Does
it know as "ZINE"?
The book which I want to read by myself is made!
“本”と私たちの新しい関係を巡って
“ZINE”≠同人誌・ミニコミ?
「コミックマーケット」に代表される同人誌即売会により、「同人誌・ミニコミ」は様々な形で紹介され、多くの方に認識されています。ですが同人誌とは異なる「ZINE」のことをご存知でしょうか。知っているようで知らないこの自主制作出版物、はたしてよく知られたミニコミとは何が違うのでしょうか。案内人はネットワーカー・ばるぼらさんです。
The book which I want to read by myself is made!
“本”と私たちの新しい関係を巡って
“ZINE”≠同人誌・ミニコミ?
取材・文=ばるぼら
「コミックマーケット」に代表される同人誌即売会により、「同人誌・ミニコミ」は様々な形で紹介され、多くの方に認識されています。ですが同人誌とは異なる「ZINE」のことをご存知でしょうか。知っているようで知らないこの自主制作出版物、はたしてよく知られたミニコミとは何が違うのでしょうか。案内人はネットワーカー・ばるぼらさんです。
ここ数年の日本での盛り上がりを受けてか、原宿で7月10日〜12日まで開催された「ZINE'S MATE」や、西日暮里で7月24日まで開催されている「BOOK OFF / ZINE OFF」など、“ZINE”をテーマにしたイベントが相次いでいる。ZINE(ジーン)とは何か? この呼び名はもともとファンジン(ファンマガジン=ファン雑誌)を略した言い方で、特に小部数の自主制作出版物をさす。「ふーん、ようは同人誌やミニコミを集めたイベントってことか」というのは中らずといえども遠からず。
たしかに「小部数の自主制作出版物」というと日本では同人誌やミニコミが意味合いは近いけども、現在“同人誌”と聞いて「コミックマーケットなどで売られている自主マンガ誌」を連想する人が大勢いるように、ZINEという言葉から連想される出版物というのも、既にいくつかイメージが形作られている。たとえば「余白の多いドローイング作品集」「カラーペインティングされたモノクロ写真集」「ワープロやタイプライターで打ち出した文章を切り貼りしたテキスト集」などがそうである。もちろん古くからある「好きな本やレコードの紹介」「商業誌では敬遠されるようなテイストのイラスト/コミック」「私の詩集」も含まれる。イメージがわかない人は、海外ショッピングサイト「Etsy」の「books and zines」カテゴリを見てみるといい。いかにも低予算で作られた、でも何か一本筋の通った、手作り本が沢山並んでいるのを発見できるだろう。
Handmade Zines on Etsy - Indie, art, fiction, how to, poetry zines
海外では1930年代にシカゴのSFファンクラブが『The Comet』というファンジン第1号を作って以来、利益第一ではない手作りの出版物の系譜は全国各地に広まり、その延長上で70年代後半のパンク・ファンジンのムーブメント、90年代のe-zineムーブメント(ネット上のファンジン)が起きた。共通するのは「インディペンデント精神(自分で自分の読みたい本を作る!)」であり、21世紀の日本で再び脚光を浴びている“ZINE”もまた、この系譜を受け継いでいると考えるべきである。
ひとまず「ZINE'S MATE」を覗いてきたが、先に挙げたある種の共通の匂いや雰囲気をまとった出版物が、所狭しと並んでおり、非常に盛況だった。設置された見本誌コーナーは、様々な国の、様々な人の、様々な種類の表現欲求が感じられ、いくらでも時間をつぶせると思う。何か買おうと思ったがお金を下ろしてくるのを忘れたので、写真パージン『Quiet & Quest』(masahiro nakano)と、買い逃していた『乙女通信11号 本のことば』(イワフチメグミ)の2冊だけ購入。ちなみにパージンとはpersonal zine(個人誌)。後者は可愛らしいタイポグラフィ作品集。
気になったのは、(厳しく言えば)プロの素人ごっこのような、お金も技術もある人がわざと遊び気分で作ったような本が並んでいたり、何千円もするアートブックそのものの本もあった。公式サイトには「ジン、アーティストブック:出版、ひいては文化そのものを推し進めるのに必要不可欠な、新しいアイデアと表現方法の培養土」と、ZINEとアーティスト・ブックを意図的に混同した、やたら広い定義が書かれているが、ZINEという言葉の原義に戻れば、そこにはきっちりと線を引くべきだろう。ZINEはアーティストが作ってもいいが、アーティストのものだけではない。ニキビの多い中学生が作ったっていいのだ。素直に「THE TOKYO ART BOOK FAIR 2009」と名乗れば問題ない品揃えであった。
来週までに「BOOK OFF / ZINE OFF」へ行ってこようと思う。
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“本”と私たちの新しい関係を巡って――“ZINE”≠ART BOOK?
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ばるぼら ネッ
トワーカー。周辺文化研究家&古雑誌収集家。著書に『教科書には載らないニッポンのイ
ンターネットの歴史教科書』『ウェブアニメーション大百科』など。なんともいえないミ
ニコミを制作中。
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