THE ABLIFE September 2019
浜不二夫式・常識ある大人の為の肉筆紙芝居 第6弾
子宝を授かりたい夫婦がすがった黒装の怪しき僧侶。満願成就のためには前世の因果を清算しなければならないと言うのだが、その方法は妻がひとまず地獄へ堕ちて行を積むというもので......。「女囚くみ子」シリーズのマニア作家・浜不二夫氏が描く大人に向けた紙芝居。 ~お美和の語り~
たくさんの灯火に照らされた修行道場に着いた私たち女亡者は、首を繋いだ縄だけ解かれて床に引き据えられました。お役人様のほかに、大勢の鬼どもがいました。お役人様がおっしゃいます。
「今日からその方たちの前世の罪障を消滅させるための行が始まる。その方たちは皆、前世で人並みはずれた淫乱好色の罪を重ね、それが現世で障りとなっておるのじゃ。これより、その罰の仕置きを受ける。罰じゃから楽であるはずはないが、体の障りとなることはないようよくよく気を配ってあるから心配は無用じゃ。安心してシッカリ前世の罪を償うまでは耐えるのだぞ。まずは逆さ吊りじゃ。足を上に向けて逆さに吊り上げるが、腰巻きが捲れぬように裾前を膝にはさんでおいてやるから、身持ち固くシッカリ足を閉じておれば何事も起こらんはずだ。すぐ股を開く淫ら女は女の隠し所を人前に晒して淫奔の罰を受けねばならぬ。さあ、始めい!」
手慣れた鬼どもの手で、私たちは脚に皮脚絆を巻かれ縄を付けられ、縄が天井の滑車でギリギリと巻き上げられると......たちまちのうちに私たちは、逆さで天井から吊り下げられていました。
木の祭壇に腰を嵌められ、祭壇ごと、やはり逆さに吊り上げられている女たちもいました。十数人の若い女が、赤、桃色、水色、黄色、色鮮やかな腰の物一つで、足を上に逆さまに吊られて空中に揺れる姿は、自分が吊られているのでなければ、目にもあでやかな眺めだと思います。でも吊られている私たちは......。
最初のうちは、さして苦痛だとは思いませんでした。でも四半刻(三十分)もすると、頭に血がのぼり、腰巻きを押さえている足が疲れてきます。意地悪く片足は自由なのです。膝が緩めば腰巻きが捲れて落ちて、太腿からお尻まで丸見えになってしまう。昨日見せられた女たちの、浅ましくもあられもない姿が頭に浮かびます。
若い女の身で、おヘソから下を全部丸出しにして、白い大きなお尻、下腹の黒い茂み、さらには女が死んでも人に見せてはならない股間の恥ずかしいモノまで、大勢のお役人や鬼たちの前にさらけ出して、哀れにお尻を振っていた女たちの姿。イヤです、あんな姿を晒すことはだけは......。
でも、疲れは容赦なく私たちを追いつめます。膝が緩んで落ちそうになる腰巻きを手で押さえようとして、その手が背中でビクとも動かない後ろ手縛りの縄の恨めしさ情けなさ。
「ハアーッ、アア......」
「許して。お願い、下ろして......」
「手をほどいて。アア、どうしよう......」
周りの女たちも、同じ苦痛に呻き喘いでいます。哀願しても許されない、正に地獄の苦痛にヒイヒイと泣き悶える時間がさらに経過して、
「アア、もうダメ。アッ、アーッ、イヤッ」
「アレ、どうしようお腰が落ちちゃう。アーッ」
「イヤーッ、アアーッ」
力尽きて、あられもなく恥をさらけ出す女たちの哀しい悲鳴が周囲から聞こえました。私だけ例外であろうはずもなく、段々意識がもうろうとしてきて......フッと息をした瞬間、膝から腰巻きの布がハラリと抜け落ちる感覚。
「アッ。イヤーッ、ダメ―ッ」
顔の前にハラリと私の赤い湯文字が垂れ下がってきます。それと同時に、おヘソから下(今の位置的には上)のお尻、太腿、そしてお股の前を弄るウソ寒い風の感覚。私はとうとう女の一番恥ずかしい場所を隅々までご開帳してしまったのです。
慌てて手で前を隠そうとして、手がビクとも動かない縄目の辛さをもう一度思い知らされて私はオイオイ泣き出していました。
「何じゃその方ども! 半刻ももたずに股を開いてかように恥を晒しおって。淫乱女どもめ、さあ罰じゃ」
自分の湯文字で前が見えませんが、お役人様の声が私のお股の辺りから聞こえ、風を切るお鞭の音。
「アーッ。痛いッ」
「ヒイーッ。お許しを!」
女たちの悲鳴が響き、私もお尻に火のような痛さを味わって、
「ウワーッ」
と叫んでいました。続けざまに、お尻に太腿に、下腹に炸裂するお鞭の痛さ。片足を吊られている私たちは、自由な方の足で宙を蹴り、お尻をよじって泣き喚くのでした。
ドロドロとどこかで太鼓が鳴っています。縄が緩められて私たちは床におろされましたが、後ろ手の縄は解いて頂けません。前も丸出しのまま床に転がっているほかありません。いつの間に出てきたのか、お役人や鬼に加えて色餓鬼、越中褌一つのブヨブヨの体でお面をかぶった男どもが私たちを取り囲んでいました。
昨日見せられた姦淫地獄。これからこの色餓鬼どもに体を嬲られるのです。アア、どうしよう。でも私たちは吊り責めでヘトヘトになっている上に、腰の物一枚で縛られているのです。どうすることが出来ましょう。色餓鬼どもが寄ってたかって私たちに取りつきます。
「アアッ、アレッ、イヤッ」
「お許しをッ。そればかりはお許しを!」
「ヒィッ。やめてッ」
周りで哀しい悲鳴。私も、何人もの色餓鬼に仰向けに押さえつけられました。
「アア、お許しを! ダメッ、そんなところは」
当然のこと、私も他の女と何の変わりもなくお乳を揉まれ、お尻を撫でられ、そしてアソコにも口にもそびえ立った太い一物がムリヤリに押し込まれ、全身を色餓鬼たちの手が舌が、アレが......。切ない喘ぎを絞り取られ、一人が終われば次の色餓鬼がのしかかるのです。とうとう、
「アーッ、あたなご免なさい、も、もう。×××××××!」
自分の口から出るとは到底思えぬ、でも明らかに私の淫らにも浅ましいよがり声を聞きながら、頭の中に虹色の靄(もや)がかかって私は気が遠くなっていきました。これは、有難い修法による罪障消滅のための行、夢まぼろしであって本当に我が身に起こっていることではないのですよね。
気がついたのは自分の牢部屋の中でした。布団に寝かされ、お医者様らしい人とお役人がいました。慌てて腰巻きの前を合わせます。
「大事ない。こやつ、気をヤリ過ぎて気を失っただけじゃ」
「念仏講で気がイキ過ぎて失神ですか? ハハハ、とんだ助平女で」
「全く呆れたものじゃ。女子(おなご)は大方男より好色とされるが、こやつは特別かも知れぬ」
笑われて、私は顔から火の出る思いで布団をかぶりました。
「体に障りがなければ夜も修行じゃ。薬湯を飲んで飯を済ませい。今宵は湯を使わせてやる」
薬湯の効用は玄妙でした。体のあちこちの痛みは消え、体がほかほか火照ってきます。食事の後、お風呂へ入れて頂きました。
「女亡者どうしで無駄口をきくと修行の妨げになる。轡を咥えい!」
竹に紐を通した轡。竹の途中に舌抑えがついていて、咥えると、
「ウ―ウー」
という意味不明の声して出なくなります。轡を咥えた私に、またお縄が示されます。アアやっぱり......もう観念した私は、素直に後ろを向いて膝をつき両手を後ろに回したのです。
曳かれて行った建屋には町の湯屋の何倍もあろうかという大きなお風呂場がありました。後ろ手の縄も解かれぬまま、腰巻きを剥がれてお湯に入れられたのです。私と同じ姿の女たちが数十人も縛られたまま湯に浸かっており、お役人衆のほかに色餓鬼も大勢いました。
色餓鬼は皆越中褌を外しており、お役人様も、いかめしい法服を脱がれ褌もお解きになって、私たちと一緒に入浴なさるのです。湯で濡れると、乳房の上下を縛ったお縄が締まってきて、それが不思議と何か快い気持ちです。
湯船から上げられ、お役人様や色餓鬼たちに体中を洗って頂きました。昼間、汗と涙といろんな物(言えません)でベトベトになった体を隅々まで洗って頂くのは誠に気持ちがよいものでした。
灯りは暗く、周囲の真っ裸で縛られて体を洗われている仲間の女たちの顔はほとんど見えませんし、皆轡を咥えさせられているのですから静かなもの。水音と、ときおり、
「尻を洗ってやるから、むこうを向け」
とか、
「脚を開け」
とか女たちにお命じになるお役人様のお声が聞こえるだけでした。
でも私たちは、前世の罪を償うためにここへ送られて来ているのです。気持ちよいことだけがあるはずはありません。体を洗って頂いた私たちは、腰巻きさえも許されぬまま体をぬぐうのもそこそこに、また縄で首を繋がれて、次の建屋へ曳かれて行きました。
腰の物さえ着けていないマッパダカで歩かされる惨めさ、恥ずかしさは勿論ありますが、緊縛されている身ではどうすることも出来ないという諦めと、皆同じ姿なのだという気持ちがあって、私たちは、泣き騒ぐ者もなく曳かれて歩いたのです。
(続く)
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