶつ独り言を言いながらうつむいて考え込んでいました。が、やがて、とてもいいことを思いついたというように手の骨と骨をカチンと叩いて、

「おぉ、ならばこうしよう。この化物は今は連れて行くが、お前が百体の化物を納めたら返してやる。それでどうじゃ」

――……百体……。

「そうじゃ、それで決まりじゃ」

――……それは、本当でございますか。本当に百体納めたら、野分さまをお返し下さるのですか?

「疑いは人間にあり。天に偽りなきものを」

私はまだ応とも否とも答えておりませんのに、にゃあの前の中では話がまとまってしまったようです。彼女が小さな体で野分さまの化物のお体を抱えると、後ろの影はあたりに散らばっていた野分さまの手足や首を拾い始めました。彼らの周囲の風景が、冬だというのに陽炎のように揺らぎました。それとともに空気がどろりと濃く、重くなっていきます。血液のような、まだ固まらない生あたたかい寒天のような質感です。いつか、どこかでこんな空気に触れ、呼吸したことがあったはずなのですが、それがどこだったのか私にはどうしても思い出せませんでした。空気が満ちゆくにつれ私は徐々に「異物」となり、私のほうがそこにいてはいけない存在になっていきました。何かまったく知らないものが皮膚の中にぬるりと入り込んで、体のしくみを書き換えてしまいそうなのを、私の内側に棲んでいた私も知らなかったもう一人の私が必死で押し止めているような、妙な感覚がありました。

私は落ちていた棒切れを拾って、にゃあの前に打ちかかりました。しかし、数日間ほとんど飲まず食わず、そして眠りもしなかった私はすっかり衰弱しており、突つけば崩れてしまいそうな、か細い白骨のにゃあの前に簡単につき飛ばされてしまいました。あるいはにゃあの前も人ならぬ者、見た目にそぐわない力があったのかもしれません。

後頭部を強打して、気が遠くなりかけました。ですが、野分さまを奪っていく連中を前にして、呑気に意識を失っていることもできません。私はようよう、影が抱えている野分さまの首に這い寄りました。

――野分さま……!

野分さまの首は、熱した蜜蝋がゆっくりと形を失っていくように、影と一緒に背後の闇に少しずつ溶けていきました。私は野分さまの頬に、感触を指に刻みつけるように触れると、思い切ってそのお口を、舌のなくなった自分の口で強く吸いました。眼球がまだあるほうの眼から涙がとめどなく溢れ出し、ないほうからは血が流れ出しました。黒い影は黙って私を見下ろしていました。

不意に、それまで固く閉じられていた野分さまの瞼が開きました。力強さが極まって澄みきった光が、その目には宿っていました。あぁ、そのときのお顔を仰ぎ見ることがなかったら、私はきっとここにこうしてはいなかったでしょう。きっと、どこかで野垂れ死んでいたに違いありません。野分さまはその双眸で、私の弱気を叱っていらっしゃいました。今にも快活なお声で、「お前は始める前から何を怯んでいるのだ、ふがいない」と叱咤されそうでした。私は今までずっと忘れていたとても大事なことでぶん殴られたような心地になって、野分さまのお強さに負けまいとする、絶対的なものに祈る者のまなざしをお返しいたしました。そうだ、まだ野分さまを失ったわけではない。にゃあの前が持ちかけたことが本当かどうかはわからないけれど、可能性があるかないかでいえば、あるのだ。百体の化物を作った先にしか未来(さき)を見いだせないというのなら、とにかく作るしかない……。

――野分さま……。

私はもう一度、野分さまのお口を吸いました。誓いが腹の底をなめくじのようによじ上ってまいりました。

――必ずお救い申し上げます……。

嘔吐するように念じると、野分さまはそれにお答え下さろうとしたのか、きりりとした面差しのまま、わずかに口を開かれました。そしてお言葉の欠片がそこからこぼれ落ちそうになったとき、黒い影と野分さまのお姿は、揃ってかき消えました。

私はその場にがくりと倒れ落ちました。もはや眼を開けているのもつらい強烈な疲労が衝動のように、体じゅうに滲み渡りました。四肢がばらばらと床にこぼれ落ちていきそうでした。それでも私の意識は異常なほどの執着をもって、必死に現実に食らいついていました。にゃあの前はまだ残っているのです。これから何か大事な交渉をしなければいけなくなるかもしれません。

にゃあの前はうずくまっている私のもとへ近づくと、「ふん」とせせら笑って、脇腹を蹴り倒しました。床から壁が眼前を流れていったと見えたのは、あっけなく仰向けに転がったためでした。にゃあの前の眼窩には、ねっとりとした漆黒が凝縮されておりました。

「そういうわけじゃ、せいぜい気張って貰うぞ。が……目も碌に見えぬ、舌もなく口もきけぬ、鼻も死臭で馬鹿になっておるようだし……この体ではちと、やりづらかろうな」

にゃあの前は懐、というかあばら骨の中から折りたたまれた紙を取り出しました。

「今、お前に使いこなせるのは言の葉だけじゃな」

それは何も書かれていない、私の顔よりも一回り大きい古びた紙でした。彼女は続いて筆と硯と墨をあばら骨の間から取り出すと、ほとんど死にかけている私の隣にちょこんと座り、ごりごり音を立てながら墨を擦り始めました。それが終わると、「おい、これに今から言う文字を書け」と、先を墨汁に浸した筆を押しつけてきました。

「まずこのあたりに二つ並べて、『目』、その真ん中、少し下に『鼻』、その真下に『口』……」

何か言い返したい、尋ねたいと思いつつも、疲労がそれをさせてくれませんでした。彼女の指示すること以外にはどんな行動をとろうとも思い浮かばず、自分がにゃあの前の傀儡(※1)になったような気がしました。命じられるままに書くと、紙はそれ自体がひとつの顔のようになりました。まるで、私のほうをじっと睨みつけているようです。にゃあの前は私の髻をぐいと掴んで顔を上げさせ、それを額にぺたりと貼りつけました。

「よぅし、とりあえずはこれで目も見えよう、口もきけよう、鼻も大丈夫じゃ。もはやお前は、厳密にいえば、この世のものではない。この世とわれらの世界の境目にいるものじゃ。ここで今まで生きてきた顔を捨てることになるのも、さだめだったのであろう」





言いながら彼女はもう一度、私の額をとんと指で押しました。途端に、今まで張りつめていた神経がそこを起点にほぐされて乱れ、私はけだるげなざわめきに包まれました。今はもう使われることのないひどく昔の言葉を誰かがひっきりなしに喋る声や、金属と金属が触れ合うような音がします。それはどこか遠くから聞こえるようにも、すぐ耳元にあるようにも聞こえました。風景は粗い光の粒と化し、少しずつ、ひとつひとつ確実に消えていきました。

やがて私の意識も光の粒のひとつとなって、ほかのそれと同じようにゆっくりと、しかし迷いなく黒い水面に沈み込んでいきました。そういった現象を、私はもはやただ受け止めることしかできませんでした。

気がつくと私は、朝の光が窓から差しこむ羅城門で一人で眠っていました。小鳥の鳴き声も、ここまで届く道行く人々の爽やかな挨拶の声も、それらとはあまりにも不似合な腐乱死体が散乱する光景も、いつもと変わりはありません。あれは夢だったのではないかと、私は周囲に野分さまをお探しいたしました。が、あたりには死体が転がっているばかりで、半獣のお姿も肉体の部品も、やはりどこにも見出せませんでした。

ですが、あれが夢ではなかったことはすぐにわかりました。額に違和感を感じた私は、そこに貼られていた紙をおもむろにめくってみました。途端に、片目だけ暗闇の中に逆戻りしました。元に戻すと、目はすぐに光を取り戻しました。続いて、野分さまのお名前を呟いてみました。紙をめくったときには口の中の、舌があった場所にむずがゆいような感触が走ったばかりでしたが、戻したときにはきちんと響きました。死体に聞かせるには惜しいような、うつくしいお名前が……。

その紙が今、私が顔に貼りつけている、このふざけたシロモノでございますよ。


その後、しばらくは京の外れで乞食のように暮らしながら、このなりわいを続けておりましたが、風体もあって、さすがにすぐに検非違使に怪しまれましてね。彷徨いに彷徨ってこの洞窟に辿り着いたのですが、最初は鬼の京に通じているとは知らなかったのですよ。偶然とはいえ、そんな場所を選んでしまうとは、私も余程業が深いようです。ま、あちらが迎えに来るときも便利なようなので、評判はいいんですがね。

あれから何十年も経ちますが、にゃあの前が私の前に姿を現わしたことはありません。ですが、人に私のことを知らせるのはたいていは彼女のようですし、作った化物を迎えに来る者がときどき彼女のことを話題にしたり、私と彼女との約束に触れてきたりすることもあるので、約束はまだ有効ではあるようです。にゃあの前に会いたいかと? まぁ、会いたくないといったら嘘になりましょう。野分さまが今どうなさっているのか、片鱗でも聞ければとは思いますから。

これまでに作り上げた化物はいかほどかと? 私の数え間違いでなければ、ようやっと三十を数えたばかりです。化物になりたいという連中は少なくないのですが、最後の最後になってふんぎりをつけられない者が多いのです。

……さて、いかがなさいますか? 私がなぜ化物相手にこんな商売をしているのかおわかりになったところで、貴方さまのお心は何か変わりましたか? ここには多種多様ないきものの男性器、女性器、目玉、はらわた、牙、脳、爪、毛髪などがすでに揃っております。ご希望ならすぐにでも取り掛かれますし、ないものは取り寄せることもできますよ。あちらの漆の箱に分けて入れてあるのですが、ご覧になりますか?

やはり人間のままでいたいというのなら、それも結構。いや、そちらのほうがきっとよろしいでしょうね。しかし、化物になってでも遂げたい本懐があるというのなら、いつでも仰って下さいませ。その後のことにさえ覚悟を決めていただければ、いつでもお引き受けいたしましょう。


(了)

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上諏訪純 フェティシズムと日本史と妖怪・人外と幻想文学をこよなく愛しすぎて、 全部足さずにはいられなくなった水瓶座・A型。 好きな歴史上の人物は世阿弥。
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常春 2010年より少しずつ活動開始した新米絵描きです。1988年生まれ。和モノ怪奇モノ大好物です、座右の銘は【いやらしければなんでもいいわ!】です、宜しくお願いいたします。
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11.12.08更新 | WEBスナイパー  >  百鬼女衒とお化け医師
文=上諏訪純 | 絵=常春 |