Inbekawori photo series,"An annual event of Nippon".
写真シリーズ「ニッポンの年中行事」
割っておく親切インベカヲリ★が日本の習わしやしきたりを撮り下ろす写真作品シリーズ。年中行事に合わせてお届けします。
鏡開き 正月に飾っていた鏡餅を下げ、雑煮やお汁粉にして食べる行事。武家社会の風習が始まりである。
餅を開く際は刃物を使ってはならず、槌で叩き割ることがよいとされる。これは「切る」ことが切腹を連想させるからであり、「開く」という言葉が使われるのは末広がりを意味して縁起がよいからである。
元は二十日に行なわれていたが、徳川三代将軍家光が四月二十日に亡くなったことで、忌日を避けて十一日になったという説がある。
また、鏡餅を食すことを「歯固め」ともいい、これは硬いものを食べることで歯を丈夫にし、年神様に長寿を祈るためと言われている。
つまり正月の間ずっと飾られていた鏡餅は、とても固いのだ。槌で割るにも一苦労する。特に近年、一人暮らしで孤独な老人や、共働きのため家には就学前の子供しかいない、という家庭も多いだろう。開くに開けず困っているケースは充分に考えられる。寂しい鏡餅を見つけたら、事情を察して割っておく、というのも、この時代には親切かもしれない。その際、あからさまに行うのではなく、「気づいたら割れていた」と思わせるぐらいが、押し付けがましくなくてよいだろう。見返りを求めない侍精神は、年神様も評価するはずだ。
とはいえ忍者走りなどのコソ泥感あふれるスタイルは、悪人ともとられるので注意しよう。
写真・文=インベカヲリ★
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インベカヲリ★ 東京生まれ。2006年よりフリーランスとして活動を始める。写真、文筆などで活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。2009年、ニコンサロンjuna21三木淳奨励賞を受賞。ホームページでは写真作品を随時アップしている。
インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/
11.01.11更新 |
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