Goldman presents The Rock'n Roll Ero-Manga
鬼才AV監督・ゴールドマンがお勧めのエロ漫画を熱く語る!
淫語インストラクターにして官能小説家、そしてベテランAV監督であるゴールドマン氏が「ズリネタ」として唯一活用しているモノ、それは「エロ漫画」だった! プロのエロ事師は何故、「エロ漫画」でなければヌケないのか、「エロ漫画」にしかない魅力とは、一体何なのか。ゴールドマン氏が実際にズリネタとして使用している大好物な作品たちについて、編集部がインタビューを敢行。好評につき続投中です!!ゴールドマン(以下「ゴ」)やながわ理央先生の『濡れてる人妻』(富士美出版)です。
編 英語のサブタイトルもあって「Wetly Wife」。ゴールドマンさんがお持ち下さった単行本で、富士美出版は初めてですね。
ゴ 富士美出版って、あんまり馴染みがないね。
編 おうちの棚に並んでるエロ漫画、その中に富士美出版の本はありますか。
ゴ ほぼないと思う。印象としてはライトなエロ漫画が多いのかな。前回『純愛コラプス』を紹介したけど、歪んだ感性のエロ漫画ばっかり読んでると、精神衛生上よくない。
編 いつもおっしゃってますよね(笑)。
ゴ 矯正したいんだけど(笑)、そういう努力の一環として、今回はやながわ理央さんをチョイスしました。
編 ゴールドマンさんとやながわ理央さんの出会いは。
ゴ 結構最近です。この人はキャリアもあって以前は童貞ものを描いてたり、男の娘ものも描いてたりするんですね。
編 フタナリものも描かれてますね。
ゴ 童貞もので優しいお姉さんが筆下ろしをしてくれる内容が多かった。僕が初めて読んだのは、以前紹介したれゐぢさんが載ってる「アクション ピザッツスペシャル」(双葉社)っていう雑誌で、隔月でやながわさんが描いてらした。
編 その時はもう、作風は人妻ものに移行されていたんですか。
ゴ そう。あの雑誌自体はほとんど人妻というか、若妻さん。それも凌辱じゃなくて、近所の優しい若妻さんと不倫したり、手ほどきを受けたり、童貞の男の子が好きそうな内容の作品が多い。そういう中でもやながわ理央さんは独特な感じで気になってた。
編 雑誌で読まれた時から何かしらの違和感があったと。
ゴ うん。同じ双葉社から出てる『モモコさんの生下着』っていう作品があって、それを新刊で初めて買った。この『濡れてる人妻』はおしゃれな感じの表紙になってるけど、その『モモコさんの生下着』の表紙が凄くダサい......っていうとデザイナーさんに怒られそうだけど、 イマドキ感がない単行本でね。え? イマドキこんなの出しちゃってるのっていうほどに。
編 確かにこれは、びっくりする感じですね。
ゴ ザ・昭和エロ漫画。
編 タイトルの文字組みの上にキャラがのってる感じとか......。
ゴ 女性のバックが黄色で、モモコさんの字は桃色という配色。なんかちょっと前時代的なものを感じるし、タイトルもそうだよね。でも逆に、平成も20年以上経った世の中で、これを新刊としてリリースして、尚且ついわゆる萌え系の漫画に混ぜてリリースするのは凄くインパクトがある。
編 昔からエロ漫画に長いこと触れてらっしゃるゴールドマンさんでも、今の時代らしさみたいなものを感じながら読んでらっしゃるじゃないですか。
ゴ やっぱり新しいものでヌク努力はしてるから。
編 そういう視点から見ても、違和感があるのがやながわ理央さん。
ゴ 違和感あるね。
編 その違和感の正体を探っていきたいと思います。
■レースの描きこみが凄い! ランジェリーへのこだわり
編 今回ご紹介する『濡れてる人妻』や『モモコさんの生下着』もそうですが、タイトルからして特に変わったことは何も狙ってないですね。
ゴ うん。エロマンガ・スタンダード。でもこの『濡れてる人妻』に関して言うと、ジャケットの髪がピンク。
編 最近ゴールドマンさんはピンク髪がお気に入りと伺いました。
ゴ アニメ『ミルキーホームズ』のシャロが好きなので、そこから髪の毛がピンクじゃないとダメみたいにどんどんなってきてる。
編 (笑)。そんなピンク髪の若妻。
ゴ 尚且つ下着を食い込ませて、陰毛がはみ出している。これはオッケーなジャケです。
編 塗りも興味深くて、カバーの見返しに彩色を担当された方のクレジットがしっかり載っています。
ゴ そう。本の内容を読むと、ピンク髪っていう印象の漫画じゃないもんね(笑)。だから、塗り担当の人の趣味なんだろうね。
編 では早速見ていきたいと思います。まずは、やはりカラーページがドンと。
ゴ お得感だね。
編 これを見だだけで分かるのは、乳がデカい。
ゴ 個人的には巨乳・爆乳好きでもないけど、漫画はどうしても巨乳ものになっちゃうよね。
編 以前ご紹介した『媚少女ぱーてぃー』(コアマガジン)のいぶきちさんと同じくらい。顔より大きいですから。
ゴ 豊胸手術で失敗しないとこうはならないってくらいまん丸。その裏にも前時代的なイラストがあって、胸から下の股間を指で開いて、陰毛と割れ目の具が見えてる。なんかこれも昔のビニール本的な匂いを感じるね。
編 そして1本目が始まります。タイトルは「お風邪召しませ」。簡単にあらすじを紹介すると、マンションに住んでいる一人暮らし中の若い男子。就職してからとあるので学生ではないです。
ゴ 具合が悪くなって倒れてるところに隣の人妻さんが看病しにきてくれる。
編 非常に分かりやすい設定です。
ゴ 看病の甲斐もあって回復して、熱が下がってきたかなって人妻さんが自分のおでこをおでこに当てて、熱を測りましょうと。
編 この段階ではエロな要素はなくて、普通の漫画として読める展開ですね。
ゴ うん。恋心あり。
編 ラプコメあり、みたいな感じで読めますが、でももうこの段階で普通のエロ漫画ではない匂いを感じました。
ゴ もうちょっとエロモードというか、官能的なニュアンスがあってしかるべきだと思うんだけどね。
編 たとえばコメディな要素とか、イマドキの漫画を構成してるいくつかの要素がない印象ですよね。そしていきなり「安心してエッチできるわね」っていう奥さんの一言でエロシーンに入っていきます。
ゴ ブラウスのボタンを外しながら。
編 「たぷん」という擬音が出てきました。
ゴ かなり大きい乳房が垂れ下がりつつの接吻。
編 寝込んでてちょっとだけ回復してきた男に、女性のほうから擦りよっていく形です。
ゴ これはまさに童貞の理想だね。私も中学生の時は、いつこういうことになるかって、常に待構えてたんだけど。近所のきれいなお姉さんに誘惑されたいっていう気持ちのまま、50歳になってしまいました。
編 (笑)。このキスシーンが左1ページ断ち落としで、ここからエロシーンが始まります。
ゴ ここがオープニングだね。
編 ここからは絵に描いたようなエロ漫画になっていきますが、エロシーンの特徴はどんなものでしょう。
ゴ やながわさんの本は何冊か読ませてもらったけど、基本的にランジェリーフェチというか下着がどうしようもなく大好き。女性からすると、せっかく買ったばかりの下着を汚さないでみたいに思われちゃうような。やっぱり童貞気質丸出しの作家さんだよね。
編 レースの部分の描き込み、どう見てもアナログなのに凄いなって思いました。
ゴ (笑)。たぶん下着を描いてる時が一番勃起するんじゃないかな。
編 なるほど。よくよくみるとこの表紙もランジェリーの描写が特徴的ですね。
ゴ 普通、漫画でこういう薄い生地のスケスケランジェリーは描かないからね。
編 この薄漉きの花柄模様、この辺りに彼のフェティシズムを感じます。特徴的なのは、この1話だと下着とペニスの接触ですね。
ゴ そう。普通の漫画では、下着にペニスをこすりつけて、こんなに長々と表現することは、たぶんない。
編 いぶきちさんをご紹介した時、ブルマ越しの射精というのがありましたけど。
ゴ あれは単行本の中の1話でしかないけど、やながわさんの場合はね、結構な頻度でパンティにこすり付けるんだよ。パンティの中にペ二スを入れて、オマンコに挿入するわけでもなくて射精までいってしまう。ちょっとありえない、今までのエロ漫画史上ではほとんどなかった表現。ここが注目だね。
■消極的な童貞男子の理想を体現した女性像
編 その他の点はいかがですか。
ゴ とにかく相手の人妻さんが優しい。これも童貞特有の感覚だと思うけど、嫌な部分のない女性というか。
編 ある意味で風俗の女性的というか。
ゴ そうなんだよ。お金もらっちゃったお客さんだから、嫌な印象与えちゃいけないなっていう雰囲気。童貞から見る理想的な女性像を表現してる。
編 そういう意味では、一般女性と言ったらおかしいんですが、社会に存在している女性とはかけ離れてるんですよね。
ゴ 自分の射精を手助けしてくれるオナニーサポーターに近い。天使のような存在だね。
編 その辺をよく表わしていると思うセリフが「下着つけたままエッチするの初めてだけど すごく...いけない事してる気分になっちゃう...」。
ゴ (笑)。普通の女性はそういう考え方を絶対にしないし、下着を汚さないで欲しいっていう気持ちだよね。それを穿いて帰らないといけないわけだから。
編 いかにもなセリフが続くんです。「だ だめェ そんなにパンティー喰い込ませない...でェ... い...いやよオチ○...ポ入れないで...」。
ゴ 「オチ○ポ入れないで」っていうのも、オマンコに入れないでじゃなくて、パンティの中に入れてこすらないでっていうこと。
編 そうなんですよね(笑)。こういったあからさまな、エロ漫画的と言っていいと思うんですが、そういうセリフの果てにですね、先ほどのキスシーンと同じように1ページ断ち落としで射精シーンが描かれています。
ゴ 雑誌掲載時にはかなり大きいコマだよね。
編 相当デカくなりますよね。しかも中出しじゃなく、彼女の下着の中へ射精するんです。
ゴ ペニスをパンティとお尻の谷間に挟み込んで射精。それも精液の量がね、下半身がベトベトになるくらい。なんでパンティの中に射精したのにこんなに精子が飛び散るんだろう。
編 しかもこの薄い生地を突き抜けてます。
ゴ ブラジャーのレースの部分もしっかり描き込まれていて、この1枚でヌイてよっていう著者の強い意志を感じるよね。
編 感じますね。
ゴ ここでまたパンティの中で射精したペニスがドクドク脈打ってるところまでしつこく描かれてる。
編 そこから「生挿入(なまはめ)させてあげるからもうちょっとがんばりましょうね」。
ゴ この「生挿入させてあげる」っていうセリフも実生活ではあり得ない言葉で、やっぱり風俗的。
編 そうですよね。この言語感覚がやっぱり特殊ですよね。
ゴ 素人童貞から見た女性像というのを表現してるよね。「大野君の生チ○ポ...熱くって溶けちゃいそう」。
編 そして、ハメてからは驚くほどスピーディに結末まで展開します。「生挿入(なまはめ)させてあげるからもうちょっとがんばりましょうね」からコマ割りがどんどんシンプルに。最初は二分の一ページで三コマ、次が二分の一ページ一コマ、二分の一ページで割って割って、そして最後はまた一ページ断ち落としです。
ゴ うん。さっきのパンティにペニスを挟み込んだところと比較すると、やっつけ感というか、あんまり興味ないのかなっていう印象が伝わってくるね(笑)。
編 エロ漫画に限らず、大ゴマが増えてくると巨匠感が出てきます(笑)。
ゴ 一応挿入シーンも描かなければいけないし、気を遣って描いてると思う。でもさっきのパンティの中で射精するのが、やながわさんの中でピークだったのかな(笑)。
編 1ページ大ゴマで「ビュクンビュクン」と中出し描写のあとは、もう1ページで終わりです。
ゴ もちろん下着は外さない。全裸はなし。
編 という構成の第一話「お風邪召しませ」でした。
■独特な言語センスで優しく女性に導かれる
編 もう一話、選んでいただいたのが「眠れるあなたによい夢を」。これも同じマンションにお住まいの人妻さんにムラムラするという、ありがちな王道エロ漫画ですね。
ゴ 管理人さんが風邪で倒れてしまって、翔子さんという人妻が代理で管理人をしてる。そこで主人公と奥さんの子供の会話があったりして、ファミリームードが最初に漂ってる。
編 主人公の竹田君が、冒頭2ページ目で翔子さんのパンティと思しきものを匂いながらオナニーしてるんですが、ところがこれは翔子さんのパンティではなく、ベランダに干してあったパンティと同じものを通販で買いましたという凄い設定になっています。
ゴ やっぱり著者の個人的な趣味を如実に表わしてるよね。
編 ベランダに干してある下着を写真に撮って、それと同じものを通販で買い、妄想しながら匂いを嗅いで、そしてやはり重要な、下着を密着させてオナニーしています。
編 これは童貞の基本だね。僕は若い頃にそういうパンティが手に入らなかったのでやらなかったけど、下着泥棒をする人の気持ちはこういうところに発端があるんだろうね。
編 彼の場合は、盗むのではなく同じものを買っているんですね。
ゴ そこはやながわ理央さんの善良さだね。
編 盗んじゃダメだよと。
ゴ うん。
編 そして射精してしまった後の表現が、また面白かったです。
ゴ パンティの中にザーメンを出して、そのヌルヌルが翔子さんのヌルヌルだと妄想して。
編 「新感触!!」と、やながわさんらしからぬタッチの絵が描かれています。
ゴ このページは男のオナニーしか描かれていないという大胆なことになってる。あまりいらないと思うんだけどね。やっぱり作家の思いなのかな。
編 すると竹田君の妄想を1ページはさんで、なぜか翔子さんが自分のチンコを咥えているところで目が覚めます。
ゴ これはまさしくエロ漫画的なご都合主義だね。
編 ここまでいくと相当なご都合主義だと思います。
ゴ だからこそ癒されるよね。現代の漫画って、もうちょっとちゃんとしてるから(笑)。
編 一応理由付けとして、管理人代理となった翔子さんが竹田君宛の荷物を届けにきてくれたと。そしたらパンティを握り締めて下半身丸出しで寝ていたので、欲求不満がムラムラと......ということです。
ゴ 「部屋中にただよう『精液(アレ)』の匂い」が「久しぶり」だったので、「思わず竹田君の...」と。
編 あり得ない言い訳です。そして彼の使っていたパンティが「わざわざ私のモノと同じパンティをさがして」という事実が発覚した時点で、驚くべき展開になります。
ゴ そうなんだよ。ここでスカートをスルッと脱いでパンティを露にしながら「こんな いやらしい事に使う目的で 私のと同じ下着を...」「言ってくれればブラでもパンティでもあげたのに...」って凄くいいセリフだよね。
編 そうですね。
ゴ 中高でオナニーしながらこんなことがいつ起こるかと待ってたけど、やはり現実には起こりえないんだよね。
編 (笑)。さらに「脱ぎたての方が温かくて良い匂いするわよ」という、また現実感に乏しいセリフ。
ゴ 素人がそんなことは言わない。
編 続いてのセリフが「脱ぎたてフレッシュ」。やっぱりこの言語感覚、素晴らしいです。
ゴ うん。キメセリフ的。どうなんだろう、描いてるほうはこれはうまいことやったぞっていう感じなのか(笑)。
編 (笑)。同じように脱いだパンティを竹田君の顔にグイグイと、そして口の中に入れてパンティ越しに接吻をするという非常にいやらしい描写へと続きます。
ゴ これは素晴らしいよね。あまり見たことないし、尚且つ、自分のアソコの部分に当たるところを舐めさせながら接吻。「ぐぷ... くちゅ くちゅぷ」と吸い付いてる時に、下半身丸出しの二人が......。
編 素股でこすり合わせてるんですね。
ゴ 自分がされたら、これは挿入よりも興奮するよね。
編 アダルトビデオでも見たことがないプレイですね。
ゴ うん。二人とも下半身がここまで丸出しになって密着してたら挿入してるから。
編 さらに口では、脱いだパンティ越しにキスをしているという。そしてこのプレイを説明してくれる翔子さんのドヤ顔セリフがあります。
ゴ 「人妻の脱ぎたてパンティーキスと股コキ 気に入ってくれたみたいね」
編 (笑)。非常に素晴らしいセリフです。
ゴ これはザ・エロ漫画だね。尚且つ、個人的趣味で言うと、翔子さんがセーターを脱いでない。
編 確かに。ここまで脱いでるのは下半身だけです。
ゴ AVでも漫画でもそうだけど、エロってオッパイから見せるじゃない。それが逆に、着巨乳フェチの僕からするとね、着衣の巨乳でマンコがでてる、ベストだね。そして淫語も言ってくれちゃってる。
編 もちろん翔子さんが竹田君に覆いかぶさる形が続いています。そしていよいよ挿入です。
ゴ 「私も もうヌルヌルなの」。ここで翔子さんがね、また泣かせるセリフを聞かせてくれる。
編 「ねェ お願い 私に命令して 君のしたいようにやらせてあげるから......」
ゴ 今まで攻めてきた人妻がね、「私に命令して」って命令する、凄くいいよね。
編 自分からいくのではなく、させるようにして欲しい。
ゴ これはやっぱり童貞の夢じゃないかな。
編 襲い掛かってくる女性は怖いという話がありました。
ゴ うん。あんまり向こうから来ると勃起度も半減するから。
編 そこも考慮されてるんですね、童貞向きに。
ゴ 全てが童貞向きに考えられたストーリー。
編 そしていざ挿入する時も「俺のチ○ポをパンティーコキしながら生で挿入(い)れるところを見せて下さい」。
ゴ (笑)。めんどくさい感性だね。
編 やっぱりパンティでチンコを触んないとダメなんですと。
ゴ そう。パンティベース。尚且つ生で挿入させろというわがままさん。
編 (笑)。すると翔子さんからちゃんとご報告があります。
ゴ 「パンティー オ...チ○ポ挿入(はい)りました」というセリフが必要なのかって気がするけど(笑)。
■やながわ作品で心の中の童貞を呼び起こそう
編 先ほどの「お風邪召しませ」からそうですが、こういう言語センスの一つ一つがやながわ先生の作家性だと感じます。
ゴ そうだね。非常にオーソドックスでスタンダードなものに見えるけど、実は非常に奇妙な捩れ方をしてる漫画。さっきのパンティキスしながら股コキもそうだけど、プライベートで恋人とエッチなことすると、そんなことはあり得ない。まあ風俗に行ってちょっとわがまま言って「実は俺パンティが好きだから持ってきたんだけど、これでプレイして欲しいんだ」みたいな、面倒くさい客みたいだね。
編 そういう面倒くさい客が面倒臭いリクエストをしたとしても、よっぽど有能な風俗嬢じゃないとこうしたプレイって再現してくれないと思うんです。
ゴ そうだね。包み込んでくれるような雰囲気でそれが行なわれることは、99パーセントあり得ない。
編 お金を払う風俗でも体験できないような自分の理想のフェティッシュを、やながわ先生はエロ漫画の中で再現してるということなんですね。
ゴ 今のAVもこの不景気な世の中で、風俗の代用になりつつあるというか、ほぼそういう目的のものでしかなくなってるけど、漫画もそれに近い。さらにコミュ障で童貞気質な若者も増えてるので、風俗的要素を漫画に求めると、やながわ理央先生みたいな表現が必要になってくる。
編 なるほど、面白いですね。やながわ先生の描かれる女性の姿は、アダルトビデオでいうと優しい熟女AVのキャラ造形に似てるように思えます。
ゴ そうだね。年上のお姉さんというか。やながわ理央先生が素人童貞なのかどうかは知らないけど(笑)、そういう読者を代表した感覚で全てを構成してるね。本人にそのつもりがあるかどうかは知らないけど、オナニーする立場からすると理想の夢。
編 その理想の夢みたいなものをエロ漫画は表わしてるという話を、これまで連載で何度も確認してきたわけですが、やながわ先生の女性像というのが、冒頭の話でもありましたが、やっぱりちょっと違和感があるんですよね。それがちょっとした古めかしさにもつながるような。
ゴ 僕が「ピザッツスペシャル」で初めて読んだ時、連載陣の中でも唯一昭和的テイストがある作家さんなんだなっていうことは凄く思ったね。でも平成26年になって、そういうものをコンビ二誌で描けている実力というのはね、逆に凄いよ。
編 本当ですね。ひとつの雑誌の中であれば、現代的な漫画の中にポツンとこのテイストの漫画があるわけですよね。
ゴ そう。でもやっぱり人気商売なので、特にコンビニ売りの雑誌は人気がなければ切られちゃう。だから、読者を納得させて感動させるものがここにあるんだろうね。自分もお金だして買ってるから。
編 やながわ先生の描かれる女性像が、我々男子にとっての女性の理想形のひとつの類型であることは間違いないと。
ゴ 昭和から続いてる童貞オナニストの究極の理想なのかもしれないね。
編 昭和から培われてきた、童貞&素人童貞の理想的な女性の形。
ゴ 夢の結晶が、隣の優しい人妻で......。
編 ドヤ顔でステキなセリフをキメてくると。
ゴ キメてきて、レースの下着を穿いているということじゃないかな。まあみんなオナニーの初期はこういうことを考えるからね。僕なんか36、7年オナニーしてるけど、いまだに「人妻」、「隣のお姉さん」っていうキーワードでエッチな気持ちになる。でも結婚してる人がみんなエッチなわけでもないし、マンションの隣に住んでる人が美人で巨乳なわけでもないんだけど、なんかそんな気がするじゃない(笑)。それはやっぱり、オナニーしすぎなのかなっていう気はするね。
編 なるほど。やながわ先生の漫画は、読むといつでもそういう時代に戻れるタイムマシンのような作品でもあると。
ゴ そうだね。DNAに刻まれたエロのスタンダードを......。
編 呼び起こしてくれる。
ゴ 何か懐かしい自分の童貞気分をね。そして今の若者からしても、決して体験したことがあるわけじゃないんだけど、何か自分の体に刻まれたものが蘇るんじゃないかな。
編 というやながわ理央先生の『濡れてる人妻 Wetly Wife』でした。
ゴ 童貞さんの味方ということでね。やながわ先生のためにも買って下さい。
編 そしてあの頃の気持ちを思い出したい方にもオススメですね。
ゴ うん。オナニーが惰性に陥っている中高年が読んで、10代の頃の熱かったオナニーを思い出して、もう一回抜いてください。
(続く)
『濡れてる人妻』(富士見出版)
関連記事
ゴールドマンのロックンロール・エロ漫画
『親密―艶母たちの秘愛相姦』(オークス)
『まりこさん人妻欲情視線』(クロエ出版)
『女子穴・志穂ー人妻キャスター肛辱痴獄』(エンジェル出版)
『種付けストーキング』(エンジェル出版)
「さくらだくん」(『アクションピザッツスペシャル 2012年12月号』/双葉社 所収)
『人妻を輪姦す8つの方法』 著者=葵ヒトリ (一水社)
『童貞鎮魂姦』 著者=にったじゅん (三和出版)
『フェラピュア』 著者=Fue (ティーアイネット)
『淫華-犯されママと拡張女教師-』 著者=風船クラブ (クロエ出版)
『はじめよっか』 著者=EB110SS (茜新社)
『もんぜつ系!』 著者=ジョン・K・ペー太 (コアマガジン)
『MISSING LOVERS』 著者=滝美梨香 (コアマガジン)
『純潔マニアック聖女』 著者=二宮亮三 (コアマガジン)
『媚少女ぱーてぃー』著者=いぶきち(コアマガジン)
『純愛コラプス』著者=流一本(ヒット出版社)
2012ゴールデンウィーク特別企画/特集:セックス表現の現在形2012
ディス・イズ・ポルノ?AV誕生30年をふり返って? 文=安田理央
セックスを映画で観てみよう! 文=ターHELL穴トミヤ
対談 ペヤンヌマキ・前田愛美/演劇はセックスをどのように扱ってきたのか?
孤高のセンズリランナー・36 年目のズリネタを求めて 文=ゴールドマン
ロリコン漫画の不在形 文=さやわか
激変するメディアとエロチック・ワンダー1946-2012 文=永山薫
14.03.08更新 |
WEBスナイパー
>
ロックンロール・エロ漫画
|
|