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「長生きなんてしたくない」という人の気持ちがわからない――。「将来の夢は長生き」と公言する四十路のオナニーマエストロ・遠藤遊佐さんが綴る、"100まで生きたい"気持ちとリアルな"今"。マンガ家・市田さんのイラストも味わい深い、ゆるやかなスタンスで贈るライフコラムです。
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■38㎡

普段からいろんなところで「引きこもり」を自称している私だが、ここのところその堕落っぷりにさらに拍車がかかってきた。
理由は、更年期やら何やらで体調イマイチなのが半分、主婦というステータスを手に入れたおかげで引きこもりに前ほど罪悪感を感じずにすむようになったのが半分だ(まあ、年をとってずうずうしくなったとも言いますね......)。

引きこもりの気は、子供の頃からあったと思う。
幼稚園や小学校から帰った後、友達の家に遊びに行ったという記憶はほとんどない。思い出すのは一人で本を読むか、居間でくつろぐ祖父母の横でテレビを観ている自分の姿ばかりだ。別に親に強制されたわけじゃなく、そうやってぼんやりしているのが好きだった。
中学の時も、高校に入ってからもそれは変わらなかった。
今も覚えているのは、クラスメイトに「遠藤さんちは門限何時?」と聞かれて、どう応えていいかわからなかったことだ。我が家には門限がなかった。学校が終わったら寄り道せず一直線に家に帰ってくるから、必要なかったのだ。
そんなふうだから、外に出なくても暮らしていける今の状況は、ある意味パラダイスだともいえる。

私は取材や打ち合わせにあまり出ないタイプのライターなので(まあ、ほんとはそれじゃダメなんだけど)、ほうっておくと2、3日は平気で家の中にいる。4日目くらいになると「ああ、もう水と卵と牛乳がない......」としぶしぶ重い腰をあげて買い物に出かけるのだが、それも自転車で行って必要なものを帰ってくるだけ。所要時間は約30分。ついでに繁華街までふらりと足を延ばすとか、おしゃれなカフェで一人読書に勤しむとかいうことはほとんどない。
じゃあ家で何をしているのかというと、ごくごく普通のことである。
パソコンに向かって仕事をし、掃除だの洗濯だのといった家事を少々やり、昼になるとキッチンで簡単な食事を作って食べる。仕事に飽きたらゲームしたりワイドショーを観たりして、夜になるとお風呂に入り、酒を飲みながらどっちでもいいようなバラエティ番組を観る。
アクティブな性格の弟は、そんな私の生活を見て「生きてて楽しい? そんなの息してるだけじゃん」なんてヒドイことを言うが、はっきり言って全然楽しい。
だって動くのは疲れるし、外の世界はストレスだらけじゃないか。
そりゃあたまにはワーッと騒いだり、リア充ぶった写真をSNSに載っけたくなったりすることもあるけれど、そんな機会は月に1回もあれば十分だ。
結局私には、アップダウンがあって刺激的な人生よりも、ぬるま湯に浸かったような平穏な毎日のほうが性に合っているのだろう。ちょっとつまらないような気もするが、40代半ば、人生も折り返し地点にきて、素直にそう思えるようになった。

さて、引きこもるのなら、できるだけ快適に引きこもりたいというのが人の情。
ここ最近は、いかに快適にひきこもるかというのが私のテーマになっている。
今住んでいる部屋は、東京に出てくるときに借りた築40年の2DKマンションだ。6畳間が3つで広さは38㎡、2人で暮らすにはちょっと狭い。
もっと広くて新しいところに住めればよかったのだが、懐事情を考えるとそうも言っていられない。夫の通勤のことを考えて立地の良さのほうを優先させたらこうなった。
でも住んでみたらこの部屋、意外に引きこもり向きで住み心地がいいんである。

実家住まい時代から十数年、がっつり引きこもり生活を続けてきて思うのは「健康的に引きこもるには家事が必須」ということだ。
もしこれから引きこもろうという人がいたら是非参考にしていただきたいのだが、家事というのは本当に役に立つ。
引きこもりの敵、それは「退屈」と「罪悪感」だ。ゲームやDVDでももちろん暇はつぶせるが、心の弱い私はふと「こんなことしてていいのかな」と不安になってしまったりする。そんなとき家事に勤しむと、外に出なくてもちゃんと生活してるような気分になれるからありがたい。無心で没頭できて、クリエイティブで、充実感もある。それに掃除のゆきとどいた部屋で自炊をすれば、汚部屋でコンビニ飯を食べてるより健康にいい。100まで生きたい身にとっては一石二鳥である。
そして、できるなら引きこもりには2部屋以上ある家が望ましいというのも私の持論だ。
いくら家が好きでも四六時中ずっと同じ場所にいると飽きてしまう。でも、2部屋あるとかなり気分転換ができる。
2DKくらいの広さなら毎日掃除するのもそう大変じゃないし、小さくても2口コンロのあるちゃんとしたキッチンがついているから、家事もしやすくておすすめだ。

古くて狭いけど、ちょっと凝ったご飯も作れる2口コンロがあって、ビールの入った冷蔵庫と大きな本棚があって、テレビとAVとニンテンドーWiiUがあって、いつの間にか増えてしまった植木鉢がたくさん並んでいる我が家。もう少し広い部屋に住みたいと思うこともあるけれど、めんどくさがりでストレスに弱い四十路女が逃げ込むシェルターとしては、これくらいがちょうどいい。
立って半畳、寝て一畳なんてことを言うけれど、それじゃあちょっと窮屈すぎる。だから38㎡。

これが今の私の身の丈なんだなと思いながら、引きこもりの日々を送る今日この頃なんである。

文=遠藤遊佐




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遠藤遊佐(C)花津ハナヨ
(C)花津ハナヨ
遠藤遊佐 AVとオナニーをこよなく愛するアラフォー女子。一昨年までは職業欄に「ニート」と記入しておりましたが、政府が定めた規定値(16歳から34歳までの無職者)から外れてしまったため、しぶしぶフリーターとなる。AV好きが昂じて最近はAV誌でレビューなどもさせていただいております。好きなものはビールと甘いものと脂身。性感帯はデカ乳首。将来の夢は長生き。
遠藤遊佐ブログ=「エヴィサン。」

市田 ブログのコミック化や新書等で活躍するマンガ家。
著書に『家に帰ると必ず妻が死んだふりをしています』(PHP研究所)、『日本霊異記』(KADOKAWAメディアファクトリー新書)など。
ウェブサイト=「http://urban.sakura.ne.jp」
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15.11.21更新 | WEBスナイパー  >  100まで生きたい。
文=遠藤遊佐 | 市田 |