「ニッポンの年中行事」 - 「う」のつくもの

Inbekawori photo series,"An annual event of Nippon".

写真シリーズ「ニッポンの年中行事」

「う」のつくもの

インベカヲリ★が日本の習わしやしきたりを撮り下ろす写真作品シリーズ。年中行事に合わせてお届けします。

土用の丑の日　　夏の土用の間にくる、丑の日を指す。十二支は、12日周期なため、丑の日が2度来る年もある。

土用とは、中国の五行説に由来する語で、この世のあらゆるものは木火土金水の5つの組み合わせで成り立つという考えである。
四季を五行で説明すると、春は木、夏は火、秋は金、冬は水となる。残った土は、それぞれの季節の変わり目に当てはめられ、立春、立夏、立秋、立冬の前日までの18日間が土用とされる。そのため土用は年に4回あるはずだが、土用といえば夏の土用を指すのが一般的だ。

夏の土用はもっとも暑いため、夏バテ対策として、丑の日には鰻を食べるという習慣がある。これが世に言う「土用の丑の日」である。
仕掛け人は、平賀源内という江戸時代の蘭学者であると言われている。
ある日、売上げ不振に悩む鰻屋から相談を受けた源内は、「土用の丑の日に『う』の字が付くものを食べると体に良い」という伝承からヒントを得て、「本日土用の丑の日」という看板を掲げさせた。すると鰻屋は大繁盛し、他の鰻屋にも広まることで、鰻を食べることが定着したという話である。

しかし元々の伝承は、「う」の字が付くものなら鰻に限らず、うどん、瓜、梅干など、様々な食べ物であるはずだ。源内に乗せられて鰻を持てはやすことは、さしずめ現代で言う、マスコミに踊らされたスイーツ（笑）であろう。
鰻のような高級食材にこだわらず、手軽な「う」で夏に打ち勝つことが、賢い消費者と言えるだろう。

写真・文＝インベカヲリ★

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