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【3】蛙の医師

ゆるやかな流れの川を気持ちよく泳ぐように百鬼夜行を逆行していると、目前に一匹の猫が……いえ、正しくいえば猫の骸骨が現われました。手に幣帛(へいはく)のついた榊の枝を持っているところを見ると、神主か巫女かのようです。その後ろには、 頭の左右に大きな角を生やした人型の影だけが見えましたが、こちらは何者の影なのかはわかりませんでした。全面、墨で塗りたくられたように真っ黒でした。

猫の骸骨が榊を振り上げると、行列はぴたりと止まりました。

「われわれと取引をしたいというのはお前さまか」

猫の骸骨が私を見上げて喋りました。声はしわがれていましたが、どうやら女、いや、めすのようです。





「取引?」

何のことかわからず尋ね返しましたが、彼女はそれには答えず、自分は「にゃあの前」であると名乗りました。そのときはべつに何とも思いませんでしたが、ずいぶんふざけた名前です。

私はにゃあの前に問われるままに素性を話しました。頭がぼんやりしておりましたので、何ものともわからない異形に己のことをつまびらかに話すのも、別段恐ろしいとも怪しいとも感じませんでした。

話し終わると、にゃあの前は後ろにまだまだ続く列のほうを向いて、「ひきつぐ、ひきつぐ」と何者かの名を呼びました。濡れた布を地面に叩きつけるようなぺたぺたという音とともに、出てきたのは一匹の蟇蛙(ひきがえる)でした。もちろん、これもただの蟇蛙ではありません。私とほとんど変わらない背丈に、泥水のような土色の狩衣を着、烏帽子をかぶっています。私は彼を目にして初めて恐ろしくも気持ちが悪くもなりましたが、本人を前にそんな様子は見せるべきではないとどこかで冷静にも考えて、何とか平然としたふりをしました。

「これなるは当麻蟇継(たいまのひきつぐ)。お前さまと同じ医師じゃ」

にゃあの前に蟇継と紹介された蟇蛙は、ぺこりと烏帽子の頭を下げました。

これには最初から、ふざけた名前だと笑い出しそうになりました。ご存じかもしれませんが、かつてこの日の本の朝(ちょう)には、当麻鴨継(たいまのかもつぐ)という名医がおりました。蟇蛙が医師というのもおかしければ名も蟇継だなんて、いったい何の冗談のつもりかと、私は今にも声を出してしまうところでした。

「お前さまが知りたいことは、この蟇継から教わるがよい」
「知りたいこと?」
「その代わりにこちらが受け取るものは、後々この蟇継に伝えておこう」
「あの、それはどういう……?」

にゃあの前は勝手に話を進めていきましたが、私には徹頭徹尾、何が何だかわかりませんでした。私には彼らに教えてもらいたいことなんてありませんし、言っていることからすると、どうやら後にこちらが何か報酬を支払わなくてはいけないようです。こんな化物連中を相手にしていたら何を要求されるかわかったものではありません。誤解があるのなら早く解いておかなければと焦りました。

しかしそのとき、にゃあの前を含む化物たちの一行は、蝋燭の灯が突然吹きつけた風にぱっと消えたかのように、闇に溶けました。ただ一人、いや一匹でしょうか、二本足の巨大な蟇蛙だけを残して……。

私は湿った空気の中、当麻蟇継を前にしばらく口をぽかんと開けておりました。


しかし結局、当麻蟇継は私の「師」となりました。

それまでのいきさつは、こうです。化物たちが消えた後、彼は「教わりたいことなど、何もありません」と辞する私の手を冷たい手でぐいぐい引いて、羅城門に連れて行きました。

羅城門に着いたときには、もう夜がとっぷりと更けておりました。私は蟇継に促されるまま、ほとんど朱塗りの剥げ落ちた楼閣に、据えつけられていた梯子を使って上がりました。持っていた小さな松明であたりを照らしてみると、わかっていたことでしたが、そこには死体や死にかけや死にぞこないがごろごろと、壊れた道具や家具や、破れた衣類のようにあちこちにうち捨てられていました。そこは老いも若きも、男も女も、等しく平等に死の影に覆われた、静謐な空間でした。

私は最初、蟇継がそれらの死体を喰うのだと思いました。化物としかいいようのない巨大な蟇蛙が、転がる死体を眺めているのを見たら、そう考えたとしてもおかしくはないでしょう。ですが、違いました。蟇継は何体もの死体を端から撫でて何かを確かめると、その中から一体を引き出してきて、まだ息のある女の隣に横たえました。

蟇継は続いて、握りこぶし二つ分ほどの大きさの包みを懐から出すと、見たこともない形の刃物と、針と糸とを取り出し、鮮やかな手際で死体の男根と睾丸を切断しました。そうして、あれよあれよという間に、それを女の股間に縫いつけてしまったのです。

「これでこの女は、男でも女でもあるいきものになった」

彼は抑揚のない、少し舌足らずな口調で言いました。夢かとも思いましたが、夢にしては見聞きするものすべてが明瞭ですし、物事の進行も整然としています。自分の頬に触れてみるとちゃんと肉の感触がありましたし、つねってみると痛みも走りました。

蟇継はさらに丸薬を取り出すと、床の窪みに溜まっていた雨水を水掻きで掬って女の口に流し入れました。

「この女は、もう少し生かしておこ。これからどうなるか、見てみたいじゃろ」

蟇継は私のほうに向き直ると、にたりと笑いました。いえ、笑うという表現には語弊があるかもしれません。蛙ですから、顔の部品がいちいちそれらしく動くようなことはないのです。口角が引きあがることも、目が細くなることもありません。彼の顔はそういった躍動とは無関係の、のっぺりとした無表情のままでした。しかし、蟇継はたしかに笑ったように見えました。

私はその晩から、お屋敷での診察が終わるとすぐに羅城門を訪れて、蟇継から奇妙な医術を習うようになりました。男性器を縫いつけられた女は縛られ、隠されて、楼上に留め置かれましたが、きちんと食物を与えたためにそれからも生き続け、体力が回復してくると朝夕に勃起もするようになりました。男性器は明らかに彼女のものになっていました。蟇継は次は、べつの死体と死にかけを使って、男の肛門の下、ありのとわたりを切り裂き、女の子宮をねじ込む技を示してみせました。

「これも男でもあり、女でもある」

蟇継は得意そうでしたが、そのいきもののほうはもともと体力が低下しきっていたらしく、結局、三日と経たずに死んでしまいました。

彼は私に、人体のありとあらゆる部分の切断と縫合の仕方を教えてくれましたが、人体と人体だけではなく、人体と獣を合体させることもありました。私は指示されるまま、うら若い娘の鼻を殺いで豚の鼻を付けたり、逞しい男の腕をもいで牛の前脚に変えたりしました。犬と人間の脳をすげ替えたこともあります。出来上がったものは皆が皆、以前見た百鬼夜行に混じっていてもおかしくない姿になりました。

死体が次から次へと運び込まれる、あるいはみずからそこを死に場所と定めて人がやってくる羅城門では、試してみる体を得るのには事欠きませんでした。獣が必要なときには自分で捕らえたり、市に出向いて買ってきたりしましたが、お屋敷でいただいていたお手当てがほとんど手つかずで残っていたので、金に困ることはありませんでした。ほどなくして、京の不吉な噂として、私たちのことが小路から小路をひっそりと駆け巡るようになりましたが、生きている人間を脅かすわけでもなし、夜中の羅城門にわざわざ確かめに来る者はいませんでした。

その一方で私は、にゃあの前が口にしていた「報酬」というのも気になっていました。当の蟇継も、私が支払うべき報酬に関してはよくわかっていないようでした。しかし、おそらくは奴らのうちの誰かを神として祀れという程度のものだろう、ということでしたので、そのぐらいならと、私は引き続き蟇継の教えを受けました。

やがて木の葉が色づき、舞い落ち、土に朽ちて、その上に雪が降り積もるようになりました。次の年が明けてすぐ、私は蟇継に「これ以上伝えることは何もない」と言い渡されました。免許皆伝というわけです。

蟇継はその翌日にはもうどこかに行ってしまって、それまでのように夜更けに羅城門に行っても会うことはできなくなりました。私と蟇継が作り上げたおかしないきものたちは、まだ体力のあったものは皆どこかに消えて、死んだものや死にかけているものだけが残されていました。

私はそれでも何日かは、まだ羅城門に通い続けました。半年あまりの日々が夢ではなかったことを確かめるために、そこで死にゆく異形たちを目に焼きつける必要があったのです。残った異形が皆、息絶えてしまうと、私は今度は一人で、蟇継と二人でやっていたことを試してみました。蟇継の技能を、私は間違いなく受け継いでおりました。


その後、私がしたことは、話さなくともおわかりでしょう。私は野分さまに男性器を植えつけようといたしました。ある日の治療で、そばに人がいなくなった隙を見計らい、私は、野分さまがずっと望まれていたことが可能になった旨をひそかに申し上げました。野分さまは途端に、そこだけ夏の強い日が差したかのようにぱっと表情を明るくされ、その晩、私の離れに女房や女童の目を盗んで来て下さることを約束されました。

その晩はどんな病も発症せず、野分さまは四更を過ぎた頃に私の離れにいらっしゃいました。何も知らない者が垣間見たら、きっと身分違いの男女の忍び逢いに見えたに違いありません。たしかに野分さまは私の前に一糸纏わぬお体を横たわらせ、秘部を晒されはしましたが、しかし実際そこにはどんな艶めいた囁き合いもなく、ただ、痛みに耐える野分さまの呻き声があったばかりでした。

しかし、施術は思ったようにはうまくいきませんでした。羅城門で死にかけや死にぞこないを相手にしていたときには成功したのに、同じことを行なってみると、羅城門で切り取ってきた男性器はどういうわけかあっという間に萎びて、腐ってしまったのです。日を空けつつ三晩に三度、その都度新しい男性器を用意しましたが、結果は同じでした。私を見る野分さまのお目が、険しくなられました。

「そのこと」が起こったのは、四度目の晩でした。私は今度はひとつだけでなく、大きさも形も持ち主だった者の年齢もさまざまな男性器を漆の箱に何本も準備して、再度野分さまのお体を前にいたしました。極寒に投げ出されたお体は鳥肌で覆われ、硬く縮まっておりました。ごく小さな火鉢はありましたが、そんなものは真冬の真夜中には何の役にも立ちません。

私は一度目のとき、野分さまの股間の毛を針と糸とを使いやすいようにすべて剃らせていただきましたが、これまでに続いた失敗で、そこには痛々しい傷跡があらわに残っていました。今のこの状況、そしてこの跡をお父上やお母上が見つけられることがあれば、あるいは野分さまが誰かに訴えられることがあれば、私は即刻、この屋敷を追い出されることでしょう。師匠や、典薬寮に勤めている兄弟子にも迷惑がかかることは間違いありません。

私は、もう失敗は許されないと自分に言い聞かせながら、針に桑の木から取った糸を通しました。縫いつける準備が整うと、水に浸した状態で置いておいた男根を掴み上げました。血はすっかり抜けていましたが、切断面にはごま粒が散らばったような赤みがまだわずかに残っています。

と、そのときです。どこからか蛙の鳴き声が聞こえてきました。「まさかこんな時期に」と、最初は空耳として片付けようとしましたが、それはどうやら野分さまにも聞こえていらっしゃったようでした。次第に大きくなる声に、野分さまは、不審がられ半身を起こされました。

「こんなに真冬に、なぜ蛙がいるのだ」

いぶかしげにあたりを見回していると、闇が蛙の形になってぬっと押し出されてきたかのように、部屋の四隅から蟇蛙が何匹も続々と現われて、あっという間に私と野分さまを取り囲みました。どれもこれも蟇継にそっくりです。醜いいぼのついた不潔そうな茶色の皮膚は、暗闇に溶け込みそうでなかなかしぶとく溶け込まず、床に浮かび上がっていました。

「汝(なれ)、不肖の弟子よ」
「あれだけ教えたというに」
「何もわかっておらぬ」

蛙たちは口々に喋りました。その声はやはりといいますか、まごうことなき蟇継の声でした。言っている内容からすると、どうやら私を叱っているようです。野分さまも聞こえていらっしゃるらしく、ぎょっとした面持ちになられていました。

「これなるは若い、清いむすめじゃ」
「これなるは強いむすめじゃ」
「死にぞこないでは太刀打ちできぬ」
「死にぞこないのケガレたカラダでは」
「吸いとられておわりじゃ」
「叩きふせられておわりじゃ」
「ずぶずぶじゃ」
「太刀打ちできぬ」

一斉に歌うように喋るので、何を言っているのか理解するのに苦労しましたが、よくよく聞いて噛み砕いてみると、要するに、野分さまのもともとの生命力が強靭にすぎておられるので、死にかけていた脆弱な人間の肉体とは相性が合わないということのようでした。

「それではどのようにしたらいいのでしょう」

私は蟇継に教えを乞うていたときのように膝をつくと、蛙たちを眺め回しました。私と蛙たちが一見の間柄ではないのを見てとられた野分さまは、お顔をさらにこわばらせました。

「新しいモノ」
「まだ生きているモノ」
「動いているモノ」

蛙たちが次々答えの断片を口にします。とにかく「切りたて」の、「新鮮な」ものを用意しろということのようです。

「しかし、そのようなもの、どうやって調達したらよいのでしょう」

私はおずおずと尋ねました。そんなもの、すぐ横で人を殺して切り取りでもしない限りは、あるいは生きたまま切り取らない限りは、絶対に手に入らないでしょう。もちろん、そんなことできるわけがありません。すると蛙たちは一斉に、泥水の淀みのような視線を私の股間に注ぎました。

「ソコにあるではないか」
「ふん、ソコに」
「汝(なれ)のソレが」

その意味は明らかでした。つまり蛙たちは、私自身の男性器を切り取って野分さまに縫いつければよい、と言っているのです。野分さまもまた意味がおわかりになったのか、目を満月のように大きく開かれて、私の股間と私の顔とを交互に眺められました。私と野分さまは勢い、じっと見つめあいました。私たちの目に、それまで気配だけはあったもののお互い意識して瞳の中に込めようとしなかったものが、突然筋道を奪われて、あらあらしい形のまま投げ出されました。

野分さまはごく小さなお声で、ほとんど囁かれるように、私の名前をお呼びになりました。まるで息を詰まらせていらっしゃるような、胸の病に苦しんでいらっしゃるかのようなお声でした。いつも私をお呼びになるときは「医師さま」ですのに、そのときばかりははっきりと、この世に二つとない私の名前でございました。あぁ、それだけでもう十分だと酔うような心地で思いつつも、私は突如こみ上げてきた吐き気と悪寒に耐えきれず、その場にうち伏せて、ようよう申し上げました。

「明後日の晩まで、考えさせていただけませんか」

何かを守ろうとしたり、迷っていたりしたわけではありません。ただ漠然と、もう少し何かを考える時間が必要だと思ったのです。私はなぜか、この日が来ることを心のどこかですでに知っており、覚悟さえとうにできていたような気がしてなりませんでした。しんとした部屋には私のすすり泣きだけが響き渡っていましたが、私はそれを、どこか遠くから押し寄せてくる潮騒のようにぼんやりと聞きました。時間は、私と野分さまの思惑を優しく攫ってやわらかく包んで、ひどくゆっくりと進んでいました。その流れの中で、私がこれから失うものと得るであろうものは、分別が不可能になるほど根本から混ざり合っていきました。蟇蛙たちは私の幻に過ぎなかったかのように、いつの間にか一匹残らず消えていました。


二日の間、私はお屋敷への出仕をお休みさせていただき、羅城門で死体と死にかけの異形とに囲まれて過ごしました。その間はひどい雪が続いていましたから、野分さま以外は皆、私が風邪でもひいたのだと思っていたようでございます。私はひっきりなしに降ってくる雪を楼の小さな窓からじっと眺めていました。そうしていると、雪が落ちてくるのではなく、自分が空に舞い上がっていくように感じられました。私は何かを得られることはわかっていましたけれど、それが何なのかはよくわかっていませんでした。私は砂金を探すときのように心を篩(ふるい)にかけて、自分が欲しているものをひとつの目に見える形、触れられる形として、知ろうとしていたのでした。

施術は無事に終わりました。私の男性器は、萎びることも腐ることもなく、すぐに野分さまのお体の一部になりました。その数日後、双方の傷が落ち着くと、私は、まだ少女の体型を残されたまま私の男性器を生やされた野分さまに、抱いていただきました。

「抱く? 医師さまをか?」

心のうちを吐露いたしたとき、野分さまは異様なものを図らずもご覧になってしまったかのようなお顔を向けられました。一瞬、いえ、もしかしたらずいぶん長い時間だったかもしれませんが……私たちの間に重い、鈍い沈黙が流れました。野分さまにとってはどうだったか存じませんが、私にとっては滑稽なほど宿命的な沈黙でした。

男になられた野分さまは、それまでよりもはるかに力強くなられた輪郭で、笹の若葉のように凛々しいお口を引き結んでおられましたが、しばらくして、

「そうか」

と、ふてぶてしい、太陽を盗む確実な方法を思いついた少年のような笑みを浮かべられました。これは私の勝手な、都合のいい解釈かもしれませんが、その笑顔は何もかも理解して下さったことの表われのように思えました。それは私の、自分の核となるものを吐き出してうつろになった部分にするりと入り込んで、新しい何ものかを瞬く間に構築してしまいました。そこを起点に新たな血肉が生まれ、育ち、私は今までとはまったくべつの存在に生まれ変わりました。

野分さまのものになった肉柱は、私の股間にあったときよりもはるかに雄々しく漲っているように見えましたし、感じられました。かつて自分のものだった男根を突き入られたときの痛みは、私が野分さまに文字通り肉体を捧げつくしたことの証に他なりませんでした。私の呻き声と、まだ腰を遣われることに慣れない野分さまの荒い息が、頭の奥に鮮烈な火花を散らします。喜びと苦痛と陶酔の中で、私は与えられた証を味わい尽くそうといたしました。





「名前を、お呼びいただけませんか」

私は野分さまに組み伏せられながら、たえだえに懇願しました。野分さまは血の滾るままに乱した黒髪をかき上げられることもせず、嬲るように何度も私の名をお呼び下さいました。私は人によっては他と比べようもなく大事と考える器官を失い、人間の残り滓のような存在になり下がりましたが、そのかわりにこれまで生きてきた中でもっとも幸福な時間を手に入れたのでした。


(続く)

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上諏訪純 フェティシズムと日本史と妖怪・人外と幻想文学をこよなく愛しすぎて、 全部足さずにはいられなくなった水瓶座・A型。 好きな歴史上の人物は世阿弥。
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常春 2010年より少しずつ活動開始した新米絵描きです。1988年生まれ。和モノ怪奇モノ大好物です、座右の銘は【いやらしければなんでもいいわ!】です、宜しくお願いいたします。
常春公式サイト=「我蛾」
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11.11.24更新 | WEBスナイパー  >  百鬼女衒とお化け医師
文=上諏訪純 | 絵=常春 |